半藤一利のレビュー一覧
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なぜ日本人はリーダーには泰然自若を求め、参謀を重要視するようになったのか。西南戦争、日露戦争を受けて、国家としてのリーダーのあり方を定める際に、その原型が作られたのだという。本書では、太平洋戦争における、愚将、名将の考え方、行動を具体的に取り上げながら、日本型リーダーの陥りやすい傾向を指摘する。太平洋戦争時のリーダーに見られた、学歴に由来する自信過剰、情報の軽視による無知蒙昧、逃避癖、無責任。これらは、リーダーに、至誠、礼儀、信義、気力、質素といった資質を求める傾向とともに、現代でも我々の発想の奥深くに根付いているのではないかという。
著者の長年に渡る昭和史についての講演のエッセンスをまとめた1冊ですが、新書ながら充実した内容。かの名著「失敗の本質」と同じテーマを、より分かりやすく解説した作品といっても良いと思います。 -
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ちょっと見方を変えれば、いまでもいろんな会社で繰り広げられていることが書かれており、日本人の変わらなさ加減にがっかりしてしまう。だいたい、この本で”悪い例”として挙げられている人のほとんどが戦後を悪びれもせず生き延びていることに驚いた。が、こうして本として学べる形で世に出ていることに感謝すべきだと思う。
結果が正しく評価するための論理的な思考ができていないために、「経歴に傷がつく」などといって隠蔽してしまう。間違いを正して一歩一歩段階的に前進していくという観念がないために、やみくもな前例踏襲か”斬新”と称した滅茶苦茶な戦法の、どちらも実効性のないやり方しか選べない。上に立つ人間は威徳を備えなければならない、が、上に立つ人間には威徳がある、にすりかわってしまい、本人も勘違いしてしまう。ただでさえも無責任な体制なのに、「参謀」という責任を取らない(構造上取ることができない)役割の人間がゲームをやるように計画も実施も決めてしまう。
丸山真男の『超国家主義の論理と心理(岩波文庫)』などとあわせて読むとさらに興味深い。 -
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本書は、米軍の空襲で焦土となった町にたたずむ女性の写真をカバーに掲げ、また、巻頭の24ページを使って、占領期日本の光景を、生々しい写真で伝えることから始まっている。そう、我ら日本人は、ここから立ち上がって来たのだ。著者は、「マッカーサーの顔なんか見たくもない」と言う。この言葉こそ、戦後を生きてきた人びとの反骨心の原点であろう。マッカーサーによる6年足らずの統治下において、さまざまな大変革が成された。そして、それらはいまだに、憲法問題、国防問題、教育問題、沖縄問題、人権問題などなど、世論を二分して、この国を揺り動かしている。先の大戦から70年を経て、日本人にとっては、これらの問題の現代的事情をふまえた解決が、当面の問題となるだろう。そして、新たな国家目標をもって未来に漕ぎ出すために、“あの時代”に行われたことを振り返っておくべきである。著者が祈りを込めて贈る、「日本のいちばん悲しかった日々」。
戦後日本を考える上で、ダグラス・マッカーサーは避けて通れない人物である。半藤昭和史ファン待望の「マッカーサー論」。 -
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日本に2発の原子爆弾が落とされるまでの様子が淡々と、しかし確実な現実として語られていく。多くの日本人が知るべき事実、それは日本も原爆開発を進めていたこと。けっして他人事ではないのだ。しかし確実に進行していく戦争の現実の前にその可能性は低くなっていく。
歴史にifはないと言われるが、本書を読むと、何カ所も「もしあのときこうしていれば」という思わされるところがある。それでもなお、やはり日本への2発の原爆投下はある程度の必然性というか、不可避であったのだとうということも同時に理解していくことができる。
最後の広島の描写も最低限でありつつも力強い。
多くの人に読んでもらいたい1冊。 -
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2015.8.16
良著。湛山の命懸けの主張が、当時の大新聞との対比でより鮮明に映し出されている。
戦争を起こしたのは、軍部の責任であり、それはマスコミの責任であり、詰まる所、国民の責任である。
経済合理性と、言論の自由とが最も大事だと改めて感じた。
今の日本は、言論の自由はあるが、その言論は、マスコミのバイアスが掛かっていないか?疑問に思うべきである。
また経済合理性の視点はやや欠如しているのではなかろうか。
たとえば、尖閣諸島や竹島を守る事による経済合理性はどうなのか?年間いくらの防衛費を払っているのか?それがどれだけのリターンをもたらしているのか?いっそうの事、そんな儲からない土地なんてあげてしまったほうがいいのではないか?とすら、最近思ってしまう。
領土問題で戦争が起きる可能性なんて低いだろうが、その領土を死守して、何の意味があるのか、よく考えた方がいい。
そんなことを考えさせられた。 -
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『日本のいちばん長い日』の半藤一利氏が日露戦争から太平洋戦争までの歴史の流れを日本人の資質とともに解説したもの。『日本人のいちばん長い日』が素晴らしく質の高い本であったのと同様この本も読む価値のある本である。
「あの戦争」とは太平洋戦争のことだが、どう呼ぶかによってイデオロギーの問題が生じるからとの説明だが、「あの戦争」という呼び方がこの本にはふさわしいように思う。
本書では、日露戦争の「勝利」が、「あの戦争」への道筋に与えた影響は大きいと論じる。さらに、日露戦争とあの戦争における指導者の覚悟と責任感の違いが、状況をさらに悪いものにしたのだという。
最後に「新聞と日本人」として、長いあとがきを書いているのだが、世論形成においてマスコミが果たした役割についての考察は心に留めておくべきだと思う。後世からは、新聞によって民衆が踊らされたという印象があるが、事実はむしろその逆で、部数の確保のために民衆が求める記事を書いていたというのがより真相に近いようだと。このことは現代でもまったく変わっていない。新聞がテレビになっても、そしてWebになっても変わらないということは肝に銘じておくべきことだ。
以下に章立てを書いておく。そうしておく価値があるように思えるから。
第一章 幕末史と日本人
第二章 日露戦争と日本人
第三章 日露戦争後と日本人
第四章 統帥権と日本人
第五章 八紘一宇と日本人
第六章 鬼畜米英と日本人
第七章 戦艦大和と日本人
第八章 特攻隊と日本人
第九章 原子爆弾と日本人
第十章 八月十五日と日本人
第十一章 昭和天皇と日本人
新聞と日本人 - 長い「あとがき」として
自らを歴史探偵と任じ、当時書かれた文書や当人へのインタビューを元に何が起きたのかを再構成をしていく。著者は戦後あまり時間が経っていない時期に雑誌記者としてインタビューをしているので、そこで聞いた言葉をもとにした語りには説得力がある。自身で行ったインタビューや多くの一次資料に当たっているので信頼感が持てる。現代は、より多くの記録された情報で溢れている。フーコーがそうやったように、また著者もそうしたように、未来の誰かがよりテクニカルに洗練された形で「文書」を掘り起こしてこの時代がどのような時代であったのかを語ることになるのだろうなと思う。ぜひともそういったものを読んでみたい。 -
購入済み
丁々発止
奥深い鍛錬を続けてこられたお二人の、引き出しの多さと深さに心踊らされて読み終えました。短かくて残念です。もっとページ数を多くしても充分に面白い対談であったろうにと悔やまれます。