半藤一利のレビュー一覧

  • 日本型リーダーはなぜ失敗するのか

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    なぜ日本人はリーダーには泰然自若を求め、参謀を重要視するようになったのか。西南戦争、日露戦争を受けて、国家としてのリーダーのあり方を定める際に、その原型が作られたのだという。本書では、太平洋戦争における、愚将、名将の考え方、行動を具体的に取り上げながら、日本型リーダーの陥りやすい傾向を指摘する。太平洋戦争時のリーダーに見られた、学歴に由来する自信過剰、情報の軽視による無知蒙昧、逃避癖、無責任。これらは、リーダーに、至誠、礼儀、信義、気力、質素といった資質を求める傾向とともに、現代でも我々の発想の奥深くに根付いているのではないかという。

    著者の長年に渡る昭和史についての講演のエッセンスをまとめた1冊ですが、新書ながら充実した内容。かの名著「失敗の本質」と同じテーマを、より分かりやすく解説した作品といっても良いと思います。

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    2017年04月30日
  • 日露戦争史 1

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    1巻を読み終わろうというところなのですが、異常に面白い。政治面・軍事面だけではなく、マスコミの報道の仕方や民衆の反応、また文人の想いが書き残されたものなどを拾って当時の状況を多面的に追いかけているのが良い。
    そして、やはり当時の日本の指導層の登場人物が濃い。伊藤博文を中心に、山県有朋、桂太郎、山本権兵衛、児玉源太郎、小村寿太郎、林薫(駐英公使)、etc.
    その駆け引きは深くもあり人間味もあり…

    どちらも今更で当たり前なのですが。

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    2016年12月19日
  • 日露戦争史 2

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    これまで太平洋戦争史はそれなりに詳しく読んで来ましたが、日露戦争については詳細をきちんと認識していませんでしたので大変に興味深く第2巻はかなり一気に読んでしまいました。(と言っても軽い読み物ではないので相応に時間が掛かりましたが)
    二百三高地の壮絶な戦いによる奪取前に28センチ砲の砲撃によりロシアの旅順港内における艦隊はほぼ壊滅的な打撃を受けていたのが実際のところ(つまり戦略的には二百三高地の奪取にはもはやそこまでして拘らなくても良い状態だった)とは初めて知りました。

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    2016年12月19日
  • 世界史としての日本史(小学館新書)

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    現代史にあまり興味はなかったが、一般教養として手に取ってみた。非常に勉強になったし、現代史を勉強しないといけないと思った。

    一つの事象、判断をその小さな視点だけでしか見ないのが今までの日本史だと感じた。世界情勢があっての、日本のある事象であり、判断なのだ。日本国内のある事象を論じるときも、日本史ではなく、世界情勢の中で論じられるべき。

    そんな意識を植え付けられた。

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    2016年10月28日
  • マッカーサーと日本占領

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    掘った芋いじるな→What time is it now? 蛇の目傘→General MacArthur なんて発音を楽しんでたことを思い出しました。 半藤一利氏、渾身の書「マッカーサーと日本占領」、2016.5発行です。1903年陸士を一番で卒業、4年間の平均が98.14点だったというマッカーサー、目立ちたがる身の持しかたで崇敬もされ、嫌忌もされたとか・・・。民主化による太平洋のスイスの建設を。天皇との11度の会談によって戦後の日本の行く末が~。マニラでの本間元中将裁判での夫人の妻としての誇りに感動を。

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    2016年08月22日
  • 世界史としての日本史(小学館新書)

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    稀代の教養人である半藤・出口両氏の対談本。

    まず、両氏の尋常ならざる読書量に驚かされる。
    そして、自分の不勉強さと無教養を思い知らされる。

    主たるテーマは、近現代の日本を、世界史の流れと結びつけて捉えることにある。
    両氏の語る内容は、現代(日本)社会の抱える問題点を浮き彫りにする、極めて深いものであるが、それでいて非常に分かりやすい。

    とにかく「多く」かつ「深く」読書をしようと思わされた。

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    2016年08月20日
  • 日本国憲法の二〇〇日

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    本書の解説に梯(かけはし)久美子さんが最後に述べているところが読後の気持ちにぴったりなので、掲げます。『いまと未来ばかり見ていても、進むべき道が見えてこないことがある。それぞれの時代を生きた人たちの、過去からの声に耳を傾けるところからはじめるのもいいのではないだろうか。』

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    2016年06月19日
  • 日本型リーダーはなぜ失敗するのか

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    ちょっと見方を変えれば、いまでもいろんな会社で繰り広げられていることが書かれており、日本人の変わらなさ加減にがっかりしてしまう。だいたい、この本で”悪い例”として挙げられている人のほとんどが戦後を悪びれもせず生き延びていることに驚いた。が、こうして本として学べる形で世に出ていることに感謝すべきだと思う。
    結果が正しく評価するための論理的な思考ができていないために、「経歴に傷がつく」などといって隠蔽してしまう。間違いを正して一歩一歩段階的に前進していくという観念がないために、やみくもな前例踏襲か”斬新”と称した滅茶苦茶な戦法の、どちらも実効性のないやり方しか選べない。上に立つ人間は威徳を備えなければならない、が、上に立つ人間には威徳がある、にすりかわってしまい、本人も勘違いしてしまう。ただでさえも無責任な体制なのに、「参謀」という責任を取らない(構造上取ることができない)役割の人間がゲームをやるように計画も実施も決めてしまう。
    丸山真男の『超国家主義の論理と心理(岩波文庫)』などとあわせて読むとさらに興味深い。

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    2016年06月01日
  • マッカーサーと日本占領

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    本書は、米軍の空襲で焦土となった町にたたずむ女性の写真をカバーに掲げ、また、巻頭の24ページを使って、占領期日本の光景を、生々しい写真で伝えることから始まっている。そう、我ら日本人は、ここから立ち上がって来たのだ。著者は、「マッカーサーの顔なんか見たくもない」と言う。この言葉こそ、戦後を生きてきた人びとの反骨心の原点であろう。マッカーサーによる6年足らずの統治下において、さまざまな大変革が成された。そして、それらはいまだに、憲法問題、国防問題、教育問題、沖縄問題、人権問題などなど、世論を二分して、この国を揺り動かしている。先の大戦から70年を経て、日本人にとっては、これらの問題の現代的事情をふまえた解決が、当面の問題となるだろう。そして、新たな国家目標をもって未来に漕ぎ出すために、“あの時代”に行われたことを振り返っておくべきである。著者が祈りを込めて贈る、「日本のいちばん悲しかった日々」。

    戦後日本を考える上で、ダグラス・マッカーサーは避けて通れない人物である。半藤昭和史ファン待望の「マッカーサー論」。

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    2016年05月19日
  • 「昭和天皇実録」の謎を解く

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    「実録」の編纂者の中に「エース」の存在を仮定し、その人物の思考を考慮しながら読み解いていく点に興味を持った。
    まだ手を付けていないが「実録」を読む楽しみが増えた。

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    2016年04月04日
  • もう一つの「幕末史」 “裏側”にこそ「本当の歴史」がある!

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    半藤さんの幕府側にたった歴史観は大好き。歴史は勝った人の側から語られるので、都合の悪いことは隠されるのですよね。負けた側から語る歴史は、おもしろい。そしてやっぱり、勝海舟さんはかっこいい。

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    2016年02月19日
  • 「昭和天皇実録」の謎を解く

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    -2015/09/01
    ①特別攻撃隊の戦果報告を聞いた裕仁天皇は、「そのようにまでせねばならなかったか。しかし、よくやった」と語ったという。前半は天皇としての言葉、後半は大元帥としての言葉に裕仁天皇の苦悩があった。
    ②天皇はアメリカの短波放送で日本軍の所在を知る状態であったという。陸海軍が天皇に事実を伝えていなかったという事実。

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    2015年10月01日
  • 原爆の落ちた日【決定版】

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    日本に2発の原子爆弾が落とされるまでの様子が淡々と、しかし確実な現実として語られていく。多くの日本人が知るべき事実、それは日本も原爆開発を進めていたこと。けっして他人事ではないのだ。しかし確実に進行していく戦争の現実の前にその可能性は低くなっていく。
    歴史にifはないと言われるが、本書を読むと、何カ所も「もしあのときこうしていれば」という思わされるところがある。それでもなお、やはり日本への2発の原爆投下はある程度の必然性というか、不可避であったのだとうということも同時に理解していくことができる。
    最後の広島の描写も最低限でありつつも力強い。
    多くの人に読んでもらいたい1冊。

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    2015年08月21日
  • 戦う石橋湛山 昭和史に異彩を放つ屈伏なき言論

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    2015.8.16
    良著。湛山の命懸けの主張が、当時の大新聞との対比でより鮮明に映し出されている。
    戦争を起こしたのは、軍部の責任であり、それはマスコミの責任であり、詰まる所、国民の責任である。

    経済合理性と、言論の自由とが最も大事だと改めて感じた。

    今の日本は、言論の自由はあるが、その言論は、マスコミのバイアスが掛かっていないか?疑問に思うべきである。
    また経済合理性の視点はやや欠如しているのではなかろうか。
    たとえば、尖閣諸島や竹島を守る事による経済合理性はどうなのか?年間いくらの防衛費を払っているのか?それがどれだけのリターンをもたらしているのか?いっそうの事、そんな儲からない土地なんてあげてしまったほうがいいのではないか?とすら、最近思ってしまう。

    領土問題で戦争が起きる可能性なんて低いだろうが、その領土を死守して、何の意味があるのか、よく考えた方がいい。

    そんなことを考えさせられた。

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    2015年08月16日
  • 「昭和天皇実録」の謎を解く

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    陛下のご本心を知ったからといって、今更何が変わるのか?ということはあるが、とはいえ戦前の厳しい御決断を迫られる局面での陛下の息遣いを、生硬な文書から読み解く試みは、好奇心を大いに刺激するとともに、既知の日本近代史の解釈に、別の視座を与えてくれる、非常に興味深い一冊だった。

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    2015年07月26日
  • 昭和史裁判

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     半藤氏のわかりやすい記述による戦中、戦後の一史。対談風になっているのでよりよかったのか、加藤氏のコメント、弁護?がよかったのか、時代背景とともに把握できた。無論全てを網羅しているわけではないが、類書をあたるうえでの大きな参考になる。そして通史感覚を得られるのが良い。
     高校の教科書っというわけにはいかんだろうが、良い教材にもなるのでは?

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    2015年05月27日
  • 「昭和天皇実録」の謎を解く

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    宮内庁が編集した『昭和天皇実録』は、単に事実を載せるだけではなく、どの様に昭和天皇を見せたいのかの意図が働いていると著者達は語っている。
    しかも重要な部分では”エース”が登場していると推測しており、宮内庁と著者陣との攻防も楽しめる。

    この様な著者陣の豊富な知識、洞察力があって初めて『昭和天皇実録』を読み解くことが出来るのであろう。

    さらに違う場面を取り上げた続編を是非出して欲しい。

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    2015年05月17日
  • あの戦争と日本人

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    『日本のいちばん長い日』の半藤一利氏が日露戦争から太平洋戦争までの歴史の流れを日本人の資質とともに解説したもの。『日本人のいちばん長い日』が素晴らしく質の高い本であったのと同様この本も読む価値のある本である。


    「あの戦争」とは太平洋戦争のことだが、どう呼ぶかによってイデオロギーの問題が生じるからとの説明だが、「あの戦争」という呼び方がこの本にはふさわしいように思う。

    本書では、日露戦争の「勝利」が、「あの戦争」への道筋に与えた影響は大きいと論じる。さらに、日露戦争とあの戦争における指導者の覚悟と責任感の違いが、状況をさらに悪いものにしたのだという。

    最後に「新聞と日本人」として、長いあとがきを書いているのだが、世論形成においてマスコミが果たした役割についての考察は心に留めておくべきだと思う。後世からは、新聞によって民衆が踊らされたという印象があるが、事実はむしろその逆で、部数の確保のために民衆が求める記事を書いていたというのがより真相に近いようだと。このことは現代でもまったく変わっていない。新聞がテレビになっても、そしてWebになっても変わらないということは肝に銘じておくべきことだ。

    以下に章立てを書いておく。そうしておく価値があるように思えるから。

    第一章 幕末史と日本人
    第二章 日露戦争と日本人
    第三章 日露戦争後と日本人
    第四章 統帥権と日本人
    第五章 八紘一宇と日本人
    第六章 鬼畜米英と日本人
    第七章 戦艦大和と日本人
    第八章 特攻隊と日本人
    第九章 原子爆弾と日本人
    第十章 八月十五日と日本人
    第十一章 昭和天皇と日本人
    新聞と日本人 - 長い「あとがき」として

    自らを歴史探偵と任じ、当時書かれた文書や当人へのインタビューを元に何が起きたのかを再構成をしていく。著者は戦後あまり時間が経っていない時期に雑誌記者としてインタビューをしているので、そこで聞いた言葉をもとにした語りには説得力がある。自身で行ったインタビューや多くの一次資料に当たっているので信頼感が持てる。現代は、より多くの記録された情報で溢れている。フーコーがそうやったように、また著者もそうしたように、未来の誰かがよりテクニカルに洗練された形で「文書」を掘り起こしてこの時代がどのような時代であったのかを語ることになるのだろうなと思う。ぜひともそういったものを読んでみたい。

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    2015年03月29日
  • 半藤一利と宮崎駿の腰ぬけ愛国談義

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    丁々発止

    奥深い鍛錬を続けてこられたお二人の、引き出しの多さと深さに心踊らされて読み終えました。短かくて残念です。もっとページ数を多くしても充分に面白い対談であったろうにと悔やまれます。

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    2014年07月17日
  • そして、メディアは日本を戦争に導いた

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    ネタバレ

    昭和史を専門とする2人の対談集ですが、中身は予想以上に濃いです。タイトルは意味深で、メディアが利益を追求する限り、「不買運動」などには屈するのが必然、だからそうならないように事前に策を練る必要があるという事実を、昭和初期の歴史から導きます。2.26事件から真珠湾までわずかに5年。おかしくなると坂を転がるように加速度がつくのが日本。どうも最近、東日本大震災が日本という国の「終わりの始まり」じゃないかと思えてしょうがない。原発処理、秘密保全法、道徳の教科化など、ろくでもないことが多すぎる。お薦め。

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    2014年05月03日