山崎豊子のレビュー一覧
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昭和42年といえば…まだ小学生になったばかり…
働き始めた20歳のころにはすでに組合運動は下火になり始めていた。勤音と同じような音楽鑑賞団体があったような気もするが、労使間にさほどの緊張状態はなかったように思う。(若輩で何も知らなかったのではあるが…)
古い本棚にこの本を見つけて、なぜか急に読んでみた。たぶん若いころ一度は手にしたはずで、その時にも現実感なく流し読みしたと思う。
ただ、働き始めた当時、組合活動に積極的だった何人かの同僚の顔を思い浮かべるきっかけを得た。
1人1人はとてもいい人で、新人の私が何か困っていないか、上司はきちんと配慮しているか、配属先は妥当かなど目配りしてもらってい -
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海上自衛隊の潜水艦が、遊漁船と衝突事故を起こし、多くの犠牲者を出す。主人公は、海上自衛隊員で事故を起こした潜水艦に乗船していた花巻二等海尉。事故後の事情聴取、マスコミの追い討ち、海難裁判と苦悶の日々が続く。
未完の作品ではあるが、平和が日常であった日本での自衛隊への意識。平和であるとしながら、緊張が続く国境付近。それらに、優秀な先輩自衛官、恋人候補、悪役的同僚など個性的な登場人物を加えて、読み応えある作品でした。
大河小説としては、導入部分でしかなく、花巻は、辞意を固めつつ次の任務に向かいラストとなる。この作品のチームによって、第2部は花巻の父親を通しての“戦争とは”、第3部は父の気持ちを引き -
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ネタバレ弓成は果たして有能だったんだろうか。
敏腕記者であったが、途中変な理想に目覚め野党議員に密約の証拠となる文書を渡すも、野党担当の記者を介してやり取りしたため詰めが甘くニュースソースが明かされてしまう。
大変な苦労をかけた奥さんにきちんとした謝罪や労いの言葉もなく別居。
果ては亡くなった親の会社を継ぐも頑固さから合併の話を蹴り倒産に追い込んでしまう。
だが思うに、弓成に限らず、人間には核となる特性みたいなものがあり、それが周りの環境とうまく噛み合えば「有能」ということになるし、合わなければ「無能」ということになるんじゃなかろうか。
フィクションであれば最後に弓成の再起が描かれるのだろうが、ど -
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1.著者;山崎豊子さんは、小説家。大阪の老舗昆布店に生まれ、毎日新聞に勤務後、小説を書き始めました。上司は作家の井上靖氏で、薫陶を受けています。19歳の時、学徒動員で友人らの死に直面。「個人を押しつぶす巨大な権力や不条理は許せない」と言っています。社会派小説の巨匠と言われ、権力や組織の裏側に迫るテーマに加え、人間ドラマを織り交ぜた小説は、今でも幅広い世代から支持されています。綿密な取材と膨大な資料に基づく執筆姿勢は有名です。
2.本書;国民航空の新会長として関西紡績・国見会長が就任。国見は、恩地(主人公)を会長室部長に抜擢。次々と白日の下にさらされる不正・乱脈・腐敗の構造。「今なお航空会社の使