山崎豊子のレビュー一覧

  • 仮装集団

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    昭和42年といえば…まだ小学生になったばかり…
    働き始めた20歳のころにはすでに組合運動は下火になり始めていた。勤音と同じような音楽鑑賞団体があったような気もするが、労使間にさほどの緊張状態はなかったように思う。(若輩で何も知らなかったのではあるが…)

    古い本棚にこの本を見つけて、なぜか急に読んでみた。たぶん若いころ一度は手にしたはずで、その時にも現実感なく流し読みしたと思う。
    ただ、働き始めた当時、組合活動に積極的だった何人かの同僚の顔を思い浮かべるきっかけを得た。
    1人1人はとてもいい人で、新人の私が何か困っていないか、上司はきちんと配慮しているか、配属先は妥当かなど目配りしてもらってい

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    2022年05月12日
  • 二つの祖国(二)

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    物凄く悲惨な描写が続く二巻目。

    三巻目は東京裁判から始まるが、これもどの様に描かれていくのか。

    二巻目にしてなかなか忍耐力のいる作品です。

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    2022年05月10日
  • 二つの祖国(一)

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    サンタアニタ競馬場として知っていたが、まさかそんな過去があったとは。

    主人公の二重国籍ゆえの苦難、米国人か大和魂か。

    戦争の悲しみは戦場だけに収まらない、様々な所に陰を落とす。それを教えてくれる意義ある作品だと一巻目でも感じ取れます。

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    2022年05月07日
  • 二つの祖国(四)

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    東京裁判を中心に描かれている。山崎豊子
    の緻密な取材に基づき、読者に分かりやすく
    描かれている。
    天羽賢治の苦悩はこの東京裁判の不条理さ
    そして愛する椰子の死と言う二重の苦しみ
    に苛まれる。
    アメリカの正義を信じて真摯に裁判のモニター
    をした賢治には、最初から判決有りきの裁判に
    批判をしたとして、アメリカに疑われ
    天羽賢治が日系二世として日本とアメリカの間
    で人生を翻弄され真摯な思いで日系二世の誇り
    を持って生きていたにも関わらず、最後はアメリカ
    への忠誠を疑われ苦悩の末自害すると言う結末は
    戦争の悲劇をより深く読み手に訴えかける。

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    2022年04月30日
  • 女系家族(上)

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    ネタバレ

    秀作。
    山崎豊子さん、流石。関西を舞台にした作品は真骨頂。
    男女関係、商売に古さ、時代を感じるが、それも良い。
    人間の欲は時代が違っても変わらない。
    終盤の急展開が面白い。

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    2022年05月07日
  • 二つの祖国(三)

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    戦争とは本当に酷い事だと改めてこの本を読んで
    思う。
    東京裁判は、敗戦国日本にとても不利な
    事ばかりで日本人としては腹立たしいばかりだ。
    戦争に負けるという事は、不利益な立場
    に追いやられ勝戦国に全て従わなければ国として
    成り立って行かないと言う不条理だ。
    原爆投下を東京裁判で削除された話は、戦争を経験していない自分でも腹が立つ。

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    2022年04月12日
  • 約束の海

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    海上自衛隊の潜水艦が、遊漁船と衝突事故を起こし、多くの犠牲者を出す。主人公は、海上自衛隊員で事故を起こした潜水艦に乗船していた花巻二等海尉。事故後の事情聴取、マスコミの追い討ち、海難裁判と苦悶の日々が続く。
    未完の作品ではあるが、平和が日常であった日本での自衛隊への意識。平和であるとしながら、緊張が続く国境付近。それらに、優秀な先輩自衛官、恋人候補、悪役的同僚など個性的な登場人物を加えて、読み応えある作品でした。
    大河小説としては、導入部分でしかなく、花巻は、辞意を固めつつ次の任務に向かいラストとなる。この作品のチームによって、第2部は花巻の父親を通しての“戦争とは”、第3部は父の気持ちを引き

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    2022年04月06日
  • 運命の人(三)

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    ネタバレ

    弓成は果たして有能だったんだろうか。
    敏腕記者であったが、途中変な理想に目覚め野党議員に密約の証拠となる文書を渡すも、野党担当の記者を介してやり取りしたため詰めが甘くニュースソースが明かされてしまう。
    大変な苦労をかけた奥さんにきちんとした謝罪や労いの言葉もなく別居。
    果ては亡くなった親の会社を継ぐも頑固さから合併の話を蹴り倒産に追い込んでしまう。

    だが思うに、弓成に限らず、人間には核となる特性みたいなものがあり、それが周りの環境とうまく噛み合えば「有能」ということになるし、合わなければ「無能」ということになるんじゃなかろうか。

    フィクションであれば最後に弓成の再起が描かれるのだろうが、ど

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    2022年04月04日
  • 二つの祖国(一)

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    以前TVドラマで見て一度は原作を読みたいと思い、読んだらとても引き込まれました。
    日系人の苦悩がとても鮮明に描き込まれて
    いて、戦争の新たな悲劇の一面を垣間見て
    胸が痛くなった。
    同じ日本人なのに、祖国の日本育ての親アメリカ
    かの板挟みになり日系二世の方々がこんなに
    複雑な心情で生きていたと思うと心が本当に痛む。

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    2022年04月03日
  • 運命の人(二)

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    あまりにも悪役が悪いと異論が差し挟みづらくなる。冷静な意見を言おうとすると、「そんなのは敵を利する行為だ」と。知る権利キャンペーンが張られるなか、その雰囲気に違和感を覚える記者、そこで語られるクリーンハンドの原則、その後出てくるのが両被告の密通だった。

    今ロシアがウクライナに攻め込んでいる。力に物を言わせ、一方的に現状を変更しようとする行為は到底許されるものではないが、徹底抗戦一辺倒で異論が許されない感じに何となく違和感があって、身につまされた。

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    2022年03月27日
  • 運命の人(一)

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    後藤田正晴氏を尊敬していて、西山事件をその縁で知り、興味を持って読んでみた。なので、登場人物の中では十時推しです。
    描かれた時代は自分が生まれるよりもさらに昔のことで、当時の雰囲気は分からないが、同じ日本であるのに沖縄に対して多くの人がどこか他人事だったんじゃないか。だから知る権利が男女の痴情のもつれに矮小化された時に世間の見方の潮目が変わってしまったんじゃないかと感じた。
    時代が変わっても大衆の本質はそれほど変わらないのかもしれず、自戒を込めつつ読んだ。

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    2022年03月16日
  • 沈まぬ太陽(四) -会長室篇・上-

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    JALが嫌いになるような作品。
    いい意味でも悪い意味でも昭和ってやりたい放題の時代だったんだなとは思う。
    もちろんフィクションも混ざっているのはわかるが、ある程度事実に基づいているであろう山崎さんの作品であるがゆえにショックも大きいように思う。

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    2022年02月14日
  • 沈まぬ太陽(四) -会長室篇・上-

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    この物語の中で最も面白いと思うのがこの「会長室編」。表と裏のせめぎ合いが凄まじい。一見“表”に見えても、実は“裏”だったりする。

    もっとも、話の通りであれば(過分にフィクションは入っているであろうが)、モデルとなった会社は相当腐敗しているだろうが(その後の顛末を見るとやはりそうだったのかもしれない)。

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    2022年02月13日
  • 沈まぬ太陽(三) -御巣鷹山篇-

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    この物語の1つのハイライトでもある本巻。

    しかしただのフィクションではない。悲惨な事故の記録でもある。

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    2022年02月12日
  • 沈まぬ太陽(二) -アフリカ篇・下-

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    この物語の主人公は極めて優秀、かつ強い信念と正義感の持ち主である。しかし、この正義は全てにとっての正義とは限らない。反対の立場(ここでは経営側)の者も、自分達にとっての正義で対峙している。本巻ではそのせめぎ合いが面白い。

    とはいえ、経営側の正義もまた、全てにとっての正義とは限らない。本巻の後半は、それを明確に描写している。

    また、度重なる事故とそれらへの対応は、間違いなくその後の御巣鷹山への伏線として書かれている。

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    2022年02月11日
  • 女の勲章(下)

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     印象的だったのはパリ、ポルトガルでの描写で、自分の頭で情景を思い浮かべて読んだ。
     上巻を読み終わった時点でこのままハッピーエンドで終わるはずもなく、絶対にどんでん返しが来ると思っていたが、やはり!

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    2022年02月11日
  • 女の勲章(上)

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    ここ(上巻)までは銀四郎の強引なマネジメントと女性陣を束ねるリーダーシップで順風満帆に見える。このままハッピーエンドとなるわけもなく、下巻でいかなるどんでん返しが待ち受けているのかワクワクしています。

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    2022年02月10日
  • 華麗なる一族(下)

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    途中で銀行内部の画策の嫌らしさに、吐き気が来て、読み飛ばした。
    こんな男たち、いっぱい現実にもいる。小心で自分のポジションしか頭になくて、画策する奴ら。
    高度成長期で、宴会接待が普通だった時代、正直に努力する者はなかなか日が当たらない。あるいは足を掬われる。
    イラッとするけど、現実に体験したことがある。人間は悲しいものだ。
    山崎先生の人間描写が凄い。心の機微の表現に、読む方がドキドキしてしまう。

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    2022年01月30日
  • 沈まぬ太陽(四) -会長室篇・上-

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    1.著者;山崎豊子さんは、小説家。大阪の老舗昆布店に生まれ、毎日新聞に勤務後、小説を書き始めました。上司は作家の井上靖氏で、薫陶を受けています。19歳の時、学徒動員で友人らの死に直面。「個人を押しつぶす巨大な権力や不条理は許せない」と言っています。社会派小説の巨匠と言われ、権力や組織の裏側に迫るテーマに加え、人間ドラマを織り交ぜた小説は、今でも幅広い世代から支持されています。綿密な取材と膨大な資料に基づく執筆姿勢は有名です。
    2.本書;国民航空の新会長として関西紡績・国見会長が就任。国見は、恩地(主人公)を会長室部長に抜擢。次々と白日の下にさらされる不正・乱脈・腐敗の構造。「今なお航空会社の使

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    2022年01月30日
  • 華麗なる一族(中)

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    かなりどろどろした家族関係、エリートの結婚は家の財産や家柄が影響する典型。
    長男の実直さと、父親の狡猾さの対比が面白い。
    銀行内部の争いと官僚エリートの嫌らしさ、吐き気がする。山崎先生さすがの筆力。さすがです。

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    2022年01月29日