あらすじ
拷問、飢餓、強制労働――11年に及ぶ地獄のシベリア抑留から生還した壹岐正は、第2の人生を商社マンとして生きる事を決意する。「商戦」という新たな戦いに身を投じ、戦後日本の高度成長を陰に陽に担った男を活写する、記念碑的長編。
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初めて『不毛地帯』を読んだとき、圧倒的な感動が胸に押し寄せ、しばし呆然としてしまいました。けして、楽しいばかりの話ではありません。戦争の話、抑留の話、友の死、そして―。
“結局、古き良き昭和の話だよねー”と言う人もいるでしょう。でも、そんな陳腐な言葉は寄せ付けないほどのドラマがここにあると、私は声を大にして言いたい!!
また、私が山崎豊子さんの作品の中で一番『不毛地帯』を好きな理由は、途中はいろいろな困難と挫折に見舞われながらも最後に「救い」があるからです。油田がねえ…。彼女ともねえ…。いかん、ここからはネタバレ!!
さてさてどんな救いなのか?は、あなたの目で確かめてください。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
シベリア抑留という言葉しか知らなかったが、この不毛地帯第1巻を読んで、その過酷さに驚く。小説ではあるが作者の取材力を考えれば実際に起きたことを再現していることは理解できる。
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これ、ほんと辛い。
シベリア抑留の言葉は知っていたものの、現実はどうだったか全く知らなかったので、酷すぎる内容に言葉を失う。
この世の地獄と言っても過言じゃない。
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戦争の悲惨さを学んだ。歴史の授業では軍部が暴走して戦争を始めたように教わりがちだが、恐らく当時の世界情勢から、戦争をせざるを得ない状況、抗わないと支配される状況であったのだろうと推測した。単に野蛮な軍人もいたのだろうが、多くの軍人は、この本の登場人物のように、家族や愛する人、郷土を守るために戦わねば、勝たねば、と考えて行動していたのではないだろうか。
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シベリア抑留の悲惨さをこれでもかとしつこく描かれています。寒さ、日本人同士の妬み、尋問、社会主義、重労働。こんな環境で11年も暮らせるとはとても思えません。
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シベリア抑留が過酷さ、いつ帰れるかもわからない希望がない状況で、寒さと飢えに耐え忍んできたかを実感した。一人だけで他の場所に移動させられ取り調べを受けたり独房に入れられたりと、そんな時も途中で会った日本人に気遣うところは、なんと人間のできた人だと感心した。途中、堀が自死するところはなんともいたたまれず、若いが故の咄嗟の判断なのか、もっと泥臭く生き抜いて欲しかった。
人間は、ある意味どんな時も最後は精神力の強さが必要だと平和ボケしている普段の生活を考えさせられた。
Posted by ブクログ
詳細な描写からシベリア抑留を深く知ることができた。壮絶という言葉には収まり切れない凄まじい体験がそこにあったこと。また戦争は絶対にやってはいけなく、やるからには勝たねばいけない。このことが深く突き刺さる思いで、当時の人たちの心情に思いを寄せようとしても平和な時代に生まれ育った自分には想像だにできない。このことを小説で読めることに感謝したい。
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15年ほど前にドラマ化された事もあるので知っている人も多いと思うが、この1巻だけでも原作を読んでほしい。シベリア抑留の壮絶な内情が見て取れる。
戦争はしてはいけないものだが、それ以上に負けてはいけないものということを強烈に認識させてくれる。
ウクライナは早くロシアに降伏した方が被害が少ないとか言ってる頭お花畑の諸氏はこれ読んで反省を大にしていただきたいところ。
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圧倒的なボリューム感。早くこの小説に出会いたかった。ここまで命懸けで生き抜いた人が生きていた時代に我々の時代が勝てるはずがないと思ってしまった。
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山崎豊子の小説は初めて読んだ。フジテレビのドラマが面白かったので、原作はどんな感じなのかと手にとってみた。全5巻だし、テーマも重厚なものなので、読むのはさぞ大変だろうと思っていたが、かなり読みやすかったし、面白かった。知らなかった言葉もたくさんあり勉強になった。わくわくしたり犯人が気になったりするような小説ではないのに、先へ先へと読み進めたくなる面白さがあった。
Posted by ブクログ
瀬島龍三氏の生き様については、「人間的魅力の研究」「幾山河」などで読んでいます。山崎豊子さんの「不毛地帯」、大作・力作だと思います。第1巻が638頁(2009.3発行)、第5巻まであります。気合を入れて読んでます。第1巻、濃密でした。壹岐正(瀬島龍三がモデル)の生き様。大本営参謀、関東軍参謀、シベリア抑留、ソ連の非道さ、引揚、家族との生活、商社に就職・・・。読んでて、ロシアのウクライナ侵攻と重なってきました。ロシアは人口の五分の一が囚人(国内外、非合法)、囚人で国家建設。帝政ロシアからの伝統とか。う~む
Posted by ブクログ
久しぶりに大作を読んだ。山崎豊子氏の不毛地帯である。どんな内容か全く知らないまま読み始めた。
第二次世界大戦で日本軍の参謀だった壹岐は、戦後シベリアに抑留され、11年もの長い月日を寒さと飢えに耐え忍びつつ、過酷な労働をさせられた。ようやく日本に戻ることが出来てからは、関西の繊維系総合商社に採用され、ビジネスマンとして商才を次第に発揮していく、というストーリー。日本の潰れそうな自動車会社とアメリカのオートメーカーとの提携を仲介したり、イランで石油を開発するスケールが大きい仕事が見事に描かれている。
まず、シベリアに戦後抑留された人々のことをあまり知らなかったので、こういうことがあったことに衝撃を受けた。先日読んだ「大地の子」では中国に残留した日本人の話を読んだが、それと少し共通するところがあるかもしれない。第2巻からの、壹岐が商社マンとして挫折しながらも国際的な案件に次々と関わっていく姿は、とてもリアルだった。偶然にも、私も中東の石油開発関連の仕事をしているので、時代は1970年代で仕事の仕方は少し違うとはいえ、手に汗握る展開だった。主人公の壹岐の生き方に学ぶところが多くあった。
毎回、山崎氏の取材力には本当に舌を巻く。小説家という全く畑違いの分野の人が、いろいろ調べてここまで書くというのは、その世界にどっぷりつかっている人間からみたら、感心を通り越して呆然とするレベルである。
読後感も素晴らしかった。またいつか読みたい。
Posted by ブクログ
シンドラーのリストを観たすぐ後に読んだからか、それともこの本自体の描写のおかげかはわからないけど、シベリアでの話を読んでいると収容所での生活の光景がありありと浮かんできた
「戦争」という悪行の裏にはそれを是と信じて自分の全てを賭けた人たちがいて、戦争を推し進めたことについての個々人の責任ってなんなんだろう?と思った
兵隊だったら自死することで責任を取るけど、商売の世界では自分の失敗を売上で取り返すことによってのみ責任を全うできるってくだり、印象に残ってる
主人公がこれからどうなっていくのか、楽しみだあ!
Posted by ブクログ
全5巻通してのレビュー
昭和初期から敗戦までの期間は苦手であるし、小説を読むのも躊躇っていた。
第二次世界大戦に突入せざるを得なかった経緯も、戦時中の「大本営発表」も、その言葉を聞くだけで嫌悪感でいっぱいになるほどだ。
適切な表現が思い浮かばないが、
シベリア抑留中のまさに物理的な「不毛地帯」で過酷な運命にも関わらず生き延び、そして、近畿商事に入社後の精神的な「不毛地帯」にありながら、主人公の壱岐さんが、どれほどの重荷を背負っていたか…想像を絶するものがある。
シベリア抑留中の苦悩や肉体的・精神的なダメージはもちろんですが、帰還後の商社での活躍における裏の部分での苦悩や精神的ダメージは計り知れない。
どうしてここまで、頑張ることができたのか…
主人公の大きな支えは朔風会の谷川さんをはじめ、シベリアで共に苦労をした仲間との絆であり、近畿商事内部における、信頼できる人間関係と組織。
文字通り四苦八苦しながら、清濁合わせ飲み、戦中・戦後を生き抜いた壱岐正という人物から伺えるのは、筋の通った人間だからこその生き方でもある。
それが一番顕著に伺えるのは、自分の辞表と引き換えに、大門社長へ社長退任→相談役への就任にとりつけながら、自分もひっそりと表舞台から消えていくところだろうか…
色々な方々の犠牲の上に成り立った結果ではありますが、ワンマン経営体質の会社から、組織経営の会社に変貌させた壱岐さんの力量に脱帽である。
Posted by ブクログ
大本営参謀、伊藤忠会長の瀬島龍三さんがモデルの長編小説
(山崎豊子さんは否定しているが)
シベリア抑留であったり、
日本の高度成長期のビジネスだったり
なんだか読んでて熱くなる本でした。
この頃の方が今よりビジネスは色々と夢があって
面白かったんだろうなと。
Posted by ブクログ
シベリア抑留。
日本史ではあまり取り上げられていないが、本当に非人道的な行為であることをこの本を通じて知ることができました。
主人公の壮絶な人生をこれから一緒に歩んでいこうと思います。
テーマが重くて読んでるだけでも苦しいのです。
Posted by ブクログ
戦争が終わり多くの兵士が祖国へ戻った。シベリアの収容所に囚われた者たちは帰国の望みを胸に極寒の地で耐え続けた。主人公・壹岐正もその一人だった。旧日本軍の中佐として戦い敗戦と抑留の苦しみを味わった彼は十三年の歳月を経てようやく帰国することとなった。
祖国は旧軍人への風当たりは強く戦争の記憶を背負う者たちの居場所はなかった。そんな中壹岐は大商社に身を投じることにする。そこでは戦闘機納入、弱小自動車会社への投資買収、石油開発をめぐり、企業間、同僚間で熾烈な駆け引き、戦いが繰り広げられる。親友の自殺、妻の事故死という悲劇にも耐え精一杯の任務、役割に信念を持ち務める。ワンマン経営のトップにも翻弄され人事の争いにも巻き込まれるも中途採用ながら軍人として培われた戦略知力のもと大出世を果たす。
軍人として経済人として何を守るべきか。親友の自殺、妻の事故死という悲劇にも耐え壹岐はただただ前を向く。
人は運命に翻弄される。社会というのはやはり不毛の地なのだろう。であってもなお信念を貫く者に新たな道は開けるのだろうか。
Posted by ブクログ
終戦後に派遣された旧満州でソ連軍に抑留され、壱岐正は11年にわたりシベリアで理不尽な扱いを受ける。帰国後、近畿商事の大門社長に手厚く迎えられ、現場を見ることが大事とアメリカ出張の同行を求められる。一方、義父からは政治を志さないのかと諭される。11年の空白を埋めながらこの後、壱岐がどのように身の振り方を決めていくのか、アメリカ出張で何かが変わるのか、2巻に続く。
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山崎豊子・戦争3部作 『不毛地帯』第1巻。
大本営参謀・壹岐正。戦後11年間、シベリア抑留、強制労働…
あまりにも過酷… 絶句しかない。
寒さと飢え、寒い、痛い…
俘虜を人ととして扱わず、単なる労働力としか見ないソ連…
その振る舞いは現代につながる…
近畿商事社長・大門の熱心な誘いにより、第二の人生を商社マンとして歩むことを決意した壱岐。『商戦』という名の戦いへと…
第2巻へ。
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山崎豊子先生の超大作にして代表作。
一巻は主に、主人公のシベリア勾留から商社に入社するまでの話。
日本敗戦濃厚と見るや、条約を破って満州に進出し、戦後のどさくさに紛れて捕虜を強制労働に従事させたロシアは本当に卑劣である。
この問題こそ、戦後何十年経った今でも賠償請求をして許されるのではないかと思えるほどに理不尽。
主人公のモデルになった人物が、ここまで清廉潔白な人物だったとは思わないが、シベリア勾留、日本の戦後復興について非常に勉強になる。
内容は難しいはずなのに小説だから読みやすい。そして、引き込まれるストーリー構成は、さすが山崎豊子先生。
Posted by ブクログ
実在の商社マンをモデルとした本書。
戦時中参謀長として何十万もの兵士を動かしていた主人公が、敗戦後11年間もシベリアに抑留され、拷問や労働など過酷な生活を強いられたことが第一巻で細かく描写されていた。
この過酷な抑留生活に耐えて、日本に帰国したあと、彼の第二の人生が始まる。どんな商社マンになっていくのか、次巻が楽しみ。
Posted by ブクログ
アメリカの産軍複合体と、防衛庁、元大本営参謀がらみなど、きな臭い話を、山崎豊子はよく取り上げたとおもいます。田中角栄が失脚した背景を含めて、日本の連合国軍の占領統治がまたおわっていないような錯覚を覚えました。
Posted by ブクログ
久しぶりに読み返していますが、何度読んでも主人公の「強さ」と「人間としての弱さ」、そして「圧倒的な社会・現実の残酷さ」を感じさせる小説で、色あせることのない魅力を感じます。
シベリアでの過酷な抑留生活は、決して忘れてはならない戦争の被害の一つだと思いますし、「旧軍人(大本営の参謀という中枢にいた人間であるからこそ)としての戦後の苦労」も、ただの「自業自得」とは言い切れないあたりに、著者の戦争へのまなざしがあるように思います。
確かに、戦争を主導した軍部にいた壹岐に責任が全くないわけではないでしょうが、彼一人がその責を負わなければならないわけではありませんし、かつての軍歴を活かして防衛庁に就職するものがいたり、苦労しながら一般企業に勤める者がいたり、世を捨てて僧籍に入るものがいたりと、どの生き方が「正解」ということはないのだろうと思います。壹岐がその生き様のなかでどのように「第一の(参謀・軍人としての)人生」をふり返り、何を目的に「第二の人生」を歩んでいくのか、ということを通して、如何に生きるべきか、ということを見つめなおす小説だと思います。
第一巻ではシベリアでの抑留生活が中心に描かれており、壹岐の苛烈な闘いの日々を垣間見ることができます。商社(近畿商事)では繊維部に籍を置きますが、右も左もわからない中で仕手戦を仕掛けている同僚たちを眺めているだけ、という何とも歯がゆい状況です。
仕手戦についての描写は少しわかりづらく、近畿商事がなにを狙っているのか、対抗している相手はどのように動いているのかがイマイチつかみきれず、置いてけぼりにされた壹岐もきっと同じような心持なのだろう、と思わされました。
Posted by ブクログ
300ページ以上続くシベリア抑留が予想以上に長くて若干退屈でしたが、それ以降はかなり面白い!!また、後々シベリア抑留での話がいろいろ伏線にもつながるとの事ですので、続きがかなり楽しみです♪
Posted by ブクログ
【感想】
戦後11年間のシベリア拘留を経て、近畿商事という総合商社に入社した元日本陸軍中佐の物語。
シベリア拘留のエピソードが生々しくて、読んでいてかなり衝撃を受けました。
戦後、異国であんな風に虐げられ苦しんだ人がたくさんいたんですね。。
「終戦」とは名ばかりで、戦争が終わっても、戦争中かもしくはそれ以上の苦しみを味わっている人がいる。
安易な一言ですけど、、、やっぱり平和が1番ですね。
あと、先物取引関係が難しすぎてまったく理解できず…
ただ商社の多忙さやバイタリティーの描写は見ているだけでわくわくしたなぁ。
商社マンのエリートっぷりは本当にカッコイイ!!
600ページ強のボリュームで時間かかったが、とても面白く読めた。あと3巻あるけど楽しみ(^^)
Posted by ブクログ
極寒の中で強制労働を強いられた方々の辛さをわかったと言うことは出来ませんが、昔の日本やソ連、戦争の悲惨さなどを改めて考えるきっかけになりました。
Posted by ブクログ
この著者の本は、なんといってもリアリティが半端なくて、事実よりも実態を明らかにしてくれる。第1巻は戦争の現実を描いているが、「大地の子」で描いた被害者の立場ではなく、現実に戦争を遂行させられた者を描いている。戦争で最も悲惨な被害を受けた者は、満州で見捨てられた孤児もそうなのだが、シベリアに抑留された兵士も悲惨であった。それほど苦労して11年ぶりに帰国したのに、ソ連で洗脳された人のように扱われて差別を受けるというのが現実だったのであろう。それにしても、戦中も戦後も、大勢に迎合する人の陰で、不合理な差別を受けるという社会は変わっていないのだと。オーディブルで聴き始めたのだが、面白い。
Posted by ブクログ
極めて個人的な理由があって、今更ですが読むことに。実は初山崎豊子。
まず、1巻はシベリア抑留の話、という背表紙の解説を読んで、いきなり読む気をそがれてのスタート。
というのも、シベリア抑留から帰還、と聞いただけで、過酷な環境で理不尽に耐え続ける重苦しい話だと想像できてしまうから。できればこの巻は飛ばしたい気分なんだけどな、などと思いつつ読み始めた。単純に、辛い話に対する耐性が年を取るにつれどんどん弱くなっているからなんだけど。
右翼っぽいナレーションにややゲンナリ。
この時代の話を日本人が描くと、どうしてこうなっちゃうのかしらん。
将校クラスが捕虜となった時の待遇が一兵卒より優遇されて当然、的な考え方は、別に山崎豊子さん個人の考えではなく、国際法的にも常識的にもそうなのかもしれないけど、個人的にはなんだか納得いかない。
一歩兵だろうと高官だろうと人権は同等じゃないの~?と叫びたい。
終盤で、やっとシベリア抑留の話が終わってホッ。
ここからが読みたかった部分なので。
後半の相場の話はちんぷんかんぷんだったけど、でも意味もなく虐待される話はもう十分だったので、そこから私のテンションはやや上向きになった。
ソ連が終戦直前で日本との条約をアッサリ破って参戦したのは、ほんと、なんつーか、いつ聞いても、国として、国際社会では必要な「ずるさ」かもね~などと思ってしまいまふ。
平和な時代の一個人としては必要ない能力ですけどね。
ということで、今のところ読む前に想像したとおりの流れで特におもしろくないです。今後に期待。
壱岐氏が近畿商事に雇われた理由はおもしろいと思う。
実に商社っぽいとも思う。