【感想・ネタバレ】不毛地帯 第二巻のレビュー

あらすじ

商社マンとして生き抜くことを宿命と感じるようになった壹岐は、防衛庁の次期戦闘機選定に伴う商社、メーカーの熾烈な受注合戦に巻き込まれる。国防のため、真に優れた機を採用させようと奔走するが、背後には次期総裁選をめぐる暗闘が横たわっていた。壹岐は政界や防衛庁内の利害が複雑に絡み合う「黒い商戦」で水際立った手腕を発揮する。しかし、その代償もまた大きかった。

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初めて『不毛地帯』を読んだとき、圧倒的な感動が胸に押し寄せ、しばし呆然としてしまいました。けして、楽しいばかりの話ではありません。戦争の話、抑留の話、友の死、そして―。
“結局、古き良き昭和の話だよねー”と言う人もいるでしょう。でも、そんな陳腐な言葉は寄せ付けないほどのドラマがここにあると、私は声を大にして言いたい!!
また、私が山崎豊子さんの作品の中で一番『不毛地帯』を好きな理由は、途中はいろいろな困難と挫折に見舞われながらも最後に「救い」があるからです。油田がねえ…。彼女ともねえ…。いかん、ここからはネタバレ!!
さてさてどんな救いなのか?は、あなたの目で確かめてください。

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感情タグBEST3

Posted by ブクログ

この作品も古くからあるせいか何度も重版をしてきたからか、1巻のアメリカ渡航篇がこの2巻にも載っていた。
2度美味しくて徳したのか、頁減らされ損したのか。
まあ読み進める事にする。
…当たり前だよね。

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2024年12月22日

Posted by ブクログ

第二巻では壱岐もすっかり日本のサラリーマンになってしまったと思わせる一方で仕事上での鮫島や里井など他者との戦いに元軍人らしさも見え隠れしていた。第三巻以降会社という新たな戦地でどう戦い振る舞うのか楽しみになってきた。

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2024年06月08日

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やたらとリアルな情景が目に浮かぶのは最近観た映画のせいではなくて作家さんの力量のおかげだと実感

川又さんの最期が忘れられない

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2021年09月05日

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自衛隊の次期戦闘機候補でラッキード社を推す近畿商事は、グラント社を推す東京商事の強力な売込みに苦戦します。「空のギャング」とあだ名される鮫島に度々出し抜かれながら、壹岐は自らの信念を曲げ、過去の軍歴で培った人脈を駆使し、ラッキードを強力にプッシュします。
そしてその商戦のなかで親友川又を追い詰め、死に至らしめることに。
そして時が経ち、入社から8年という短さで常務へと焦心し、社長直属の「業務本部」の本部長として全社にまたがる経営戦略を立案しますが、早すぎる出世への嫉妬や、旧来からの社風を軽視するように見える壹岐のやり方には反発も小さくなく、思うように成果を上げられないことも度々です。

「近畿商事のため」と身を粉にして働きながらも、社内からも理解されずに辛い結果をかみしめることの多い壹岐の辛さは想像に余りありますし、自身の感情をひた隠しにして会社のために力を尽くそうとする壹岐の強さ、またそのプレッシャーをこらえきれずに妻にあたってしまう彼の弱さ、壹岐という器の大きな男に対して自身のプライドを傷つけられたと感じて反発する同僚たちなど、社会の不条理な在り方が余すことなく描かれている作品です。
戦闘機受注や、中東戦争によるスエズ運河の封鎖による船舶市場の高騰をめぐる商戦は、経済だけでなく政治や外交も絡む複雑な部分もありますが、一つひとつの状況が丁寧に描かれていて、経済・外交についての特別な予備知識が無くてもしっかりと理解することができます。

企業人として次第に成長している壹岐ですが、国のために働き続けた軍人としての人生の次に歩む、「第二の人生」の在り方として、商社マンの自分の働き方が果たして国益にかなうものなのかどうか、という悩みを持つ壹岐の姿は、渋沢栄一が良く主張していた「私利私欲ではない、公益のための事業を追求することの重要性」と一致するような気もします。

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2021年05月10日

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舞台が商社であるだけに、日本国内に留まらず世界レベルで話が展開される。それゆえスケールの大きさを感じる。特に、第三次中東戦争を巡る商社同士の戦いは展開もスピーディで面白い。

東京商事の鮫島は、主人公の壹岐の視点で見れば悪役だが、鮫島の方から見れば壹岐はこれまで長年苦労して築き上げてきたものを一気に掻っ攫いかねない存在で、だからこそ壹岐をライバル視し必死で戦っているのである。

そういう意味では、鮫島もまた正義なのだ。

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2020年06月11日

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第2巻ではシベリアから帰還した主人公が本格的に商社での第二の人生を始める。相変わらず圧倒的な筆力で引き込まれます。

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2019年02月04日

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FX、二次防とアラブ・イスラエル戦での東京商事との激戦、息もつかせぬ攻防だった。
 
元関東軍の作戦参謀として、
従来の接待などの饗応作戦や金品ばら撒きでなく、
 
社長直属、全社的な経営戦略を立案する営業本部を組織しての情報戦を展開していて、
 
ビジネスマンが命を懸けて働いているのが印象的だった
 
舞台が世界に広がって、華僑のエネルギッシュさもすごかった。

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2016年04月03日

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防衛庁の戦闘機選定商戦に勝利するも、陸軍時代の親友を亡くす主人公の壱岐。そして、時間は一気に経過し、中東戦争の時代に。嘱託から常務に昇進した壱岐、商社を取り巻く様々な暗い影が、ヒタヒタと忍び寄ってくる。

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2014年10月23日

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ネタバレ

不毛地帯2巻。
商社に入社した主人公が、葛藤を抱えながらも、いくつかの商戦で活躍してゆく。

卓越した分析能力や人脈を駆使しながら勝ってゆく姿にはわくわくするものの、それにまつわる人と人との闇のようなものに、どこか悲しい気持ちになります。

しかし、これが現実なのかもしれませんね。

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2014年10月06日

Posted by ブクログ

シベリアから帰還して商社に入社したけど、ここもある意味で戦場ですね。

ロッキード事件を題材に描かれている本作は商社と国家同士の大きなスケールで迫力があります。

登場人物、一人ひとりの感情の迸りを強く感じます。

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2025年07月24日

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1962-1967頃の話。壱岐はすっかり商社マン。二次防戦闘機商戦、第三次中東戦争。ドロドロ政治。ライバル鮫島はいい味。

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2024年10月30日

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第一巻とは全く異なる主人公の姿にまずは感慨深い。目的のためには手段選ばずで、第二の人生を乗り切ろうとする姿に人間のリアリティを実感させられた。

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2024年10月20日

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2024.10.19
商社マンとして、人間の業と向き合う日々。
しかし、2巻ラストの抑留者の会報発送事務のくだりは、主人公のベースはどこにあるかを感じさせる。

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2024年10月19日

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ネタバレ

壱岐のアメリカ出張はやはりFX選定に絡むものだった。入社時の社長との約束を反故にされるも商社マンとして突き進む。8年で嘱託から常務取締役に上り詰めるもかつての上司である副社長との軋轢に悩む。アメリカ出張時の細やかな情景の描写はさすが山崎さんという感じ。きっと事前に取材出張を行い小説のプロットを考えながら観察していたのだろうと感じた。

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2024年07月08日

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『不毛地帯第2巻』

元陸軍大本営参謀のキャリアと人脈を見込まれた壱岐。
防衛庁の次期戦闘機選定をめぐる商戦に巻き込まれていく…
近畿商事を勝利に導く手腕を発揮するが…
一方で親友・川又を失うことになる…
やるせない…

そして、異例のスピードで常務へと昇進した壱岐。
イスラエル対アラブ連合の中東戦争へ。
現代はイスラエルのガザ侵攻。
ずっと火種を抱えている中東。
その根深さに驚かされる…

『今度は少しは、お国のためにお役に立ったのか』…
谷川の言葉に考えさせられる壱岐。
商社マンとして生きる壱岐にどんな未来が待っているのか…

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2024年02月02日

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二巻は航空機の結末から新章に向けたさわりが記載。
商社の泥臭く、対応範囲の広い行動に驚かされる。国際情勢、政治、利権等々が渦巻いていた。
三巻以降は中東情勢がメインとなるようで、一旦休憩。

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2023年05月11日

Posted by ブクログ

【感想】
入社10ヶ月で次長になり、戦闘機の受注抗争に身を粉にし、7年後には業務本部の常務へと異例の昇進を遂げる主人公・壱岐。
1巻では浦島太郎のような商社マン1年生だったのが懐かしく思えるくらいの成長っぷりですね。
部下の兵頭、海部、東京商事の鮫島など、1巻から出てきた魅力的な登場人物も活躍し、ますます面白くなってきました。
戦闘機の受注を巡って友人を失い、また最愛の妻をも亡くした壱岐に、これからどのような運命が待ち受けるのか、楽しみ!


【あらすじ】
商社マンとして生き抜くことを宿命と感じるようになった壹岐は、防衛庁の次期戦闘機選定に伴う商社、メーカーの熾烈な受注合戦に巻き込まれる。
国防のため、真に優れた機を採用させようと奔走するが、背後には次期総裁選をめぐる暗闘が横たわっていた。
壹岐は政界や防衛庁内の利害が複雑に絡み合う「黒い商戦」で水際立った手腕を発揮する。
しかし、その代償もまた大きかった。

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2020年06月04日

Posted by ブクログ

時期戦闘機FXバトルに勝利するも、防衛庁の元同期が自殺したり色々悲しい感じからの、8年経って取締役常務へ大出世。社内から嫉妬されたり疎まれつつも、頭脳集団を作り上げ中東戦争をぴたりと当てて大儲け、くらいで終了。いちいちドラマチックかつほろ苦くて、確かにこれは面白い。さてこの先どうなる。

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2017年01月30日

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どろどろした商社の世界。シベリア抑留の話が終わって平和な話が続くのかと思ったら、下山事件ばりの鉄道自殺のシーンがあったり、中東での戦争の影響があったり、飽きさせなかった。

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2014年09月02日

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11年のシベリア抑留から帰国した壱岐正は、商社の世界にドップリと浸かってゆく。2巻では、防衛庁の発注する航空機の受注に関する攻防が中心になっている。壱岐は日本国のためを思い、もっともふさわしいと思われる航空機を防衛庁に納入しようとするが、利権がらみの問題で別の航空機を納入しようとする東京商事・鮫島と鋭く対立する事になる。
商社、内閣、防衛庁、アメリカの航空機メーカーを巻き込んだ泥仕合は本当に凄まじい。防衛庁の極秘資料を持ち出して逮捕者が出るなど、皆すさまじいまでの執念を見せる。商社の仕事は本当に命がけだな、と思った。

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2014年05月20日

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「不毛地帯(2)」山崎豊子
社会小説。濃紺。

大本営参謀の頭脳をもって熾烈な商社の争いにどっぷり漬かっていく壹岐正。
昭和戦後の日本商社、今で云うところのCSRのシの字もない、泥沼の金仕合、出し抜きあいの世界です。
本当にこんなんだったのかな。昭和って。

物売りってなんだろう。利鞘稼ぎってなんだろう。(4)

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2014年01月22日

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 11年間抑留されたロシアから帰国して、商社マンとして活躍する。壹岐は商社に入っても防衛庁の次期戦闘機選定に絡む仕事に従事することになる。ビッグマネーが動く政治がらみの案件には、裏側には様々なことが絡んでくるのだ。

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2025年10月13日

Posted by ブクログ

個人的な必要に迫られて読んでいるので、いまひとつノレないのだけど、1巻よりはおもしろかった。

2巻はロッキード事件をベースにした話なのかと思っていたけど、読み終わってから確認してみたら、ロッキード事件とつながっている別の事件、ダグラス・グラマン事件なるものが元ネタと知った。

こんな複雑な話をよく小説にできるなぁ、と超人を見るような気持ちで読んだ。すごい筆力。
国や、国の歴史を作っていくのは政治家だけじゃなく、商社もけっこうな役割を果たすんだな、などと子供の感想のようなことを思う。

ちなみに、小学校の頃、何かで聞きかじり、母に「ろっきーどじけん、って何?」と聞いたら「ピーナッツをな、一粒1万円くらいで政治家に売るねん」みたいなことを言っていて、「えっ、そんなん誰も買わへんやろ? なんでそれが事件なん?」と重ねて聞いたが、母はうわごとのようにピーナッツが、ピーナッツが、と繰り返すばかりで、結局私には何のことか分からないままとなった。おかげでロッキード事件と言われるとピーナッツ、と反射的に思い浮かびます。いまだにどんな事件かよく知らないけど。
しかし、今なら分かることが一つあります。
母よ、あなたもロッキード事件がどういう事件か、よく分かっていなかったのですね。
なぜ分からないなら分からないと正直に言わないのですか・・・。

ちなみに、同じく小学生の頃、トーベ・ヤンソンの『楽しいムーミン一家』を読んでいて、誰かの入れ歯だか何だかが、飛行鬼(ひこうおに)の帽子の中で何か恐ろしいものに変化したのだが、それが何だったかは明記されておらず、「何に変わったかはあなたのお母さんに聞いてください。きっと知っていますよ」と書いてあったので、そのまま素直に母に質問したら、
「そんなもん、知るわけないわ!!!」
とめっちゃくちゃキレられました。
そのあたりから、母に何か質問するのをやめた気がする。

閑話休題。
さて、政府による大型海外発注案件に群がる総合商社と、政治権力闘争のために資金集めに奔走する政治家との癒着、男の世界だなぁ、としみじみ思う。
・・・というと、女性の能力を軽視しすぎる発想かなぁ。
でも、私にはそんな世界を泳ぎ渡るのはとても無理と思ってしまった。
壹岐が妻に何も言わない気持ち、ちょっと理解できる、などとも思う。妻側の立場からすると、もっと信頼してほしいって感じなんだけれど。

後半、「戦後」という時代が終わって、私的にはここから本番、という感じで気分がちょっと盛り上がってきた。次号、さらに期待です。

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2023年10月01日

Posted by ブクログ

人一人死に至らしめてまでなさなければならない防衛産業商戦か。
シベリアから月日を経て、中東戦争、スエズ運河と才覚を発揮しつつも染まっていく壹岐参謀。

最後の松本大佐の言葉がしみる。

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2023年09月11日

Posted by ブクログ

2巻からは、主人公が商社で活躍し始める。
小説のモデルとなっている商社は伊藤忠。
そして、主人公のライバル会社は現在の双日のこと。

本作はロッキード事件をもとにしているのかと思っていたが、対象が戦闘機のため、現実にあった事件は、ダグラス・グラマン事件のこと。
しかし、ロッキード事件、ダグラス・グラマン事件が発覚する前に、この小説は連載されていたらしいから、山崎豊子先生の先見の明には驚かされる。
もしくは、本作の取材の過程でこれら事件の前兆を掴んでいたのか。

現実には、ロッキード事件は丸紅、ダグラス・グラマン事件は、双日だから、伊藤忠は検挙されなかった。

当初は、自分の軍歴を商社の仕事に利用することに抵抗していた主人公だが、政治家と軍官僚の癒着を目の当たりにして、自ら戦闘機の商戦に乗り込む決意をする。
結果的に、主人公会社は勝利して、主人公は異例の出世を果たす。
しかし、この異例の措置が社内の反感を買う。
次巻以降は、社外のみならず、社内の敵とどう折り合いをつけて商戦に勝ち抜いていくかが描かれている。

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2023年05月25日

Posted by ブクログ

5巻連作の2巻目。
壹岐は防衛省が絡む航空機商戦、
常務昇進後に挑むスエズ運河の船舶を巡る商戦に挑む。シベリア時代の同胞も絡む泥試合に汚れた手も使いながら素晴らしい商材を披露していく。
東京商事の鮫島、鮫島の息子と娘直子の将来、秋津の娘との微妙な関係等等含みが多く次巻が楽しみになる内容だった。

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2023年05月07日

Posted by ブクログ

面白かったけど、山崎豊子さんだな、という作品
不毛地帯も白い巨塔も沈まぬ太陽もなんとなく似ていて少し飽きてきた

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2023年01月27日

Posted by ブクログ

ネタバレ

 山崎豊子「不毛地帯 2」、2009.3発行。長編の第2巻は590頁。近畿商事に入社した壹岐正が第二次防衛力整備計画の機種選定に勝利し、中東戦争(6日戦争)で商機を掴み、会社に利益をもたらす話。第1巻に比べ冗長な感が否めない。第3巻もこんな感じだと読むのが辛いが、ともあれ、読み進めることに。

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2022年09月15日

Posted by ブクログ

だんだん苦手な感じの男の世界になってきた。ビジネスの駆け引き出しぬき、男の権謀術数、昇進情報接待やっかみ、なりふり構わぬ思惑と人脈と金銭の動き…
上司と部下に受けは良くても、横の繋がりがないと足を引っ張られますよ…ヒヤヒヤしてた。
ラッキードの話なんて、きっと当時を知る人にはピンときて当時の雰囲気や新聞の記事などが蘇ってくるのだろう。
2巻の終わりで、いざアメリカへ。
壱岐さんが一線を越えなくてよかった。

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2018年09月04日

Posted by ブクログ

内容が政治の話、世界情勢も絡み難しくなってきたけれど、生々しい内容でした。こんな風に世の中が動いていたんだと今さらながら勉強になりました。

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2015年12月09日

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