山崎豊子のレビュー一覧
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アメリカと日本という二つの祖国の間で揺れ動く日系人の物語。実話を元にして、作者の丹念な取材の成果がその筆致により十分に現れている重厚な作品。色んな考え、選択をする日系人が描かれており、同じ収容されている日系人の間にも考え方の対立がある。生き方や選択にきっと正解なんてなかっただろうし、当事者ではない人間があれこれいうべきものでもない。ただ、これは山崎作品全般に言えることだけれども、真実とフィクションを渾然一体に著すのはどうか。僕は、法律家なので、終盤の東京裁判の場面で、例えば横田喜三郎をモデルにしたと思われる横井という法学者なんかが描かれているのには違和感があり、興ざめした。きっともう山崎作品は
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気張って気張って、耐えて、凌ぐ。
体力、技術、気力、全て使って貫く。
(以下抜粋)
○せっかく土産にしたその昆布を神棚と、
亡父の仏前に供えたまま黴にしてしまった。(P.31)
○損も資本(もと)や(P.36)
○店には惜しい者やけど、お前はもう一人前やと暖簾を分かたれた。(P.37)
○国会や、箱根の山で、なんぼまともそうなこというともあかん。
経済復興は一人一人が汗みどろになって働くことや。(P.172)
○客の目に見えない倉庫に多額の金をかけなければならなかった。(P.225)
○自分のレッテル貼ったもんは、
自分が作り、自分が眼を通して売るのが当たり前やないか(P.226) -
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ネタバレあれ?これ、山崎豊子?彼女の本を読んだことがあればあるほど、そう思ってしまうだろう。いつもは社会の腐敗について考えさせられるが、今回はある女の一生を通して人生というものを考えさせられた。
今の時代でも、自分で選んだ結婚相手を親が気に入らず、別れを選ぶカップルがいる。しかし花紋を読むと、それが正しい選択なのかわからなくなってしまう。
自分の意思を尊重する現代的な女性であった郁子が、保守的な結婚をする。保守的な女性ならそれを受け入れ徐々に順応するだろうが、郁子は最初から受け入れず徐々に拒絶を強める。
保守的な家系、意地の悪い継母や妾腹、腹黒い夫が郁子の不幸を一層際立たせるが、郁子自身にももう -
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えげつなく面白かったです(笑)
大阪を舞台にした小説を大阪にいるうちにもうちょっと読んでおこうと思って、手にとった本です。
(電子書籍なんで手には取れないんですが)。
1960年代と思しき大阪。老舗の木綿問屋が舞台。
代々女子ばかり生まれ、能力のある男を婿にとって続いてい女系家族。
つまりは女性が権力を持っているわけです。
冒頭、当主の葬式から。奥さんはもう死んでます。
という訳で相続争い勃発。
①わがままで婿取りを嫌がり嫁に行ったのに離婚して出戻ってきて長女として惣領のプライドを持つ長女。
②長女の割を食って婿取りし、家に残っている次女。
③若くてまだまだぶらぶらしている三女。
④その三