山崎豊子のレビュー一覧
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壱岐正の勤める近畿商事はいよいよ石油開発に挑む。
壱岐は専務に昇格し、社内での地位をますます高めてゆく。しかし昇進すればするほど周囲との確執も大きくなり、里井副社長と激しく対立する事になる。
石油開発ではイランの油田の開発権を得るために、日本の商社グループを抜け、アメリカの会社と組んで落札を狙うという、ある意味日本を裏切ったとも受け取られかねない決断をする。一方、千代田自動車とフォードの提携では東京商事の鮫島の暗躍もあり、敗れる。そこでもすぐに次の手を打ち、千代田自動車とユナイテッドモーターズの提携を画策する。
この巻でもっとも印象に残ったのは、中東の不毛地帯での石油利権を巡る争いだ。五菱商 -
Posted by ブクログ
この長い長い物語もようやく三巻。元大本営参謀の壱岐正は商社マンとしてメキメキと頭角を現し、わずか7年で常務に昇格という異例の出世を遂げる。しかし、次期社長と目される里井副社長との軋轢など、急激な出世は周囲との摩擦を引き起こす。この巻で壱岐の手がけた仕事は千代田自動車とアメリカのフォーク社との提携の仲立ちをする事。商社マンにとっては人脈が大事で、壱岐と里井はそれぞれの人脈を駆使し、仕事をリードしようと競争する。
商社の世界は命がけで恐ろしい。この巻の後半で里井副社長が激務で倒れるのだが、それでも仕事をしようとする、その執念は何だろう? 壱岐にしても、24時間仕事の事を考え自らを酷使している。現