あらすじ
養父と友人たちの尽力により、労働改造所から釈放された陸一心は、恩人である江月梅と結婚。そのかたわらで、中国と日本共同のプロジェクト「宝華製鉄」建設チームに抜擢された。一方、プロジェクトに協力することになった日本の「東洋製鉄」からは、松本耕次が上海事務所長として派遣される。松本は戦前、開拓団の一員として満州にわたった。しかし敗戦時妻子の生死も不明となり、傷心のまま仕事に生きてきた。戦後三十年を経て、両国で残留孤児探しが始まる──。
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第一巻の一心の辛い過去を読んでいて本当に良かったです。日本人の血筋ゆえに辛い思いをしてきた一心が、ここからどのように運命を逆転させていくのか楽しみです。また、松本との実の親子関係がどのように深まっていくのかも気になり、続きがますます楽しみになりました
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陸一心の罪が晴れ、日中合同鉄鋼プロジェクトの技術通訳としてキャリアを築いた段階。
日本人としてのルーツによって踏み躙られた過去から、逆に今回はチャンスとして転換していくのがまさに時代の流れを感じる
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残留孤児の立場から国家重要プロジェクトに関わっていく陸一心とその親子の絆のようなものを感じられた。日本人であるがゆえの苦悩や苦難が報われつつあると思いながら、殆どの人には記憶にも体感も残らなくなっている中国現代史に通づる歴史を小説から学べることは感謝すべき事なのかもしれない。
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ストーリーが急展開、一心が母国との接点となるプロジェクトに参画することに。
「鉄は国家なり」またもやプロジェクトの規模もウン千億円と、とてつもないスケール。
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ドラマではあまり触れられてなかった中央の話し、会社トップの話しなど結構なボリュームだった。やはり、親子の話しになるとグッとくるな。。。盛り上がってきた。
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養父の命を懸けた尽力によって社会復帰し、家庭を持って生活も落ち着いた主人公。さらに、中国国家を挙げての製鉄所建設に携わり、己の地位を着々と築いてゆく。
戦争に翻弄され、疾風怒濤の時代を描いた第1巻とは打って変わって、未来に向かって大きく歩みだす第2巻。
しかし、残留孤児の問題が立ち上がり、高級幹部を父に持つ権柄高な、大学時代の元恋人が主人公の前に立ちふさがり、今後どういう展開になるか、ますます目が離せない。
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一巻は激動の時代と言う感じで、この二巻で物語りが繋がり、急展開します。
やはり考えさせられるのは中国との戦争ですね。
日本軍が行った事は事実として恐ろしい事ですし、許される事でもありません。
やはり日本はもっと、過去行った事の教育が必要だと思います。
確かに、中国の教育を見る行き過ぎた教育にも思いますが、間違い無く事実です。
でももっと酷い現実は、アメリカは日本に原爆を落としているのです。
物語は奇跡的に社会的地位を作った、陸一心が表舞台に出始めます。
それぞれの過去を抱えつつ人間関係も複雑に絡みます。
本当に傑作です。
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一巻はとにかく一心の辛い描写が多く読み進めるのが本当に辛かったけれど、二巻は釈放され少しずつ幸福を感じる時間も増えてきて、少し読みやすくなった。
日本と関わりが始まり、この先一心がどうなっていくのか、日本の父親とどのように関わっていくのか。
戦後の二つの国の間で多くの人が振り回され、傷ついた時代。
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2巻でも一心の人生は激流のよう。にわかに政治味が増して、中国と日本のそれぞれの思惑が描かれている。その中で一心親子がどうなっていくのか気になるところ。
大地の子を読んで中国の思想がどんなものか少しずつ分かってきたけど、やっぱりこの国とは考え方が違いすぎる。分かりあうのは難しいよ。
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ルーイーシンがようやく中国人として確立して成功していくのと裏腹に、父松本耕次とのすれ違いにドキドキハラハラしました。こんなに一緒に仕事して、会ってるのにこうも気づかないものなのか、ルーイーシンがどんな思いで中国人として必至に生きてきたのか良くも悪くもそれが父との出会いの際に消えてしまっていることに切なさと苦しさを感じました。
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悲惨な境遇から残留孤児の主人公・陸一心が抜け出し、国家プロジェクトに関わっていくようになります。鄧小平や華国鋒といった実在の人物をモデルとしたキャラクター登場し、中国現代史の勉強になります。
中国共産党政権は今も存続しているわけですから、現在の中国を理解する上でもとても良い小説だと思います。
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スパイ容疑で労改送りになった主人公だったが、解放軍に所属している親友と養父の尽力により冤罪が晴れて釈放される。
北京駅での養父との再会シーンは涙なしには読めない。
毛沢東の死去により文化大革命は終焉し、中国の歴史も大きく変わろうとしている。
もとの就労先に戻った主人公は、日本人であること、日本語が話せることから、異例の大出世をして、日中共同の製鉄事業に携わることになる。
そして、この事業によって、生き別れになっていた日本人の実父との再会も果たす。
しかし、お互いにその正体を知らないまま物語は進んでいく。
お互いに親子であることはいつ判明するのか、そして生死不明の妹と再会することはできるのか。
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陸一心は日中共同プロジェクトの宝華製鉄建設で実父と出会うがお互い実の親子とは全く気付かず、それぞれが国の威信をかけて競り合う。よき理解者である月梅を妻に迎え中国人として生きていこうとする一心であったが、日本人であった頃の「家族」に再会できるか。続きを読まなくては。
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日本人の戦争孤児・松本勝男こと陸一心。
その出自故に、冤罪により、労働改造所に囚われ、想像を絶する過酷な日々を送っていた。
養父・陸徳志や親友・袁力本の支援により、冤罪が認められ、ようやく釈放される。
釈放後も日本人が故の差別を受けながらも、日中共同プロジェクト『宝華製鉄』建設チームメンバーに選ばれた。また、同時に共産党員への推薦も受けることになった。
一方、かつて満洲開拓団として、満洲に渡った松本耕次は、敗戦により家族と生き別れになっていた。
開拓団として、多くの犠牲者を出したことに贖罪の日々を送っていた松本耕次。
『宝華製鉄』建設プロジェクトの上海事務所長の辞令が下りる。
同じ頃、松本耕次は、信濃開拓団の大沢咲子が残留孤児として、生き残っていたことを知り、勝男とあつ子が生きているかもしれないと…
生き別れた父と子が中国で遭遇する…
幼少期の記憶がほとんどない陸一心…
陸一心が我が子とは気づかない松本耕次…
もどかしい…
日本の技術を欲しがる中国。
納期短縮、値下げ要求をする中国。
40年以上前からその姿勢は変わらないのか…
それに合わせてしまう日本…
Posted by ブクログ
半分終了。
鉄鋼という国策を媒介し、生き別れた人々の運命が交錯し始めた。日本というものがより身近となり、自分の運命を翻弄してきた「日本」と一心は今後どう向き合うのか。
丹青はそういうキャラだったのね。
学生の頃は分からなかったけど、社会に出て露骨になったのかな笑
製鉄所建設がスタートし、建設を推し進める一心には、これから苦難が始まりそう。
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日本人であるが故、労働改造所に入れられ、厳しく辛い日々を送っていた一心だったが、あるかとから養父にそのことが伝わり、養父の命懸けの努力により、解放された。
その後、元の職場に戻るが、以前のような仕事は与えられずの日々が続く。
しかし、能力を買われ、日中合同の製鉄所建設の大プロジェクトに参加できるまでになる。
ただ、日本人であるが故に苦しんできた一心にとっては複雑な思いだった。
また、一心の知らないところで、様々なことが重なり始める。
一心と養父の親子以上の愛情と信頼の深さが胸を打った。
2019.4.13
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1巻が苦し過ぎたから、2巻の始めで号泣してしまった。
涙が溢れて止まらなかった。
1巻のことがあるから、未だに誰も信じることができない私が居る。
怪しい登場人物が出てくると、また虐められやしないかとヒヤヒヤしてしまう(-_-;)
2巻は政治的な話が多い為、私のような知識の無いお馬鹿な女にはなかなか読み進めるのが苦痛だった。
しかし文章はとても好みで、一文、一文にいちいち感動していまう。
美しい文章を書く作家さんだなぁと、、、
これからどうなるのか、期待と心配が入り乱れている。。。
幸せになって!!
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ともかく中国恐るべし、の一言。何故か第二巻は中国とのビジネスの厳しさを語りきっていて、1980年代にして既にチャイナリスクというものが当然のようにあった事にびっくり。一般時には知られざる世界があるんだなぁ、と。
Posted by ブクログ
全4巻の第2巻目。
日本人戦争孤児として苦役を強いられながらも文化大革命の嵐の中を乗り越え、中国で生きることを決意した陸一心。日本名は松本勝男。養父である陸徳志や中国人の友・袁力本の協力を得て冤罪を晴らし、文革後の日中共同プロジェクトの「宝華製鉄」建設チームに抜擢される。一方、日本では世界屈指の工業力を誇る東洋製鉄の松本耕次を上海事務所長に派遣し、陸一心と見える。この松本耕次は信濃開拓団の一員として満州に渡り、徴兵のため満州に妻子を残し、日本で終戦を迎えた人であった。
二人の運命がいよいよ交錯する。
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中国残留孤児を主人公に中国の戦後、共産党社会の有様を描いた長編小説。日中友好の証として計画された製鉄所建設プロジェクトとともに、主人公の人生は一つの転機を迎え、そして"大地の子"として決断を下す。
筆者の綿密な取材に基づき描き出された物語は、重厚かつディテールもしっかりしている。
主人公の養父の気高さには感動するが、それ以外の筆者が描く中国の姿は正直好きになれなかった。大元は日本の戦争のためとはいえ、作中主人公は散々苦杯をなめ、また生き別れた妹の末路はあまりに哀れ。技術協力も結局は同床異夢だったのだろう。
Posted by ブクログ
ほんの数十年前の出来事なのだけど、大きく政情は変わり、中国は大躍進した。
でもこの小説の中に書かれている中国は今の中国と変わらないように感じる。
日本の最新の技術を欲しがり、さらに納期短縮を要求している。
一心が中国共産党員に入党申請する際の描写など、他国の私からしたらおぞましく感じるほどだ。
この時代の中国で「勉強する」思想が、普遍性があるものではないだろうに、勉強家の一心は心から学ぼうとしている。
優秀な人材が何を学んだら国家に役立たせることができるのか、それは国にとっては都合のいい人材を育成させることに他ならない。
日本人として虐げられてきた一心に罪はないし、育った国が母国になるのだろうけれど、戦争のどうしようもなさに胸がキリキリした。それは日本人だけが思う感情だろうか。
途中、カンボジアのシハヌーク国王が中国に到着する描写もあった。あちこちで争いが絶えない時代だったのだとここでも感じる。
Posted by ブクログ
あらすじ
太平洋戦争の敗戦によって、満州で残留孤児となった主人公・陸一心(中国名)が、中国人養父母への愛情と日本の実父との愛憎に揺れながらも、文化大革命の荒波を越え、日中共同の製鉄プラント事業を完成させるまでの物語。
感想
これが山崎豊子かって感じがした。
Posted by ブクログ
ようやく収容所から解放される主人公。製鉄所建設チームに加わり、本来の力を発揮していくが、日本との関わりが彼を新しい運命に導いていく。まさに起承転結の「承」と云える。第3巻でまた大きく運命が翻弄されそう
Posted by ブクログ
陸一心の本名は松本勝男。日本人戦争孤児である。日本人ゆえの苦難の日々を経て、彼はようやく日中共同の大プロジェクト「宝華製鉄」建設チームに加えられた。一方、中国に協力を要請された日本の東洋製鉄では、松本耕次を上海事務所長に派遣する。松本はかつて開拓団の一員として満洲に渡り、妻子と生き別れになっていた…。
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一心の中国での活躍が描かれている巻。
中国国内での、文化革命の雰囲気もなんとなく伝わってくる中で、中国のスタンスが変わらないところは、今の時代と大差ないな、と感じてしまった。
ここから先、一心は日本人としてのアイデンティティに対して、どういう風に対応していくのか、楽しみにさせられる一巻でした。