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Posted by ブクログ
第1巻を読み終えた。中国残留日本人となった主人公一心が、過酷な運命により、魂が削られるような悲惨な境遇に陥るさまは、読んでいて胸が苦しくなった。満州開拓団と文化大革命はどちらも歴史的な事実であり、国家という巨大な装置による個人の運命の蹂躙である。一心のように、国の都合によって不条理な悲劇に見舞われた人々が多くいたのだと思うと、個人の努力や幸福など、奔流に飲み込まれる木の葉に過ぎないのだと気づかされる。
しかし、そんな奔流のなかでも、輝く希望がある。残留孤児であった一心を無条件に愛した養父・陸徳志の愛情とその愛に報いるために生き続ける一心の報恩の精神だ。どんなに悲惨な状況にあろうと、この二人の精神は折れない。フランクル『夜と霧』に、「人間からすべてを奪うことはできるが、与えられた環境でいかにふるまうかという、人間としての最後の自由を奪うことはできない」というような言葉があったことを思い出した。
Posted by ブクログ
かつてNHKのドラマを観て感動した大地の子。読みたいと思っていた作品。戦争孤児となった勝男は学校教師陸徳志とその妻淑琴に慈しまれ育つ。敗戦直後に人買いによって奴隷のように扱われる日々、徳志に息子一心として育てられながらも小日本人鬼子といじめられる少年時代、大学は優秀な成績を収めるも研究室には残れない理不尽さ。鋼鉄公司で技術者として誠実に務めるも文化大革命の折、日本人というだけでスパイの冤罪で囚人としての辛い日々を送る。とにかく救いがないくらい悲惨なのである。養父陸徳志がとにかく素晴らしい人、名前のとおり徳の塊。
そして、内蒙古の労働改造所で破傷風にかかり生死をさまよう一心を看護してくれた江月梅の心配りと勇気。
目を覆いたくなるような酷いことばかりが陸一心に何度も降りかかるのだか養父や江月梅のような清らかな心の持ち主も登場してほんの少し救われる。
「二つの祖国」「不毛地帯」に続いて捕虜としての非人道的な虐待とも言える扱いは酷い。でも、日本人も同じことをしているのだろうと思うと戦争は倫理観を奪い、人として正しく考える力を削ぎ、狂わせるものなんだと思う。
まだまだ第1巻、今はただただ「陸一心よ、とにかく養父母と再会するために生き延びろ」と叫びたい。
Posted by ブクログ
この作品は、山崎豊子さんが約8年かけて取材・執筆し、300人もの中国残留孤児への聞き取りを重ねて生まれた小説です。
戦前戦後の混乱の中で中国に取り残された残留孤児の過酷な運命を背景に、主人公の陸一心が歴史や政治に翻弄されながらも尊厳を失わずに生き抜く姿が描かれ、強く心に残りました。
入院中に読み、退院後に時間が空いても即物語に入り込めるほど引き込まれ、私の人生で「過去イチの作品」になりました。主人公の苦難に満ちた人生を知り、人生への向き合い方に深く感化されました。
舞台化もされていますが、まずはNHKのドラマを観て、感動をもう一度味わいたいです。取材の軌跡を記した本も読んでみたいと思います。
Posted by ブクログ
山崎豊子『大地の子(一〜四)』
現在の日中関係を考えるうえで、本作は中国という国の性質を理解するための格好の教材だと言えます。中国共産党の中枢まで克明に描写できたのは、胡耀邦元総書記による取材協力があったからこそでしょう。これほど深く内情に踏み込んだ著作は、今後二度と現れないのではないでしょうか。
かつてNHKでドラマ化された際や、山崎豊子さんの著作であることは以前から知っていましたが、どこか暗いイメージを抱き、敬遠していました。そんな私が本書を手に取ったきっかけは、2024年7月の日経新聞の記事です。「中国宝山との合弁解消」というニュースに接し、「『大地の子』半世紀に幕」という言葉に強く惹かれました。
文庫版全4巻という長編に圧倒され、しばらく後回しにしていましたが、読み始めると一気に引き込まれました。主人公・陸一心と実の妹が再会するシーンでは、通勤電車の中にもかかわらず、思わず涙が溢れそうになりました。
来年2月下旬には明治座で舞台化されるとのこと。観劇に行こうかどうか、真剣に迷っています。
Posted by ブクログ
大地の子といえばすぐに上川隆也を思い浮かべるくらい印象深いドラマだった。
この作品を舞台化すると知り、そういえば小説は読んだことがなかったと思い、今回audible で聞いた。
audible の朗読は声も速さもちょうど良く聞きやすかった。
時節柄、映画も戦争関係作品を目にする機会が多い。
こういう時代があったのだと刻んでおかなければならない。
中国残留孤児のニュースは子供の頃、よく目にしていた。
記憶の片隅にあったその言葉を小説で思い出す。
日本軍の大陸での行い、残された子供達がたどったその後。
小説だけでも辛すぎる。
山崎豊子さんの凄さが身に沁みる。
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