【感想・ネタバレ】大地の子(四)のレビュー

あらすじ

「松本先生どうしてここへ?」「陸さんこそ、なぜ」実の妹の臨終を看取り、悲嘆にくれる一心の前に、東洋製鉄の松本耕次が現れた。松本は、娘の消息がわかって駆けつけたのだった。あまりに唐突な父子の再会に動揺し、わが眼を疑う二人。一方で、宝華製鉄建設は大詰めをむかえ、日本側は中国首脳に翻弄されていた。その中で頭角を現す一心に、更なる悪意が襲いかかる…。戦争孤児・陸一心の苦難に満ちた旅路、最後に選ぶのは祖国日本か中国か。血と汗と涙の傑作巨篇、完結。

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ネタバレ

まさかの父松本として分かり合えるのがあつ子の死を見届けた直後だとは心が痛んだ。そしてようやく父と再会を果たしたその後も、僻地に飛ばされたりそれでもなおルーイーシンは結果を残し真面目に働く姿に胸が打たれた。
何より最後に、父が日本へ帰ろう、このままここにいても安全は一生確保されないとお互いで分かっていながらも、大地の子である、と中国残留を決めた結末により心が痛み、この本を次の世代の人にも進めて知って欲しいなと思った。

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2024年11月12日

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本来巻き込まれるべきではない国民が戦争により「大地の子」になってしまった。
全四巻を通して、戦争というのは本当に誰を幸せにするのかということを感じさせられるし、真の犠牲者は兵隊だけでなく国のためを考えて行動した一般市民ではないかと思う。
中国に残された孤児たちの凄惨な歴史、人生。日本がしてきたこと、中国がしてきたこと、それぞれについて考えるきっかけを与えてくれた小説であった。

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2024年08月14日

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胸が張り裂けそうになりながらも、読破。

主人公、陸一心の人生は苦難の連続で、その度に自身の努力や周囲からの助けで這い上がってきた。これから自分の人生にどんなに辛いことがあっても、陸一心ほどのことではないだろう。

戦争が市井の人にもたらした影響の大きさや、家族の絆について考えさせられた。

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2024年05月19日

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ネタバレ

ようやく再会した妹だったが、重い病に臥せっており間もなく亡くなってしまう。
そして、妹臨終の場で実の父と再会する主人公。
お互いに、仕事の立場の違いからすぐに打ち解けることはできない。

出張で日本に行った際、主人公は父の自宅を訪れ、母や妹達の仏壇に手を合わせることで父と打ち解けることができた。
かし、このことが原因でライバルに足を引っ張られ、主人公は左遷されてしまう。

1年あまりを経て主人公の冤罪は晴れるが、その窮地を救ったのが元カノというのが意外だった。

悲願であった日中共同の製鉄所もようやく稼働することができ、終始仲の悪かった日中間も和解する。

そして、物語の終盤、主人公と日本の父は2人で中国大陸の旅に出る。
日本に戻ってきてほしいと訴える父に主人公は「私は大地の子だから」と応える。
広大な中国大陸、大地の子。この物語の題名の意味を知り、とても感動した。

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2024年03月08日

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ひたすら心に重く、戦争への怒りでいっぱいで、読むのがつらかったです
これが今からそう遠くない昔のこととは。

運命の過酷さを受け入れられない、納得できないと思いながら読み続け、最後の最後でもう全身に衝撃なほどの納得と涙が
この世から戦争がなくならない限り、今もどこかの紛争地で同じような人たちがいるかと思うと、本当につらいです。

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2024年02月25日

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以前に一度読んでいて、再読だったが今回の方が読んでいて辛く感じた。
解説にあった著者の「戦争は個人を虐殺するのです」という言葉が印象に残った。

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2023年09月30日

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いつも通り通勤の往復の電車の中で眠くなっても眼を擦り我慢して読み続けたが、日本に居てのほほんと今を生活している自分にはには想像も出来ない内容の大作で、よくこんな小説が書けたものだと感心する。
戦争、文化大革命は出自が日本人であるがために壮絶な経験を経てきたが、だからこそなのだろう、不利を克服し持ち前の熱心な取り組みで優秀な社会人に成長する。
幼少からの体験や生活は中国そのもので、痰の様に吐き捨てたい経験も中国なんだろう。
だから主人公はあんな事があっても中国から逃げない。
あんな事も自分も中国の一部だからなんだな。
月並みだけど本当に今のこの時代である事に感謝する。

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2023年07月11日

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ネタバレ

陸一心と松本耕次を引き合わせ親子と認識させたのはあつ子の死だった。戦争とそのあとの日中間の軋轢に苦しめられる戦争犠牲孤児とその家族。過去の歴史について深く考えさせられる作品。

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2023年06月15日

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中国残留孤児の主人公が日中共同製鉄所建設プロジェクトに奔走する話。中国という国の融通がきかないお国柄に呆れるシーンは多々あるものの、そのような困難に何度も立ち向かっていくシーンは非常に勇気づけられる。養父母との関係や実父、妹との再開が主人公への感情移入を促進させられる。最終的にどちらを選ぶのか気になるところだったが、タイトル回収にて締めくくる様は納得の一言である。
中国特有の難解な表現は多いものの、ストーリーは圧巻で目を見張る作品です。このような作品は個人的に避けていた節がありますが、また読んでみたい作品の1つです。

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2023年03月12日

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ネタバレ

すごい考えさせられる内容だった。
文化大革命とか、初めて知る歴史が多くあった。

最後、一心が日本の父を取るか中国の義父母を取るのか、どっちを取っても、どちらかが悲しむから、どんな結果でも私は納得できない気がすると思っていた。けど、「私は、この大地の子です」と日本の父に一心が言った時に、すっと納得がいった。
すごく納得のいく結論だったし、タイトル回収してて、すごく良いラストだった。
中国で何度も辛い目に遭い、それでもなお中国に住もうと思うルーイーシンの強さ、郷土愛とも違う"大地の子"という言葉でしか表せないものを感じた。

ずっと悲しく辛い場面が続いて、それが取材で聞いた事実を基にした話だと知り、多くの人が苦しんだ過去が日本と中国にあったことを知った。
戦争孤児という言葉は聞いたことはあったけど、どういう意味かもほとんど知らなかった。その戦争孤児について深く書かれていて、日本が犯した罪について知った。

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2022年12月06日

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ずっと気になりつつも読めていなかったが、期待を裏切らない壮大ななストーリー。首相のバックアップも得て取材をし、いいところも悪いところも包み隠しなく、この時代に書かれているのがすごい。

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2022年09月17日

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大地の子

同僚から読んでみたらと、勧められて重い足取りで読み始める。

スルスルと読み、いつのまにか終わっていた。

文化大革命をここまで克明に書けるものなのか。

日本人が。

知らずに今までいた自分が、情けなくなる。

作者の作品への熱さがこの傑作を作ったのだろう。

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2022年08月30日

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ネタバレ

中国の現代史を知りたくなり、見つけた大地の子。戦争残留孤児である松本勝男こと陸一心の人生を軸に、悲惨たる戦争の代償や凄惨な文革の歴史などの社会描写、産みの親と育ての親との絆、それゆえの葛藤などの心理描写が読む人のこころをうつ。不毛地帯、沈まぬ太陽と山崎豊子作品を2冊読んだことがあるが、この作品は圧巻。もちろん小説、フィクションではあるが、現実に起こった歴史を題材としており、著者自身の戦争孤児に対する責任を蔑ろにする日本国に対する怒りが垣間見える。
勝男の妹あつこの悲惨な生涯と、勝男があつこの死を看取るシーンには大号泣。序盤のソ連軍からの逃亡中で起こる凄惨極まりない過酷な状況(ソ連軍に見つからないよう子供を殺さなければならない母親など)にも悲痛の涙。陸徳志が真空地帯で命がけで一心を守り、初めて一心に爸々(パーパ)と言われた時、一心の冤罪を晴らすために命懸けで北京に嘆願し、北京駅で親子が5年ぶりの再会を果たす時、もう涙涙。。同じアジアだけど全く違う中国。秘密主義で恐ろしい反面、日本がこれまでにしてきた負の歴史を考慮しても一概に中国を非難はできないな。だからといって今のロシアを支援していいという話にはならないが。

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2022年07月05日

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ネタバレ

中国側のミスが発端となり、一台1億円もする精密機械を日本に送り返して検査し直しすることになってしまい、中国相手のビジネスの難しさをこれでもかというくらい思い知らされた。
日本滞在中に長幸の策略にまんまとひっかかってしまい、僻地の工場に左遷させられた時はまた振り出しに戻ったとがっかりしたが、丹青の活躍により返り咲いてからは多少のトラブルはありつつも、ついに呪縛から解けた感じがあり、トントン拍子で進んでいった。
全巻通して製鉄技術、政治の動き、地理状況など驚くほど細かな描写が多く圧倒される場面もあったが、その取材があってこそこれだけずっしりと重厚感のある作品を書けたのだと思うと本当に恐れ入る。

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2022年05月06日

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最後の一冊は止まらなくなって1日で読破
今までの積み重ねあってからの爽快感や、最後の立ち上げの瞬間は感動的
中国のことを嫌いになりそうになるシーンも多いが、それよりも戦争と言うものの悲惨さを痛感させられる。
作品名である『大地の子』という言葉の意味を知る最後の1ページまで決して飽きさせない紛れもない名作

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2022年03月13日

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頭の中が壮大なスケールの物語でいっぱいなった。にあたりまえと思っている家族のつながり。こういった戦争に端を発した悲惨な出来事は、反省すべき日本の歴史として後世に語り継いでいかなくてはならない。

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2021年10月24日

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読み始めから主人公の苦難の連続にぐいぐい引き込まれる
妹、実父との再会に涙がとまらんよ
この本を読んだあと、40年ぐらい前に中国残留孤児の方達が来日し、実の肉親と抱き合って涙を流しているニュースやドラマを見たことを思い出した。
私の父親は、「満州にソ連が攻めてきた時、軍人はさっさと逃げて多くの日本人が殺されたんだよ」と話してくれた事も思い出した。

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2021年06月08日

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戦争孤児、文革…日本人故に中国で理不尽な目に合いつつも、腐らず誠実にひたむきに生きる主人公の姿に感動しました。
また、近代中国や日本についても知ることが出来る良書です。

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2021年01月09日

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目を伏せたくなるような展開もあるが、日本人として読むべき小説。
全てが真実だと鵜呑みにはしない方が良いけれども。

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2020年10月09日

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190829.4巻合わせると結構時間かかった。
中国の上層部の名前はあまり入ってこなかったけど、主要人物はしっかり把握できたと思う。
フリガナも繰り返し適切なタイミングで出てくれるのが有難い。
描写が細かく正確。なんでこんなに詳しいの?というのはあとがきにあったように取材と勉強の賜物なのだろう。
れ入る。
この作品に出会えて良かったと思う。バランス的には日本人にも悪人がいても良かったと思うけど。
中国の徹底っぷりはホントに胃が重くなる。嫌な緊張感の連続である。
前半の徹底した落としっぷりから、後半にかけての逆転感はやっぱり読んでて楽しい。元カノが転じてくるのも良かった。
松本さんは日本人特有のゆるさが一心の状況とうまく噛み合わずトラブルメーカーとなる。
ラストの落とし所が題名だとは、、
読みごたえありすぎですわ。

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2019年08月29日

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ネタバレ

一心の選択は良かったと思う。
二人の父親そして、暖かい家族。
良かった良かった。
かつての恋人も潔くていい。
でも一心の素晴らしさを見抜けなかったのがいけない。

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2022年07月18日

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昔、ドイツ人の学生が、ナチスのホロコーストについて「私たち世代には責任はない。ただ同じ事を繰り返さない責任がある」とインタビューで話していた。

“日本人というのはそれほどまでに怨みを受ける存在なのか”“残留孤児は戦争責任を一身に背負わされる存在だ”
文中このような言葉がでてくるが、一方で「大地の子」を読むと、後の時代の担う責任、贖罪というものをいやがうえにも考えさせられる。

大河映画のエンドロールのように表題が語られる最終頁を読み終えたのは終戦記念日の翌日でした。

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2023年08月17日

Posted by ブクログ

 全4巻の最終巻。
 宝華製鉄の火入れと陸一心の置かれた厳しい運命を描く。火入れの瞬間はまさにクライマックス。そこに至るまでの流れも様々なトラブルがあり、なかなか一筋縄ではいかない事態ばかり。それでもやはり大事業を成し遂げるというのは感無量の一言に尽きる。
 そして、陸一心にも決断の時が訪れる。このまま中国で中国人として生きるか、日本へ戻って日本人として生きるか。
 中国残留孤児として生きてきた運命に翻弄されながらも、屈することなく生きてきた陸一心の生き様に胸打たれる。

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2023年01月15日

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戦争孤児となった日本人・松本勝男こと陸一心。

ようやく生き別れた妹・あつ子にめぐり会うことができたが…

松本耕次も中国で孤児となったあつ子の元に辿り着くが…

松本耕次は、陸一心が我が子・松本勝男であることを、陸一心は松本耕次が父であることを知ることに。

『仏壇に線香を1本、手向けてやってほしい』と松本耕次に言われたことが、陸一心を惑わす…
そして、松本耕次の家を訪れ、亡き祖父、母、妹たちに線香を手向けたことで、再び、陸一心は窮地に…

やはり、日本人という出自は、一生、陸一心を苦しめるのか…
日本人だからと差別され続けるのか…
この許し難い理不尽さはなんなのか…
これだけ中国のために尽くしているのに…
中国人以上に中国のために働いているのに…

陸徳志は…
松本耕次は…
2人の父の陸一心への思いに違いはない。

陸一心の中国への思いは…

やはり40年間育まれた思いは強い。

陸一心は『大地の子』だ。




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2022年10月22日

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あらすじ
太平洋戦争の敗戦によって、満州で残留孤児となった主人公・陸一心(中国名)が、中国人養父母への愛情と日本の実父との愛憎に揺れながらも、文化大革命の荒波を越え、日中共同の製鉄プラント事業を完成させるまでの物語。
感想
これが山崎豊子かって感じがした。

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2021年12月09日

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8月は、なんとなくこういう本を読みたくなる。初読。よくこんな彼の国の固有名詞出まくりな本を、彼の国の協力のもとに書けたな、と。日本の固有名詞は出さなくて良かったのか?

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2021年09月01日

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ネタバレ

久々に長編を読んだが、次々とページを進めたくなる展開だった。しかしながら、手を止め難いハラハラとしたこの内容が、事実に基づいたものだという事は、複雑な気持ちになる。
日本の戦後も知らない私には、日本の開拓団の政策、それを国が棄てた、という事も相当衝撃だが、中国という国の恐ろしさもまざまざと感じた。
完全な私見だが、コロナ禍の現在、コロナ発生初期の報道などから、現代においても、中国の体質はどこか、この作品の中の時代を引きずっているように感じてしまった。

陸一心の乗り越えてきた数々の苦難、一心と別々になってしまった妹の生涯については、現実に中国残留孤児(※)と言われる人々に降りかかった事ばかりなのだろうと思うと、読むのも辛い。よく一心のは乗り越えてくれたと思う。そしてそんな恐ろしく辛い一心の半生でありながら、最後に中国を選んだという結果は、日本が開拓団を棄てた、戦争の罪の深さを感じさせる。

読んでいて楽しいものでは無いが、読んでよかった本だと思う。作者 山崎豊子氏の訴えの強さも感じられた。
(※)作者は「残留孤児」という「残留」という言葉には意思がある。残留したいという意思はないのだから、この言葉を付けた日本政府のずるさがある、本来「戦争犠牲孤児」が正しい、という見解を出している。

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2020年06月02日

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日本人の妹や父との再会を果たすも、一心の苦労は消えない。
様々な苦難が待ち受ける。
そしてまた、プロジェクトから外され、僻地へ飛ばされる場面も。
最後には日本へ行くか、中国へ残るかという選択も迫られる。

この作品を書くにあたり、山崎豊子さんの苦労がどれ程のものだったかと思うと、その気持ちの強さが心に響く。
戦争に対する怒りが伝わってくる。
その辺りのことは、あとがきや解説でも紹介されていた。
これからも、多くの人に読んでもらいたい。

2019.4.21

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2019年04月21日

Posted by ブクログ

中国残留孤児を主人公に中国の戦後、共産党社会の有様を描いた長編小説。日中友好の証として計画された製鉄所建設プロジェクトとともに、主人公の人生は一つの転機を迎え、そして"大地の子"として決断を下す。

筆者の綿密な取材に基づき描き出された物語は、重厚かつディテールもしっかりしている
主人公の養父の気高さには感動するが、それ以外の筆者が描く中国の姿は正直好きになれなかった。大元は日本の戦争のためとはいえ、作中主人公は散々苦杯をなめ、また生き別れた妹の末路はあまりに哀れ。技術協力も結局は同床異夢だったのだろう。

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2022年05月18日

Posted by ブクログ

最後は一気に読み終わる
決して楽しい話ではないが、一度は読んでおくべき作品だな
しかし、気持ちは重くなる

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2020年01月12日

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