あらすじ
「松本先生どうしてここへ?」「陸さんこそ、なぜ」実の妹の臨終を看取り、悲嘆にくれる一心の前に、東洋製鉄の松本耕次が現れた。松本は、娘の消息がわかって駆けつけたのだった。あまりに唐突な父子の再会に動揺し、わが眼を疑う二人。一方で、宝華製鉄建設は大詰めをむかえ、日本側は中国首脳に翻弄されていた。その中で頭角を現す一心に、更なる悪意が襲いかかる…。戦争孤児・陸一心の苦難に満ちた旅路、最後に選ぶのは祖国日本か中国か。血と汗と涙の傑作巨篇、完結。
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Posted by ブクログ
とても素晴らしく、一気に読んでしまった作品だった。
何度も作中の言葉を調べ読み進んだが、自分が日中戦争やその後取り残された人々、また中国での文化大革命について全く知識がないことについて恥ずかしく思った。
現代を生きる自分には全く想像もできない理不尽さと苛酷さが焼きついて離れない作品だった。
個人的には一巻の陸徳志が、餓死覚悟で一心を守る姿、一心の疑いを晴らすために全てを投げうって北京へ直訴する姿が心に残った。
Posted by ブクログ
今の時代、ほとんど聞かなくなったが、自分が子供の頃によく耳にした「中国残留孤児」の一面をこの小説を通して知ることができたのは自分にとって大きなものでした。
どんな苦難や逆行にも負けずに貫き通した生き様は、中国人として生きることを選択しながら、古き良き日本人的な考え方だと感じた。
妹あつ子の生涯を思うと本当に胸が張り裂けそう。
そしてラスト近くかつての恋人、趙丹青が活躍してくれた!なんとスカッとした顛末か!
Posted by ブクログ
まさかの父松本として分かり合えるのがあつ子の死を見届けた直後だとは心が痛んだ。そしてようやく父と再会を果たしたその後も、僻地に飛ばされたりそれでもなおルーイーシンは結果を残し真面目に働く姿に胸が打たれた。
何より最後に、父が日本へ帰ろう、このままここにいても安全は一生確保されないとお互いで分かっていながらも、大地の子である、と中国残留を決めた結末により心が痛み、この本を次の世代の人にも進めて知って欲しいなと思った。
Posted by ブクログ
ようやく再会した妹だったが、重い病に臥せっており間もなく亡くなってしまう。
そして、妹臨終の場で実の父と再会する主人公。
お互いに、仕事の立場の違いからすぐに打ち解けることはできない。
出張で日本に行った際、主人公は父の自宅を訪れ、母や妹達の仏壇に手を合わせることで父と打ち解けることができた。
しかし、このことが原因でライバルに足を引っ張られ、主人公は左遷されてしまう。
1年あまりを経て主人公の冤罪は晴れるが、その窮地を救ったのが元カノというのが意外だった。
悲願であった日中共同の製鉄所もようやく稼働することができ、終始仲の悪かった日中間も和解する。
そして、物語の終盤、主人公と日本の父は2人で中国大陸の旅に出る。
日本に戻ってきてほしいと訴える父に主人公は「私は大地の子だから」と応える。
広大な中国大陸、大地の子。この物語の題名の意味を知り、とても感動した。
Posted by ブクログ
陸一心と松本耕次を引き合わせ親子と認識させたのはあつ子の死だった。戦争とそのあとの日中間の軋轢に苦しめられる戦争犠牲孤児とその家族。過去の歴史について深く考えさせられる作品。
Posted by ブクログ
すごい考えさせられる内容だった。
文化大革命とか、初めて知る歴史が多くあった。
最後、一心が日本の父を取るか中国の義父母を取るのか、どっちを取っても、どちらかが悲しむから、どんな結果でも私は納得できない気がすると思っていた。けど、「私は、この大地の子です」と日本の父に一心が言った時に、すっと納得がいった。
すごく納得のいく結論だったし、タイトル回収してて、すごく良いラストだった。
中国で何度も辛い目に遭い、それでもなお中国に住もうと思うルーイーシンの強さ、郷土愛とも違う"大地の子"という言葉でしか表せないものを感じた。
ずっと悲しく辛い場面が続いて、それが取材で聞いた事実を基にした話だと知り、多くの人が苦しんだ過去が日本と中国にあったことを知った。
戦争孤児という言葉は聞いたことはあったけど、どういう意味かもほとんど知らなかった。その戦争孤児について深く書かれていて、日本が犯した罪について知った。
Posted by ブクログ
85/100
当時の中国の現状とフィクションがあまりに綺麗に描写されている。なかなかここまでリアルに切り込んでるものはないと思う。
親子との絆が、陸一心として松本として、自身のアイデンティティに悩まされながらも、結局大地に根を張り巡らせ生きてきた中国としての誇りを忘れずに過ごしていくことへの並々ならぬ覚悟を示して終わっていた。
労会に送られどんなに辛い目に遭わされていたとしても自分の家族を痛めつけた国であっても、それ以上に感じ取るものがあったのだろう。
何より陸徳志があまりにできた人間すぎると言うのもありそう。
自分の知見を広げると言う意味でもタメになる本でもあった。