あらすじ
一介の丁稚から叩きあげ、苦労の末築いた店も長子も戦争で奪われ、ふりだしに戻った吾平の跡を継いだのは次男孝平であった。孝平は、大学出のインテリ商人と笑われながら、徹底して商業モラルを守り、戦後の動乱期から高度成長期まで、独自の才覚で乗り越え、遂には本店の再興を成し遂げる。親子二代“のれん”に全力を傾ける不屈の気骨と大阪商人の姿を描く作者の処女作。
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Posted by ブクログ
現代から見れば時代遅れな部分も多々あるかもしれないけど、仕事をする上での気持ちの根幹部分を教えてくれる作品だと思う。
儲けを得る事の難しさや、時代の流れを考える事の重要性等何も考えずに働いちゃいけないと思った。
明治、大正、昭和の大阪商人のど根性と言うかそう言ったものを見せてもらえる名作だと思う。
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2代に渡る大阪商人を描き、ビジネスのあらゆる場面を凝縮したような作品。
小説ではあるけれど、ビジネス書としても読めます。
下積み時代、毎日の単調なただのランプの煤掃除から、
ランプが綺麗になれば昆布(商品)を美味しそうに照らすと語り、
旦那様に魅入られ、丁稚から格上げされるというシーンがあります。
有料の講習会に出席させても「何も身になることはありませんでした」とレポートを出す若手社員に読ませてやりたい!と思わず本を握る手に力が入りました(笑)
話は変わりますが、昔の大阪を舞台にしたドラマとかで、
「いとはん!」と小僧さんかなんかが呼ぶシーンがありますが、
これまでずっと「イトさん」という名前なんだと思ってました(笑)
「お嬢さん」って意味だったんですね。
奥さんのことを「御寮さん」
どちらも、この本で知りました。
商売をやっていれば災害や戦争など様々なトラブルに見舞われます。
今もコロナで苦労しているわけですが、先人達が困難に立ち向かう姿勢を読むと、きっと乗り越える道はある!と思える作品です。
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山崎豊子氏の処女作。
大阪商人を主題にした小説はほかにもいくつか読んでいるが、一番ベースになるような基本のストーリーに接した気がする。
がむしゃらな商人根性が、暖簾に裏打ちされた恥じない商いとしっかり通じているところが、純粋でまっすぐで読んでいて快適だった。
生きる力を裾分けしてもらえるようなパワフルは作品だった。
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山崎豊子のデビュー作であり、出世作。
日清戦争後、淡路から裸一貫で大阪の昆布商に丁稚奉公し、苦節10数年、暖簾分けして自らの店を持ち、繁盛させていく主人公の姿が第一部で描かれ、第二部では、主人公の次男が戦災ですべて失った老舗の暖簾を再興していく物語。
どんなに困難なことがあっても、決して暖簾に傷をつけるような真似だけはしないという船場商人の心意気が十二分に読者を惹きつける。また経済史的背景もしっかりと描かれていて面白い。
主人公の店(浪花屋)の塩昆布にねこいらずが混入していたとの嫌疑をかけられ、警察に拘留された主人公に家族・使用人が「適当なこと言って出してもらいましょ」と勧められたのに対し、主人公がこう啖呵を切る。
「阿呆、わいが詐欺や横領したん違うぜ、……わいが按配云うて出ても、暖簾が傷ついたらそんでしまいやないか、……」(74ページ)
結局、主人公の推察が当たって無事に放免となるのだが、このあたり、ユーモアもあって良い。中身はネタバレになるので書きませんが。
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山崎豊子の処女作。
大阪の昆布屋、「浪速屋」で丁稚奉公から暖簾分けをされるまでの吾平の努力、生きざまと、その息子の孝平の戦後の復興の模様を生き生きと描いている。
処女作なのにクオリティ高すぎてびっくり。豊子天才だ!
思ったのは、やはり時代を読める人間でないと、商売はできないということである。環境は日々刻々と変化していく。その中で同じことをやっていては、だめなんだなと。自分は商売をやるわけではないが、同じことが言える。時代の流れを読むこと。環境にアンテナを張ること。そうやって生きていこう。
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社会人になったものの、へこたれそうな毎日を送っている人。ぜひ、読んでほしい。丁稚からたたき上げられた一人の人間が、いかに生きたかが長いスパンで描かれている。
たたき上げ、という言葉がこの本を読んでから使いづらくなった。簡単にたたき上げと使うと、主人公に怒られそうだからだ。
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なにわのあきんどのど根性はすごいなぁー。今はもうこれほど暖簾に誇りとプライドをかけてる船場の商人なんて大阪にはおらんかもなぁ。戦争や震災にあっても裸一貫で立ち上がるこのど根性見習いたいもの。
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作家、山崎豊子の原点とも言うべき一冊。
超有名作を読むのもよいけれど、山崎豊子を知るにはまず手に取った方が良い一冊では?と感じた。
取材魂ここにあり。
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ページ数も少なかったので比較的早くに読み終えた。
まあ安定の面白さだけど、チョット物足りないのは、目を閉じたら思い浮かべられる様な背景を描写出来るページ数か。
大阪人の商売への執着、熱意は凄まじく、暖簾はある意味命を懸けるに値するものだったのだと言うことが分かった。
繊維問屋の街として栄え、大阪弁発祥の地である船場という土地柄もあったのだろうね。
Posted by ブクログ
戦後の動乱期、ビジネスモデルが激変する中で創意工夫する商人の姿は、時代は違えど、現代に通じるものがあると感じた。
現代は戦後と同じくらい、激変期にあるのではないか。
船場商人→戦争→統制経済→闇市→百貨店の台頭→ネットの台頭→百貨店の衰退→現時点
Posted by ブクログ
暖簾の重さの良い部分と悪い部分が、上手く描かれています。
伝統を守ることと進化することのバランス。
お客様に良い商品を渡すためにする努力の大切さと、店を大きくしたいという私欲。
見た目は同じでも、志という土台が重要だとわかります。
何かを始めようとする人に薦めたいです。
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いまよむと、いわゆる大阪弁でも聞かないことば、
だせぇ、やぜぇ等が連発。
大阪弁なのか、船場言葉なのかわからないが。
正直大阪について見直す。
暖簾の重みと。
Posted by ブクログ
山崎豊子さんの処女作
昆布に命をかける商売人の話
本書には一人前の昆布職人になるのに11年かかると書かれている。
今の時代からしたら昆布だけで11年も?馬鹿げてると思ってしまう。
昆布と職人の奥の深さに脱帽せざるを得ない。
Posted by ブクログ
気張って気張って、耐えて、凌ぐ。
体力、技術、気力、全て使って貫く。
(以下抜粋)
○せっかく土産にしたその昆布を神棚と、
亡父の仏前に供えたまま黴にしてしまった。(P.31)
○損も資本(もと)や(P.36)
○店には惜しい者やけど、お前はもう一人前やと暖簾を分かたれた。(P.37)
○国会や、箱根の山で、なんぼまともそうなこというともあかん。
経済復興は一人一人が汗みどろになって働くことや。(P.172)
○客の目に見えない倉庫に多額の金をかけなければならなかった。(P.225)
○自分のレッテル貼ったもんは、
自分が作り、自分が眼を通して売るのが当たり前やないか(P.226)
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2代にわたる大阪商人の話。商人にとって暖簾がこんなに大事なものとは。とても感銘を受けた。
これが処女作とは思えない、さすが豊子先生。当初から念入りな取材をされていたのが分かる。昆布の話も面白い。昆布を使った料理をしようかな。
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山崎豊子の処女作。さすが読み応えはあるのにさくさく読める。戦前戦後の大阪商人二代に渡るお話。暖簾=ブランドの大切さ、重みについてしんみりと感じ、考えさせられる。時代、環境に応じた活用という二代目の言葉が印象的。この本が書かれた頃からそんな発想あったんだなぁとも。
Posted by ブクログ
店を継続、発展させる情熱。苦境から何度も立ち上がる根性。
汗と涙と血を流しながら、親子二代で店の看板を守っていく姿勢は読み応えのある本だった。
Posted by ブクログ
【優しさは放射線みたいなもの】
奉公は厳しいものだったのだろう。
だが、厳しく育てるのは、暖簾分けして、連結で規模を拡大して幸せになる為だった。
(その代わり、この競争で弱者はふるい落とされる。)
今の企業の人材育成は、奉公とは桁違いに生易しい。
その代わり、大して成長しない。
(かと言って、学校で予め鍛えられているわけでもない。)
そういうわけで、絹の上で育った人は、弛んだ人格を持った挙げ句に、それを称賛するようになる。
『(私を甘やかしてくれる)優しい人が良い!』
他人に優しく、自分にも優しく。
他人に甘く、自分にも甘く。
更に悪化すると、自分が甘やかされているという自覚さえなくなる。
こうして、砂糖漬けの果物のように、ゆっくりと自らの姿形を失い、気付かぬうちに敗れ消え去ってゆくことになる(妹の夫のように)。
sweet poison
だから、自分の(快の)気持ちを優先するばかりで自他を律することのできない者は、社会に対する慢性毒素として、放射性物質同様に至急排除されるか、丁稚奉公にでも出て一から躾をし直してもらうかした方が良さそうだ。
【暖簾=信用=ブランド】
会計上よく問題になるのれん代の処理。
某光学機器メーカーが過去に小さな会社3社とイギリスの会社を買収した際の金額で、前社長と現経営陣とで揉めているが、その中の争点の一つにこののれん代がある。
そんなわけで、買収時にのれん代を計上することは、現代の価値観からするとごく普通のことだから、暖簾を当てにして銀行から金を借りることだっておかしくはない。
この本が書かれたときは、そういう価値観はまだ無かったんだろうか。これは素朴な疑問。
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丁稚から叩き上げた大阪商人の人生に感動です。特に丁稚から体に染み込むようにして仕事を覚えるのは、現代にも通用することだと思います。大阪商人の考え方や感覚は勉強になりました。
「表見や誇大な宣伝などでは顧客はうごかされなくなり、他の店に追随出来ないような商品を一刻も早く市場に出すことだけが商いの勝負」
まさに、これです。
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著者の小説の初、一回目の作品である。大阪商人は大阪の街、空、人とともに私の血肉となっている。私がものを書きはじめるなら、ここからの出発しかできないと思った。長い歳月(7年)をかけて、何百年と歴史の中で「のれん」と繋がって来た大坂商人像を書き続けた。ここに登場する人物たちはそのまま実在した人物ではない。周囲の人間の面白さ、いやらしさ、凄さなどいろいろ按配して創り上げ作者としての都合のよい筋のはこび構成に配役した。商人をリアルに裏附ける商いについては、身近な生活の中から見出し、ほんとうの商いが生きる商人の背景にした。二人の主人公が明治、大正、昭和の厳しい時の流れを個性的な商人として生きぬいた、お豊さんが、大阪で古いのれんで知られている塩こぶ屋のいとはんである。
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をぐら屋昆布の品を頂く機会があり、モデルとなった小説を読んだ。さすがに山崎豊子の小説とあって引き込まれ一気に読める主人公2代に渡る大阪船場商人の物語。事実に基づいた波乱万丈のサクセスストーリーは爽快。ただ、その時代は今と混沌さの意味合いが異なり非常にシンプルすぎて、やはり少し前時代の小説というか、今は新しい感覚の小説を好んでいる自分としては新鮮さを感じられなかった。
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テレビドラマ「大地の子」に感銘を受け、山崎豊子処女作の同書を読み始めた。淡路島から大阪に職を求めた吾平。同郷の浪花屋に拾われ、丁稚で辛抱を続け、暖簾分けを受け、戦争の荒波の中でも暖簾を心の信条とし、吾平から孝平へと親子二代商い道を愚直に守り、突き進んでいく。文字通り浪花商人のど根性。あぶく銭を求めず、買い手に価値あるものを誠実に安く、薄利多売でのしあがって行く商人。大阪人のど根性をたっぷり読まして貰いました。
Posted by ブクログ
★3.5でしょうか、再読。
粗っぽいですが、これが処女作と言われれば驚くほかなし。その後の多分国民作家の一人と言ってよいでしょう、これ位でないとそのレベルに達しないということでしょう。
それにしてもこの大阪偏愛はこの地域に隣接した場所にかつて住んでいた人間からすると、率直に言って哀しすぎる。
かつてどうだったのか正直良く分かりませんが、現在は田舎なんですよね、大阪は。それが価値を貶めるものではござらんが、田舎であることには変わらんのであしからず。
Posted by ブクログ
身近な地名が溢れ、それぞれの場所の昔の姿を想像しながら読めました。池田勇人の放言は実話?所得倍増計画の裏には、こういう思想もあったのだろうなぁと。
途中からどんどん引き込まれましたが、終わり方が個人的にはイマイチ・・・えっ?終わり!?とびっくりしました。
Posted by ブクログ
戦前戦後における、親子二代の大阪商人の姿を描いている。
どろくさい感じ。
金儲けも一つの修行、節約、勤勉、努力から成る。
信用のある商品を薄利多売して、その苦労で儲ける。
負けて勝つ。
でも、これが商売なんだよなって、自分の姿や姿勢を見直すきっかけになりました。
Posted by ブクログ
職人の話で終わるかと思ったら、戦後になって労働基準法や規制、役得に甘んじてはびこる商習慣など社会問題が出てきて、政府の経済政策に翻弄される大阪商人が細かく書かれている。学のない父、大学出の息子それぞれ。ふたりとも商売に対してモラルがあるのが良かった。大阪商人の心意気がこの一冊で少しわかった。
Posted by ブクログ
本書は山崎豊子の処女作であり出世作でもある。先代が守った「暖簾」を二代目が引き継ぎ商売を大きくしていくというお話し。そして三代目が放蕩の限りを尽くし店が没落していくのであった(笑 何気に、先代が世話になったお店の若旦那の姿をイメージできる。商売は個人から組織へ移行しなければ継続的な成長は難しい。