【感想・ネタバレ】運命の人(三)のレビュー

あらすじ

東京地裁の判決は、2人の被告の明暗を分けた。毎朝新聞記者の弓成亮太は無罪、元外務省高官付き事務官・三木昭子は有罪に。その直後、弓成は新聞社に退職届を出し、とある週刊誌には昭子の赤裸々な告白手記が掲載された。傷ついた弓成の妻・由里子はある決意をかためる。判決後、検察側はただちに控訴。「知る権利」を掲げて高裁で闘う弁護団の前に立ちふさがるのは、強大な国家権力。機密は誰のためのものなのか? それぞれの運命が激動の渦に巻き込まれる第3巻。

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Posted by ブクログ

「知る権利」を争うの裁判で一時は勝訴したが、逆転敗訴。敗訴する前から主人公は新聞記者としての自分を亡くしていました。それ以上に大切な家族とも絶縁状態になっていました。

ペンと紙を武器として戦ってきた主人公にとって記者以外の仕事は仕事ではないのだと思いました。本当にわずかの人かもしれないが、自分の好きなことを趣味だけにとどめず生業として生きていく人がいます。そんな人がこの主人公なのでしょう。天職というものは本当にあるんだなと。

羽があるけど飛べない鳥のように空を見続ける主人公は実家の家業にやる気が出ず、生きていくことさえあきらめて・・・これからどうなるのかが気になるところです。

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2021年09月10日

Posted by ブクログ

(一巻から四巻まで合わせたレビューです。)

大好きな山崎さんの(もしかすると最後になるかもしれない)長編小説。

沖縄返還時の機密文書漏洩事件(西山事件)をテーマに、
相変わらずの取材力&構成力で読者をぐいぐい引っ張っていきます。

この分野は完全に無知でしたが、小説を通じて、
昔の自民党の政治のやり方を目にすることができました。
主人公の機密文書を入手した手段は、
倫理的によい方法だとは言えませんが、
それ以上に、臭いものに蓋をする昔の自民党の政治家や官僚にも、
沖縄の人たちだけでなく、日本人全員が
もっと憤りを感じるべきなんでしょう。
現在も普天間基地移設問題で民主党が揺れていますが、
少しばかり当事者意識を持って
この問題を受け止めれるようになった気がします。

山崎さん、もう一冊書いて欲しいなぁ。。

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2021年06月24日

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ネタバレ

これぞ山崎豊子の真骨頂。
難解な裁判内容ですら1日で読みきらせる筆力。
一審での無罪判決を勝ち取るも、控訴審での逆転有罪判決、上告棄却、絶たれた記者生命、堕ちていく弓成氏・・・
三木昭子の下劣極まりない手記は裁判の結果に等しいほど世論が弓成氏を裁いた。そして家族も・・・
「ママはまだ夏の真ん中だ」なんて慰めてくれる息子の優しさに落涙を辞さない。
安っぽい勧善懲悪ではなく、国に楯突くとはどういうことか、厳たる現実を前に様々な考えを巡らさざるを得ない。

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2015年05月28日

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綿密な取材、細かな描写、読んでいくと、今そこで起こっている出来事のような文章に、読み進めていくにしたがって引きこまれていきます。
完結に向かって、長年離れていた夫婦が再び引き寄せ合うところは、感動的であり、そしてどこか残念な気持ちにさせられました。
真実とは何であるのか、生きかたとはどういうものか、問う物語でした。

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2013年03月13日

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ネタバレ

沖縄返還での地権者への土地原状回復費に関する密約の外交文書漏えい事件を描いた小説。第三巻。
一審から最高裁までほとんど裁判で終始。その意味ではやや盛り上がりに欠けるかも。

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2013年03月02日

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国家、司法、マスコミのみならず、登場人物一人ひとりの生き方、主人公の生き方にも、色々と考えさせられるところがある。
「正義とは、何ぞや?!」。このあたりにも、現在、NHK白熱教室でマイケル・サンデル教授が脚光浴びている理由が潜んでいるのかもしれない・・・などと思いながら読んだ。

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2012年03月15日

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新聞の政治記者として駆け回っていた弓成亮太が高裁で有罪判決を受け、引き継いだ青果卸会社も衰退の一途となり競合に吸収合併される。競馬に明け暮れる亮太の自堕落ぶりが哀れであり情けなくもある。それにしても三木昭子は何をしたいのか?

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2025年03月15日

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弓成の落ちぶれ方も実話なのだろうか。
しかし、新聞記者としては頑張っていたかもしれないが、人間としてはひどい男だな、という感想。

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2024年12月27日

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ネタバレ

いわゆる『外務省漏洩事件』、『西山事件』を題材にする本作。

・・・
第一巻・第二巻で、特ダネ記者弓成の、過剰気味の自信を実績で証明するかの仕事ぶり、外交官や政治家への食い込み、外務省事務官との情事、情報漏洩による逮捕、警察への尋問、そして起訴までの様子でした。

第三巻は、概ね裁判の様子にあてられます。そして主人公弓成の境遇が右肩下がりに落ちてゆきます。

結果的に一審は勝訴(無罪)ながら、三木は有罪とされ、情報源の秘匿をできないという記者としての誇りをもズタズタにされた弓成。会社でも疎まれはじめたことを察し、職を辞する。そして家庭に顔向けできないと実家の九州へ単身戻り、実父の会社へ入社。最悪やな。

その間、控訴審が進行し、控訴審では有罪。
弓成側の大野木弁護士、もう一方の被告の三木と弁護士の坂本。加えて裁判官の様子がドラマティックに描かれます。端的に言えば、今度の裁判官は保守側ということでした。
なお最高裁では控訴棄却ということで、弓成=悪者、の印象が確定。三木の手記が週刊誌に掲載され、あることないことが流布されることになります。

こうして失意の中、実家の仕事にも身が入らず、博打にうつつを抜かします。
自暴自棄になりつつある弓成の様子は、幾許か自業自得的に私は感じます。でも一層気の毒なのは奥様と子どもたちでしょう。このあたりは夫婦にしか分からないこともあろうかとは思いますが、胸が苦しくなります。

・・・
ということで第三巻。

裁判といえども、ポジションを取る(つまり裁判官の意見も相対的正しさ)ということが良く分かります。また、家庭をないがしろにする感がなかなかひどく、ショーワという過ぎし時代を感じました。

裁判の様子、ジャーナリズム、社内政治、家族とは何か、等々に関心のかる方にはお勧めできる作品であると思います。

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2023年08月16日

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弓成は無罪、昭子は有罪に。
東京地裁の判決が下された…

判決直後に、昭子の手記が週刊誌に公表される。
窮地に追い込まれる、弓成…

上告後の高裁の判決は…

なぜ…
国家権力の機密情報に触れたことが、弓成をここまで追い詰めるのか⁇

弓成はなぜ昭子に対して、反論しないのか…
弓成はなぜ由里子に対して、昭子とのことをちゃんと話さないのか…

男として、反論をしたくないのか…
反論が言い訳がましくなるのが嫌なのか…

これが昭和の男なのか…
何か自分よがりすぎないか、周囲に対して…

このままでいいのか。

弓成に一矢を報いてほしい。

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2023年01月29日

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3巻は、一冊を通して裁判の経過が描かれています。

地裁から始まり、高裁、最高裁まで、登場人物のみならず読み手の私も驚く判決でした。
女性事務次官の手記には、同じ女性として辟易しましたが、そういった人物像を作り上げた作者が凄いと思いました。

いよいよ次で最後。
どんな結末を迎えるのでしょうか。

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2022年10月17日

Posted by ブクログ

ネタバレ

弓成は果たして有能だったんだろうか。
敏腕記者であったが、途中変な理想に目覚め野党議員に密約の証拠となる文書を渡すも、野党担当の記者を介してやり取りしたため詰めが甘くニュースソースが明かされてしまう。
大変な苦労をかけた奥さんにきちんとした謝罪や労いの言葉もなく別居。
果ては亡くなった親の会社を継ぐも頑固さから合併の話を蹴り倒産に追い込んでしまう。

だが思うに、弓成に限らず、人間には核となる特性みたいなものがあり、それが周りの環境とうまく噛み合えば「有能」ということになるし、合わなければ「無能」ということになるんじゃなかろうか。

フィクションであれば最後に弓成の再起が描かれるのだろうが、どうなるのだろうか。気になる。

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2022年04月04日

Posted by ブクログ

 第3巻は法廷決着編。
 もつれにもつれる裁判は地裁から高裁、そして最高裁へ。機密漏洩と言われるが、国家機密とは?ということが常に頭によぎる。国民に知られてはまずい国家の機密?それが漏れることで政府は何を恐れている?裏取引がばれると反感を買うから、結局は自身の保身のためか?知らないことのほうがいい真実という考え方もあるが、どうなのだろうか。
 ただ、本巻を読むと、言ったもの勝ちという現代における論調は拭い去れない。それが真実であろうとなかろうと、注目を集めさえすればそれでよいという風潮は昔から変わっていないのだなと思う。

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2021年03月31日

Posted by ブクログ

想いを貫く。挫けそうになっても、想いを貫く。

(以下抜粋)
○一人になった弓成は、抑えていたものが奔り、落涙した。(P.149)

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2020年01月01日

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弓成被告が逆転敗訴で刑が確定するあたり。
綿密な取材に裏付けられ、非常に中身が濃いが実在しているモデルが想起しやすい。そのためフィクションの部分については誤った印象を与えている部分はきっとあるのだろうし、当事者にとっては、忘れ去られて欲しい過去をほじくり返されるような思いなんだろうなぁと思いながら読み進める。

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2018年08月12日

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一冊まるまる裁判描写。
とにかく濃い。
情報量が多く思惑策略が飛び交い、弁論の巧みさについていけず読み終わった時には疲れました。
だけどその分読み応えがあって面白かった。
出てくる人物が誰のことが推測できて、顔がすぐ浮かぶほどの大物揃い。
この本が事実に基づいたフィクションであることが怖くなる。
巻へ。

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2016年03月26日

ネタバレ 購入済み

引き込まれます

仔細な裁判の経緯描写と巻末のスピード感溢れる馬場の表現に引き込まれます

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2016年01月17日

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あくまでも三木昭子を庇い続ける弓成に対し、自分の汚名挽回か弓形への復讐で弓形を貶め続ける三木昭子の行動、それに乗じる政府の画策で追い詰められていく弓形。せめて嫁には真実を語り詫びるのが筋と思うが…そこにどんな矜持があるのか。
作者の描く主人公はやり手でありながら、一貫して筋を通す潔癖な傾向があり、作者の理想の男性像なんだろうなと考える。
文面については、裁判の場面であるが故、表現がとてもまどろっこしい。
最高裁での上告棄却はどのような経緯だったのか、おそらく政府の画策があったはずだか多く語られず…、4巻で出てくるのかな。もしそうなら三権分立のげんそくが覆る大事件なのだけど。4巻を引き続き読みます。

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2015年12月20日

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外務省機密文章漏洩事件の公判がすすむ。一審で弓成は無罪、三木は有罪。新聞記者を辞めた弓成は家業の青果商を継ぐが事業は衰退、さらに再審では有罪判決を受け控訴するが棄却され有罪が確定する。妻子とは別居が続く。
キャリアが閉ざされた弓成はどん底に落ちていく。

複雑な裁判の経過だけど、すっきりと読ませる筆力がすごい。

【同僚Tさんから拝借】

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2014年06月01日

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一人の人生を真実に程近い形で切り抜き、心情まで顕に描写する。山崎豊子は天才だし、努力の人だとも思う。しかし、マスコミと政府。この関係性におけるベストな距離感とは一体どこにあるか。悩まされる。

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2013年12月27日

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最高裁の上告棄却により、弓成の裁判での戦いは、ついに敗北に終わる。
密約漏えい事件は、ここで世間の話題から消え去るが、小説は、主人公のその後を、描いている。
続けて第4巻を開く。

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2013年12月12日

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ネタバレ

引き続き国家権力の恐ろしさが描かれる。裁判が進行するにつれ、主人公や周辺人物の生活が壊れ、人間の嫌な側面も見えてくる。

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2013年03月31日

Posted by ブクログ

ネタバレ

第3巻。ほとんどが裁判での様子。事務官・三木にはガッカり。好きだったはずなのに、引っ込みがつかなくなったのか「そりゃないよ」という感じ・・・手記なんて出してほしくなかった。家族の絆もあやしくなってきた。弓成家は持ちこたえることが出来るのかな。4巻で完結。どんな展開になるか期待しながら読み進めていきたい。

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2012年02月08日

Posted by ブクログ

裁判の判決、一転して有罪へ。
そして、4巻へ続く。

まあこの辺で、この本の題材となってる「西山事件」について。。。

1971年当時の総理大臣、佐藤栄作がアメリカからの沖縄返還を実現し、その後、それを讃えてノーベル賞も貰ったわけだ。
その時、アメリカが地権者に対して支払った金は、実は日本が肩代わりしていたと。
要は、金で解決した部分がある事は、秘密だったが毎日新聞社の記者(名前が西山だから「西山事件」)が、その情報を国会議員に漏洩した事が有罪となった事件があった。
その機密情報の入手経路が、女性秘書で、まあ、ビジネスマンガによく有るドロドロした男女関係。
毎日新聞は、そのスキャンダルから倒産まで追い込まれてしまったため、これを期に、大手メディアは国家機密に関わる事項についてスクープするということがなくなった、要は骨抜きになったという訳だ。

(かなりすっ飛ばしてるので間違いがあるかも。気になる方は、Wikiででも調べてみてください。)

山崎豊子の小説は史実に基づいている物が多く、主人公は大概立派な方で読者としても思い入れが沸く物だが、この「運命の人」の主人公は「西山事件」の西山(本の中では弓成(ゆみなり))なので、どうもイカン。
まあ、4巻も続けて読むけどね。

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2023年05月01日

Posted by ブクログ

敗訴が確定し、実家の家業も吸収され、弓成さんは自暴自棄になってしまいました。一巻の活き活きとしていた時の描写の頃が迫力があり、なんだか暗い気持ちになってしまいます。。

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2023年01月31日

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弓成さんがあっという間に転落していく。国に逆らうとはこういうことか。恐ろしい。いよいよ次が最終巻か。

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2014年04月19日

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裁判による判決により、新たな戦いが始まる。
沖縄返還に伴う国の情報の隠しだてより、記者と事務官の男女関係ばかりが取りざたされた。
また、その裏側の家族の苦労にも胸が痛む。

2013.6.9

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2013年06月09日

Posted by ブクログ

本巻は一貫して裁判の経過を追ったもの。本作品前半では脂の乗り切ったビジネスパーソンとして描かれていた弓成だが、本作品では向かい風吹き荒れる中に佇んでいるようである。外務省における取材協力者であった元事務官の三木が完全に反旗を翻してきている点が最も痛いだろう。そのため、地裁にて無罪を勝ち取ったものの、三木の手記が週刊誌に報道されるや世論はアンチ弓成に…。そして高裁では懲役四ヶ月。最高裁は棄却…。
今年の冬に放映されたTBSドラマで、最高裁の口頭弁論が開かれず文書だけで棄却の通知が来ていたのを素人としては不思議に思ったが、本書を読み、原判決を破棄する場合のみ弁論の通知が来るという傾向があるというのを理解出来た。
さて、三木の弓成への気持ちは如何なるものであろうか。ドラマでは嫉妬だった気がする。仕事をばりばりこなし家に帰れば妻と子二人が迎えてくれる弓成に対して、自身は利用されるだけされて仕事も家庭も失った女性。ドラマでは三木と弓成の妻と対面するシーンなどがあったりして視聴者を煽ったが、原作ではそこまでは描かなかった。何故、これほどの反旗を翻したのか、読者に考えさせるように書かれたのだと思う。
新聞社退社、懲役決定、家庭不和、実父死去、実家の稼業が吸収合併…と、逆風真っただ中の弓成。それを象徴していたのが、本巻最後の競馬のくだり。弓成が応援していた競走馬がゴール直前で前脚を粉砕骨折し、治療不可ゆえ痛みから救うためには即安楽死の処置しかないというアングルは弓成の人生の暗喩なのだろう。いや、弓成のみならず、我々を含めた人間総てに対する警告なのかも知れない。人生、うまくいっていても、ふとした事がきっかけに転落の危険性があるぞという…。決して他人事ではないと感じ、気持ちを引き締めた。

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2012年09月21日

Posted by ブクログ

平日はなかなか読む時間がなかった。仕事が始まる前、休憩中に、時間を決めて読んでました。でも、直ぐに時間が来てしまい、その度『あともうちょっと』と、時間を延ばしていました(^_^;)それくらい、続きが気になる作品です。
さてラスト、いざ、四巻へp(^^)q

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2012年06月11日

Posted by ブクログ

弓成さんが交渉の裏情報を入手して報道したことに罪はないと、改めてこの本を読んで思うが、弓成さんの人間性は好きじゃない

特に奥さんに対する態度は最低!
嫌いやわ、こういう男

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2012年03月26日

Posted by ブクログ

「三木さん、こういうところに来て、人をかばったて仕方がないよ。あんたのほうが人を信じていても、相手はあんたのことなんか考えていないかも知れない。人間はみな自分のことだけ考えればいいんだよ」

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2012年03月01日

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