山崎豊子の新聞社出身という、その精緻な表現が好き。
わたしも行ったことのある、感じたことのあるニューヨーク、ロサンゼルス。こんな表現は思い浮かばなかった。けど、そうそう!と手を打ちたくなるくらい的を得てる。
「壹岐は眠れぬまま、ベッドから窓辺へたって行った。周囲の灯りは消えていたが、屹立するビルの
...続きを読む上に、上限の月が蒼い光を放ち、九階の窓から見下ろすビジネス街は、人影も車も殆ど見えず、ビルが黒々と影絵のように林立し、墓地のように森閑としている。」
「南国らしくメインストリートにフェニックスが大きな葉を茂らせ、白い壁の建物と陽に焼けた人々を見ていると、スペイン風の情緒が感じられる」
「壹岐が言葉の継穂を失っていると」
----後半-----
社会人になった立場として不毛地帯を読むと
壹岐のビジネス手腕がとてもかっこよく見える。
事業本部を設立し、
営業部門をヒアリングする部隊、
海外動向を探る部隊、
時事を取りまとめる部隊、
社内外の情報が全部壹岐に入るようになる。
さらにメモには結論は5点まで
根拠をアペンディクスにまとめることとし、
迅速に判断していく。
働く者たちの意志もそがない。
わたしも、常駐リーダーとして
壹岐のように俯瞰して指示を取り
部下を気概を持って働かせる、
そんなリーダーになりたいと、
やりがいのなかった仕事なのに、
先週は少しだけ楽しくなってた。