山崎豊子のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
第1巻を読み終えた。中国残留日本人となった主人公一心が、過酷な運命により、魂が削られるような悲惨な境遇に陥るさまは、読んでいて胸が苦しくなった。満州開拓団と文化大革命はどちらも歴史的な事実であり、国家という巨大な装置による個人の運命の蹂躙である。一心のように、国の都合によって不条理な悲劇に見舞われた人々が多くいたのだと思うと、個人の努力や幸福など、奔流に飲み込まれる木の葉に過ぎないのだと気づかされる。
しかし、そんな奔流のなかでも、輝く希望がある。残留孤児であった一心を無条件に愛した養父・陸徳志の愛情とその愛に報いるために生き続ける一心の報恩の精神だ。どんなに悲惨な状況にあろうと、この二人の精 -
Posted by ブクログ
陸一心こと松本勝男はやっと妹の敦子との再会を果たす。しかし、あつ子は童養しとして貧しい農家て労働力として働かされ、年頃になると息子の嫁にされてからもこき使われていた。
病に伏せてしまってからは栄養あるものを食べさせてももらえずボロ布団にくるまって寝ている妹の姿が痛ましい。一心も苦労したが陸徳志という人徳のある養父に育てられたことで立派になった兄と家畜のような扱いを受け読み書きもできない妹の境遇の違いに驚く。
実の父松本耕次も子供の消息を探し始めたおり、はやくこの親子を会わせてあげてとねがいながら読み進めた。
あつ子が生きている間に実の父に会えたら良いなと思う。 -
Posted by ブクログ
かつてNHKのドラマを観て感動した大地の子。読みたいと思っていた作品。戦争孤児となった勝男は学校教師陸徳志とその妻淑琴に慈しまれ育つ。敗戦直後に人買いによって奴隷のように扱われる日々、徳志に息子一心として育てられながらも小日本人鬼子といじめられる少年時代、大学は優秀な成績を収めるも研究室には残れない理不尽さ。鋼鉄公司で技術者として誠実に務めるも文化大革命の折、日本人というだけでスパイの冤罪で囚人としての辛い日々を送る。とにかく救いがないくらい悲惨なのである。養父陸徳志がとにかく素晴らしい人、名前のとおり徳の塊。
そして、内蒙古の労働改造所で破傷風にかかり生死をさまよう一心を看護してくれた江月梅