山崎豊子のレビュー一覧
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今の労働環境が、いかに恵まれているものなのかを改めて実感しました。会社による不当な人事や、労働組合への露骨な圧力といった描写は、現代ではなかなか想像しにくいものです。
また、「昔のJALは事故が多かった」と漠然と聞いたことはありましたが、本作を通してその背景がよく理解できました。訓練が不十分なパイロットを、人手不足を理由に採用していた事実、そしてその原因の一つが労働組合への圧力にあったという点が、非常に具体的に描かれていたのが印象的でした。
後半では恩地の活躍が描かれますが、弾劾裁判での証言以外は比較的控えめで、その分、家族が少しずつ崩壊していく様子が胸に刺さりました。読んでいて辛い場面も多かったです。
物語としては綺麗に一区切りついたように感じましたが、まだ続きがあるのですね。次巻でどのように展開していくのか、楽しみです。 -
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山崎豊子『大地の子(一〜四)』
現在の日中関係を考えるうえで、本作は中国という国の性質を理解するための格好の教材だと言えます。中国共産党の中枢まで克明に描写できたのは、胡耀邦元総書記による取材協力があったからこそでしょう。これほど深く内情に踏み込んだ著作は、今後二度と現れないのではないでしょうか。
かつてNHKでドラマ化された際や、山崎豊子さんの著作であることは以前から知っていましたが、どこか暗いイメージを抱き、敬遠していました。そんな私が本書を手に取ったきっかけは、2024年7月の日経新聞の記事です。「中国宝山との合弁解消」というニュースに接し、「『大地の子』半世紀に幕」という言葉に強く惹かれました。
文庫版全4巻という長編に圧倒され、しばらく後回しにしていましたが、読み始めると一気に引き込まれました。主人公・陸一心と実の妹が再会するシーンでは、通勤電車の中にもかかわらず、思わず涙が溢れそうになりました。
来年2月下旬には明治座で舞台化されるとのこと。観劇に行こうかどうか、真剣に迷っています。 -
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ネタバレ面白いの一言に尽きる。ページをめぐる手が止まらなかった。恩地のカラチ勤務の過酷さが想像を超えており自分がその立場だったら逃げ出してていたと思う。そのくらい劣悪な環境だった。当時の大企業の雰囲気や団交の激しさ、容赦ない左遷人事がリアリティに描かれており大企業の人事は非情なものだと痛感させられる。一方で恩地についてはもう少し上手く立ち振る舞いが出来れば風向きを変えられたのではないかと思ってしまう部分もある。正しさだけでは組織では生きられないことを説得力を持って描かれている。
八馬のように経営者側と持ちつ持たれつで関係を築きながら出世していく委員長が多い中で組合員のために自我を犠牲にして闘う姿は何度も胸を打たれる。家族と会社に挟まれ静かにもがき苦しむ恩地に何度も胸が痛み途中読むのが辛くなった。 -
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友人に薦められて読み始めました。
山崎豊子さんの作品は初めて読みましたがかなり面白いです!!
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時期教授と誰もが認める才能をもつ外科助教授 財前五郎さん。彼の手術の腕はマスコミや世界も注目する高い技術を誇ります。
しかし、現教授の東さんは傲慢な性格や自分より脚光を浴びる彼に嫌悪を抱き、時期教授の他学移入を考えます。
表面上では財前助教授の能力を認め、人の良さを演じる東教授。
東教授の機嫌を取りながら裏では教授選の画策を練る財前助教授。
この闘いはどうなる…?!
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人間の欲深さと醜さがこれでもか!!と描かれた作品でした:( ;˙꒳˙;):
教授の席は誰の手に?!
2巻も楽しみです✨ -
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読み終えてまず感じたのは、「ここまでのすべてが無駄ではなかった」という深い充実感でした。一心のような過酷な人生を自分が歩むことはありませんが、それでも彼の姿勢は、自分も前向きに生きようと思わせてくれます。
最終巻でも一心には次々と苦難が襲いかかり、罠にはめられ、ついには左遷まで経験します。それでも折れず、絶望に沈まず、生き続ける。その強さには本当に胸を打たれました。そして、今まで生きてきた事がようやく報われていく場面には、読んでいる自分まで救われたような気持ちになります。
タイトルの「大地の子」が回収されるのは本当に最後の最後。一心が中国に残ることを決断した瞬間、彼の歩んできた道と、その先に広がる大地とのつながりが腑に落ちました。「ああ、この物語はここに向かっていたのか」と静かに納得できる結末です。
読み進めてきた時間すべてが報われるような、深い感動の余韻が残る一冊でした -
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こんな作品を書くなんて、山崎豊子さんは本当にものすごい人だな。
毎年、8月にニュースで、御巣鷹山に登る遺族の方のことが、取り上げられるけど、過去に他の小説で日航機事故を題材にしたまのを読んだこともあるけれど、改めて、大事件だったんだなと、今この歳になって読んだからなのか、感じる。
一気に、520名の人が亡くなったこと、現場の混乱、警察、自衛隊(特に空挺団)の奮闘など、当時の情景が、ありありと思い起こさせられた。※小説だから、現実全てを描ききれることはないのかもしれないけれど。
主人公恩地の、労使交渉と、会社の利益追求?の方針と、ハインリッヒの法則を仄めかすような、アフリカ編の際の、世界各地での日航機の事故やトラブルが、不気味に描かれて、その中の一例は、対外的な説明や対応だけが美談のように持ち上げられて、根本的な原因追求と改善が、後回しにされているような状況が描かれていて。
一読者かつ、事故発生当時まだ生まれてもいない分際で、早計なことは言えないけれど、いくつもの分岐点があったんじゃないかと思う。
その後に世の中で起きている出来事も、似たような構造で起きていることが、あったのではと思う。ということは、これからも、また、何かしら同じような構造のことが起きるのかも、とも。
日本にとっても、世界にとっても、忘れちゃ行けない出来事だったんだと、改めて、認識した。
御巣鷹山編がクライマックスでも、おかしくないくらい、インパクトのある一冊だったけど、この後、会長室編の上下2巻に続いていくということで、引き続き、沈まぬ太陽を読んでいきたい。 -
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主人公はじめ物語の舞台である国民航空で働く人々の仕事っぷりが読んでいて清々しい。昭和の働き方の良し悪しは置いておいて、仕事ができる人とはこういう人であり、大企業にはこういう人がごろごろいるのか..と驚嘆した。
自分自身も正義感が無駄に強い頑固者なので、個人的に恩地さんが自分の信念を曲げず貫こうとする姿にすごく勇気づけられたし、恩地さんには報われて欲しい。
会社というか堂本の策略にまんまと嵌ってしまった行天は、素直すぎるやろ、と思った。ボタンのかけ違いで正反対の立場になってしまった2人、だけど行天は簡単に信念を曲げる要領のいい性格なので、堂本の罠がなかったとしてもいずれどこかで仲を違えていたのかもと思う。 -
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ネタバレ現代においても同様かはわからないが、大学病院の封建的な風土や選挙における金の動きに対する衝撃を受けた作品だった。
同作者の他作品と異なり、物語の初めから最後まで、読み手からの主人公の財前五郎、それを取り巻く登場人物への好感、嫌悪の気持ちが正負に揺れ動くところに新しさを感じた。
田舎の貧乏な家庭から医者になった苦労と自負、婿入りした環境と名声欲強い舅や妻から自分への要求、自分の上司に努力を反故にされるような人事、医学部長や医師会・同窓会の損得で繋がった関係、自信を裏付ける手術の才能…それらが絡まり合い生まれた財前五郎という人物に、もちろん嫌悪する部分が大きいが、環境やプレッシャーでそうならざるを得なかった面もあるのではないかという面で同情的な感情も持ってしまった。
裁判においても、財前の行動は自分が患者だったらと思うと財前五郎の態度は到底許容できるものではないと思ったが、自分もなんらかの仕事のプロとして、自分の仕事結果に対し、あれだけの尋問に耐える仕事ができるかは自信がない。 -
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私の会社のボスが雑談で話題に上げた「白い巨塔」は思ったより、いや想像以上に人間社会の醜聞を見事に描き表している。
一巻では財前五郎助教授が国立大学病院の教授ポストを巡り政争に挑む。。。ドロドロ。。主人公を含め各者が自己の利益の為だけに頭と身体と金と人脈を使う。
東教授の退任に伴う、後継教授の選任なのだけれども、若手花形外科医として注目される財前助教授に退任後の自分の地位を脅かされかねないと、東教授は直属の部下であるはずの財前の変わりに他大学からの移入教授を画策する。
その心の内側が生々しい。
一 人事なんてものは、所詮、こんなつまらぬ些細なことで決まるものなんだ、何もこの場合だけじゃない、他の多くの場合だって、大なり小なり、こうした要素をもっている、人間が人間の能力を査定し、一人の人間の生涯をきめる人事そのものが、突き詰めてみれば必ずしも妥当ではない、残酷な、そして滑稽な人間喜劇なんだ___
山崎豊子恐るべし。
昭和40年の作品、ドラマで何度もリメイクされる理由がわかる。
財前の同期である心の澄んだ里見助教授に希望を持ちつつ二巻へすすむ。 -
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話は、ドイツ、ベルリンの壁が存在する西ドイツから話が始まり、東西で分断された壁で医学も分断されていた。
時代を色濃く反映したシーンでした。
財前が不在の病院で、がん患者が息を引き取り、数時間前まで生きていたのに解剖され臓器ごとに分けられるシーンは、考えればそうなのだが、実際に物語の上で流れを追って認識すると命の重さと命が失われた後の肉体がただ存在するのを実感した。
財前は本当に名声と自分の技術を振るうことが好きなんだなと、オペラ座近くのレストランのシーンで思う
何も知らない財前が帰国して、訴えられていることを空港で知りその足で、すぐに鵜飼教授に会いに行く様は、教授選さながら、
裁判では、不安がよぎり大丈夫と自分に言い聞かせつつも、不安で仕方ない傲慢な財前が描写されています。
里見先生は、証人として発言することで、自分の立場が危うくなるとわかりながら、最後の最後まで貫く姿は、カッコ良くもあり、患者様に寄り添う生真面目なお医者様なんだなと、
どちらがいいかという話では無いが、
この2人がいるからこそ、この話は面白くなる。
東前教授や、東佐枝子は登場回数こそ少ないが、それぞれの立場からの言葉には重みがありよかった。
裁判結果は次巻と思っていたので、意外だった。
それよりも4巻が気になって仕方ない!!