山崎豊子のレビュー一覧

  • 白い巨塔(四)

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    里見先生が医者としての本懐を腐らせなかったのは素晴らしいと感じた。

    前3巻において、正直、医事紛争についてはよくわからないけれど、法律的な知見についてはある程度分かるので、はっきりしているのは、当時の医療で財前を裁くことは難しかったとは思う。のらりくらりと論う財前に対して、弁護士ともども原告が感情的に動くのは良くなかったと思った。裁判所とは、温情や民意の入り込む余地がないからだ。

    今回は、財前が粘菌に這い寄られるように、足元から身動きを奪われるような内容だった。
    不思議なもので、ちょっと可哀想な気もした。ただただ財前の転落を願うこの作品に。

    山崎豊子さん。これはフィクションなのでしょうか?あなたの話を聞きたいです。

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    2025年03月06日
  • 不毛地帯 第五巻

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    2025.02.23
    角田さんの生き様は、ごく普通の弱い人間を現していてしみじみと大多数の人間と、究極のサバイバルを生き抜きつづけた主人公や社長との違いが味わい深い。

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    2025年02月24日
  • 大地の子(一)

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    文化大革命の言葉は知っていても具体的に何が行われていたか詳細には知らなかったので冒頭から衝撃的だった。読み終わってこれからまだあと3巻もあるのかと思うと、これから待ち受けている一心の運命の過酷さが想像できて辛くなるが、読み進めたくなる面白さで名著だと実感した。早く次も読みたい!

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    2025年02月22日
  • 白い巨塔(一)

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    年末ドラマがやっていて気になって初めて読む。
    設定も古いけど、やっぱり名作とあって一気に引き込まれた。
    今の時代財前みたいな野心を持って働ける人なんて少ないだろう。
    一生懸命働いて、技術も知識も申し分ないし、何が問題なのか…
    人事は水物っていうのはいつの時代も変わらないのだな

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    2025年02月18日
  • 沈まぬ太陽(一) -アフリカ篇・上-

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    1985年の日航機墜落事故を中心に、日本航空がモデルになっている小説であるということだけは知っていた。どこまでをフィクションとして、どこまで事実として読んでいいのか分からないけれども、読めば読むほどに、大事故が起こりそうな会社の体質に、腹が立ってくる。

    平成生まれの人間から見ると、職場の人間関係や実際の仕事の中に、まだ、戦前の名残りが大きく残っていることのリアリティが、印象的だった。共産党員に対する警戒心や「アカ」というレッテル。治安維持法で捕まり転向した転向者。学生運動をしていた経歴。第二次大戦時に戦闘機の整備をしていた整備士や、パイロット。元華族出身であることのステータス。今の人間からすると、もはやあまりぴんと来ない様々なお互いの人間の見方が新鮮だった。
    そういった意味では、労働組合の委員長として、労働者たちの待遇改善のために会社の経営陣と戦い、僻地への報復人事を受ける恩地の姿も、新鮮に映るものだった。今でも、春闘など組合による団体交渉のニュースなどは、目にすることがあるが、小説ということを差し引いても、その切実性と熱量に、現代との差を感じる。まだまだ問題があるとはいえ、こういった運動をしてきた歴史のうえに、今の労働環境があるのだなと思う。
    だからこそ、家族の生活と自身の健康を犠牲にしてまで、組合の委員長として働き、不当な僻地への長期赴任に耐える恩地の姿は、かっこよくもありつつ、共感はしづらい。終身雇用の時代の、一つの会社の中で生きていく時代の人間の感覚が垣間見える。

    今のところ、読んでいて気持ちのいい小説じゃない。ただ何か、読まされる凄みがある。

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    2025年02月17日
  • 大地の子(四)

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    国家間の争いに巻き込まれ、大地の子となり人生を変えられた主人公陸一心の生涯に胸を引き裂かれる思いになった。なぜ戦争はなくならず、誰が誰のために戦争をするのか考えさせられた。見えずらいかもしれないが、戦争での被害者は本来何も知らずに生涯を送れるはずだった陸一心のような普通の人物なのだと思う。
    このような歴史を小説から学べることに著者に感謝したい。

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    2025年02月17日
  • 大地の子(三)

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    戦争が引き裂いだ兄妹の絆と国策に翻弄される主人公ら残留孤児の物語に胸が締め付けられる。たとえそれが一方からは負の歴史であったとしても、歴史を知ることは必要であり、そのためにも意義のある小説を読んでいると感じている。

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    2025年02月16日
  • 不毛地帯 第五巻

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    壱岐正と里井副社長のやりとりが読んでいて面白く、最終的には大門社長との軋轢を生む形となるのも凄く惹き込まれる要因であった。最後の大門社長と一緒に退陣するシーンは今までのストーリーや情景と合間って感情移入できて感動した。部下の海部や八束、石油の兵頭と優秀な人材が大きいとも思う

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    2025年02月14日
  • 大地の子(二)

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    残留孤児の立場から国家重要プロジェクトに関わっていく陸一心とその親子の絆のようなものを感じられた。日本人であるがゆえの苦悩や苦難が報われつつあると思いながら、殆どの人には記憶にも体感も残らなくなっている中国現代史に通づる歴史を小説から学べることは感謝すべき事なのかもしれない。

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    2025年02月11日
  • 大地の子(一)

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    日本人残留孤児とはどのような存在だったのか深く考えさせられる。残留孤児という言葉すらほとんど聞くことすら無くなった現代において、自分達の歴史を認識する意味でも価値のある小説である。主人公の人生に寄り添うことや共感することすらおこがましい平和な現代に生まれ生きる自分にとって大きな学びを与えてくれる。

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    2025年02月09日
  • 白い巨塔(五)

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    裁判と学術会議の選挙の両方を渡り歩いていた財前だが、選挙は鵜飼教授の政治もあり見事当選を果たす。一方裁判の方は、元病棟看護婦長の亀山や佐々木の受け持ち医の柳原らの証言により敗訴となる。その後財前は体調を崩し気づいた時には進行胃癌となり病に伏す。

    総じてとても面白かった。医療小説であり政治小説でもある。当時の大学病院で行われていたあらゆる駆け引きが描かれており、手に汗握る展開だった。改めて感じたのは医者と患者の関係の大切さで、財前が訴訟されたのも術後診察もせずしっかりと説明をしていなかったからで、仮にそれをしていたら肺転移に気づかなかったとしても遺族は納得していただろう。現代だったらありえないが当時の医療現場ではそれが当たり前だったのだろう。最後食道癌の権威として教授まで上り詰めた財前が自身の体調の変化に気づかず裁判、選挙に没頭し進行を許してしまったのが彼の人生への皮肉だ。

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    2025年02月08日
  • 白い巨塔(五)

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    医事裁判というテーマの5巻に及ぶ大作を読み切って、今更ながら著者山崎豊子さんの取材力に感服する。医療と裁判という2つの専門領域を描かれている。一方で、名声と医学者としての誇りを併せ持つ財前という男を憎くもあり、神々しいとも思った。これほどのスケールと高潔な社会派小説はそうそう巡り会えないと思う。

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    2025年01月21日
  • 不毛地帯 第二巻

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    商社マンにとって、パーティは社交は名目、情報収集がメイン。不可抗力等万一も考慮して契約するのが商社マンのイロハのイ。

    商社は数字が人を殺すのだと実感したという文章、ぎくりとくるものがある。

    絶対ランクAからB、当社もそんな基準があるんだろうか、、。商社の海外支店は、ニッポン交通公社とか呼ばれてるんだろうか、、。

    動線とTODO、気を使うとは、動線を把握し、そこで立ち止まるポイントを少なくし、スムーズにする 言葉遣い。

    次期戦闘機、僕に見当違いな詰問する前に、防衛庁が取り組むべきと返すが、選挙がらみ資金がらみで国防の重要事項が決まる実態。今の日本はどうか?

    大本営参謀の思考法、どんな複雑な事象も問題点を5点以内に要約し、その裏付けをとれば結論出る。結論ファースト、問題点 裏付け。

    組織の秩序、一つの負けに拘れば本質を失う

    イスラエルアラブ戦争とそれで一儲けを狙う利権者たち。商社間の情報戦争、相手を陥れる戦略、足の引っ張り合い。全て、競合を出し抜いて一儲けするため。ブローカー、よくわからん交易会社、その他種々。

    インドネシア華僑の話も興味深い。シンガポールや他の東南アジアに散らばる、ユダヤ的ポジション。彼らのビジネスセンスは見習う必要がある。彼らにとってビジネスは、イエスorノーの世界。加えて、ビジネスとプライベートは全く別物である点も印象深い。

    社内体制についても、常務に上がったことに対して不満をいう主人公と早めに常務に上げて、揉まれることを望む社長。組織を強くなるのは、どういう条件が揃った時か?ここも勉強になる。結局、戦略があり、戦術があり、それを実行する人がいる。軍との違いは、自己意識を持った集団である点、会社を達観して見れそう。

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    2026年01月18日
  • 白い巨塔(二)

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    数年ぶりの再読。財前やその周囲の人たちの政治力、資金力によって見事第一外科の教授を射止めた財前五郎。

    知人の医師で、国立大の教授に就任した方に聞いたが、実際には「白い巨塔」ではなく「黒い巨塔」であると語っていた。時代は違うので一概には言えないが、昔はかなり事実に近かったのではないかと思う。今は違うといえるが形を変えた政治戦争が起きているのだと思う。

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    2025年01月11日
  • 白い巨塔(一)

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    久しぶりの読み返し。医療というよりも政治のドロドロである。さすが山崎豊子、何度読んでも引き込まれるなぁ

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    2025年01月10日
  • 白い巨塔(四)

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    ドラマも映画も未見のため、結末が見えず終始ハラハラしながら読み進めている。

    山崎作品は、どの作品のラストも、スッキリ勧善懲悪にはならないので、おそらく本作もそうであろうという半ば諦めの思いを持ちつつ読み終えた。
    これが現実の人間社会であるだろうことを目の前に突きつけられる残酷さと徒労感にどっぷり浸かりつつも、人間の持っている正義感や高潔さも同様によく実感できる内容。

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    2025年01月07日
  • 沈まぬ太陽(五) -会長室篇・下-

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    重厚長大という言葉がそっくり当てはまる。暫く燃え尽き症候群のようになってしまった。巨大企業って大変ですね。

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    2025年01月07日
  • 白い巨塔(二)

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    拙い言葉であるが、ものすごい迫力で読み進められてしまう。

    おそらく里見助教授の近い未来は悲劇的なものになる予感がさせられる。そして、そういうピュアで真摯な人が陥りやすい恋愛沼も。

    早く3巻を手に取らなければ収まらない。

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    2024年12月31日
  • 白い巨塔(一)

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    山崎豊子さんの筆致は正に当時の男性作家のもののよう。
    良い意味で大迫力、悪く言えば、まあ…男性目線そのもの。当時の世相からすれば当たり前のことかも知れませんが…。

    私はこの気迫のこもった書き振りの大ファンです。
    のめり込みますよね。

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    2024年12月28日
  • 沈まぬ太陽(三) -御巣鷹山篇-

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    2001年(発出1999年) 512ページ

    1985年の日本航空123便の墜落事故。当時中学生だった自分にも、忘れられない出来事として記憶に留められています。
    凄惨な墜落事故現場の描写、損傷した遺体の描写など、ルポルタージュを読んでいるようでした。現場の過酷な状況下で、遺体の検案や整復を行った医師や看護師には頭が下がる思いです。
    そして、愛する家族を失った遺族の、深い悲しみや激しい怒りが伝わってきます。

    ダッチロールしながら急降下する飛行機の中で、愛する家族へ向け書いた遺書。当時、多くの人の涙を誘いました。
    実名で登場する美谷島さんと健ちゃん。涙が出ます。
    中東に単身赴任中に、妻と子ども3人を一度に失った男性。
    夫を失い、さらに家業も倒産に追い込まれた妻。
    身元不明の部分遺体の中から体の一片なりとも探そうとする家族の執念と愛情。
    家族を失い、自分の人生は終わったと、お遍路の旅に出る男性。


    日航機墜落事故には陰謀論の噂があります。作中ではわずか数行の部分でした。陰謀論を初めて知ったのは、フライトレコーダーの開示を求めた訴訟がきっかけでした。請求は棄却されています。そして、相模湾に沈んだ機体の一部を引き上げないことなど、確かに素人目にも腑に落ちないことがあります。森永卓郎さんの著書でも触れられています。複雑な思いにとらわれていました。

    しかし、陰謀論はともかく、物語は人間ドラマでした。事故は人災によるものと結論づけています。国民航空の安全を蔑ろにする社内体制が招いたことに他ならないでしょう。飛行機は安全な乗り物で、私が昔聞いた話では、毎日搭乗しても事故に遭う確率は二千何年だかに一回(今調べると438年に一回とか666年に一回とか)と言われていました。そして、安全な空の旅で楽しいはずだったフライトが恐怖に変わった瞬間。乗客の恐怖がどれほどだったかと思うけれど想像もつきません。残された遺族の悲嘆。それでも、2度とこのような悲劇を起こさせてはならないと、遺族会を立ち上げ、前に歩き出した家族の心の強さは尊敬に値します。

    来年で事故後40年。改めて、亡くなった方々のご冥福をお祈りします。

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    2024年12月24日