山崎豊子のレビュー一覧
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日米開戦後、本編の主人公の邦字新聞の記者である天羽賢治はFBIに連行され、スパイ容疑で留置所へ入れられる。
そして、アリゾナ砂漠の収容所へ送られる。
砂漠の収容所から釈放され、ロスアンゼルスの家に帰ると家族は強制退去されていた。
家財道具一切を二束三文で売り、一人2つまでのスーツケースの所持を許可されて、家族が移動させられたのは、競馬場の馬小屋だった。
床にタールを撒いた、馬糞の付いた臭くて不潔な馬小屋に何千人もの日系人が、押し込められた。
一週間に1回のみ、馬小屋の馬を洗うシャワーを使用することを許された。不潔な場所で、日系人達は、家畜の牛馬の扱いだった。
しばらくして、千五百名の日系人はマ -
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520人もの命が予期せぬ事故で突然失われるとはどういうことなのか。亡くなられた方それぞれに培ってきた人生と家族があり、それらが一瞬にして壊され、二度と戻すことはできない。それであっても加害者側は保身と利権に走る。小説であっても現実に起きたことを基に書かれており、あの時の事故も当事者の航空会社は、こうだったのかと眉を顰めずにはいられない。
そして、その会社で長年冷飯を食わされ続けながら、被害者のお世話係という仕事を全うしようとする恩地元の思考や志を理解するには、まだ全てにおいて自分は浅すぎるということなのだろうと思う。実際の御巣鷹山事故の時にも恩地元のような人物はいたのだろうか。 -
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随分前に5冊購入してから、大作故に読み始める気合いが入らずになかなか読めずにいましたが、何となく手に取り読み始めました。平成11年の作品で、話は1960年代のことだといいのに、とても読みやすく、どんどん世界に引き込まれていきました。恩地さんが自分の身近な人物に感じ、読みながら、言葉を失い、何度も本を閉じました。
山崎先生の緻密な描写に、その土地の様子がしっかりと頭に描かれて、世界旅行の気分も味わってしまいました。世界地図を広げて、恩地さんはこの時代にこんな場所へ行かされたんだ、と思いを馳せました。自分の会社に労働組合はないけれど、社会人になってこの本を読むと、誰もが共感できると思います。 -
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面白かった~!
大正から昭和初期の大阪の老舗足袋屋の跡取り息子、喜久治が主人公である。フィクションではあるが、著者の山崎豊子氏は膨大なリサーチをしており、当時の大阪の商人の暮らしぶり、遊び方や価値観、しきたりなどが良く分かった。想像以上にスケールが大きかった。
喜久治が生まれた家は、女系3代の立派な商家で、世代ごとに娘が婿をもらいながらビジネスを育ててきた。女たちは実際には商売をしないが、裏で家を仕切っており、祖母と母が実質支配者である。大金持ちの家に生まれた息子は、10代の頃から派手に女遊びを始める。20代になると一度結婚をして息子を設けるが、嫁は出産後すぐに祖母と母に追い出される。息子は商 -
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花のれん。
古き時代の心かよわき女性が、旦那の度重なる失態に呆れながらも、三行半をしたためることはせず、旦那を健気に信じ、共に商いを営んできた。
人との出会い、繋がり、絆。そのすべてを商売に賭け、自分の人生をも担保にした主人公は、自分が決意した幕引きを遂げた。
幸せだっただろう。商売繁盛、一世風靡、時の大阪で大円団を築いたのだから。けれど、満たされるどころか、虚無と不乱の入り混じる感情の中で、一人ぽっちだったのではなかっただろうか。
そよ風にたなびく、藍染を白抜きし、季節の花を散りばめた花のれんをくぐる、白い喪服を羽織った女性。
脇目も振らず歩いていく。
その目は、表情は、誰 -
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控訴審となった財前の誤診をめぐる裁判。
原告側弁護人・関口や、里見の努力によって、財前は窮地に…
控訴審に、学術会議選挙に、追われる財前に病魔の影が…
結局、財前がちゃんと診察していれば…ということなんだろうが。
本当にそうなんだろうか。
財前だからこそ、初期噴門癌を見つけて、手術することができたはずでないか。
佐々木庸平に死をもたらしたものは、財前だけによるものではないはずだ。
医者としてあるべき姿は、里見なのかもしれない。
が、財前のように教授がひとりひとりの患者にまで細かい目配りができるだろうか…
里見のようにすべての患者に同じように寄り添うことができるだろうか…
控訴審で原告側