山崎豊子のレビュー一覧

  • 沈まぬ太陽(一) -アフリカ篇・上-

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    報復人事かぁ…昭和の時代にはまかり通っていたことなのか。令和の時代にもあるのか。
    実直に自分の職務に向き合っただけなのに、上司に睨まれ僻地に左遷。こんな会社は許せないとは思うが、どうしてもっとうまく立ち回れないのかとイライラもする。自分の信念に正直すぎて、エリートコースから脱落し、家族にも迷惑をかける…昭和の男の価値観は複雑だ。

    アフリカの夕日の雄々しさ、自然の荒涼感、野生動物の躍動感の描写は素晴らしく、オレンジ色に染まった景色と黒く染まったキリンのシルエットが、まさに眼前に広がりました。

    2巻が楽しみだ。

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    2023年11月08日
  • 華麗なる一族(下)

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    40年以上も前の作品なのに古さを感じない。
    ドラマで結末は分かっていたが、真実を告げられるシーンには涙した。

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    2023年11月07日
  • 沈まぬ太陽(五) -会長室篇・下-

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    最後まで不遇で信念を貫く主人公と、野心と謀略にまみれたライバル。
    山崎豊子作品といえばこの構図。

    毎年、御巣鷹山の追悼登山のニュースを見るたびに、恩地元を思い出す。

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    2023年11月07日
  • 華麗なる一族(中)

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    ネタバレ

    ついに最終巻になってしまった。淡い期待を持つことさえも許されない現実。山崎先生の本は容赦ない。鉄平の最期に、思わず、えっと声を漏らしてしまった。鉄平によって、兄弟姉妹がちゃんと歩き出したことが何より。
    ああ、山崎先生の作品は、本当に本当に面白い。

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    2023年11月03日
  • 華麗なる一族(下)

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    人物像がはっきり描かれているから、どんな人間で、読む手に持って欲しい印象がちゃんと伝わる。
    鉄平が心配で心配で。
    複雑な万俵家と銀行と、それぞれ個人の欲望が絡み合って、真面目に一途に生きる人がとても切なく思える。今の時代も同じような部分は少なからずあるのだろうな。

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    2023年11月03日
  • 華麗なる一族(上)

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    昔のはなしなのか、現代にも通ずるものなのか、その世界にいる人に聞いてみたい。
    相変わらず細かい描写で、情景がはっきりと浮かんで来る。どんどん引き込まれていく。

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    2023年11月03日
  • 沈まぬ太陽(四) -会長室篇・上-

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    腐り切った会社が520人もの命を奪う事故を起こし、その再建のために全く異業種から送り込まれた国見会長と恩地元の立ち回りが興味を引く。ここまで腐った組織ではトップをしがらみのない外部の人間とすげ替えなくては無理なのであろう。それでもトップとはいえ1人の人間だけで再建するのは不可能であり恩地をはじめとする会長室が一丸となり膿を出し切るの最終巻のメインストーリーであろうが、敵の多い恩地の活躍に期待したいところだが、正義と矜持を真正面からぶつけてきた彼がどう振る舞うかに注目しながら最終巻を楽しみたい。

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    2023年10月15日
  • 二つの祖国(一)

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    日米開戦後、本編の主人公の邦字新聞の記者である天羽賢治はFBIに連行され、スパイ容疑で留置所へ入れられる。
    そして、アリゾナ砂漠の収容所へ送られる。
    砂漠の収容所から釈放され、ロスアンゼルスの家に帰ると家族は強制退去されていた。
    家財道具一切を二束三文で売り、一人2つまでのスーツケースの所持を許可されて、家族が移動させられたのは、競馬場の馬小屋だった。
    床にタールを撒いた、馬糞の付いた臭くて不潔な馬小屋に何千人もの日系人が、押し込められた。
    一週間に1回のみ、馬小屋の馬を洗うシャワーを使用することを許された。不潔な場所で、日系人達は、家畜の牛馬の扱いだった。
    しばらくして、千五百名の日系人はマ

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    2023年10月17日
  • 沈まぬ太陽(三) -御巣鷹山篇-

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    520人もの命が予期せぬ事故で突然失われるとはどういうことなのか。亡くなられた方それぞれに培ってきた人生と家族があり、それらが一瞬にして壊され、二度と戻すことはできない。それであっても加害者側は保身と利権に走る。小説であっても現実に起きたことを基に書かれており、あの時の事故も当事者の航空会社は、こうだったのかと眉を顰めずにはいられない。
    そして、その会社で長年冷飯を食わされ続けながら、被害者のお世話係という仕事を全うしようとする恩地元の思考や志を理解するには、まだ全てにおいて自分は浅すぎるということなのだろうと思う。実際の御巣鷹山事故の時にも恩地元のような人物はいたのだろうか。

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    2023年10月09日
  • 沈まぬ太陽(二) -アフリカ篇・下-

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    10年にもわたる僻地をたらい回しにされた報復人事を、同じく日本で不条理な配置転換された仲間と共に、巨大組織と戦うさまに惹きつけられる。人事というどこの会社にもある普通に行われることが1人の人間とその家族を追い詰めていく。
    正義と矜持のために組織と戦うか。地位と家族の幸せのために組織に取り入り社畜と化すか。小説としては非常に面白く読み応えがあるが、現実に組織社会で働く自分に引き寄せれば、極論の二者択一ではなくその中間に多種多様な選択肢が転がっており、常にその最適解を探し求めているのが現実なのだろう。

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    2023年10月07日
  • 沈まぬ太陽(一) -アフリカ篇・上-

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    随分前にドラマも見たが、改めて本で読むと感情移入できる。会社と対立する組合の委員長とそれに対する報復人事。1960年代に中東の僻地をたらい回しにさせられるのは想像だにできない困難がつきまとうが、そういうシーンを読みながら会社で働くことの意味を考えさせられた。
    ただし正直なところ恩地元に共感できないところも多い。組織で働くには正論だけを振りかざしても人は動かない。自分の正義と矜持を守るために、特に航空会社のような半官半民の企業内を泳ぎ切るためには、グッと堪えうまく立ち回ることも時には必要ではないだろうか。

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    2023年10月01日
  • 沈まぬ太陽(五) -会長室篇・下-

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    最後まで、驚かされ胸を打たれる展開でした。これまでの仕打ちに対する報いの光が見えそうで、私自身、少し救われました。
    事実を軸に展開される物語であるがため、一つ一つが重く説得力があり、その分重い気持ちになりました。
    連載当時は関心がなく世の中の反応は分かりませんが、当時ここまでの本を書くのは、相当な覚悟と勇気、使命感があったと想像します。あとがきにもあったように。
    少し前に新聞記者という日本アカデミー賞を受賞した映画が頭をよぎりました。
    ひと言では言い得ぬ気持ちですが、とにかく読んで良かった。みんなに読んで欲しい。そう思います。

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    2023年10月01日
  • 大地の子(四)

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    以前に一度読んでいて、再読だったが今回の方が読んでいて辛く感じた。
    解説にあった著者の「戦争は個人を虐殺するのです」という言葉が印象に残った。

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    2023年09月30日
  • 沈まぬ太陽(四) -会長室篇・上-

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    国見会長という素晴らしいリーダーがいてくれて、ホッとしました。ようやく恩地さんが認められて、力を発揮できる時がやってきました。ここまで読んできて、リアルな世界の出来事のように感じ、思わず人に話してしまいそうです。どこまでも腐り切っている上層部をどのように切り崩して行くのか、切り崩せるのか、最後まで気が抜けない、改めて後世に残すべき大作です!

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    2023年09月30日
  • 沈まぬ太陽(三) -御巣鷹山篇-

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    あまりに辛すぎて、読み飛ばしてしまいそうになりました。520名の命が一瞬にして亡くなることの重さを、少しでも理解できたように感じます。520名の方には、それぞれ家族や大切な人がいて、その方たちの人生までも狂わせて奪ってしまっているんだと、改めて気付かされました。それでまだ、利益や保身に走る人間がいることに、げんなりさせられ、現実とはそうゆうものかと諦めそうになりますが、恩地さんの存在に私も励まされます。

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    2023年09月30日
  • 沈まぬ太陽(二) -アフリカ篇・下-

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    この時代にアフリカに行く日本人が何人いたことか。ケニアの美しさも、本からしっかりと伝わってきました。また、そんな場所で恩地さんが、気丈に振る舞いながらも、精神的に追い込まれて行く様子も分かります。
    1人の人間をここまで追い詰める会社組織にぞっとしつつ、恩地さんを信じて支える家族や、組合の仲間に感動と覚えます。

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    2023年09月30日
  • 沈まぬ太陽(一) -アフリカ篇・上-

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    随分前に5冊購入してから、大作故に読み始める気合いが入らずになかなか読めずにいましたが、何となく手に取り読み始めました。平成11年の作品で、話は1960年代のことだといいのに、とても読みやすく、どんどん世界に引き込まれていきました。恩地さんが自分の身近な人物に感じ、読みながら、言葉を失い、何度も本を閉じました。
    山崎先生の緻密な描写に、その土地の様子がしっかりと頭に描かれて、世界旅行の気分も味わってしまいました。世界地図を広げて、恩地さんはこの時代にこんな場所へ行かされたんだ、と思いを馳せました。自分の会社に労働組合はないけれど、社会人になってこの本を読むと、誰もが共感できると思います。

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    2023年09月30日
  • ぼんち

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    面白かった~!
    大正から昭和初期の大阪の老舗足袋屋の跡取り息子、喜久治が主人公である。フィクションではあるが、著者の山崎豊子氏は膨大なリサーチをしており、当時の大阪の商人の暮らしぶり、遊び方や価値観、しきたりなどが良く分かった。想像以上にスケールが大きかった。
    喜久治が生まれた家は、女系3代の立派な商家で、世代ごとに娘が婿をもらいながらビジネスを育ててきた。女たちは実際には商売をしないが、裏で家を仕切っており、祖母と母が実質支配者である。大金持ちの家に生まれた息子は、10代の頃から派手に女遊びを始める。20代になると一度結婚をして息子を設けるが、嫁は出産後すぐに祖母と母に追い出される。息子は商

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    2023年09月23日
  • 花のれん

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     花のれん。

     古き時代の心かよわき女性が、旦那の度重なる失態に呆れながらも、三行半をしたためることはせず、旦那を健気に信じ、共に商いを営んできた。
     人との出会い、繋がり、絆。そのすべてを商売に賭け、自分の人生をも担保にした主人公は、自分が決意した幕引きを遂げた。
     幸せだっただろう。商売繁盛、一世風靡、時の大阪で大円団を築いたのだから。けれど、満たされるどころか、虚無と不乱の入り混じる感情の中で、一人ぽっちだったのではなかっただろうか。

     そよ風にたなびく、藍染を白抜きし、季節の花を散りばめた花のれんをくぐる、白い喪服を羽織った女性。
     脇目も振らず歩いていく。
     その目は、表情は、誰

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    2023年09月17日
  • 白い巨塔(五)

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    控訴審となった財前の誤診をめぐる裁判。
    原告側弁護人・関口や、里見の努力によって、財前は窮地に…

    控訴審に、学術会議選挙に、追われる財前に病魔の影が…

    結局、財前がちゃんと診察していれば…ということなんだろうが。
    本当にそうなんだろうか。
    財前だからこそ、初期噴門癌を見つけて、手術することができたはずでないか。
    佐々木庸平に死をもたらしたものは、財前だけによるものではないはずだ。

    医者としてあるべき姿は、里見なのかもしれない。
    が、財前のように教授がひとりひとりの患者にまで細かい目配りができるだろうか…
    里見のようにすべての患者に同じように寄り添うことができるだろうか…

    控訴審で原告側

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    2023年08月18日