あらすじ
会長室の調査により、次々と明るみに出る不正と乱脈。国民航空は、いまや人の貌をした魑魅魍魎(ちみもうりょう)に食いつくされつつあった。会長の国見と恩地はひるまず闘いをつづけるが、政・官・財が癒着する利権の闇は、あまりに深く巧妙に張りめぐらされていた。不正疑惑は閣議決定により闇に葬られ、国見は突如更迭される――。勇気とは、そして良心とは何かを問う壮大なドラマ、いよいよ完結へ!
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Posted by ブクログ
史上最悪の航空機事故を起こした会社を復活させるべく、関西の紡績会社から社長が送り込まれる。総理や総理の参謀が三顧の礼で迎えた「会長」だが、社長、副社長は古い体質のままで、一向に改善が進まない。関連会社の会長に君臨し、会社の予算を湯水の如く使う者、官僚との癒着に精を出し平社員を奴隷のように使うもの、組合の統合を防ごうと暗躍する労務担当役員など。その中で恩地は被害者に向き合い、労働者の立場で行動するが、金をつかまされたマスコミにも叩かれ、追い込まれる。政治家と結びついた裏金づくりがひょんなことから東京地検に伝わり、役員に捜査の手が伸びるが、恩地はアフリカへの転勤を命ぜられる。事実に近いこと、近いかもしれないと思えることなどが混ざって複雑な気持ち。
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読み終わってびっくりした。
主人公は何かを成し遂げるものだと思っていたけど、ノンフィクションとはそういうことではない。
渦中の1人だということを思い知らされました。
労働環境、安全を第一に掲げた主人公の30年弱のお話しでした。
自分が生まれる前の事件を元にしているからこそ、どんなことがあったかわからないままでも楽しめる内容になっていました。
事故から何年というニュースも目にするので、忘れてはいけない出来事として、読んでみても良いものだと思います。
Posted by ブクログ
ついに読み終わったという感が否めない。内容が重厚で、読めば読むほどに楽しいものでないだけに、ずいぶんと読み終えるのに時間がかかってしまった。そのため、序盤の方とかは、かなり記憶から薄れ、語れるほどに覚えていない。
まさに、こうして重大な事故の記憶は、過去の話になっていってしまうのだろう。
国見の「更迭」から、恩地のナイロビへの赴任。事故の真実、会社の腐敗の是正に尽力した二人の主人公の結末は、まったく希望を見せず、いかに正義を突き通すことが絶望的であるかを物語っているように見える。
物語の中でたびたび利根川総理らが、「国見には政治ができない」ということを言うが、正しいことをするためには、正しいだけではダメなのだという教訓は、得ていいものなのかどうか、躊躇われる。本質的な問題にとっては、極めてどうでもいいはずのことだが、なぜ国見は、総理からもらった「王道」の額を外さなかったのか。なぜ恩地を会長室に迎え入れたのか。なぜ共産党に挨拶に行ったのか。たったそれだけのことで、もし国見のしようとしたことが、些細でも成就したのであれば、国見は「政治」をすればよかったのではないかとも思えてくる。
引用を引いてこれるほど、記憶に残せるほど読めていないので、雑な引用になるが、最後の一段落を引いておきたい。
何一つ遮るもののないサバンナの地平線へ黄金の矢を放つアフリカの大きな夕陽は、荘厳な光に満ちている。それは不毛の日々に在った人間の心を慈しみ、明日を約束する、沈まぬ太陽であった。(p409)
もはや、恩地のような人々の乾いた心を慈しんでくれるのは、広大なサバンナを「沈まぬ太陽」だけなのである。それは、希望の光であるように見えて、もはや明日を約束してくれる人は、いないのだという絶望でもある。
御巣鷹山事故から四十年。この小説が書かれてから、二十六年が経った。民間を知らない身としては、現代の企業や公務員の世界が、もはやこうはならないよう、一職員の仕事の「本懐」を全うしようとすることしかできないのである。
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2週間ほどで5巻まで読み終える。
ものすごくエネルギーを使ったが、恩地と国見会長の結末にはなんとも言えない気持ちになった。
時代は違えど、同じように組織に生きる者として、こんな扱いがあっていいのか、という虚無感に苛まれながら、ではあったが、これがこれでリアルなのかもなぁ、とも思った。
また数年後に手を取ることになる気がするかもな。大切に置いておこう。
Posted by ブクログ
外部からやってきた会長が、どうにかしようとするも、本社と政治家の癒着が強すぎで、どうにもならず退任。委員長も、再度ナイロビに飛ばされるという、まったく救われない話。
この書籍の冒頭に書かれているが、このお話は、「事実を小説的に再構成した」もの。
事実。これが、事実。
事実は小説より奇なり。
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背帯の文言
「この国を覆う、おそるべき良心の不在。恩地元最後の闘い」
今回も読んでいて、腹がたった。
国民航空、関連会社「国航開発」の政・官・財界との癒着、私腹を肥やす利権等、魑魅魍魎が蔓延するデタラメぶりがあまりにひどい。
この物語が単なるフィクションであるなら、腹も立たないだろうが、登場人物の氏名は実在の人物の名前をもじったもので、実在する人物だからだ。
ここで登場する自由党の竹丸副総理など、政界のドンとして君臨し、汚職事件で逮捕されたあの人だ。
現在も政治家の金権体質は、あいも変わらず変わらない。
本書で、架空の人物である、常務にまで成った行天四郎の行動がひどい。
客室乗務員と社内不倫をするわ、運輸省航空局の官僚に、その愛人とのマンションを提供するわ、そのなりふり構わない行動は人間としてどうかとおもう。
『行天四郎』は国民航空に於いて、利権に群がる魑魅魍魎を具現化した人物なのだろう。
本巻では、地検から呼び出しを喰らう所で終わっている。
国航開発の社長である岩合は、「岩合天皇」と呼ばれていた。その放漫経営により、私腹を肥やしていたが、ついに解任された。ここだけはスッとした。
最後に会長の国見は解任。
恩地は再び、ナイロビ支店長赴任を命ぜられ、本意ではないが、ナイロビへと向かう、残念な結果となっている。
最後に作者の『あとがき』で、山崎豊子が述べている。
「今回は非常に勇気と忍耐のいる仕事であったが、その許されざる不条理に立ち向かい、それを書き遺すことは、現在を生きる作家の使命だと思った」
偉大な作家の、この『あとがき』は重い。
Posted by ブクログ
全巻読み終えました。
当初、先入観無しに読み進めましたが、筆者の長きに渡る取材からの小説との事。
圧倒されました。
これが小説と言う設定なら、最後のくだりが無情すぎます。
しかし、忠実に再現した内容なら人の残酷さがよく分かります。
通勤時に読んでましたが、何度も泣きそうになりました。
おすすめの作品です。
Posted by ブクログ
渡辺謙主演の映画、沈まぬ太陽を観て感動したため原作を読んでみた。
山崎豊子さんは十年に1作書かれるということで
すごく時間をかけられたのが、よくわかります。
印象に残ったこと葉
ニューヨークの動物園の鏡の間の鉄格子に埋め込まれた鏡があり、人間の上半身が映る仕掛けになっていて、その鏡の上には
世界で最も危険な動物
と記されていた。
そしてもう一つは最後に
何一つ遮るもののないサバンナの地平線へ黄金の矢を放つアフリカの大きな夕陽は荘厳な光にみちている。
それは不毛な日々にあった人間の心を慈しみ、明日を約束する、沈まぬ太陽であった。
なお、この小説に出てくる行天は白い巨塔の財前五郎の弟分として四郎としたそうです。
Posted by ブクログ
最後まで不遇で信念を貫く主人公と、野心と謀略にまみれたライバル。
山崎豊子作品といえばこの構図。
毎年、御巣鷹山の追悼登山のニュースを見るたびに、恩地元を思い出す。
Posted by ブクログ
最後まで、驚かされ胸を打たれる展開でした。これまでの仕打ちに対する報いの光が見えそうで、私自身、少し救われました。
事実を軸に展開される物語であるがため、一つ一つが重く説得力があり、その分重い気持ちになりました。
連載当時は関心がなく世の中の反応は分かりませんが、当時ここまでの本を書くのは、相当な覚悟と勇気、使命感があったと想像します。あとがきにもあったように。
少し前に新聞記者という日本アカデミー賞を受賞した映画が頭をよぎりました。
ひと言では言い得ぬ気持ちですが、とにかく読んで良かった。みんなに読んで欲しい。そう思います。
Posted by ブクログ
沈まぬ太陽を読んで。
生きること、働くこと、誠実でいること。
何にも背かず、自分の正義を貫いた人が、なぜ周りの人よりも苦労をしなければならないのか。なぜ日陰に隠されてしまうのか。
山崎豊子さんの本で、初めて手にした「沈まぬ太陽」は、自分に「生きることの難しさ」と、「耐え難い仕打ちに耐えることの意義」を教えてくれました。
自分に非のないつもりで生きていても、邪魔者と思われる。その誠実さが邪魔、優しさが邪魔、正義感が邪魔なのだ、と。社会に蔓延る無念の陰性感情は、輝かしく、引力の強い人に向けられる。それを跳ね除ける強さを、主人公はどのように湧き出していたのだろう。
自分の人生を、人並みに謳歌することは、許されたものだけの特権であろうか。
私は、私の、私だけの人生と命を、運命から見限られるまで、生きていこうと、強く思った作品だった。
Posted by ブクログ
私はこの本をこの歳で読むことができてよかったと思います。まず、私は御巣鷹山の航空事故を知りませんでした。そして、昔は今ほど労基が浸透してなく、窓際族と呼ばれる人々の存在も知りませんでした。この話はフィクションとはいえ作者の多くのインタビューに基づいて作られているから戦後の日本の時代背景のようなものが学ぶことができたからです。
Posted by ブクログ
山崎豊子さんの本は描写が詳細で、徹底した取材と膨大な勉強量が本の記述からも伝わってくる。小説家としてのプライドというか、使命なるものが文字を通してここまで伝わってくる人って他にいないんじゃないかな。
主人公や会長といった、苦境の中で筋を通し続ける人達の姿に勇気をもらいました。面白かった。
Posted by ブクログ
最後の1ページまで捨てなかった想いは「救い」だった。
それは希望だったかも知れない。
「正義は最後には必ず勝つ」の想いだ。
何度胸糞悪い思いをしつつも、国見会長や恩地、旧労組、ご遺族係や御巣鷹山事故支援班など会社に僅かに残る良心が報われることを信じ、願い、読み勧めた。
その結果はもちろん伏せるが、これがただのフィクションではない、という事実には驚愕しかない。
事実を基にした小説だけに、事故後の経緯など、情報は出来るだけ遮断して読んでいたが、ようやく事実と向き合えることを今はただ喜ぶとする。
最後に、
全5巻、全く飽きずに楽しませていただいた山崎豊子先生、ありがとうございました。
Posted by ブクログ
やっと読み終わった。現実にあった話とは思えないほど衝撃だった。最後に報われていたことが救いだったが、その後のどんでん返しも読みたかったかも。どこかで見たけど、人間の欲望はほんとうに怖い。でも欲望がないと成長できないので、自分のしてきたことに胸を張れる人になりたい。
Posted by ブクログ
【302冊目】会社に絶望し、人生のどん底近くにいたときに、フォロワーさんに教えていただいた本。海外の僻地をたらい回しにされ、家族と離れ離れの生活を強いられた主人公の労苦に驚愕と、共感と、そして自分も同じくらいの苦痛を感じているという気付きがあった。たぶん順風満帆のときには、まったく違う(主人公の恩地を嘲るような)感情を持ってしか読めなかっただろう。
とはいえ、中盤以降は日航機の御巣鷹山事故と、それに続く会社の更生のための努力を中心に描かれる。御巣鷹山事故は、涙無しには読めない悲しみと怒りを感じざるを得ず、なぜこの作品が今となっても有名で、多くの人に読まれ続けているのかよく分かった。
終盤に向かうに連れ、会社組織や政治家の醜悪さや、マスコミも含め結局みんな自己の利益を図ることしか考えていないという、政官財アッパー層への絶望を覚えさせるような展開。
恩地の子ども二人が、研究者と薬剤師という組織に頼らない生き方を選び、それが父親の背中を見て育ったからではないかと恩地が推測する場面が印象的。我が子もそうなるかもしれないし、私自身、我が子にはそう育ってほしいと願うな。
Posted by ブクログ
御巣鷹山の慰霊登山のニュースを見て、再度読みたいと思い、実家に置いてあった本を持って帰ってきた。
主人公の熱い生き方が心を打つ。比較してみる私や現代人のぬるさを感じる。
著者山崎豊子さんの社会の問題をよく調査し、小説にしてくれるのはありがたい。航空会社の問題点、政府の問題点がわかりやすく頭に入る。それに伴い、個々が会社・政府と戦っても限界がある難しさも感じる。
私も御巣鷹山に慰霊登山に行ってみたいと思う、久しぶりに級友を誘ってみよう。
Posted by ブクログ
結末はさらっとしてしまった感もあるが、日航の腐敗はひどいものがあったのは間違いないことがわかる。
政治の恐ろしさ、腐敗しきった組織を建て直すことの難しさを改めて感じることができる作品。
御巣鷹山に眠る皆様、そして著者の山崎豊子さんに改めて哀悼の意を表したいと思います。
Posted by ブクログ
1.著者;山崎氏は小説家。大阪の老舗昆布店に生まれ、毎日新聞に勤務後、小説を書き始めました。上司は作家の井上靖氏で、薫陶を受けました。19歳の時、学徒動員で友人らの死に直面。「個人を押しつぶす巨大な権力や不条理は許せない」と言っています。社会派小説の巨匠と言われ、権力や組織の裏に迫るテーマに加え、人間ドラマを織り交ぜた小説は、今でも幅広い世代から支持されています。綿密な取材と膨大な資料に基づく執筆姿勢には定評があります。
2.本書;国民航空の労組委員長だった恩地(主人公)を通して、人命に係る航空会社の倫理観を問う社会派作品。恩地は会長室の部長に抜擢され、改革を進める。会社の腐敗構造が暴かれるという企業の暗部に迫る最終巻。山崎氏は、「御巣鷹山墜落事故の後も、ドルの十年先物予約を続け、膨大な為替差損を出しながら、閣議決定によって、経営責任を問わずという政治決着をつけた事は、企業倫理の欠如であり、事故に対する贖罪の意識の希薄さは言語に絶する」と結ぶ。
3.私の個別感想(心に残った記述を3点に絞り、私見と共に記述);
(1)『第9章 流星』より、「(和光監査役)無責任体質と派閥人事が横行している社内では、良心に基いて、監査を行う事は、非常に勇気がいる事であった。・・(そこで)“五シンの戒め”を自らの言葉で記し、座右銘とした。『①私心を捨てる ②保身を捨て使命に生きる ③邪心を捨てる ④野心を捨てる ⑤慢心を捨てる』、この“五シンの戒め”をもって、公正に職務を行おうとすると、周囲からそれとなく疎外され、孤立して、会社が抱えている重大な問題が真剣に議論されることはなかった」
●感想⇒監査役の役目は、会社が法令違反をしないように監視する事です。和光は“生え抜き”であり、監査役と言っても周囲の甘え(仲間意識)を払拭出来なかったと思います。日本の監査役は、“ポスト枠で役員になれない者”或いは“退任役員の褒美”という性格がありました。私が知る会社も、現在でもそうした慣習が続いていると聞きます。ここで言う、“五シンの戒め(①私心を捨てる・・)”は、非常に立派な考え方ですが、実践できる人はそれ程いないでしょう。従って、組織という人間集団で、目的を達成するには、根回しも必要です。自分で見えていない独り善がりでは賛同を得られません。
(2)『第10章 射る』より、「(主人公の恩地)日夜、骨身を削って再建に取り組んでおられる会長と、新設された会長室の在り方を、よくもここまで貶める事が出来るものです、『日本ジャーナル』という一応、硬派の雑誌の、しかも、記者の真面目な取材態度を信じた私の不明です。川田室長が直ちに、次週分の掲載中止を申し入れております、それにしても、ここまで意図的な記事になるのは、社内の一部派閥と、マスコミが繋がっている証拠に他なりません」
●感想⇒私は、マスコミをあまり信用していません。興味をそそる雑誌記事、テレビのワイドショー等は、その典型です。10年程前に、厚生労働省の女性局長逮捕の事件がありました。マスコミは挙って検察の筋書に乗り、彼女を犯人扱いしました。その後、主任検事の不正が暴露されるなど、無実が確定しました。逮捕当時は各社とも局長の不正関与を大きく報じたのに、無実後は鳴りを潜めました。ミスジャッジはあるとは言え、捜査を疑問視する視点がかけていたと言わざるを得ません。マスコミ記事を公正に判断する為に、多角的な分析力を養い、冷静な眼で見たいものです。思い込みは危険です。
(3)『あとがき』より、「多くの人の生命を預かり、何よりも人間愛を優先しなければならぬ航空会社であるからには、その非情さは許されない事であり、人間性の破壊である。この人間的な要素が複雑に絡み合って、事故を引き起しやすい素地に繋がっている」
●感想⇒会社を評価する時に、財務数値に眼がゆきがちです。企業の使命は、関係者(社員・株主・国家・地域社会・・)への貢献です。社会の公器なのですから、もっと多面的に定性的なモノサシでも測るべきです。そこで、会社を統率する経営者の資質は重要になります。経営者と言えども、所詮人間なので欲望もあるでしょう。しかし、前述の“五シンの戒め”をもって、役割に徹し、会社の存在価値を問い続けなければなりません。企業存続の条件は、財務でもなければ、品質・技術でもありません。お客様と社員の安全確保である事を、経営者は肝に銘ずる事です。命は何にも替え難いのですから。
4.まとめ;「沈まぬ太陽」全五巻の最終コメントです。読み応えがありました。第三巻「御巣鷹山篇」は涙無くして読めない程、胸を打たれました。山崎氏はあくまでも「フィクション」と言っています。それなのに、この作品の週刊誌への連載・映画化に対し、日本航空経営陣が強い不快感を示し、雑誌連載中は日本航空機内での、この週刊誌の扱いを取りやめていました。“火の無い所に煙は立たぬ”と言います。大人げない対応ですね。日本航空の浄化を期待します。山崎氏の言葉、「今回は非常に勇気と忍耐のいる仕事であったが、その許されざる不条理に立ち向かい、それを書き遺す事は、現在を生きる作家の使命だと思った」に感銘。後世まで読み継がれて欲しいと願います。(以上)
Posted by ブクログ
相変わらず利権貪り組がクズすぎてクズすぎて、読み進めるのがしんどいくらいでした。
利根川総理や龍崎もひどいし、国見会長の孤軍奮闘ぶりに心が痛くなります。
スカッとした終わり方を期待していましたが、そうはいかなかった。
最後に小さな光はあったけど、この5巻までずーっとモヤモヤイライラしていたものが解消されはしなかった。
事実を基にしているから仕方ないのかもしれないけれど、物語の中だけででも勧善懲悪して欲しかったなぁ。
それでも初読の山崎豊子作品はすごく面白くて読み応えあって、良い作品を読めたという充実感がありました!!
Posted by ブクログ
シリーズ第5巻、完結。国民航空で私欲を肥やす魑魅魍魎たち。勧善懲悪を期待して読み進めるが、倍返しどころか懲らしめのシーンは匂わせる程度。物足りないなあ。国見会長が気の毒すぎる。
Posted by ブクログ
オーディブルにて。
1巻の感想にも書いたが、倍返しが起こらないのが山崎豊子作品。それがまた歯痒くもリアルで面白い。
国見会長が来てくれてこれで安心だと思ったのに…。不憫すぎる。そして恩地も。結局また飛ばされるんかい!もうこんな会社辞めてしまえ!
Posted by ブクログ
読みながらしんどかったが、読み終えてもなおしんどかった。4巻までは限りなく星5でしたが、なかなか救いがないというか、少し溜飲の下がる展開があったと思ったら架空の人物のフィクション部分だった。
ただ、いくらフィクションといえど御巣鷹の事故を起こした会社の航空機に無邪気に乗っていた自分が恐ろしく感じられるほど衝撃的な事故だと知った。
自分も大企業に勤める身としては、上層部がこんなに腐っていたらこの体質が容易に変わるとは思えなかった。もうホラーやん。
Posted by ブクログ
こんなに感情が相当揺さぶられた小説はありませんでした。腐敗に対する怒りと報われない主人公への同情。いい意味で疲れ果てました。
願わくば、もう少し復讐劇が欲しかったです。あまりにも苦労が長すぎませんか?最後の最後まで…。
Posted by ブクログ
沈まぬ太陽(一)~(五)を読んで
航空会社の理不尽極まりない体制の中、一社員として立ち向かっていく主人公:恩地元の生き様が心を打つ物語。度重なる屈辱を受け続けた彼は自分の信念に対し、常に真っすぐであった。
労働組合委員長時代は、従業員の為に会社へ向かって真っ向からぶつかっていった。
カラチ、テヘラン、ナイロビという僻地での屈辱的な勤務にも屈することがなかった。むしろ、この地でできることを自ら考えて行動に移した。
ご遺族係に任命された時、彼はご家族に対して真摯に向き合い、労いの言葉をかけ続けた。
彼は組合長時代にストを決行してから、ずっとアカというレッテルを貼り付けられた。彼を邪魔者扱いする人々からすさまじく残酷な扱いを受け続けた。
しかし、彼を慕っていた数々の人達がいた。旧労働組合の人々。ご遺族の方。会長の国見。妻のりつ子。彼には信頼という大きな宝物があった。どんなに大金を積んでも決して買うことができないかけがえのないものだと思う。真っすぐな信念には必ず共感してくれる人がいる。と温かいものがこみ上げてきた。
恩地が出張先で訪れたニューヨークの動物園で目にした「鏡の間」。その鏡に移る人間こそ、この地球上で最も危険で獰猛な動物である。この場面は痛烈であった。複雑で理不尽な人間社会の核心をついたものだと強く心に刻まれた。
著書を読んで、組織というものがさらに恐ろしくなった。数名の富と名誉の為に大多数の人間が犠牲となる慣習。現代でも尚、その様な組織が多数存在するであろう。
しかし、互いの地位とお金の為に繋がる人間関係には、心が通う温かさは存在しない。これだけは間違いないと思う。
Posted by ブクログ
最初はすごく楽しかったけど、だんだん「またー!可哀想。」っていうかんじだった。
御巣鷹山のことについてしれたのは良かったけど本当に悲惨な時期だったよなぁ。飛行機事故恐ろしいけど乗らないと海外にはいけないしねぇ。