【感想・ネタバレ】沈まぬ太陽(二) -アフリカ篇・下-のレビュー

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Posted by ブクログ

ネタバレ

 恩地が去ってからの本社には、会社の御用組合である第二労働組合ができる。
 第二労働組合は第一労働組合から人員を引き抜いた為、第一組合へ残る組合員はわずかな人員となった。
 恩地が後を託した第一組合の委員長の沢泉からの郵便メールで、現在の第一組合の実情を知らされる。
 かつての労働組合の幹部は劣悪な環境の売却資材倉庫や資料管理室へ追いやられた。第二組合に移籍しない、第一組合員は、第二組合の人間の監視のもと、支店に日がな一日椅子に座らせられて、無為に過ごすことを強制されていた。
 話を聞かされた恩地は憤り、本社への不当人事に対抗する憤りを募らせた。

 パキスタンからイラン、そしてケニアへと、僻地をたらい回しにされた恩地は次第に心が荒んでいく。
 恩地は週末のみのサラリーハンターとして、アフリカの地で、獣を狩る日々に、なんとか心のバランスを保っていた。
 そんななか、沢泉からの連絡で、僅か五ヶ月の間に三度もの事故を起こす国民航空の現状を知らされる。
 128人の乗客の命を失う連続事故を起こしたにもかかわらず、本社の運行管理者は横滑りの人事交代のみで、その無責任体制は続いていた。
 事故をきっかけに国会で、衆議院交通安全対策委員会が開かれた。
 これにより、国民航空の労働規約違反が白日のもとにさらされ、恩地はようやく日本への帰還ができることと成った。

 恩地を、しぶしぶ日本へ戻すことに同意した労務部長の八馬忠次、副社長の堂本信介は、帰ってくる恩地に対する処遇を巡らした。

 日本へ帰れることに成った恩地の荒んだ心は晴れ、家族のもとへ帰れるという希望を持った。

 沢泉委員長が国会で、不当人事の状況を説明し、恩地への報復人事を証言する場面は、読んでいて心がスッとした。
 三度もの連続航空機事故を起こしながら、変わらない本社役員の体質に憤りを感じつつ、あの稀に見る、御巣鷹山への航空機墜落事故の大惨事へと繋がっていく。
次巻へとつづく。

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2024年03月17日

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主人公が3箇所目の僻地勤務に携わる過程で、生活にも慣れ、狩猟という趣味を見つけ、それなりの妥協を見出しはしたが、会社に対する怒りや孤独が徐々に精神を蝕んでいたという部分が衝撃的だった。
10年間の僻地勤務がようやく終わった。

会社の利益追求するあまりに社員を大事にしない姿勢が、立て続けに飛行機事故を起こしてしまった。起こるべくして起きた墜落事故。それでも企業は保身に走るもんなんだなぁ。巨大企業の恐るべき裏面を見た。

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2023年11月13日

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10年にもわたる僻地をたらい回しにされた報復人事を、同じく日本で不条理な配置転換された仲間と共に、巨大組織と戦うさまに惹きつけられる。人事というどこの会社にもある普通に行われることが1人の人間とその家族を追い詰めていく。
正義と矜持のために組織と戦うか。地位と家族の幸せのために組織に取り入り社畜と化すか。小説としては非常に面白く読み応えがあるが、現実に組織社会で働く自分に引き寄せれば、極論の二者択一ではなくその中間に多種多様な選択肢が転がっており、常にその最適解を探し求めているのが現実なのだろう。

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2023年10月07日

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この時代にアフリカに行く日本人が何人いたことか。ケニアの美しさも、本からしっかりと伝わってきました。また、そんな場所で恩地さんが、気丈に振る舞いながらも、精神的に追い込まれて行く様子も分かります。
1人の人間をここまで追い詰める会社組織にぞっとしつつ、恩地さんを信じて支える家族や、組合の仲間に感動と覚えます。

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2023年09月30日

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続きであり、時系列が順番なので読みやすかった。
それもあって、恩地さんが置かれている状況の不遇さがより感じられた。組合のことや会社の仕組みについては、難しいのでもっと勉強したいと思うが、家族の温かさ重要さが感じられた。最後の証言の場面では涙が出そうになった

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2023年01月23日

Posted by ブクログ

絶句、半官半民の一流企業でこんな悲惨な労使関係がまかり通っていたなんて、、、
少なからず、日本の伝統的企業の根っこにはこういった文化、秩序が根付いているのかしら、と考えるとゾッとした。

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2022年09月27日

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ネタバレ

左遷に次ぐ左遷で恩地元の精神が疲弊する描写が事細かに描かれている。家族を犠牲にしてまで会社と戦うべきなのかということと、自らより厳しい境遇で戦っている組合員の間で揺れ動くものの、どうしようもない感情に苛まれ、剥製を撃ってしまうところなども思わず感情移入してしまった。巻末では日本に帰ることが叶ったが、日本で満足な待遇が得られるとは思えず、恩地元の奮起を期待しながら3巻に進みたいと思う。

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2022年04月30日

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長編は苦手なのですが、ノンフィクションに近い内容で読み応え凄く、あっという間に読破してしまいました。

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2019年11月25日

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パキスタン駐在を終えた恩地を待ち受けていたのは、さらなる報復人事だった。イラン、そして路線の就航もないケニアへの赴任。会社は帰国をちらつかせ、降伏を迫る一方で、露骨な差別人事により組合の分断を図っていた。共に闘った同期の友の裏切り。そして、家族との別離―。焦燥感と孤独とが、恩地をしだいに追いつめていく。そんな折、国民航空の旅客機が連続事故を起こす…。

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2016年07月12日

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アフリカ編を読み終えました。時代感があるのですが、その古さが心地良い(文面)。歴史や社会の勉強になり貴重な本だと思う。実話なのかはとりあえず置いといて、孤独に打ち勝つ力や真面目さが非常に感銘を受けた。

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2016年08月16日

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人を想い筋を通す。それ故に心が弱る。僻地盥回しの不当な人事などで時折り人の醜さを感じるが、それでも筋は曲げず人を想い続ける恩地元という素晴らしい人間性に惹きつけられた。

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2023年06月21日

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この物語の主人公は極めて優秀、かつ強い信念と正義感の持ち主である。しかし、この正義は全てにとっての正義とは限らない。反対の立場(ここでは経営側)の者も、自分達にとっての正義で対峙している。本巻ではそのせめぎ合いが面白い。

とはいえ、経営側の正義もまた、全てにとっての正義とは限らない。本巻の後半は、それを明確に描写している。

また、度重なる事故とそれらへの対応は、間違いなくその後の御巣鷹山への伏線として書かれている。

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2022年02月11日

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本当に読みごたえのある素晴らしい作品や。どんどん面白くなってくるな・・・恩地が報われてほんまに良かった!信念を貫き通す男にはやっぱええ仲間がおるな・・・
しかし、次からどんな展開になるのか不安すぎて楽しみ❗

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2022年01月12日

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ちょっと自業自得だよなと思いながらも、物事をよくしようとする恩地のパワーはすごいなあと思った。それと同時に今では考えられないような労働条件があったことを痛感した。
そう考えると、この時代に生まれてきた自分はラッキーなのかな。それとも未来はもっとホワイトな会社で溢れているのだろうか。
この時代に戦ってくれた全ての労働者に感謝

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2021年12月23日

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1.著者;山崎豊子さんは、小説家です。大阪の老舗昆布店に生まれ、毎日新聞に勤務後、小説を書き始めました。毎日での上司は作家の井上靖氏で、薫陶を受けました。19歳の時に、学徒動員で友人らの死に直面し、「個人を押しつぶす巨大な権力や不条理は許せない」と言っています。社会派小説の巨匠と言われ、権力や組織の裏側に迫るテーマに加え、人間ドラマを織り交ぜた小説は、今でも幅広い世代から支持されています。氏の綿密な取材と膨大な資料に基づく執筆姿勢はあまりにも有名です。「花のれん」で直木賞を受賞後、作家業に専念し、菊池寛賞や毎日文化賞を受賞しています。
2.本書;3編(アフリカ篇2冊、御巣鷹山編1冊、会長室編2冊)の内のアフリカ篇 下です。主人公の恩地は、航空会社の労働組合委員長として、会社と対峙した結果、カラチからアフリカまでの左遷(報復)人事という非道な仕打ちを受けます。家族との別離、孤独を支えたアフリカ、理不尽な“現代の流刑”に耐える恩地と家族を描いています。この小説のモデルは日本航空です。氏が多数の関係者にインタビューした緻密な小説で、“事実に基き再構築”したと言っています。一方、日本航空経営陣は、この小説に強い不快感を示し、雑誌連載中は日本航空内での当該雑誌の扱いを中止したそうです。
3.私の個別感想(気に留めた記述を3点に絞り込み、感想と共に記述);
(1)『第7章 テヘラン』より、「(恩地)組合の委員長として、二期二年職場の不平等を正し、空の安全を守る組合員の為に、公正な賃金を要求しただけではないか。それを会社は“左翼分子” “アカ”のレッテルを貼って、僻地を盥回しにし、今また遠く海を隔てた、アフリカの大地へ押し流そうとしている。まさに流刑に等しい。明らかに会社に楯突く者への見せしめの人事に他ならない」
●感想⇒労働組合は、組合員の生活安定の為に、労働条件向上の要求をします。経営者は株主や社員等への責任を果たす為に、会社を永続的存続させる施策を推進しなければなりません。その監視役の一つが労働組合です。労使には会社と社員の持続的成長の為に、真摯な協議と判断が求められます。恩地は労組委員長として、当然の行動をしただけなのに、海外の僻地に盥回しにされるという非道な仕打ちを受けます。そして、「ここまで追い詰める会社に対し、怒りを通り越して、人間の汚さへの絶望を感
じた」と言います。経営者の中には常識人もいるでしょう。しかし、この会社の経営体質は腐りきっていると思います。労使関係が良好でない会社に未来はありません。真摯に勤める社員を思うと、怒りというよりも情けなさが込みあげるばかりです。
(2)『第8章ナイロビ』より、「(恩地)命がけでやる仕事の場を与えられた人間が、心底、羨ましかった。人間にとって、やり甲斐のある仕事を与えられないことほど、辛いものはない」
●感想⇒やり甲斐ある仕事に携われば、幸せに決まっています。では、やり甲斐ある仕事とは何か?やり甲斐は仕事人の考え方によって、決まってくると思います。職業に良し悪しはありません。どんな仕事でも社会にとって必要性があります。会社は“開発・製造・経理・保安・・・等”貴賤上下なく必要です。全員が協力して、社会貢献しているのです。これこそが仕事のやり甲斐の源なのです。
(3)『第8章ナイロビ』より、「人命を預かる航空会社の、安全に対する使命感が欠如し、パイロットが不足していることを承知しながら、利益優先の路線拡張を推し進めるその無節操な経営姿勢を、一挙に露呈したのが、ボンベイの誤着陸事故であったのだ。・・・会社側の意を汲んだメンバーだけがホテルに缶詰になって、事故原因の作文を強いられた。組織の中で節を全うする事は難しい。いつかは追い詰められ、最後まで筋を通すためには、自己を犠牲にしなければならない」
●感想⇒モノづくりには、“S(安全)Q(品質)C(コスト)D(納期)”が重要であると教えられました。安全が第一に確保されない企業に存在価値はないのです。それでも、軽微な災害隠しは日常茶飯事でしょう。私は、「事実の前には謙虚になれ、隠し事は露見すると多大な損失を被る」と教えられました。この小説の会社は、利益優先の為に、隠蔽工作する体質です。それでは、信用という金銭では買えない財産を失います。顧客は早晩、このような企業を見限るでしょう。
4.まとめ;主人公の恩地は労働組合の委員長に担ぎ上げられたばかりに、会社から不遇の報復人事を受けます。一方、同志だった副委員長は会社に寝返り出世街道を進みます。言葉がありません。この会社の姿勢は、法的に擁護されている労働組合を潰そうと行動しているのです。これは経営者というよりも体質の問題です。昨今、企業では内部通報制度や風土改革などの体質改革を実施していると聞きます。表面的な対策よりも心の通った施策の推進が望まれます。経営者は、『言うは易く行うは難し』を肝に銘じなければなりません。今にも、山崎さんのペンの怒りが聞こえてくる気がします。( 以 上 )

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2022年04月16日

Posted by ブクログ

ナイロビ支店編ですね。これが実際にあったのが信じられない。未就航のナイロビにワンマンオフィスを構えて就航のための地盤作りは1000歩譲っても(将来がある可能性が少しでもあるにしても、1人はありえないが)、途中から就航は無くなったけどチケット売りしとけはないだろ。。。サラリーマンは逆らえないもんなあこの時代は。日本語を全く喋らない日が何日も続くのはきつい。。よく4年半も耐えたな。。おれなら会社を辞めて即帰国します。テヘランの時点で。それでも日本で耐えてる旧労組のみんなのために耐えたのはすごい。だけど、家族があそこまで苦しんでるのに意地になったのは、んー正直自分は共感できません。できないけど、やり切った人はすごい。

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2021年09月05日

Posted by ブクログ

 大企業vs一社員の闘いを描いた全5冊の2巻目。
 本巻は企業の労働組合への報復人事でアフリカに行くことになるまでの流転の経緯とアフリカでの生活、日本帰国までを描く。
 航空業界大手の大企業の内規をも無視した人事には正直驚くが、それに屈して辞めたりすると組合の仲間を裏切ることになるという責任感のもと、全てを受けようとする社員の精神に感服する。その分、家族には計り知れない負担をかけることになり、家族バラバラ(物理的にも精神的にも)の憂き目にも遭いかねない。家族であっても言いたいことが全て言えるわけではなく、相手のことを考え、言いたいことでも言えないもどかしさのようなものも伺える。
 また、利益追求を目指す余り、航空事故が相次ぎ、その中にあって尚なんとか責任を逃れようとする企業上層部の体質も浮き彫りになってくる。あまり公にされることのなかった企業体質が事故の報道を受け、徐々に白日のもとに晒されていく。そういうことがあってからでしか、本質を知ることのできないもどかしさも感じてしまう。

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2020年05月24日

Posted by ブクログ

ネタバレ

引き継ぎ流刑の人(無実)を続ける恩地さん
アフリカで狩猟を本格的に始めた理由が判明し、涙。

何かを奪うことでしか精神の安定を保てない
そんな極限の世界で故郷と不本意に離された最中
実母が亡くなり叔父に絶縁をつきつけられてアフリカに再び戻る…

こんなにしんどいことがあっても会社を辞めない意地や使命が本当にカッコいい。

日本の旧老組の頑張りで戻れることになった時は感涙だった。

一人の人生を追いかける描写とても丁寧で読みやすく面白い

島津さんの武士のカッコよさたるや…

3へ

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2019年12月29日

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2018/10/26〜11/3
(勝手に)元祖半沢直樹の2巻。本当にここまで理不尽な会社はあるのかってくらい、主人公の恩地は苦しめられていた。ネットも何もない中での僻地は相当応えるものだったのだろうなと思う。
証人喚問の場面はウルっと来た。

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2018年11月04日

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"10年の月日をかけて筋を通した男の話。あまりにも非効率ではあるが、最後は日本に帰ることができた。会社も明らかにおかしい人事をしているし、そんなことがまかり通る体制に問題がある。どこまで事実だったのだろう。
夢中になって読み進められる。次巻は御巣鷹山。"

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2018年10月28日

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内容が辛くて2カ月ほど置いていた。再び手にとって読み終えた。恩地の精神力は強靭だ。家族の負担も半端ないが。反撃始まるか。

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2016年08月16日

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恩地さん、ナイロビ出向から日本帰国まで。

ひとつの事故が起こるには、数多くの要因が存在する。
その事故が起こっても気付きがない会社は、もはや見込みがないと実感できる。

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2016年07月17日

Posted by ブクログ

ネタバレ

荒むさぁ………。
そりゃ荒むよね、恩地さん。
希望したわけでもないのに僻地勤務を10年間。
最後には家族とも離れ離れで、隣家も見えないだだっ広い家に一人ぼっち。
丸一日、日本語をしゃべらない日もある……。
そんな生活によく耐えたなぁ。
私だったらすぐ泣き入って、八馬とかに「組合とは縁切るから日本に戻して」なんて言っちゃうな。
恩地さんには実在したモデルがいるとか。
その強い精神力はどこからくるのか。
見習いたいものです。
でもなんとか恩地さんも、日本に帰ってくることが出来そうだとわかったときは、ホントに「よかったねぇ」という感じでした。

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2023年09月20日

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人間が人間を差別する不条理--。私は、それ以来、アフリカの部族に対して、決して差別意識を持たないことを、心に固く誓ったのです。(p.248)

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2019年03月15日

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信じられないくらい不条理だったけど、
1人の社員のために組合員がこれだけ動いたり、
大企業の一社員が社長にアポなしで会いに行くのよ信じられなかった。


組合員離れが進んでいると新聞で読んだのだけど、
「個」が強くなっていく社会で
組合にかわるつながるものってなんなんだろ。

本に書いてあるような組合の考え方っておそらく現代では受け入れられないところもあるだろうし、、、、
資本主義とか、稼げる稼げって悪いのもではないと思うんだけど、難しいな。
頑張ったら評価されたいし、
均等分配と平等、努力が報われないって違うよなーなんて考えたり。

わからん!

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2023年01月26日

Posted by ブクログ

幾度と無く会社に裏切られながらも、ある時ある時、恩地に寄り添ってくれる上司や仲間が登場した時の安堵感は大きい。でもそんな人達に限って早く恩地から離れてしまう。

家族との離れる時間の長さの影響は計り知れない。
それでも乗り越えて行く恩地を応援しながら読み進めて行くばかりだった。

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2022年01月11日

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とりあえずアフリカ編を思って買ったけど完結していない。早速続きを買わなくては。恩地の旅につきあおう。

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2019年01月19日

Posted by ブクログ

【感想】
時代の問題もあるだろうが・・・
俺には単純に恩地が馬鹿マジメで不器用なだけなのではないか、と思った。
そしてそれを会社のせいにして、自分は会社の上層部を憎んでいる・・・そんなイメージ。
能力が高いのはとてもよく分かるが、融通がきかない人間はそりゃ干されるよと言いたくなる。
そしてその自分の不幸さを家庭に持ち込んでしまっていたら、そりゃ元も子もないわ。

何はともあれ、ようやく日本に帰る事が出来てよかった。
しかし、既に3巻も途中まで読んでいる自分としては、日本で更なる不幸が待ち受けている恩地が可哀相でならない・・・

というか、暗すぎるわこの本!!!!
たまにはHAPPYな要素も盛り込んでくれよ・・・
この本を読んだらJALの内定辞退者が続出しそうだな。笑


【あらすじ】
パキスタン駐在を終えた恩地を待ち受けていたのは、さらなる報復人事だった。
イラン、そして路線の就航もないケニアへの赴任。
会社は帰国をちらつかせ、降伏を迫る一方で、露骨な差別人事により組合の分断を図っていた。

共に闘った同期の友の裏切り。
そして、家族との別離――。
焦燥感と孤独とが、恩地をしだいに追いつめていく。

そんな折、国民航空の旅客機が連続事故を起こす……。


【引用】p84
昔から、ペルシア商人とスムーズにビジネスが出来れば、世界のどこででもやっていけると言われている。
要は彼らは砂漠の民なんだ。
一度の出会いで物事が決まり、二度と出会わないから、相手を倒すか、倒されるか、死力を尽くす。
それがペルシア商人のルーツなんだ。


p126
本社人事部長の清水
6年半前、自分が予算室長であった時、支店勤務から本社予算室へ抜擢した人物が恩地であった。
清水は、組合の委員長になるのなら取らなかったのにと思いつつも、前委員長の八馬に一方的に推薦され押し付けられた事情を考慮し見守ってきた。

組合活動をやらなければ、おそらく同期のトップをきって、今頃は予算室の課長になり、将来を嘱望される1人であったであろう。


p213
会社が、ナイロビへ放り出した恩地を、立往生させ、金で締め上げて、根を上げるのを待っている事が露骨に読み取れた。


p248
アフリカの女王
「人間が人間を差別する不条理…私はそれ以来、アフリカの部族に対して決して差別意識を持たない事を、心に固く誓ったのです。」


p362
・ハインリヒの法則
一つの事故が発生した場合、その背景にはインシデント(事件)には至らなかった300のイレギュラティ(異常)があり、さらにその陰には、数千に達する不安全行動と不安全状態が存在する。

我が社のように事故が続発する場合、日常的に不安全状態が多数存在するものでは?

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2018年02月19日

Posted by ブクログ

なかなか読み進まず。会社でごはんを食べる時にせっせと。
山崎豊子さんはとにかく細部まで書き込むから、本当にひとりの男の人生を見ているような気持ちになる。ただその分長い、進みが遅い。
やっと読みたかった章に入りそうです。

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2017年12月25日

Posted by ブクログ

不当人事が認定されてアフリカを去るまで。
ややかっこつけすぎな感じがする。
本当のところはどうだったのか気になる。

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2016年08月08日

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