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Posted by ブクログ
史上最悪の航空機事故を起こした会社を復活させるべく、関西の紡績会社から社長が送り込まれる。総理や総理の参謀が三顧の礼で迎えた「会長」だが、社長、副社長は古い体質のままで、一向に改善が進まない。関連会社の会長に君臨し、会社の予算を湯水の如く使う者、官僚との癒着に精を出し平社員を奴隷のように使うもの、組合の統合を防ごうと暗躍する労務担当役員など。その中で恩地は被害者に向き合い、労働者の立場で行動するが、金をつかまされたマスコミにも叩かれ、追い込まれる。政治家と結びついた裏金づくりがひょんなことから東京地検に伝わり、役員に捜査の手が伸びるが、恩地はアフリカへの転勤を命ぜられる。事実に近いこと、近いかもしれないと思えることなどが混ざって複雑な気持ち。
Posted by ブクログ
ー 無責任体質と派閥人事が横行している社内では、良心に基づいて、監査を行うことは、非常に勇気がいることであった。
和光自身は、五年前、監査役に就任した時、監査役たる者の「五シンの戒め」を自らの言葉で記し、座右の銘としていた。
一、私心を捨てること。
二、保身を捨て使命に生きること。
三、邪心を捨てること。
四、野心を捨てること。
五、慢心を捨てること。
この五シンの戒めをもって、公正に職務を行おうとすると、周囲からそれとなく疎外され、孤立して、会社が抱えている重大な問題が真剣に論議されることはなかった。 ー
涙無くしては読めない作品。
こんな名作を今まで読まなかったなんて後悔。
人としてどうあるべきか、考えさせられる作品。
Posted by ブクログ
人は差別する生き物、人の争いは全て支配欲から生まれる、というのは宮部みゆきさんの中でも、ネガティブながら私の大好きな言葉です。
その言葉を墨汁たっぷりででかでかと書いたような作品。これが巨人の筆なのね。
Switchを子どもに買い与えて幸せ〜なんていう私の生活は、作者の表現を借りれば「塵芥」なるものです。でも出世や権力、利権なんていう怖いものから遠ざかろうとすると、究極ブッダやガンジーやマザーテレサみたいな清貧に身を置かなければ一生何か欠けたまま終わるんでしょう。
もしくは死と隣り合わせの極限の冒険とか?
悲しいかな。一兵卒マインドよ。
いくら蓋をしても避けがたく支配と羨望とにまみれる私には、世界で最も危険な動物。それは檻の鏡に映った私。
なんていうたまげた発想は、その危険を無自覚なだけに罪の意識を鮮明にします。
はぁ。誰か大物に気に入られないかなぁ。(塵芥)
Posted by ブクログ
ついに読み終わったという感が否めない。内容が重厚で、読めば読むほどに楽しいものでないだけに、ずいぶんと読み終えるのに時間がかかってしまった。そのため、序盤の方とかは、かなり記憶から薄れ、語れるほどに覚えていない。
まさに、こうして重大な事故の記憶は、過去の話になっていってしまうのだろう。
国見の「更迭」から、恩地のナイロビへの赴任。事故の真実、会社の腐敗の是正に尽力した二人の主人公の結末は、まったく希望を見せず、いかに正義を突き通すことが絶望的であるかを物語っているように見える。
物語の中でたびたび利根川総理らが、「国見には政治ができない」ということを言うが、正しいことをするためには、正しいだけではダメなのだという教訓は、得ていいものなのかどうか、躊躇われる。本質的な問題にとっては、極めてどうでもいいはずのことだが、なぜ国見は、総理からもらった「王道」の額を外さなかったのか。なぜ恩地を会長室に迎え入れたのか。なぜ共産党に挨拶に行ったのか。たったそれだけのことで、もし国見のしようとしたことが、些細でも成就したのであれば、国見は「政治」をすればよかったのではないかとも思えてくる。
引用を引いてこれるほど、記憶に残せるほど読めていないので、雑な引用になるが、最後の一段落を引いておきたい。
何一つ遮るもののないサバンナの地平線へ黄金の矢を放つアフリカの大きな夕陽は、荘厳な光に満ちている。それは不毛の日々に在った人間の心を慈しみ、明日を約束する、沈まぬ太陽であった。(p409)
もはや、恩地のような人々の乾いた心を慈しんでくれるのは、広大なサバンナを「沈まぬ太陽」だけなのである。それは、希望の光であるように見えて、もはや明日を約束してくれる人は、いないのだという絶望でもある。
御巣鷹山事故から四十年。この小説が書かれてから、二十六年が経った。民間を知らない身としては、現代の企業や公務員の世界が、もはやこうはならないよう、一職員の仕事の「本懐」を全うしようとすることしかできないのである。
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