山崎豊子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
白い巨塔の最終巻です。
沈まぬ太陽に続き、2作目にこちらを読みました。
山崎豊子作品の人生の複雑に絡み合った思惑を堪能できました。
読者にも寄り添った結末なんだろうなと、沈まぬ太陽よりは後味が良かったです。
前巻では、財前側の弁護士が証人の夫を賄賂で丸め込もうとしたところで、証人になることを躊躇していた元看護婦長が出廷する流れになり話後終わった。
今回も財前は選挙と裁判を掛け持ちして戦うことになるが、度重なる心労に、柳原医師に責任を押し付ける発言をしてしまうことで、新たな証拠を引き出すことになる。
裁判は異議と正当な理由があれば、最高で3回まで行えることを知った上でどのような結末になるの -
Posted by ブクログ
人は差別する生き物、人の争いは全て支配欲から生まれる、というのは宮部みゆきさんの中でも、ネガティブながら私の大好きな言葉です。
その言葉を墨汁たっぷりででかでかと書いたような作品。これが巨人の筆なのね。
Switchを子どもに買い与えて幸せ〜なんていう私の生活は、作者の表現を借りれば「塵芥」なるものです。でも出世や権力、利権なんていう怖いものから遠ざかろうとすると、究極ブッダやガンジーやマザーテレサみたいな清貧に身を置かなければ一生何か欠けたまま終わるんでしょう。
もしくは死と隣り合わせの極限の冒険とか?
悲しいかな。一兵卒マインドよ。
いくら蓋をしても避けがたく支配と羨望とにまみれる私に -
Posted by ブクログ
今の労働環境が、いかに恵まれているものなのかを改めて実感しました。会社による不当な人事や、労働組合への露骨な圧力といった描写は、現代ではなかなか想像しにくいものです。
また、「昔のJALは事故が多かった」と漠然と聞いたことはありましたが、本作を通してその背景がよく理解できました。訓練が不十分なパイロットを、人手不足を理由に採用していた事実、そしてその原因の一つが労働組合への圧力にあったという点が、非常に具体的に描かれていたのが印象的でした。
後半では恩地の活躍が描かれますが、弾劾裁判での証言以外は比較的控えめで、その分、家族が少しずつ崩壊していく様子が胸に刺さりました。読んでいて辛い場面も -
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山崎豊子『大地の子(一〜四)』
現在の日中関係を考えるうえで、本作は中国という国の性質を理解するための格好の教材だと言えます。中国共産党の中枢まで克明に描写できたのは、胡耀邦元総書記による取材協力があったからこそでしょう。これほど深く内情に踏み込んだ著作は、今後二度と現れないのではないでしょうか。
かつてNHKでドラマ化された際や、山崎豊子さんの著作であることは以前から知っていましたが、どこか暗いイメージを抱き、敬遠していました。そんな私が本書を手に取ったきっかけは、2024年7月の日経新聞の記事です。「中国宝山との合弁解消」というニュースに接し、「『大地の子』半世紀に幕」という言葉に強く -
Posted by ブクログ
ネタバレ面白いの一言に尽きる。ページをめぐる手が止まらなかった。恩地のカラチ勤務の過酷さが想像を超えており自分がその立場だったら逃げ出してていたと思う。そのくらい劣悪な環境だった。当時の大企業の雰囲気や団交の激しさ、容赦ない左遷人事がリアリティに描かれており大企業の人事は非情なものだと痛感させられる。一方で恩地についてはもう少し上手く立ち振る舞いが出来れば風向きを変えられたのではないかと思ってしまう部分もある。正しさだけでは組織では生きられないことを説得力を持って描かれている。
八馬のように経営者側と持ちつ持たれつで関係を築きながら出世していく委員長が多い中で組合員のために自我を犠牲にして闘う姿は何度