山崎豊子のレビュー一覧
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私の会社のボスが雑談で話題に上げた「白い巨塔」は思ったより、いや想像以上に人間社会の醜聞を見事に描き表している。
一巻では財前五郎助教授が国立大学病院の教授ポストを巡り政争に挑む。。。ドロドロ。。主人公を含め各者が自己の利益の為だけに頭と身体と金と人脈を使う。
東教授の退任に伴う、後継教授の選任なのだけれども、若手花形外科医として注目される財前助教授に退任後の自分の地位を脅かされかねないと、東教授は直属の部下であるはずの財前の変わりに他大学からの移入教授を画策する。
その心の内側が生々しい。
一 人事なんてものは、所詮、こんなつまらぬ些細なことで決まるものなんだ、何もこの場合だけじゃない、他の多くの場合だって、大なり小なり、こうした要素をもっている、人間が人間の能力を査定し、一人の人間の生涯をきめる人事そのものが、突き詰めてみれば必ずしも妥当ではない、残酷な、そして滑稽な人間喜劇なんだ___
山崎豊子恐るべし。
昭和40年の作品、ドラマで何度もリメイクされる理由がわかる。
財前の同期である心の澄んだ里見助教授に希望を持ちつつ二巻へすすむ。 -
Posted by ブクログ
話は、ドイツ、ベルリンの壁が存在する西ドイツから話が始まり、東西で分断された壁で医学も分断されていた。
時代を色濃く反映したシーンでした。
財前が不在の病院で、がん患者が息を引き取り、数時間前まで生きていたのに解剖され臓器ごとに分けられるシーンは、考えればそうなのだが、実際に物語の上で流れを追って認識すると命の重さと命が失われた後の肉体がただ存在するのを実感した。
財前は本当に名声と自分の技術を振るうことが好きなんだなと、オペラ座近くのレストランのシーンで思う
何も知らない財前が帰国して、訴えられていることを空港で知りその足で、すぐに鵜飼教授に会いに行く様は、教授選さながら、
裁判では、不安がよぎり大丈夫と自分に言い聞かせつつも、不安で仕方ない傲慢な財前が描写されています。
里見先生は、証人として発言することで、自分の立場が危うくなるとわかりながら、最後の最後まで貫く姿は、カッコ良くもあり、患者様に寄り添う生真面目なお医者様なんだなと、
どちらがいいかという話では無いが、
この2人がいるからこそ、この話は面白くなる。
東前教授や、東佐枝子は登場回数こそ少ないが、それぞれの立場からの言葉には重みがありよかった。
裁判結果は次巻と思っていたので、意外だった。
それよりも4巻が気になって仕方ない!! -
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4巻通してaudible で聞いた。
終わって安堵感。
良い終幕だった。これ以上一心に辛いことが起きないことを願うのと、小説が終わったことでその出来事から解放されるような気持ちに似た安堵感だと思う。
それほどまでに辛い内容だった。
一心や妹のあつ子のような境遇の残留孤児はたくさんいたのだろう。子供の頃にテレビで見ていた残留孤児のニュースを思い出す。
残留孤児の話と製鉄所建設の話が絡み合いながら、当時の日本と中国の世情もよくわかる。
あとがきには、当時中国側に取材した時の様子もあり、好意的だった指導者から、政治が変わると、一変して取材不可になったりと苦労の様子が伺える。
二つの祖国と大地の子は、時々読み返さなければならない作品だと改めて思う。
今回audible で聞いたけど、とても聞きやすく良かった。
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財前教授と患者の裁判が中心。
後半あたりの癌専門の教授の言葉が印象に残った。
本件は患者と医師の信頼関係が構築されていなかったこと、また医師の倫理観の欠如によって引き起こされたものという言葉。確かにそうだなーとついうなづいてしまったほど。
手術したけど残念ながらなくなってしまうことは今でも起こりうる。それでも医者が懸命に寄り添ってくれたのかどうかによって患者やその家族の心象は異なり、死後に解剖、ましてや裁判などの行動は起こさないかと思う。
どんな職場でも信頼関係が大事。
裁判では術前に検査を行ったのか、癌の転移の可能性に気づいていたか等の医学専門的なところで論争が絶えないが結局1番大事だったのは患者に寄り添っていたかどうかに尽きると思う。
とはいえ、結果裁判は財前教授の勝利。
原告側にたち、証人となった里見は退職。。。常に自分の正しいと思う道をきた里見。診療や研究のみを丹念に行っていた里見に非情すぎる結末。悲しくなるので早く続きを読みたい。 -
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面白い!
唐沢寿明主演のドラマが大好きなので原作を読んでみた。ドラマは概ね原作に忠実に描かれていたんだなー。不倫相手のケイコさんが関西弁を話すことに少し違和感はあるけど。
第一弾では次期教授戦の話がメイン。
腕のいい部下だけどプライドが高く性格が気に食わないためにどうしても次期教授にさせたくない、東教授。義父親、部下、お金、何を使ってでも教授のポストが欲しい財前。教授などの地位には全く興味なく、学問を追求することだけに目を向けている里見。自分の次のポストを狙い動く、舟尾や鵜飼。
様々な考えを持つユニークな登場人物が描く人間物語。中でも東教授は最も人間らしいなと感じる。気に入らない人に自分の後任なんて任せたくないよね。
今の会社なんかにも当てはまるのではないかな、人事は基本は人間関係。能力ももちろんだけどコミュニケーションが1番大事。白い巨塔ではこれに加え、投票者それぞれの思惑が交錯するのでさらに面白い。第二巻はいよいよ教授戦、結果は知っているけどどう描かれるのか楽しみ。
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一心を取り巻く人間関係と、製鉄所建設の話とが入り混じり物語が進むにつれ引き込まれていく。
国策としての開拓団、そして国が起こした戦争の被害者となった多くの孤児達の話は読むだけでも胸が苦しくなる。
一巻の一心の時も辛かったけど、妹の話になるとさらに辛い。引き取られた養父母によっても境遇は大きく異なる。
今、こうして小説として読んでいるけれど、たくさんの人が同じ思いをしていた歴史があったことを思うと辛すぎる。
製鉄所建設の話も、これだけ考えの異なる国同士で一つのことを行うのは大変だろうと思わざるをえない。おそらく今日に至っても変わってないのだろう。
一心と妹がこの先どうなるのか、日本の親に会うことができるのか、次巻が楽しみ。
実際読者は一心が松本と会っていることはわかっていて、知らぬは本人達だけという状況になっているのが、山崎豊子さんの上手いなと思うとところ。
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史上最悪の航空機事故を起こした会社を復活させるべく、関西の紡績会社から社長が送り込まれる。総理や総理の参謀が三顧の礼で迎えた「会長」だが、社長、副社長は古い体質のままで、一向に改善が進まない。関連会社の会長に君臨し、会社の予算を湯水の如く使う者、官僚との癒着に精を出し平社員を奴隷のように使うもの、組合の統合を防ごうと暗躍する労務担当役員など。その中で恩地は被害者に向き合い、労働者の立場で行動するが、金をつかまされたマスコミにも叩かれ、追い込まれる。政治家と結びついた裏金づくりがひょんなことから東京地検に伝わり、役員に捜査の手が伸びるが、恩地はアフリカへの転勤を命ぜられる。事実に近いこと、近いかもしれないと思えることなどが混ざって複雑な気持ち。
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Posted by ブクログ
エリート社員だった主人公が、思わぬ不本意な形で労働組合の委員長を引き受けることになる。元来の真面目さ、誠実な性格で、末端の社員の賃金引き上げなどの処遇改善を掴み取るが、一本気な進め方が災いし、また、たまたま首相フライトを交渉の材料に使ったということで、経営陣との対立が決定的となる。その報復人事とばかりにパキスタン、イラン、ケニアの駐在として10年間のいわば流刑に処される。この間、良い出会いもあるのだが、家族も疲弊、出世もおぼつかず、さまざまなハードシングスで発狂寸前まで追い込まれる。大企業や保身に走り自分のことしか考えない役員の嫌なところを煎じ詰め、煮詰めて、かたまりにしたような話。現代であれば、即炎上、裁判あるいは転職という選択肢もあるだろうが、当時はそういう選択肢はなかったのだろう。とはいえ、別の形で残っているだろうから、やはり大きな組織、権力者は怖いものなのである。