山崎豊子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
2001年(発出1999年) 484ページ
2巻を読み終わって感じたことは、モデルである日本航空の御巣鷹山墜落事故、そして、日本航空経営破綻をニュースで見聞きしていた過去の経験から、ナショナル・フラッグ・キャリアにはこの先も暗雲が待ち構えているのだと教えてあげたくなるような気持ちです。この小説が書かれた頃は倒産はしていないけど、さもありなんと思わせるような中身の濃い2巻でした。3巻の御巣鷹山編は心して読もうと思いました。
私事ですが、風邪をひいて小説を読むのも辛かったのですが、この2巻目は途中をAudible で聞きました。Audible といっても聴き流しでは内容が入ってこないのである程度 -
Posted by ブクログ
2001年(発出1999年) 410ページ
『この作品は、多数の関係者を取材したもので、登場人物、各機関・組織なども事実に基き、小説的に再構築したものである。』
小説の冒頭にあるとおり、この物語は日本航空と日本航空社員・小倉寛太郎氏をモデルとした作品です。山崎豊子さんの小説は初読みですが、綿密な取材によるリアリティ、スケールが大きくまた美しい自然の描写、しっかりとした人物造形、骨太な文章で、1冊目でとても好感を持ちました。
モデルとなった時代背景や登場人物も古風な趣きを感じさせますが、魅力的な人物が多かったです。
主人公の恩地、私は大好きです。確かに、立ち回りは下手くそで家族・親戚を悲し -
Posted by ブクログ
ネタバレ一巻読破からすぐに二巻開始。パキスタンからイラン、ケニアへ赴任させられ、約十年に及んだ僻地勤務が恩地の心情の変化とともに描かれている。
あと少しで日本に帰ることができる、と思い続け目の前の仕事に励むものの、本社から裏切られ続け、最後のケニアでは精神的に限界を迎える恩地。子供がいる身として、10年間子どもと日本で安心して暮らせなかった恩地の身になれば、これほど辛いことはないだろう。
会社に人生を踏み躙られたのだ。会社とは従業員を幸せにすることに存在意義があり、一部の経営陣のためにあるものではない。そんな経営陣に靡かず戦い続けた恩地の信念の強さに感服した。ただその信念を曲げなかった故に家族を巻き込 -
Posted by ブクログ
山崎豊子さんの未完の遺作。
三部作になるはずだった物語の第一部。
海自の潜水艦「くにしお」と釣り船の衝突により民間人30人の命が奪われる。
世間の批判の目に晒される自衛隊。
海軍内での居場所を失う「くにしお」の乗組員たち。
若き士官、花巻の目線からストーリーは展開していく。
深い海の中でひっそりと、日々命懸けで国防に携わっている彼らの任務。
行間から、彼らの任務の息詰まる緊張感を感じる。
この物語は単なる裁判ものではない。
巻末に作者の没後、プロジェクトチームがまとめたその後のストーリーがおおまかに掲載されている。
真珠湾攻撃にまで遡る壮大なスケールに圧倒され、もはや読むことが叶わないの -
Posted by ブクログ
医学部教授選の選考委員会を経て、最終候補は助教授の財前五郎、金沢大学の菊川教授、徳島大学の葛西教授の3人に決まる。
五郎を勝たせるため、舅の又一は「まるで汽車の切符を買うように」(p.32)金をばら撒き、票固めをする。
医師会の岩田を通して鵜飼医学部長を味方に付けている財前陣営は、31票のうち「臨床の票は、ごっそり取れる」(p.46)との見通しをもつ。
(岩田)「大学の教授選での金の出し方は、ちょっと演技がいるのや、金が金と見えんような品位のある演技がな」
(又一)「ほう、品位? そんな一銭にもならんものまで、欲しがりますのんか」
一方の東は菊川を後任に、また娘の佐枝子の配偶者としても、と