山崎豊子のレビュー一覧

  • 沈まぬ太陽(二) -アフリカ篇・下-

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    ネタバレ

     恩地が去ってからの本社には、会社の御用組合である第二労働組合ができる。
     第二労働組合は第一労働組合から人員を引き抜いた為、第一組合へ残る組合員はわずかな人員となった。
     恩地が後を託した第一組合の委員長の沢泉からの郵便メールで、現在の第一組合の実情を知らされる。
     かつての労働組合の幹部は劣悪な環境の売却資材倉庫や資料管理室へ追いやられた。第二組合に移籍しない、第一組合員は、第二組合の人間の監視のもと、支店に日がな一日椅子に座らせられて、無為に過ごすことを強制されていた。
     話を聞かされた恩地は憤り、本社への不当人事に対抗する憤りを募らせた。

     パキスタンからイラン、そしてケニアへと、僻

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    2024年03月17日
  • 白い巨塔(五)

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    今も何度もテレビで再放送されており、以前買ってあった原作を読みたくなり手にとった。
    やっと5巻まで全て読み終えた。
    財前が主人公だが、里見のどんな困難があっても
    自分の信念を曲げない生き方が好きです。
    特に4巻からは夢中になって読みました。
    なお4巻5巻は読者の声によりできた続編だそうです。
    題名の白い巨塔とは患者の死の経緯について正しい証言をしたものが大学病院を追われ、患者の診察に誤りを犯したものが、大学病院の名誉と権威を守るという美名のもとに、大学のあらゆる力を結集して誤診を否定し、大学にとどまる不条理とのこと。3巻より。

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    2024年03月12日
  • 大地の子(四)

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    ネタバレ

    ようやく再会した妹だったが、重い病に臥せっており間もなく亡くなってしまう。
    そして、妹臨終の場で実の父と再会する主人公。
    お互いに、仕事の立場の違いからすぐに打ち解けることはできない。

    出張で日本に行った際、主人公は父の自宅を訪れ、母や妹達の仏壇に手を合わせることで父と打ち解けることができた。
    しかし、このことが原因でライバルに足を引っ張られ、主人公は左遷されてしまう。

    1年あまりを経て主人公の冤罪は晴れるが、その窮地を救ったのが元カノというのが意外だった。

    悲願であった日中共同の製鉄所もようやく稼働することができ、終始仲の悪かった日中間も和解する。

    そして、物語の終盤、主人公と日本の

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    2024年03月08日
  • 大地の子(四)

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    ひたすら心に重く、戦争への怒りでいっぱいで、読むのがつらかったです
    これが今からそう遠くない昔のこととは。

    運命の過酷さを受け入れられない、納得できないと思いながら読み続け、最後の最後でもう全身に衝撃なほどの納得と涙が
    この世から戦争がなくならない限り、今もどこかの紛争地で同じような人たちがいるかと思うと、本当につらいです。

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    2024年02月25日
  • 白い巨塔(五)

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    五巻に及ぶ長い小説が遂に完結。
    胸が締め付けられる。なんとも言えない辛い気持ち。
    気づいたのですが、財前教授に感情移入し過ぎて、もっと活躍して欲しい。もっともっと困難に打ち勝って自信に満ちた物語を見せて欲しい。そう願いながらこの小説を読んでいたようです。
    最期まで誇り高い態度で人生を駆け抜けた財前五郎に本当に感動した。
    ありがとうございました。

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    2024年02月21日
  • 沈まぬ太陽(三) -御巣鷹山篇-

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    年始の羽田空港での事故をきっかけに読んでみようと思った作品。御巣鷹山の123便墜落事故が起こったことは知っていましたが、詳細は知りませんでした。

    123便がレーダーから消え、墜落、炎上するところから、事故地点の確認、ボイスレコーダーやフライトレコーダーの捜索、機体の残骸の回収、原因究明。一方で、生存者の有無や救出、遺体の検視、遺体確認、遺族の方のお世話、お通夜や葬儀の手配、補償まで細かく描かれいます。

    直接的な原因は整備不良ですが、その背景にある企業体質も大きな問題だと感じました(責任を感じていないようなJALの態度に苛々)

    520名の命を一瞬にして奪うだけではなく、遺族の人生も狂わせる

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    2024年02月18日
  • 不毛地帯 第五巻

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    『不毛地帯』第5巻。

    近畿商事・副社長となった壱岐正。
    商社マン最後の仕事として、イランでの油田採掘に奔走する。

    先手を打つも、政界、競合からの巻き返しにより、独立系石油メーカー・オリオンオイルとの共同で入札に挑むことに…

    なんとか、採掘権を得たものの、第4井まで石油の出る兆しはなく、窮地に…

    一方、社長・大門は綿花相場で莫大な焦付きを抱えていた…

    壱岐の見事な商社マンとしての生き様だった。
    異例の昇進に対する周りからの嫉妬にも臆せずに自分を貫き通した、壱岐の強さ。

    『国家のために』を判断基準とし、最初は大本営参謀として、第2の人生では、近畿商事の企業参謀として、常に戦いの中に身を

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    2024年02月11日
  • 女系家族(下)

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    上巻の終わり方から、最後に妾のほうから逆襲があるとは思っていたが、こんなにも鮮やかなどんでん返しになるとは、、遺産相続を舞台に、相続される側の骨肉の争いの中で、自分だけは損したくないという醜さとともに、相続する側の積年の恨みの深さ、関係者もすべて自分の利得のために動き続ける醜さを、これほどまでに生々しく、ありありと描かれていて、山崎豊子の真骨頂だと感じた

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    2024年02月07日
  • 白い巨塔(三)

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    前半に描かれている、ドイツの風光明媚な自然、城、街並み、レストランと財前教授の感性にはうっとりとさせられた。羨ましいほど絶頂期を迎えた男の姿が活き活きと描かれていた。
    変わって、後半はドロドロの裁判戦。流石にもうダメか、と思われるところまで追い詰められ、ドキドキがとまらないまま一気に読み切ってしまいました。
    読み応えのある第3巻でした。

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    2024年02月06日
  • 白い巨塔(二)

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    教授になり益々政治力を身につけた財前が魅力的。著者は他の作品でもそうですが、権力に魅せられ翻弄される人物を本当に活き活きと描かれる。
    面白い一冊。

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    2024年02月01日
  • 白い巨塔(一)

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    かなり以前にテレビドラマでやっていたので、なんとなく手を出さずにいた本。
    己の欲望によくもまぁこんなにも正直になれるものだと半ば呆れてしまうくらい濃いキャラクターが続々と出てきます。
    改めて顔をしかめるとともに、著者のリアリティへのこだわりに心底感心してしまいます。
    いや、すごい小説です。

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    2024年01月17日
  • 不毛地帯 第五巻

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    ネタバレ

    田淵幹事長…一体誰がモデルなんだ…(笑)
    5巻はずっとイランのサルベスタン石油の話、千代田自動車が後味悪かった(最終的にはめでたしになるんだけど)のに対してこちらは小気味よく進んでいく。裏のえげつない部分もFXと比べたら露骨でない(と言うか露骨に見せていない?)ので読みやすい。
    でもせっかく苦労して掘り当てた石油も数年後にはイラン革命で全部おじゃんになっちゃうんだよね。山崎豊子がこれ書いていた時期もギリギリイラン革命前だしなんとも複雑な感情を抱く。

    最終的に大門社長の引退と同時に壹岐も会社を去り、シベリアで物語は終わる。千里とはおそらく結婚したんだろうけど、安易なハッピーエンドにせずあそこで

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    2024年01月14日
  • 二つの祖国(四)

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    ネタバレ

    第4巻目は東京裁判の後半部分が展開される。
    天羽賢治は東京裁判の言語調整官として、日々の裁判に臨んでいた。
    裁判が進むにつれて、勝者が敗者を裁く様相が明確に成っていった。
    最初は公正な裁判を望んで、その一助になればと思い、臨んだ賢治であったが、
    裁判が進むにつれて、その実相は裁判という体裁を整えただけの、勝者が敗者を裁く不正な内容だった。
    賢治は裁判が進むにつれて、煩悶する日々が続いた。
    日本に来ている賢治の妻エミーとも夫婦喧嘩が絶えなかった。
    かつての同僚の椰子との付き合いにだけ、心が癒される賢治だった。
    椰子は広島での被ばくが元で白血病になる。
    日々衰えていく椰子を、裁判が忙しく見舞いにも

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    2024年01月04日
  • 不毛地帯 第一巻

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    15年ほど前にドラマ化された事もあるので知っている人も多いと思うが、この1巻だけでも原作を読んでほしい。シベリア抑留の壮絶な内情が見て取れる。
    戦争はしてはいけないものだが、それ以上に負けてはいけないものということを強烈に認識させてくれる。
    ウクライナは早くロシアに降伏した方が被害が少ないとか言ってる頭お花畑の諸氏はこれ読んで反省を大にしていただきたいところ。

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    2023年12月30日
  • 沈まぬ太陽(一) -アフリカ篇・上-

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    恩地元の生き方に励まされる。山﨑豊子さんの緻密な取材に基づいた日航機墜落をベースに作られた作品。何度も何度も読み返す名作。日曜劇場での渡辺謙がハマり役だった。

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    2023年11月28日
  • 二つの祖国(二)

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    ネタバレ

    日系二世の天羽賢治の弟の勇はアメリカの軍隊に志願して一兵卒として、ヨーロッパ戦線で戦っていた。
    勇が所属する、三十六師団四四二部隊(日系二世部隊)はテキサス大隊の救出に向かわされる。
    275人のテキサス兵を救う為に、日系人は200人以上が死亡し、約600人が負傷した。
    ここでも日系人は虐げられていた。
    勇は死亡し、認識票のみが、ツールレークの隔離収容所に居る天羽の家族に渡された。
    勇の葬儀には、天羽乙七、テル、賢治と同じ収容所の大野保と長男夫婦、娘だけだった。
    乙七の胸にはヨーロッパ戦線で戦死した四四二部隊の息子の表彰と勲章の授与式が、鉄条網の中で行われたことに対する怒りと屈辱があった。
    一方

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    2023年11月24日
  • 沈まぬ太陽(四) -会長室篇・上-

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    事故後1年も経ってないのに、賄賂やキックバックで私腹を肥やすことしか考えない上層部面々。こんな会社ほんとにあるんだなー

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    2023年11月23日
  • 大地の子(三)

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    涙、涙。事実に基づく、色々な取材から、丁寧に何十年とかけて作られた作品と巻末にあったが、リアルさや感動が他の小説と違う。

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    2023年11月22日
  • 華麗なる一族(下)

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    尋常じゃない取材の基に成り立っている。この先を是非読んでみたいと思った。男の卑しさを捉える表現は秀逸。

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    2023年11月16日
  • 沈まぬ太陽(二) -アフリカ篇・下-

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    主人公が3箇所目の僻地勤務に携わる過程で、生活にも慣れ、狩猟という趣味を見つけ、それなりの妥協を見出しはしたが、会社に対する怒りや孤独が徐々に精神を蝕んでいたという部分が衝撃的だった。
    10年間の僻地勤務がようやく終わった。

    会社の利益追求するあまりに社員を大事にしない姿勢が、立て続けに飛行機事故を起こしてしまった。起こるべくして起きた墜落事故。それでも企業は保身に走るもんなんだなぁ。巨大企業の恐るべき裏面を見た。

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    2023年11月13日