山崎豊子のレビュー一覧
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ネタバレ恩地が去ってからの本社には、会社の御用組合である第二労働組合ができる。
第二労働組合は第一労働組合から人員を引き抜いた為、第一組合へ残る組合員はわずかな人員となった。
恩地が後を託した第一組合の委員長の沢泉からの郵便メールで、現在の第一組合の実情を知らされる。
かつての労働組合の幹部は劣悪な環境の売却資材倉庫や資料管理室へ追いやられた。第二組合に移籍しない、第一組合員は、第二組合の人間の監視のもと、支店に日がな一日椅子に座らせられて、無為に過ごすことを強制されていた。
話を聞かされた恩地は憤り、本社への不当人事に対抗する憤りを募らせた。
パキスタンからイラン、そしてケニアへと、僻 -
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ネタバレようやく再会した妹だったが、重い病に臥せっており間もなく亡くなってしまう。
そして、妹臨終の場で実の父と再会する主人公。
お互いに、仕事の立場の違いからすぐに打ち解けることはできない。
出張で日本に行った際、主人公は父の自宅を訪れ、母や妹達の仏壇に手を合わせることで父と打ち解けることができた。
しかし、このことが原因でライバルに足を引っ張られ、主人公は左遷されてしまう。
1年あまりを経て主人公の冤罪は晴れるが、その窮地を救ったのが元カノというのが意外だった。
悲願であった日中共同の製鉄所もようやく稼働することができ、終始仲の悪かった日中間も和解する。
そして、物語の終盤、主人公と日本の -
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年始の羽田空港での事故をきっかけに読んでみようと思った作品。御巣鷹山の123便墜落事故が起こったことは知っていましたが、詳細は知りませんでした。
123便がレーダーから消え、墜落、炎上するところから、事故地点の確認、ボイスレコーダーやフライトレコーダーの捜索、機体の残骸の回収、原因究明。一方で、生存者の有無や救出、遺体の検視、遺体確認、遺族の方のお世話、お通夜や葬儀の手配、補償まで細かく描かれいます。
直接的な原因は整備不良ですが、その背景にある企業体質も大きな問題だと感じました(責任を感じていないようなJALの態度に苛々)
520名の命を一瞬にして奪うだけではなく、遺族の人生も狂わせる -
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『不毛地帯』第5巻。
近畿商事・副社長となった壱岐正。
商社マン最後の仕事として、イランでの油田採掘に奔走する。
先手を打つも、政界、競合からの巻き返しにより、独立系石油メーカー・オリオンオイルとの共同で入札に挑むことに…
なんとか、採掘権を得たものの、第4井まで石油の出る兆しはなく、窮地に…
一方、社長・大門は綿花相場で莫大な焦付きを抱えていた…
壱岐の見事な商社マンとしての生き様だった。
異例の昇進に対する周りからの嫉妬にも臆せずに自分を貫き通した、壱岐の強さ。
『国家のために』を判断基準とし、最初は大本営参謀として、第2の人生では、近畿商事の企業参謀として、常に戦いの中に身を -
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ネタバレ田淵幹事長…一体誰がモデルなんだ…(笑)
5巻はずっとイランのサルベスタン石油の話、千代田自動車が後味悪かった(最終的にはめでたしになるんだけど)のに対してこちらは小気味よく進んでいく。裏のえげつない部分もFXと比べたら露骨でない(と言うか露骨に見せていない?)ので読みやすい。
でもせっかく苦労して掘り当てた石油も数年後にはイラン革命で全部おじゃんになっちゃうんだよね。山崎豊子がこれ書いていた時期もギリギリイラン革命前だしなんとも複雑な感情を抱く。
最終的に大門社長の引退と同時に壹岐も会社を去り、シベリアで物語は終わる。千里とはおそらく結婚したんだろうけど、安易なハッピーエンドにせずあそこで -
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ネタバレ第4巻目は東京裁判の後半部分が展開される。
天羽賢治は東京裁判の言語調整官として、日々の裁判に臨んでいた。
裁判が進むにつれて、勝者が敗者を裁く様相が明確に成っていった。
最初は公正な裁判を望んで、その一助になればと思い、臨んだ賢治であったが、
裁判が進むにつれて、その実相は裁判という体裁を整えただけの、勝者が敗者を裁く不正な内容だった。
賢治は裁判が進むにつれて、煩悶する日々が続いた。
日本に来ている賢治の妻エミーとも夫婦喧嘩が絶えなかった。
かつての同僚の椰子との付き合いにだけ、心が癒される賢治だった。
椰子は広島での被ばくが元で白血病になる。
日々衰えていく椰子を、裁判が忙しく見舞いにも -
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ネタバレ日系二世の天羽賢治の弟の勇はアメリカの軍隊に志願して一兵卒として、ヨーロッパ戦線で戦っていた。
勇が所属する、三十六師団四四二部隊(日系二世部隊)はテキサス大隊の救出に向かわされる。
275人のテキサス兵を救う為に、日系人は200人以上が死亡し、約600人が負傷した。
ここでも日系人は虐げられていた。
勇は死亡し、認識票のみが、ツールレークの隔離収容所に居る天羽の家族に渡された。
勇の葬儀には、天羽乙七、テル、賢治と同じ収容所の大野保と長男夫婦、娘だけだった。
乙七の胸にはヨーロッパ戦線で戦死した四四二部隊の息子の表彰と勲章の授与式が、鉄条網の中で行われたことに対する怒りと屈辱があった。
一方