山崎豊子のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
前半は主人公の恩地がアフリカでどのような状態で頑張っているかが書かれて、
ひたむきに業務をこなす姿に心打たれました。
後半は日本航空が抱える問題が浮き彫りになり、自分が手配したチケットが原因で問題の渦中へ。
前巻で出てきた登場人物がそれぞれの思いを胸に、問題に向き合う姿は心動かされました。
アフリカで過ごす中で、自分と同じく日本への思いを抱えながら、帰国できない孤独な思いを秘めた人の心中が語れるシーンに
解決した訳では無いが、恩智の孤独が少し和らぐのを感じました。
ハンティングの描写や、剥製を壊すシーンは、作品に吸い込まれるような描写でした。
次巻も楽しみです。 -
Posted by ブクログ
読んだ本 白い巨塔5 山崎豊子 20250518
後書き読んだら、やっぱり4巻以降は続編だった。しかも、財前勝訴への批判の声から続けたとのこと。やっぱりな。正直、裁判の行方としては、色々あったとしてもあんな難しい手術をして誤診って言われたら堪んないだろうって思ってしまう。そこだけで言うと、3巻で終わってた方がリアルだった気がします。
と言いつつ、夢中で読んじゃいましたね。今日だけで300ページ。財前の破滅を描いて溜飲を下げるってだけじゃこうはならないんだと思う。そもそも財前の独善も医者としてのプライド、人の命を救うってところから始まってて、それも難しければ難しいほど悦に入るってのは、悪じ -
Posted by ブクログ
自分の知らない時代の航空業界にまつわる話
史実を元にした小説ということでおすすめしていただきました。
とても読みやすく、主人公の真っ直ぐさ故に茨の道を進むことが最初からわかっている分、救われてほしいと思いながらも、救われるわけではなく、本書の書き出しのアフリカに左遷された途中まで記載された本
この一冊で、アフリカの匂い、大企業での労働組合が向き合う問題、ストライキ、海外左遷、カラチの過酷さ、戦争による空港閉鎖、胃が痛くなるような体験が記されていますが、読み進めたくなります。
戦争を経験した人たちのセリフに、私と世代が違うからこその尊さを感じました。
なぜアフリカに至ったのかはまだ書か -
Posted by ブクログ
国見正之会長がカッコ良すぎる。こういう上司の下で働きたい。
三顧の礼と云われ、国見は応えようがなかった。あくまで就任に反対した、上杉社長の顔が思い浮かび、なお躊躇った。だが、同期の中で、戦場へ出ず、生き残った者としての負い目がある。もはや、辞退は許されない。
「二度目の召集を受けたと考え、お引き受け致します」
国見は、万感の思いに押されるように、決意した。(p50)
国見は、内閣総理大臣の利根川総理からの要請として、その陰の参謀である龍崎一清から、未曾有の大事故を引き起こした国民航空会長になるよう懇請される。元々、国見が会長を務めていた関西紡績は、「国家社会への奉仕」を社是にしており、彼自 -
Posted by ブクログ
読んだ本 白い巨塔1 山崎豊子 20250526
ちょっとびっくりしたんだけど、山崎豊子の本って「沈まぬ太陽」以外読んでないんだ。ドラマとか映画でさんざん観てるから読んだ気になってたけど、自分のことながら意外。
で、もう何回も読んだような気がする白い巨塔を読み始めたんだけど、いや、本当に面白い。何も始まらない最初の数ページから面白いってどういうことなんだろう。登場人物の全てが灰汁が強くて権力闘争に明け暮れ、昭和的善人が踏みつけにされるだろうって予感のする話の進み方が、お決まりのようだけどのめりこんじゃいますね。
主人公の財前なんてピンチに陥るんだけど、全然肩入れできない。だのにどこか権 -
Posted by ブクログ
最後は結局、中国人であると自分のことを思うんだと言う感想。日本人であっても、その地で様々な試練を乗り越え、様々な人に出会い形成した人生は、そう簡単には覆らないんだと強く感じた。昼顔すと、そのような状況に陥る一心のような人を生み出した。戦争の残酷さも身に染みて感じた。血の繋がった本当の父親、自分の命にも変えて育ててくれた。中国の父親のどちらを選ぶかと言う選択を迫られる一心の辛さが、身に染みて感じた。
コールを立てる工程の描写については、自分の今の仕事上も、のような思いで建てられた頃なのかと思うと、鉄鋼業に対する見方がかなり変わったように思える。一方で、このようにして、日本が技術供与した中国の製 -
Posted by ブクログ
この本を読んで、さまざまな思いが湧いてきました。
正直に言うと、私は里見先生にあまり共感できませんでした。
一見、誠実で患者想いに見えますが、患者自身の意思を置き去りにしてまで、自分の理想とする医師像を押しつけているように感じたのです。それが、私には偽善のように映りました。
一方で、財前教授もまた、手術の腕は確かでも、人として相手を敬う気持ちが欠けており、尊大な人物に見えました。
法廷シーンや、当時の医師たちの過酷な労働環境など、医療をめぐる社会的な問題が描かれており、考えさせられることが多くありました。
登場人物の中で、私が一番好感を持てたのは大河内教授です。
彼だけが「公正さ」とい