山崎豊子のレビュー一覧

  • 沈まぬ太陽(四) -会長室篇・上-
    国見会長という素晴らしいリーダーがいてくれて、ホッとしました。ようやく恩地さんが認められて、力を発揮できる時がやってきました。ここまで読んできて、リアルな世界の出来事のように感じ、思わず人に話してしまいそうです。どこまでも腐り切っている上層部をどのように切り崩して行くのか、切り崩せるのか、最後まで気...続きを読む
  • 沈まぬ太陽(二) -アフリカ篇・下-
    この時代にアフリカに行く日本人が何人いたことか。ケニアの美しさも、本からしっかりと伝わってきました。また、そんな場所で恩地さんが、気丈に振る舞いながらも、精神的に追い込まれて行く様子も分かります。
    1人の人間をここまで追い詰める会社組織にぞっとしつつ、恩地さんを信じて支える家族や、組合の仲間に感動と...続きを読む
  • 大地の子(四)
    以前に一度読んでいて、再読だったが今回の方が読んでいて辛く感じた。
    解説にあった著者の「戦争は個人を虐殺するのです」という言葉が印象に残った。
  • ぼんち
    面白かった~!
    大正から昭和初期の大阪の老舗足袋屋の跡取り息子、喜久治が主人公である。フィクションではあるが、著者の山崎豊子氏は膨大なリサーチをしており、当時の大阪の商人の暮らしぶり、遊び方や価値観、しきたりなどが良く分かった。想像以上にスケールが大きかった。
    喜久治が生まれた家は、女系3代の立派な...続きを読む
  • 花のれん
     花のれん。

     古き時代の心かよわき女性が、旦那の度重なる失態に呆れながらも、三行半をしたためることはせず、旦那を健気に信じ、共に商いを営んできた。
     人との出会い、繋がり、絆。そのすべてを商売に賭け、自分の人生をも担保にした主人公は、自分が決意した幕引きを遂げた。
     幸せだっただろう。商売繁盛、...続きを読む
  • 白い巨塔(五)
    控訴審となった財前の誤診をめぐる裁判。
    原告側弁護人・関口や、里見の努力によって、財前は窮地に…

    控訴審に、学術会議選挙に、追われる財前に病魔の影が…

    結局、財前がちゃんと診察していれば…ということなんだろうが。
    本当にそうなんだろうか。
    財前だからこそ、初期噴門癌を見つけて、手術することができ...続きを読む
  • 白い巨塔(一)
    国立浪速大学医学部の第一外科助教授・財前五郎。
    彼は食道噴門癌(エソファーグス・クレプス)の手術(オペ)を得意とし、マスコミでも脚光を浴びていた。
    (胃の噴門部に癌が広がっている場合、その部分を切除したあと食道に繋がねばならず、財前がこの難しい食道・胃吻合手術に特に長けているという説明が、ドラマに比...続きを読む
  • 沈まぬ太陽(三) -御巣鷹山篇-
    日航機墜落事故のこと自体を知らない人は少ないだろう。
    ただ、その事故がどうやって起きて、どうして500人以上が亡くなったのか、
    詳しく知っている人の数は年々減っているはずである。

    この作品を最初から読むのではなく、純粋に事故のことを知りたくて、この巻だけ読み始めた。
    あまりに衝撃的な事故を起こした...続きを読む
  • 不毛地帯 第五巻
    長編のラスト一巻。途中、ペースダウンして2ヶ月かかりました。モヤモヤした部分がすべて解決して、スッキリした。
  • 沈まぬ太陽(五) -会長室篇・下-
    沈まぬ太陽を読んで。

     生きること、働くこと、誠実でいること。
     何にも背かず、自分の正義を貫いた人が、なぜ周りの人よりも苦労をしなければならないのか。なぜ日陰に隠されてしまうのか。
     山崎豊子さんの本で、初めて手にした「沈まぬ太陽」は、自分に「生きることの難しさ」と、「耐え難い仕打ちに耐えること...続きを読む
  • 沈まぬ太陽(五) -会長室篇・下-
    沈まぬ太陽(一)~(五)を読んで

     航空会社の理不尽極まりない体制の中、一社員として立ち向かっていく主人公:恩地元の生き様が心を打つ物語。度重なる屈辱を受け続けた彼は自分の信念に対し、常に真っすぐであった。

     労働組合委員長時代は、従業員の為に会社へ向かって真っ向からぶつかっていった。
     カラチ...続きを読む
  • 二つの祖国(四)
    東京裁判がクライマックスを迎える。
    通訳とはいえ、主人公は、一人の日本人に死刑を宣告をすることになる。
    また、広島で奇跡的に助かったはずの恋人は、白血病を発病し、広島の病院に入院してしまう。
    臨終に間に合うことができず、主人公はその後ずっと引きずることになる。

    そんな主人公のお荷物でしかない妻は、...続きを読む
  • 大地の子(四)
    いつも通り通勤の往復の電車の中で眠くなっても眼を擦り我慢して読み続けたが、日本に居てのほほんと今を生活している自分にはには想像も出来ない内容の大作で、よくこんな小説が書けたものだと感心する。
    戦争、文化大革命は出自が日本人であるがために壮絶な経験を経てきたが、だからこそなのだろう、不利を克服し持ち前...続きを読む
  • 二つの祖国(一)
    二つの祖国(一)〜(四) 山崎豊子を読んで

     著書は、日米開戦から戦後にわたるアメリカ在住日系人の物語である。戦中、強制収容所での生活が人々を苦しめ、様々な悲劇が生まれた。

     開戦前、主人公の天羽賢治は、日本人向けに発行している邦字紙「加州新報」の記者として働いていた。父の乙七は、クリーニング店...続きを読む
  • 沈まぬ太陽(五) -会長室篇・下-
    私はこの本をこの歳で読むことができてよかったと思います。まず、私は御巣鷹山の航空事故を知りませんでした。そして、昔は今ほど労基が浸透してなく、窓際族と呼ばれる人々の存在も知りませんでした。この話はフィクションとはいえ作者の多くのインタビューに基づいて作られているから戦後の日本の時代背景のようなものが...続きを読む
  • 二つの祖国(三)
    3巻は、終戦からGHQの進駐、そして東京裁判を中心に物語が進行する。

    主人公のかつての同僚で、密かに想いを寄せていた女性は原爆投下時、広島にいたが奇跡的に助かり、主人公と再開する。

    そして、主人公は、東京裁判にモニター(通訳が合っているかどうかダブルチェックをする人)として立ち会う。
    東京裁判で...続きを読む
  • 大地の子(一)
     大地の子(一〜四) 山崎豊子著を読んで

     大地の子は、中国残留孤児:陸一心(ルーイーシン)の波乱極まる半生。戦後の日中合同ビジネスである宝華製鉄所。二つの切り口で中国の現状を巧みに表現した1987年から1991年にかけての長編小説である。

     この作品を執筆するにあたって、著者のたゆまぬ努力が背...続きを読む
  • 二つの祖国(一)
    山崎豊子作品の戦争シリーズ第二弾。
    太平洋戦争におけるアメリカ在住の日系二世が主人公。
    1巻では、真珠湾攻撃から始まった戦争において、アメリカ在住の全ての日本人が収容所に入れられるところから始まる。

    ハワイでは日系人は少数派ではなかったため、それほど冷遇されなかったらしいが、本土では酷い扱いを受け...続きを読む
  • 二つの祖国(二)
    2巻は主人公が暗号解読官として戦場に出向く話。
    末弟もアメリカ兵に志願するが、ヨーロッパで戦死する。

    そして、主人公は、日本在住の日本で徴兵されたもう一人の弟とフィリピンの戦場で再開する。
    血を分けた兄と弟が敵味方に分かれて戦場で出会うという最悪の場面が現実となってしまった。

    主人公の誤射により...続きを読む
  • 運命の人(一)
    真実をいつまでも国民から隠そうとする外務省の役人達へは嫌悪感しかない。もちろん、外交交渉を成功させるためには時には秘密裏に物事をすすめる必要もあろう。沖縄密約についても、秘密裏にすすめたからこそ交渉が成立し、返還が実現した、オープンにやっていたらいつまでも実現しなかった、というのが外務省の言い分であ...続きを読む