山崎豊子のレビュー一覧

  • 花のれん
    読み出してふと、「山崎豊子作品は毎度モデルになる人物がいるよなぁ。この作品もそうかしらん?」と調べたら、吉本興業の創設者(夫が創設であるが、実質彼女が創り上げたものだ)だった!新喜劇大好きなあたしとの縁を勝手に感じつつ読んだ。大阪・船場・商人街…目から活気が伝わるテンポのいい展開。多加の先見の明、判...続きを読む
  • 大地の子(三)
    中国共産党の権力抗争に翻弄される製鉄所の建設、と、あたかも経済小説の様相を呈してきた第3巻。
    一方で、妹の消息がわかりその最期の場面で、ついにめぐり合う父と子。いよいよ佳境へと展開。

    第1巻のレビューで残留孤児と書いてしまったが、著者は「残留という言葉には、意思があり」、彼らに残留の意思はなかった...続きを読む
  • 大地の子(二)
    養父の命を懸けた尽力によって社会復帰し、家庭を持って生活も落ち着いた主人公。さらに、中国国家を挙げての製鉄所建設に携わり、己の地位を着々と築いてゆく。
    戦争に翻弄され、疾風怒濤の時代を描いた第1巻とは打って変わって、未来に向かって大きく歩みだす第2巻。
    しかし、残留孤児の問題が立ち上がり、高級幹部を...続きを読む
  • 暖簾
    山崎豊子のデビュー作であり、出世作。

    日清戦争後、淡路から裸一貫で大阪の昆布商に丁稚奉公し、苦節10数年、暖簾分けして自らの店を持ち、繁盛させていく主人公の姿が第一部で描かれ、第二部では、主人公の次男が戦災ですべて失った老舗の暖簾を再興していく物語。

    どんなに困難なことがあっても、決して暖簾に傷...続きを読む
  • 不毛地帯 第五巻
     非常に良作。最後まで見事でした。
     油は出るのか出ないのか。このハラハラ感、ぐいぐい読ませること必至。「不毛地帯」というタイトル通り、不毛な結果に終わるのかーーそう思ってたところで、ついに出た時は思わず涙したほど。

     また有能な経営者が老害となっていく様は見苦しかった。
     大塚家具の会長を想起し...続きを読む
  • 華麗なる一族(上)
    なんというひどい、どろどろとした世界なのだろう。自分も酷い扱いを受けているがこれほどではない。コンツェルンの繁栄のために政略結婚をさせられるのは昔の武家社会と同じだ。しかし現実にもあるのだろう。独裁者とそれによって虐げられて非人間的な扱いを受けている人の悲哀さがよく伝わってくる。人間の心の襞までよく...続きを読む
  • 運命の人(四)
    面白かった。ものすごい読み応えのある小説だった。
    何より、著者の圧倒的な取材量にただただ尊敬の意を感じる。

    今までの3巻はこの4巻のための序章だったのではーー山崎豊子という作家は戦争への怒り悲しみを原動力に筆を取っているというから、そんな感想を持つ。
    沖縄に米軍基地がある、ということは無論知ってい...続きを読む
  • 運命の人(三)
    これぞ山崎豊子の真骨頂。
    難解な裁判内容ですら1日で読みきらせる筆力。
    一審での無罪判決を勝ち取るも、控訴審での逆転有罪判決、上告棄却、絶たれた記者生命、堕ちていく弓成氏・・・
    三木昭子の下劣極まりない手記は裁判の結果に等しいほど世論が弓成氏を裁いた。そして家族も・・・
    「ママはまだ夏の真ん中だ」な...続きを読む
  • 不毛地帯 第一巻
    戦争の描写があまりにもリアルで、そして残酷で読んでいられなかった。この時代に何が起こっていたのか知らなすぎた。近畿商事に入社してからの変貌もすごい。
  • ムッシュ・クラタ
    山崎豊子氏といえば、どちらかというと何巻にもわたる大作が有名だが、本書は、表題「ムッシュ・クラタ」をはじめ「晴着」「へんねし」「醜男」の中・短編作品が収録されている。いずれも昭和30年代・40年代に書き下ろされた小作品で、どこか淋しく切なく、心揺さぶられる結末になっている。
  • 沈まぬ太陽(四) -会長室篇・上-
    前巻で史上最悪な飛行機事故を起こしてしまった、国民空港。
    特殊法人な故に、総理大臣ご指名の別会社の会長が、
    国民空港の会長に就任し、腐りきった社内改革のために奮闘する話。

    4巻では、会社の役員やグループ会社の役員の
    利権に溺れている様や、癒着の様子、金策の様子など
    事故を起こした会社とは...続きを読む
  • 不毛地帯 第五巻
    石油採掘権の入札に成功するも、石油は出ない苦しい時期が続く。会社を長年引っ張ってきた社長も、その圧倒的な存在感が害をなすように・・・。

    最後まで、主人公には厳しい状況が続くが、最終的には華々しい成果を挙げ、それでいて身を引くという潔さでもって物語が終わる。



    全5巻。本当に大作でした。
    不毛地...続きを読む
  • 不毛地帯 第三巻
    湾岸戦争で成果を挙げ、アメリカの自動車会社と日本メーカーとの提携に奔走する主人公。

    仕事が国際的になってくるにつれ、陸軍時代とはやり方は異なるが、常に国を背負って仕事に取り組む決意を固めていく。

    そんな中で不意に起こる悲劇・・・
    いったい、何のために働くのか、そんなことを考えさせられる第3巻でし...続きを読む
  • 不毛地帯 第四巻
    自動車会社の提携話を土壇場でひっくり返されたり、イランでの石油開発に苦労したり、と商戦の裏側のとてつもない熾烈な闘いを描いている第4巻。
    ストーリーとして、最終巻でのフィナーレに向かってゆきます。

    それにしても想像するだけでも大変な世界・・・
  • 女系家族(下)
    女系家族による遺産相続。欲望に突き動かされた者に罰が下る。婿養子となった先代は外に女を作り、子供を死前に認知し、のれんを継がせるほど憎んでいた。
  • 不毛地帯 第五巻
    「戦争三部作」と聞き、今まで手に取るのを躊躇っていたが、読み始めると一気に読破。前半の哀しくも驚きに満ちたシベリア抑留の実態も想像を絶する内容であったが、最後の主人公の姿には、清々しさと同時に現代に生きる我々に勇気をももたらしてくれるストーリー展開であった。「組織とは、何か。」、山崎豊子氏が問い続け...続きを読む
  • 沈まぬ太陽(四) -会長室篇・上-
    3巻位からぐいぐい引き込まれ、4巻も私にしては早めに読破。
    大会社及び政治家の世界って本当に黒い。
    魑魅魍魎。

    今も変わらずなんだろうな~。と
    政治資金不正の話がTVで花盛りなだけに、思ってしまう。

    今、本当にクリーンな政治家なんて1人でもいるのだろうか??
  • 不毛地帯 第四巻
    アメリカの大手自動車会社との提携もライバル会社にかっさらわれ、次に浮上してきたには、イランの石油採掘。が、公社の思惑通り、他の総合総社とも共同事業で権利は微細に抑えられる。次なる一手出ようとするも、大博打の感は拭い去れない。千里との関係も、最終巻に向けてどうなるのか?
  • 不毛地帯 第三巻
    新車種の製造・販売が裏目裏目にでる日本の弱小自動車会社。一方、日本進出の足がかりを求めるアメリカ巨大自動車メーカー。そんな矢先に、主人公の愛妻が突然の事故死。愛娘は、競合商社のライバルの息子と結婚。息子は、財閥系商社に入社し、インドネシアへ赴任。
    傷心しきった主人公は、ニューヨークに転勤し、心機一転...続きを読む
  • 不毛地帯 第二巻
    防衛庁の戦闘機選定商戦に勝利するも、陸軍時代の親友を亡くす主人公の壱岐。そして、時間は一気に経過し、中東戦争の時代に。嘱託から常務に昇進した壱岐、商社を取り巻く様々な暗い影が、ヒタヒタと忍び寄ってくる。