山崎豊子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
圧倒的としか言いようがない読後感、、、。
万俵家自体が愛人の相子まで含めた大所帯なのにもかかわらず、万俵家を取り巻く海千山千の怪物達の全てが無駄なく、物語のプロットを崩すことなく描かれている。
上巻、中巻のあからさまな伏線がなかなか回収されないことに疑問を覚えていたが下巻でその全てが漏れなく回収されていて、この筆力たるや、、。
自らの子が命を捧げた会社とついには我が子の命そのものさえも生贄に野望の実現にこぎつけた万俵大介が鉄平が血を分けた実子であることを知ったあのシーンの衝撃は全てを読み終わった後でもずっしりとのしかかり続けている。
こんな小説読んだ後で社会派小説書こうとか思う人いるのかな、 -
Posted by ブクログ
【感想】
上中下3部作の下巻を読み終えましたが、かなり壮絶な終わり方でした。
ちょっと前にドラマで「半沢直樹」を観ていて、池井戸潤特有のスカっとするような勧善懲悪の終わり方を本作品にも期待していたのですが・・・
そこは山崎豊子、容赦がありませんね。残念ながらかなり胸糞悪い終わり方となっていました・・・
この一族、全然華麗じゃねえよ!!!!笑
読んでいて特に、下巻で凋落っぷりを感じたのは、やはり相子に関するエピソードでしょう。
上巻・中巻では思うがままに万俵家を采配し、栄華を極めるような相子でしたが、下巻の途中からは万樹子の里帰りや、次女・二子の縁談がうまくいかないなど自身の影響力の低下が露わ -
Posted by ブクログ
【感想】
中巻を読み終えて・・・・
徐々に鉄平と大介の対立が深まっていき、また鉄平に不運の事態が次々と訪れる。
父子の対立には、鉄平の出生に関する疑惑があるようで、読んでいくうちに大介の鉄平に対する態度が本当に冷たくなっていくのが分かる。
また、本物語で特にイイ味を出しているのが美馬ですね。
大介の懐刀でありながらも、どこか悪だくみをしている様子がありありと見て取れた。
鉄平の高炉建設の説明を聞く箇所がありましたが、「大介は不気味なほど無表情に、美馬はプラモデルでも見るような無感動な顔付で、鉄平の説明を聞いていた」といった風に、大介と美馬の態度は読んでいて本当に戦慄が走りました・・・・
下巻 -
Posted by ブクログ
全5巻通してのレビュー
昭和初期から敗戦までの期間は苦手であるし、小説を読むのも躊躇っていた。
第二次世界大戦に突入せざるを得なかった経緯も、戦時中の「大本営発表」も、その言葉を聞くだけで嫌悪感でいっぱいになるほどだ。
適切な表現が思い浮かばないが、
シベリア抑留中のまさに物理的な「不毛地帯」で過酷な運命にも関わらず生き延び、そして、近畿商事に入社後の精神的な「不毛地帯」にありながら、主人公の壱岐さんが、どれほどの重荷を背負っていたか…想像を絶するものがある。
シベリア抑留中の苦悩や肉体的・精神的なダメージはもちろんですが、帰還後の商社での活躍における裏の部分での苦悩や精神的ダメージは計り -
購入済み
本当に物事を知らないということは、幸せでもあり、不幸でもある。 日本人としてこの時代に生まれたことは、自らの意思ではないが、日本人として先人がしてきたことに対する検証と、反省と、また、それらを参考として歴史に学ぼうとする姿勢を持ち、それらを真摯に受け止めることは日本人としての責務ではないだろうか。
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Posted by ブクログ
【感想】
結論から申し上げますと、やっぱり山崎豊子は凄まじく面白い!!
この一言に尽きます(笑)
本作者の「不毛地帯」や「沈まぬ太陽」など他作品も共通して言えること。
小説の域を軽く超えている業界・企業・社会の緻密さが描かれている点。
また、人間関係の感情であったり打算であったりなどの生々しさ。
書き物でここまでリアルに表現することが出来るのは、山崎豊子の辣腕あってこそなのでしょう!!
山崎豊子の作品は読むのにかなり体力を要しますが、「白い巨塔」など、彼女の他の作品も今後読んでいきたいな~
さて、「華麗なる一族 上巻」のレビューについて。
タイトル通り、銀行創業者の一族の浮世離れした華々 -
Posted by ブクログ
現金や医療界のポストの約束が飛び交った次期教授選が終了。
物語の既定路線として財前当選。
無記名投票なのをいいことに、二者の決戦投票になった際どちらの陣営からも賄賂を受け、選挙後もしれっとそれらを受け取った野坂教授が悪のMVPかと。いや、贈賄側も悪いのだけど。
そしていよいよ財前教授が本格始動。師であった前教授は過去の人として完全無視。同窓であり学究肌で権力に興味を持たない里見助教授を小馬鹿にし、患者に対する彼の助言も拒む。
執刀を担当した患者からの不調を訴えも無視し外遊へ。
突き抜けた傲慢さに妙な魅力がある、かも
初読は多分十代の頃。その時は里見の権力におもねらない実直さが眩しく、悪い人だら