山崎豊子のレビュー一覧
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ネタバレ一巻読破からすぐに二巻開始。パキスタンからイラン、ケニアへ赴任させられ、約十年に及んだ僻地勤務が恩地の心情の変化とともに描かれている。
あと少しで日本に帰ることができる、と思い続け目の前の仕事に励むものの、本社から裏切られ続け、最後のケニアでは精神的に限界を迎える恩地。子供がいる身として、10年間子どもと日本で安心して暮らせなかった恩地の身になれば、これほど辛いことはないだろう。
会社に人生を踏み躙られたのだ。会社とは従業員を幸せにすることに存在意義があり、一部の経営陣のためにあるものではない。そんな経営陣に靡かず戦い続けた恩地の信念の強さに感服した。ただその信念を曲げなかった故に家族を巻き込み続けたことは、現代では受け入れられないかもしれない。この時代の妻の度量の広さにも驚く。
また、本社経営陣には見放されても、そのレッテルに左右されずに人を見て評価してくれる人(島津や南)もいるんだとこの作品を読んで思った。辛いことや厳しい時があってもコツコツ努力すれば誰かが見てくれている、と思えば何事も頑張れる。 -
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山崎豊子さんの未完の遺作。
三部作になるはずだった物語の第一部。
海自の潜水艦「くにしお」と釣り船の衝突により民間人30人の命が奪われる。
世間の批判の目に晒される自衛隊。
海軍内での居場所を失う「くにしお」の乗組員たち。
若き士官、花巻の目線からストーリーは展開していく。
深い海の中でひっそりと、日々命懸けで国防に携わっている彼らの任務。
行間から、彼らの任務の息詰まる緊張感を感じる。
この物語は単なる裁判ものではない。
巻末に作者の没後、プロジェクトチームがまとめたその後のストーリーがおおまかに掲載されている。
真珠湾攻撃にまで遡る壮大なスケールに圧倒され、もはや読むことが叶わないのが残念でならない。
時に批判される「戦争をしない軍隊」への予算や在り方。
「戦争と平和」とは。
戦争を知るものの心の傷。
近隣国との命を削るかけひき。
深いテーマを持ち、命の終わりまで平和への想いを届けようとした著者に改めて哀悼の意を表します。 -
Posted by ブクログ
医学部教授選の選考委員会を経て、最終候補は助教授の財前五郎、金沢大学の菊川教授、徳島大学の葛西教授の3人に決まる。
五郎を勝たせるため、舅の又一は「まるで汽車の切符を買うように」(p.32)金をばら撒き、票固めをする。
医師会の岩田を通して鵜飼医学部長を味方に付けている財前陣営は、31票のうち「臨床の票は、ごっそり取れる」(p.46)との見通しをもつ。
(岩田)「大学の教授選での金の出し方は、ちょっと演技がいるのや、金が金と見えんような品位のある演技がな」
(又一)「ほう、品位? そんな一銭にもならんものまで、欲しがりますのんか」
一方の東は菊川を後任に、また娘の佐枝子の配偶者としても、との下心を隠しながら、「本学の発展のために」(p.43)とこちらも周到に事を進めていく。
教授会で十分に議論がなされ、「さあ投票」という段になって、なんと東が棄権!
財前、葛西という2人の愛弟子が闘うのを直視するに忍びないと言うのだ。もちろんそれは東の策略であった。
ちょうどその頃、佃と安西が金沢へ赴き、半ば脅迫のような形で菊川に辞退を迫ったことも合わさり、東と財前は完全に決裂することになる。
「僕と君の人間関係は、どうやらこれで終ったようだ」(p.143)
運命の決選投票は、財前五郎 16票 菊川昇 14票
ここに、浪花大学医学部第一外科・財前五郎教授が誕生した。
「こういう勝ち方をした財前君が、教授として今後、どんな生き方をするか、私はそれを見たい――」(p.203)
教授になったばかりの財前に、ドイツで開かれる国際外科学会からの招聘状が届く。
多忙をきわめる日々のなかで財前は、第一内科の里見から相談された患者・佐々木庸平の早期噴門癌を発見し、見事に手術を成功させる。
愛人のケイ子は言う。「きれいな夜景ね、でもあの宝石のように燦く灯の中に、一つだけ不吉な光を放っている灯があるような気がするのは、なぜかしら」(p.335)
財前が渡航準備に忙しくしている頃、術後の佐々木庸平は呼吸困難に苦しむ。
里見は、術前に見られた胸部の陰影が癌転移のものであり、それが手術によって急激に増殖したことが原因ではないかと考えた。
財前は自身の手術が完璧であったと疑わず、患者の症状を「術後肺炎」と考えて抗生物質(クロラムフェニコール)の投与を担当医・柳原に命じる。
そうして財前は、手術をした患者をその後一度も診ることなくドイツへ発つのであった。 -
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山崎豊子さんの最後の小説。
執筆途中で亡くなってしまったので、物語は終わっていないが、それでも読む価値ある1冊。
山崎豊子さんは人間の心象描写がすごくわかりやすく、自分もその場にいるような感覚になります。
この小説は戦艦乗り、海上自衛隊が舞台。
日本で自衛隊というと陸上の方が目立っているが、地政学的にシーパワーである日本において海上自衛隊の重要さを改めて実感。
戦争と正義がテーマになっているが、その正義は何か、手探りで自分の正義とは何か向き合いながら生きていく主人公。
自身の正義も何か非常に考えさせられる。
山崎さんの作品は今後も読み続けたいと思いつつ、最後まで読んでみたかったと、、今でも思います。