山崎豊子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
通勤途中の電車内で読んでいたので、眠い日や飲み会があったりして遅々と進まなかったけど、この巻は勢いよく、外出時は早めに家を出て現地で読んだりしていた。
今読んでも全然面白かった。
タイトルが白い巨塔とあったので、大学病院の医療関係者の権力争いの様なものが中心だと思ったが、加えて医事紛争裁判がその割合を大きく占めていた。
裁判は互いの主張も理解出来るので良い悪いでは簡単に片付けられないけど、原告は進める過程で嘘偽りなく事実を事実として証言し、被告は名誉や権力を得るために事実を捻じ曲げる証言をするが、自分だったらどうだろう。
この様な選択は多くはないけど何度かあった。
普段の生活でも思いもしていな -
Posted by ブクログ
ネタバレこの小説を書くのに、著者はどれくらい取材したのだろう。 経済や石油開発の細かな情報は、正直ピンと来ない部分も多くあったが、その背後に膨大な取材、調査があったことが想像できる。いまいちわからない専門的な話があっても、全体として面白くて中盤以降は一気読みした。
登場人物のなかでは大門が一番魅力的だった。当初は豪胆な社長として壱岐を抜擢し会社を成長させるも、終盤は綿花相場にのめり込んで部下を発狂させてしまう。壱岐との関係が悪化すると、かつて自ら切り捨てた里井に本社復帰を要請するなど、なりふり構わない。壱岐が私情を排して淡々と仕事をこなすぶん、終盤に至って弱みや焦りをさらけ出す大門が魅力的に見えた。 -
Posted by ブクログ
ネタバレすごい考えさせられる内容だった。
文化大革命とか、初めて知る歴史が多くあった。
最後、一心が日本の父を取るか中国の義父母を取るのか、どっちを取っても、どちらかが悲しむから、どんな結果でも私は納得できない気がすると思っていた。けど、「私は、この大地の子です」と日本の父に一心が言った時に、すっと納得がいった。
すごく納得のいく結論だったし、タイトル回収してて、すごく良いラストだった。
中国で何度も辛い目に遭い、それでもなお中国に住もうと思うルーイーシンの強さ、郷土愛とも違う"大地の子"という言葉でしか表せないものを感じた。
ずっと悲しく辛い場面が続いて、それが取材で聞いた事