山崎豊子のレビュー一覧
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なんて悲しく、そして気高い生涯なんでしょう‥。美貌と、才能と、大地主の長女としてのあふれるほどの富を持ちながら、突如 早逝されたと記され、歌壇から消息を絶った歌人・小室みやじ。しかし彼女は生きていたのです。その謎をゆっくりと紐解くように、彼女に54年間付き添った老婢のよしが語り始めます。
大正時代の美しい 尊敬語、謙譲語で語られる文章は、現代の私たちには 読みづらいと感じるかもしれませんが、それこそがミステリアスで残酷な運命をたどった 小室みやじをよく表現していると思います。
このお話にはモデルがいると噂され、ネットでもこの人では?と名指されていて、あとがきでは作者はきっぱりと否定していま -
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以下、背表紙の文言。
ついに「その日」はおとずれた。航空史上最大のジャンボ機墜落事故 犠牲者520名
遺族係となった恩地が直面する想像を絶する悲劇
今回の内容は読んでいて、すこしキツかった。損壊遺体の描写が多く、ホラー映画を見ている感じがした。
墜落直後に捜索にあたる人達が目にする御巣鷹山に広がる、おびただしい数の損壊遺体の数々。はげしく死臭漂う現場。
バラバラに成った遺体の一部を少しでも多く集めようと、たくさんの棺を開ける遺族。一度では気がすまず、何度も遺体収容所を訪れる遺族。
堂本社長は遺族の家を訪ねるが、罵倒され、水をかけられたり、墓前で土下座をさせられたりする。
1・2巻に -
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ネタバレ日中合作の製鉄所建設に携わる主人公。
3巻では、中国の政変で事業が一時中止にまで追い込まれる経緯、中国の杜撰な管理体制、首都北京と農村の格差などが丁寧に描かれている。
本作では、ようやく主人公と妹が再会を果たすが、妹の運命は予想していたより過酷なものだった。一巻で、貧しい女性が法の合間を掻い潜って売春をしているエピソードがあったから、てっきり妹の伏線かと予想していたが、妹が歩んだ人生はむしろそれよりも過酷であった。
やっと巡り会えた2人だが、あまりの運命の違いから妹は主人公の負担になりつつある。
ようやく入党を果たしたのに、妹のことが原因でとんでもない問題になるのではないかと予想。
そし -
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ネタバレ山崎豊子先生の戦争シリーズ。
不毛地帯は、日本とソ連。二つの祖国は日本とアメリカ。本作は日本と中国が舞台。
毎回そうだが、本作でも主人公の置かれた境遇はかなり過酷なもの。
冤罪で労改送りになり、謂れのないリンチや暴力、過酷な労働はシベリア拘留を彷彿とさせる。
一巻では、戦争孤児の主人公が小学校教師の父に拾われて養子となり、大学進学、就職、労改送りになったところまでが描かれている。
歴史背景は、日本の敗戦、中国において共産党が国民党に勝利し、中華人民共和国を建国。
毛沢東の大躍進政策、失敗、そして文化大革命までの話。
この後、中国と日本を取り巻く環境は大きく変わるが、そこに主人公がどう関わ -
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ネタバレスパイ容疑で労改送りになった主人公だったが、解放軍に所属している親友と養父の尽力により冤罪が晴れて釈放される。
北京駅での養父との再会シーンは涙なしには読めない。
毛沢東の死去により文化大革命は終焉し、中国の歴史も大きく変わろうとしている。
もとの就労先に戻った主人公は、日本人であること、日本語が話せることから、異例の大出世をして、日中共同の製鉄事業に携わることになる。
そして、この事業によって、生き別れになっていた日本人の実父との再会も果たす。
しかし、お互いにその正体を知らないまま物語は進んでいく。
お互いに親子であることはいつ判明するのか、そして生死不明の妹と再会することはできるの -
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『不毛地帯』第4巻
妻・佳子を不慮の事故で失い、単身、アメリカへ行き、アメリカ近畿商事の社長となった、壱岐正。
アメリカ自動車メーカー・フォークと千代田自動車との提携に奔走するが…
副社長・里井により、担当を外される…
資源に乏しい日本の先々を考え、原油を確保する道を探していた…
フォークと千代田との提携は、東京商事・鮫島の暗躍によって…
副社長・里井の壱岐への嫉妬はみっともない。
壱岐にまかせておけば…
自らの功としようとするばかりに、壱岐の意見を聞き入れなかったために。
昭和の会社とはこんなものなんだろうか⁇
息子・誠の壱岐への態度は受け入れられない。
シベリア抑留中のことも、 -
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『不毛地帯第3巻』
近畿商事入社後、異例の昇進で、常務取締役業務本部長となった壱岐正。
近畿商事の重工業化路線を推し進めようと、脱繊維化を推進しようとするが、嫉妬から反発を受ける…
そんな中、アメリカ・ビッグスリーの自動車メーカー・フォークは日本市場への参入のため、日系自動車メーカーとの提携を模索する。
フォーク・千代田自動車の提携を推進しようとする壱岐。
千代田自動車と富国自動車との国内メーカー同士の提携を推進しようとする副社長・里井。
社内抗争へと…
そんな壱岐を憂いながら佳子は…
2年後、アメリカ近畿商事社長となった壱岐は極秘裏に、2年前に立ち消えとなった千代田自動車とフォーク