山崎豊子のレビュー一覧

  • 不毛地帯 第四巻

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    ネタバレ

    専務に昇格した壱岐。フォーク、千代田の提携交渉は足元を見られ、東京商事の鮫島に油揚げをさらわれてしまう。次に用意された舞台はイランの油田開発。近畿商事の実質ナンバー2として、社内だけでなく政界にも元参謀の経験をもとに切り込んでいく壱岐の今後に期待。このシリーズ、読むにつれ壱岐はカラチ、テヘラン、ナイロビで苦労を重ねた「沈まぬ太陽」の恩地を思い起こさせ、何事もスマートにこなす鮫島は同作品の行天四郎を連想させる。最後に壱岐、鮫島の2人にはどのような結末が待っているのか。

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    2024年08月25日
  • 大地の子(一)

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    ネタバレ

    私がルーイーシンならこんな生きることに頑張れるのかなってなった。最後、義父からの手紙がルーイーシンの元に届いた時、込み上げるものがあり泣けた。中国の名前が分かりづらいことがあった。

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    2024年08月22日
  • 沈まぬ太陽(一) -アフリカ篇・上-

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    日本航空をモデルとした労使間の争い。企業に都合の悪い組合活動をするものへの懲罰・見せしめ的人事、大企業が一個人に対して倫理観を無視しここまで牙をむくのかと戦慄する。詳細は異なるとされるが実際に内規をこえ10年の海外赴任を強制された社員がモデルとなる。パキスタンのカラチ、イランのテヘラン、ケニアのナイロビ。アラブの商人は「砂漠の人」一期一会で仕事をするため誠意は皆無。
    正義感が強く芯の通った主人公 恩地がひどい仕打ちを受けていくのは見ていて辛いものがあるが、へこたれずに前を向いて突き進む姿は半沢直樹を見ているようである。
    御巣鷹山の事故を機に物語は新章に入る。社外から招いた会長職に会社の再建を託

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    2024年08月21日
  • 運命の人(一)

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    国家権力が本気で潰そうと動けば、一個人が太刀打ちする術はない
    ただ国家権力が必ずしも国益に沿っているとは限らない。時の権力者の暴走を是正するシステムは機能していない。
    一方で政策をリアルタイムで審判するのが困難であることも事実。後世が審判をくだすことになるが、当事者にとっては遅すぎる解決であり、権力はそれを狙うきらいがある。
    権力の都合により罪の是非が決められるのは程度の差こそあれ中国も日本も変わらない。「法律で支配する」
    権力者が現場を知らずその声を顧みようともしないのは今も昔も変わらない

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    2024年08月21日
  • 白い巨塔(一)

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    再読。
    ドラマもみたことがあるし、筋は覚えていて、新鮮味はないが、人間関係と欲の複雑な絡まり具合が面白い。

    見栄と欲の塊。
    私には、登場する医者たちの多くが、権力を食らおうとするずるい獣のように見える。
    こわいなあ。

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    2024年08月20日
  • 花のれん

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    舞台は大阪。道楽者の夫を早くに亡くし、女手ひとつで寄席の商売を拡げていく女性、多加の物語。


    地元が舞台なので、一軒一軒寄席を増やしていく様や、それぞれの土地柄による寄席の雰囲気の違いがわかりやすく、とても面白かった。
    女性にとって仕事とプライベートのバランス問題はいつの時代も難しく、両立なんて不可能だなと思った。

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    2024年08月17日
  • 約束の海

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    山崎豊子作品、未完の遺作。
    いつものことながら、膨大な取材と勉強の爪痕を感じられる骨太の作品です。

    本作は、海上自衛隊の潜水艦と遊漁船の衝突事故と海難審判を中心に物語が進みますが、山崎先生が最も描きたかったのは、次作で描くはずだった主人公の父親の話。真珠湾攻撃の緒戦で捕虜第一号となり波乱の人生を送ったモデルが、主人公の父親でした。
    続きを読みたかった。

    多くの艦船が沈められ、多くの犠牲者が眠る太平洋の地を、二度と戦争の場にしてはいけない、という信念をもつ父と息子の100年物語。未完のは残念ですが、本作及び、山崎先生の後書や新潮社プロジェクト、秘書の方の解説は是非読んでいただきたいと思う内容

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    2024年08月05日
  • 白い巨塔(三)

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    何という残酷な裁判所の判決。そしてなぜ心有る人達が酷い仕打ちを受けなければいけないのか!早く第3巻を読まないと。

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    2024年07月24日
  • 不毛地帯 第二巻

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    ネタバレ

    壱岐のアメリカ出張はやはりFX選定に絡むものだった。入社時の社長との約束を反故にされるも商社マンとして突き進む。8年で嘱託から常務取締役に上り詰めるもかつての上司である副社長との軋轢に悩む。アメリカ出張時の細やかな情景の描写はさすが山崎さんという感じ。きっと事前に取材出張を行い小説のプロットを考えながら観察していたのだろうと感じた。

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    2024年07月08日
  • 不毛地帯 第一巻

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    ネタバレ

    終戦後に派遣された旧満州でソ連軍に抑留され、壱岐正は11年にわたりシベリアで理不尽な扱いを受ける。帰国後、近畿商事の大門社長に手厚く迎えられ、現場を見ることが大事とアメリカ出張の同行を求められる。一方、義父からは政治を志さないのかと諭される。11年の空白を埋めながらこの後、壱岐がどのように身の振り方を決めていくのか、アメリカ出張で何かが変わるのか、2巻に続く。

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    2024年06月30日
  • 二つの祖国(二)

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    太平洋戦争の戦況厳しいなか、とうとう米軍の語学兵である兄賢治と日本軍将兵である弟忠がフィリピンの戦場に居合わせてしまうのはドキドキした。こんな酷な運命があるのかと感情移入した。そして、広島原爆投下による日本敗戦による終戦後にいたる。「血を流し、死を賭けて、忠誠を証明しなければならない」というフレーズが2世の苦悩を表していると思った。第3巻は東京裁判に賢治が関わっていくことになるらしい。

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    2024年06月30日
  • 二つの祖国(一)

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    第二次世界大戦下のアメリカで日系2世達は育った環境によって考え方は様々。日本からもアメリカからも認められない憤り、苦悩が山崎豊子の筆力があたかもみてきたかのようにありありと表現され引き込まれていった。続きを読むのが楽しみ

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    2024年06月28日
  • 暖簾

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    ページ数も少なかったので比較的早くに読み終えた。
    まあ安定の面白さだけど、チョット物足りないのは、目を閉じたら思い浮かべられる様な背景を描写出来るページ数か。
    大阪人の商売への執着、熱意は凄まじく、暖簾はある意味命を懸けるに値するものだったのだと言うことが分かった。
    繊維問屋の街として栄え、大阪弁発祥の地である船場という土地柄もあったのだろうね。

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    2024年05月20日
  • 大地の子(二)

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    悲惨な境遇から残留孤児の主人公・陸一心が抜け出し、国家プロジェクトに関わっていくようになります。鄧小平や華国鋒といった実在の人物をモデルとしたキャラクター登場し、中国現代史の勉強になります。

    中国共産党政権は今も存続しているわけですから、現在の中国を理解する上でもとても良い小説だと思います。

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    2024年05月12日
  • 花紋

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    なんて悲しく、そして気高い生涯なんでしょう‥。美貌と、才能と、大地主の長女としてのあふれるほどの富を持ちながら、突如 早逝されたと記され、歌壇から消息を絶った歌人・小室みやじ。しかし彼女は生きていたのです。その謎をゆっくりと紐解くように、彼女に54年間付き添った老婢のよしが語り始めます。

    大正時代の美しい 尊敬語、謙譲語で語られる文章は、現代の私たちには 読みづらいと感じるかもしれませんが、それこそがミステリアスで残酷な運命をたどった 小室みやじをよく表現していると思います。

    このお話にはモデルがいると噂され、ネットでもこの人では?と名指されていて、あとがきでは作者はきっぱりと否定していま

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    2024年04月20日
  • 約束の海

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    海上自衛隊の潜水艦と釣り船が衝突。若き士官を襲う過酷な試練。
    その父は昭和16年、真珠湾に出撃して-。
    時代に翻弄され、時代に抗う、父子100年の物語が、いま始まる。

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    2024年04月10日
  • 白い巨塔(二)

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    2巻もあっという間に読んでしまいましたが、今後の展開を考えるとこれから先に進むのがややつらくなってきました。それでもたぶん、読んでしまうと思います。凄い小説に手を出してしまいました。

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    2024年04月10日
  • 白い巨塔(一)

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    家族からの勧めで読み始めました。
    内容をほとんど知らず、なんとなく医療の話かと思っていたら、教授選!なんて煩わしい世界なんだとうんざりしましたが、その反面、皆が画策している様子は確かに面白い…とりあえず1巻だけ、と思いましたが早く続きが読みたいです。

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    2024年04月08日
  • 沈まぬ太陽(三) -御巣鷹山篇-

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    以下、背表紙の文言。
    ついに「その日」はおとずれた。航空史上最大のジャンボ機墜落事故 犠牲者520名
    遺族係となった恩地が直面する想像を絶する悲劇

     今回の内容は読んでいて、すこしキツかった。損壊遺体の描写が多く、ホラー映画を見ている感じがした。
     墜落直後に捜索にあたる人達が目にする御巣鷹山に広がる、おびただしい数の損壊遺体の数々。はげしく死臭漂う現場。
     バラバラに成った遺体の一部を少しでも多く集めようと、たくさんの棺を開ける遺族。一度では気がすまず、何度も遺体収容所を訪れる遺族。
     堂本社長は遺族の家を訪ねるが、罵倒され、水をかけられたり、墓前で土下座をさせられたりする。
     1・2巻に

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    2024年03月24日
  • 大地の子(三)

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    ネタバレ

    日中合作の製鉄所建設に携わる主人公。
    3巻では、中国の政変で事業が一時中止にまで追い込まれる経緯、中国の杜撰な管理体制、首都北京と農村の格差などが丁寧に描かれている。

    本作では、ようやく主人公と妹が再会を果たすが、妹の運命は予想していたより過酷なものだった。一巻で、貧しい女性が法の合間を掻い潜って売春をしているエピソードがあったから、てっきり妹の伏線かと予想していたが、妹が歩んだ人生はむしろそれよりも過酷であった。

    やっと巡り会えた2人だが、あまりの運命の違いから妹は主人公の負担になりつつある。
    ようやく入党を果たしたのに、妹のことが原因でとんでもない問題になるのではないかと予想。

    そし

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    2024年03月08日