山崎豊子のレビュー一覧

  • 沈まぬ太陽(五) -会長室篇・下-

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    ネタバレ

    面白かったけど、御巣鷹山編からのトーンダウンが否めなかった。

    1巻から通して、主人公の恩地元が活かされてないように感じた。
    アフリカ篇から、正義感はあるけど決定的な行動力を振るいきれなくて怒りの発散が幼稚でわりとすぐ捨て鉢になって最後まで大企業の巨大な力に翻弄されっぱなしだった。
    企業と政府の汚職についてはほぼほぼタッチすらできず、会長室編は主人公の器をすっかり会長に乗っ取られた感じ。
    主人公の恩地がばっさばっさと汚職を暴いて会社の目を醒まさせてほしかった、というわけじゃないけど余りにも無力だった。

    『不毛地帯』は山﨑豊子のスーパーダーリン壱岐正の魅力がたっぷり伝わったけど、恩地元は力及ば

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    2026年07月10日
  • 白い巨塔(四)

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    【選挙活動範囲の拡大と控訴審/人を動かすものは結局何なのか。利か、義か】
    ・物語は大きく3つの方向へ
     1.浪速大学病院を辞めた里見は近畿医療癌センターで研究と診療活動を続け、知見を深めながら信頼出来る仲間を増やしていく
     2.裁判に勝利した財前は、権力拡大に向けた鵜飼医学部長の思惑もあり、注力研究領域や予算等を議論する日本学術会議への立候補を決め、控訴審と並行して政治活動を進める(*注力分野や予算を議論する「医者の国会議員」に当たる)
     3.手術で亡くなった佐々木庸平の遺族は、残された佐々木商店の経営と控訴審の準備に奔走する。経営状況が日々悪化し生活が追い詰められていく中、裁判に勝つことを支

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    2026年07月05日
  • 白い巨塔(三)

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    【医事裁判の難しさ/正義とは何か】
    ・ドイツ出張中に、短時間での胃癌摘出手術を成功させ賞賛を受け、ドイツ外科学会の名誉会員資格を得る等、最高の成果を獲得したかに見えた財前は、自身の誤診を訴えられた医事裁判に帰国直後から向き合うことになる
    ・『①断層撮影等の検査を怠り肺転移を見逃し、②また適切な手術・術後治療を行わなかったことにより患者が死亡した』と誤診を訴える原告と、『③転移の可能性を理解しながら肺結核の名残りと合理的に診断し、④手術・術後治療の指示も適切に行った』という被告(財前)双方の主張が真っ向から対立、夫々の主張を裏付ける為の、別大学医学部教授の専門的意見、証言をコントロールする為の根

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    2026年07月04日
  • 白い巨塔(二)

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    【権力を手にした人間がどう変わるか/人の顔が変わるとはどういうことか】
    ・3人の候補者(財前、菊川、葛西)が教授選に出揃い、一回目の投票では誰も総票数30の過半数を取れず、選挙は決選投票にもつれ込む
    ・選考委員長の大河内教授に「不正と欺瞞に満ちた気配が濃厚な選挙」と喝破された教授選を財前は2票差で勝利し、晴れて教授になる
    ・その決め手になったのは、1回目で落選した葛西に投票した野坂派7票であり、それが財前、菊川夫々に割れたもの
    ・財前陣営に対して野坂はおめでとうと言い、敗れた菊川(東)陣営にはその参謀(今津教授)の力不足だと非難し、絶妙なバランスで切り抜ける
    ・教授となった財前の態度は尊大にな

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    2026年07月04日
  • 運命の人(四)

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    最終巻は、沖縄の話。私自身、まだ沖縄に行ったことはなく、沖縄の地上戦や米軍基地、米兵の暴力問題などは、新聞やニュースである程度の知識はあっても、どこか他人事でした。

    4巻を読んでいる時に、6/23の沖縄の慰霊の日をニュースで目にし、日本人として現地に行って、沖縄の歴史を学ばなければ。。。と思わされました。

    最後に、弓成と由里子が再会し、ハッピーエンドとは言えないが、夫婦愛も感じられたのは良かったと思います。

    著者 山崎豊子さんのあとがきに、ご自身の戦時中やひめゆりの塔にお参りした体験が綴られ、「基地の統廃合には、日本の外交、防衛のありようが集約されている。再び取り返しのつかない不幸な事故

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    2026年06月28日
  • 沈まぬ太陽(四) -会長室篇・上-

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    利権に関してのそれぞれの立場、考えなどが描かれていて、3巻とはまた違った苦々しさを覚える作品でした。500ページ以上読んで人間の嫌な面を感じて、最後の最後に残された被害者家族の声が出てきたとき、思わず涙ぐみました。次が最終巻、恩地さん、国見会長、どのような立ち回りをしてフィナーレとなるのか期待しています。

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    2026年06月07日
  • 沈まぬ太陽(四) -会長室篇・上-

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    実際に自分の利益のことしか考えていない悪人が一人いると、そこまで悪どい考えを持っていなくても己の出世のために同調する者が生まれ、こうして企業や政治家の腐敗が進んでいくんだと思った。
    4巻では、そこで良心を持ち続けたまま働くことがいかに過酷かを思い知らされた。

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    2026年06月06日
  • 約束の海

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    潜水艦好きで山崎豊子が題材にしてるというので読んでみた。文庫1冊だし山崎豊子スタートとしてはいいかなと思ったらまさかの未完!三部構想なのに第一部(2013年7月)のみで著者逝去。あとは取材メモからの概略が載っていた。「二つの祖国」も絡むという二部三部が気になって仕方ない。

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    2026年06月06日
  • 二つの祖国(一)

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    小栗旬スペシャルドラマで存在を知った本作。やっと原作を読めた。
    大好きな山崎豊子作品なだけあって、当時の時代情勢から人物や周囲の描写、空気感までリアルに味わうことができた。
    この時代を日本アメリカでない別の視点で描くとこうなるのか…とより解像度高く当時の記憶にアクセスできたように思う。
    シンプルに戦争、核兵器、差別が生むものは何ひとつない。排他主義が蔓延る現代にこそ、もう一度読んでもらいたい作品。
    ラストの主人公の結末にはやや不満である。

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    2026年06月05日
  • 白い巨塔(五)

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    ネタバレ

    「白い巨塔4」「5」は、以前「続・白い巨塔」の一冊でそれを読んでいた。その「続・白い巨塔」の感覚があるので、この5は後半部分の感覚。4から話は盛り上がった。泥臭い選挙の話より、緊張感のある裁判のやり取りの方に引かれる。
    財前の残した自分の解剖に関する意見書は、財前に医学者としてきちんとした考えがあったことを示す。財前は策略だけで出世したのではなく、苦学して技量・知識も身に付けた医師の側面が確実にあった。
    財前と里見は、方向性が相容れなくても、お互いに相手を好敵手と思っている。この裁判がなかったら、財前の死がなかったら、この先どうなっていったのだろう?そんなことを思ってしまった。
    ちなみにナイト

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    2026年05月24日
  • 大地の子(四)

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    ネタバレ

    中国へは長い歴史への償いがある。この時代の人たちがそのように感じていたことを、今の我々は引き継いでいるだろうか。

    製鉄所の稼働の最後の最後まで難局続き。これを共に成し遂げたから日中は抱き合い、父と子も抱擁する。ラストの「私は大地の子」という気づきは長江の船旅で得たものであったか。舞台版ではどのようだったか改めて確認したい。

    離婚完了・自由の身であるツンデレ丹青と「すわ不倫か?」という場面でキスまでさせておき、夕陽を沈めて先を書かないのはさすがにズルい。そもそも最初から拒む選択肢はなかったか。仮にキスまでは仕方ないとして、その場合は一心がそれ以上を拒む描写がないとモヤモヤしませんかね。

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    2026年05月12日
  • 大地の子(一)

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    二つの祖国と同じ時期に読んだ。陸親子の過酷なまでの人生を悲しいほどの現実を泥水の如く浴びせながら、戦争のもたらす悲惨さを描く。

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    2026年05月10日
  • 女系家族(上)

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    とにかく、ドロドロ。ひたすら、ドロドロ。
    だからぐいぐい読んじゃう。
    三姉妹といえばの谷崎潤一郎『細雪』とは大違い。

    東日本に生まれ育って西日本では暮らしたことがないので言葉使いが新鮮だった。
    あらゆる着物の種類も、昔ながらの家の作りの描写も上流家庭の作法もこれでもかというくらい細かくて、そして何もかも現代とは変わっていて自分の昭和の生活の解像度の低さを感じた。
    上巻終盤妾を無理やり医者に診せるシーンは圧巻の迫力!
    この昭和(それ以前)から令和まで、堕胎方法は相変わらず搔爬法なんだなあ。
    そんなとこだけ変わらないのね。

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    2026年05月08日
  • 華麗なる一族(下)

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    万俵一族、阪神銀行頭取の大介と長男阪神特殊鋼の鉄平、祖父との不倫で生まれた子と疑い、親子とは思えぬ仕打ち。自分は妻妾同衾の生活。華麗なる一族の裏側はドロドロ。
    終盤、一族の崩壊の兆しが見え始めたところでラスト。
    個人的には、長男を自殺に追い込んだ万俵大介が没落していく姿まで見ていたかった。

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    2026年05月04日
  • 白い巨塔(四)

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    自分が善人であると思い込んでる人は、恵まれていると思うし、その正しさを押し付けているところにすごく苛立ちを感じる。偽善を通すだけの力や余裕があるんだから。
    自分を善人であると思い込んでる人の優しさは
    人のためと思いながら、結局は自分のためになっていることを気づいていないのである。
    優しさや正義は人のためではなく、結局自分の為である。

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    2026年05月04日
  • 沈まぬ太陽(二) -アフリカ篇・下-

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    1巻がいろいろ、というより社内政治的なところが辛くて読みにくく感じてしまい(文章自体は読みやすいのに…)ちょっと時間置いてしまってから読んだ2巻。相変わらず辛いんだけど、なぜかこちらはサクサク読めた!社内政治より左遷先のテヘランやらアフリカでの生活が中心だからかな。恩地が病んでいくところとか本当にしんどいしホンマに転職して…家族のために…と思いながら読むけど(そう言う話も作中に出るけど)恩地みたいな会社に楯突いた経歴があるとその後の就職も不利になるとかあるのかな?
    エリートっぽいし、起業とか良いのではと思うけど商売っ気ないし無理かな、公務員は…とか色々考えてしまう笑
    いやわろてる場合じゃないん

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    2026年05月02日
  • 華麗なる一族(下)

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    銀行や政治の話がリアル。資産家の一族とはああいうものなのか。いったいどんな取材や人生を生きてきたらこんな本を書けるのだろうか。

    二子が幸せになれたのが唯一の救い。
    結末は悲しかったが、だからこそ長く尾を引き心にも残るのか。
    この当時であれはわ銀行員にはならなかったかな。

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    2026年04月21日
  • 大地の子(四)

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    山崎豊子の大地の子、舞台を見るために読み直した。
    2つの祖国よりグロくて暗くて辛いというイメージは変わらずだった。日本の父、松本の気持ちを考えると心が痛い、、、戦争という代償をこうやって一生背負い続ける。そして実際に似たような出来事が実在したという事実を忘れてはいけないね。

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    2026年04月15日
  • 不毛地帯 第一巻

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    ネタバレ

    上川隆也さん主演「沈まぬ太陽」を観て以来、山崎豊子の作品を読んでみたくなったのがきっかけ。

    第二次世界大戦の終結は1945-8-15と学校で教わった。しかしそこで終わってはいなかった。シベリア抑留という形で戦争は続ていたのだ。これかが、1巻を読んだ上での、歴史に対する理解の一つ。

    シベリア抑留が如何に壮絶なものかを知れた。読み進めるのが辛くなる描写が多かった。全てが事実でないにしても作者の高い取材力から生まれた作品であれば可成りリアルに近いのだろう。京都の場面で出てくる比叡山の寺やロープーウェイには実際に行った事があるので、その当時見た風景を想像しながら心穏やかに読み進められる場面も。

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    2026年04月14日
  • 大地の子(二)

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    一巻では、陸一心(松本勝男)が日本人孤児であるがゆえに冤罪で労改に送られて囚人として働かされる辛苦を舐める。二巻では、のちに妻となる看護婦月梅の勇気ある手紙により養父陸徳志は献身的に人民来信来訪室に働きかけ陸一心は釈放される。
    養父陸徳志と一心の再会のシーンは感動する。
    一心は日中共同プロジェクト「宝華製鉄」建設チームに加えられることで日本との関わりを持つようになる。月梅との間に一人娘も設け、中国人として幸せに生きている一心。
    日中共同プロジェクト側には陸一心の実の親松本耕次が関わっており、読者として実の親と育ての親の心情のどちらにも味方したくなる。

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    2026年04月09日