あらすじ
業界ランク第10位の阪神銀行頭取、万俵大介は、都市銀行再編の動きを前にして、上位銀行への吸収合併を阻止するため必死である。長女一子の夫である大蔵省主計局次長を通じ、上位銀行の経営内容を極秘裏に入手、小が大を喰う企みを画策するが、その裏で、阪神特殊鋼の専務である長男鉄平からの融資依頼をなぜか冷たく拒否する。不気味で巨大な権力機構〈銀行〉を徹底的に取材した力作。
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Posted by ブクログ
上、中、下巻の感想です。
作品名のとおり、華麗なる一族の話。
途中で想像した結末とは大分違う終わり方でした。
豪華な世界も良いけど、ドロドロとした部分も多くあり、自分は庶民がたまに贅沢するくらいがあってるなと。
Posted by ブクログ
やっぱり面白いなー。昭和の時代のパワフルさ、空気感、必死さ。ガツガツしていて、ライフワークバランス完全無視な感じ。山崎豊子さんの作品はどれも仕事というものの、面白さが凝縮されていると思う。今の時代だとなかなかないですよね… 古い考えなのかな… 元気が欲しい時に読み返す本。
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昔のはなしなのか、現代にも通ずるものなのか、その世界にいる人に聞いてみたい。
相変わらず細かい描写で、情景がはっきりと浮かんで来る。どんどん引き込まれていく。
Posted by ブクログ
以下、上中下巻で同じ感想です。
最近、「近過去」のドキュメンタリーや小説が面白い。
人間の織りなすドラマの本質は古今東西いつも変わらないのかもしれないが、舞台設定として、いわゆる「ザ・昭和」は実は1950-60年代、すなわち昭和30年代前後であり、もちろん、働き方や家庭生活など今ではありえないようなことも多いが、同時にやっぱりいまだに、ということも多い。そしてテーマとなる政治や経済のトピックが、これまた日本はこの数十年間何をしていたのか、というくらい共通なのである。
「華麗なる一族」の物語は、行政の手厚い保護と支配の元にあった銀行の経営統合という壮絶な戦いを縦糸に、昭和な家長制と血縁の闇を横軸に進む。
一番の迫力は、ここで取り交わされるさまざまな会話。一歩間違えれば追い込まれる神経戦の連続。経済に関する記述も非常に正確で、企業乗っ取りといえば流行りものを含めそうとう雑なものも多い中、リアリティは今なお色褪せない。
スカッとしないことこの上ない読後感ではあるが、だからこその読み応え。
Posted by ブクログ
読み始めた。もう文体から面白い。「ネタバレで台無しになるような小説は元から大した価値はない」などと普段は過激なことを言ってるんだけど、この小説はネタバレされたくない笑
そのくらい面白い(?)
ぱっと見お堅い文章なのに序盤からこんなに引き込めるリズムの文章を書けるのはさすが。ついでに聞いてもいない業界事情をこれでもかと語り続けるところもさすが。一文がやたら長くてくどいにもかかわらず、表現力が高すぎてそれをまた別の魅力に変えてる。こんな文章書けたらすごいけどもう一般人と会話するのは退屈でしょうがないだろうな
読み終わったらまた追記。
読み終わった。やばいオモロすぎる。もっと早く読めばよかった。山﨑豊子天才か?
Posted by ブクログ
上中下3巻の約1,800ページにも及ぶ長編小説。銀行の頭取であり一族の長である万俵大介が、阪神銀行とそのグループの繁栄のために野心に燃え、親族や政界にあらゆる手段を尽くして推進していく。長男で阪神特殊鋼の専務である万俵鉄平が、祖父の実子なのではないかと大介は疑い、嫉妬から嫌がらせによって阪神特殊鋼を破産に追い込む。その後鉄平は自殺してしまうが、実は祖父の子ではなく自分自身の実子であったことが判明する。阪神銀行は小が大を飲む買収を実現するが、そのすぐ将来には合併される側に回ってしまうという非情な結末を迎える。家族・政治・経済のドロドロな面をリアルに描き、人間の産み出す非情さを見事に描いた山崎豊子らしい小説。リアリティのある面白い内容の小説だったが、やや長過ぎる印象があり、不必要な場面も多く含まれているように感じる。
Posted by ブクログ
【感想】
結論から申し上げますと、やっぱり山崎豊子は凄まじく面白い!!
この一言に尽きます(笑)
本作者の「不毛地帯」や「沈まぬ太陽」など他作品も共通して言えること。
小説の域を軽く超えている業界・企業・社会の緻密さが描かれている点。
また、人間関係の感情であったり打算であったりなどの生々しさ。
書き物でここまでリアルに表現することが出来るのは、山崎豊子の辣腕あってこそなのでしょう!!
山崎豊子の作品は読むのにかなり体力を要しますが、「白い巨塔」など、彼女の他の作品も今後読んでいきたいな~
さて、「華麗なる一族 上巻」のレビューについて。
タイトル通り、銀行創業者の一族の浮世離れした華々しさや晴れやかな様子が描かれているが、中々どうして、タイトルとは違って一族1人1人の人間臭さや泥臭さ、、、
いや、表現がやや違う。
ドロドロとした人間模様や、人の持つ残忍さ・冷酷さも事細かに描かれている。
この点に関して、もはや全然華麗ではない(笑)
作中、銀平の妻である万樹子の台詞で、
「ご立派で、お上品なのは表面ばかりで、中身は下劣そのもの、まんまと高須相子の口車にのせられたわ!」
という一節があった。
個人的に、この台詞が本作を一番端的に表しているな~と読んでいて感心しました。
物語は、父である大介や長男・鉄平、次男・銀平、妻・寧子、大介の妾である相子など、章によって物語の主人公が変わり、視点や価値観も変わっていく。
それぞれの主観や思惑をもって物語が進んでいき、「華麗なる一族」の陰の部分が段々と暴かれていく様は見事としか言いようがない。
この本の見所は、「華麗なる一族」の、ある種低俗な「人間臭さ」が紐解かれていくところなのかも・・・
ただ、銀行の仕組みやら慣習、業界ルールや事情についてもかなり事細かに書かれてはいるが、その点は読んでいて理解が追い付けなかった・・・
時代背景が昭和中期とやや古く、お金の価値も現代とやや異なるのも難読になる要素の1つなのかも。
まぁ、読んでいてベラボウに面白いです!!!
上・中・下巻となかなか長編だが、続きがかなり楽しみな作品。
【あらすじ】
業界ランク第10位の阪神銀行頭取、万俵大介は、都市銀行再編の動きを前にして、上位銀行への吸収合併を阻止するため必死である。
長女一子の夫である大蔵省主計局次長を通じ、上位銀行の経営内容を極秘裏に入手、小が大を喰う企みを画策するが、その裏で、阪神特殊鋼の専務である長男鉄平からの融資依頼をなぜか冷たく拒否する。
不気味で巨大な権力機構〈銀行〉を徹底的に取材した力作。
【メモ】
p446
「鉄平さん、お父さまに何ということをおっしゃるの」
相子が窘めるように云った。
途端、鉄平の精悍な眼がぎょろりと相子に向いた。
「君は黙ってろ。親子が争っている時、口を出せるのは母親だけだ」
p447
「世間では品行方正で、冷厳な頭取として通り、一歩家庭へ入れば妻妾同居の生活を営んでいるお父さんは、世間を騙している偽善者ですよ!そういうお父さんの生活が、銀平を妙にニヒルな性格にしたんでしょう!」
心の中にどろどろと堆積していた怒りをぶちまけるように言い、相子の方を見、
「君もそろそろ自分自身の将来を考えるべきじゃないか」
と決めつけた。
「私にはまだ、私が育て教育してきた二子さんと三子さんの結婚問題が残っておりますわ。それに私はお父さまをお愛ししております。ある意味ではあなたのお母様以上に」
静かな声であったが、そこには何者にも動じない強靭さがあった。
p448
「銀平、お前もこの際、何か言うことはないのか!」
「兄さん、お父さんと争うなんて無駄なことですよ。企業家としての識見、財力、社会的地位。すべての点で何一つ、僕たちはお父さんにかなうものがない。勝てっこありませんよ」
p531
「何が今日はフランス語、明日は英語で晩餐ですか!ご立派で、お上品なのは表面ばかりで、中身は下劣そのもの、まんまと高須相子の口車にのせられたわ!」
Posted by ブクログ
200501.面白い。文書がうまい。引き込まれる。
ボリュームはかなりあるが、読まされる内容。
描写に言葉遣いに、多種多様な格式に対してもよくここまで表現できるなーと。
登場人物は多いが、一族の名前が分かりやすいのも良い。鉄平に銀平、女性の扱いは軽いのか、一二三。このまま王道路線で行くなら、銀平の嫁なり、美馬なりからのスキャンダル漏れから、大介銀行は三雲さんに取り込まれの、鉄平は二転三転苦行を超えながらの成功。祖父と母の関係発覚からの葛藤なんたら。二子は幸せ結婚。銀平は円満離婚か円満エンド。
どうまとめるのか、どんでん返しはあるのか?
Posted by ブクログ
素晴らしい。
山崎豊子さん、さすが。
厳しい、残酷なお話し。
親子、兄弟、家、親戚。それぞれの立場。
登場人物多いが、特徴と関係が分かりやすい。
池井戸潤さんなら、最後に正義は勝つなのだが、
そうはならない。読んでて辛い。
50年前の設定で、今ではありえなさそうだが、
テレビドラマにもってこいの設定。
Posted by ブクログ
『沈まぬ太陽』を読んで山崎豊子さんのファンになり、二作目。
取材を基にしているという圧倒的なリアリティがこの作品も素晴らしい。それぞれのシーンでの会話の中での細かい駆け引きに至るまでリアルで緻密。
読み応えがあります。
Posted by ブクログ
中井貴一さん主演で2021年にドラマ化されました。業界ランク第10位の阪神銀行顕取、万俵大介が上位銀行への吸収合併を阻止するために小が大を喰う企みを画策します。登場人物の言葉遣いから格式の高さが表現されています。(すー)
Posted by ブクログ
山崎豊子『華麗なる一族』。
残っていた山崎豊子作品。ほぼ最後。
都銀10位の阪神銀行・頭取・万俵大介。
都市銀行再編の動きがある中で、上位行からの吸収合併を逃れるべく、娘婿・美馬を通じ、他行の状況を探る。
『小が大を喰う』合併を模索する…
万俵財閥をさらに強固なものとするため、次男・銀平、次女・二子の閨閥結婚も進めていく…
一方、グループ会社・阪神特殊鋼・専務・長男・鉄平は高炉建設を計画、融資を阪神銀行に依頼するが、父・大介は…
昭和40年代前半、高度経済成長期の神戸の街。
万俵一族をさらに強固なものに動く、大介と妾・相子。
父・大介と長男・鉄平の関係が…
鉄平と祖父・敬介…
万俵一族の長・大介を中心に動いていく。
阪神銀行は吸収合併を逃れるのか…
大を喰う合併ができるのか…
阪神特殊鋼の未来は…
Posted by ブクログ
初めての山崎豊子作品として、本作を選び、あっという間に読破する。時代設定は昭和中期頃であり、読み始める前には、現代とのGAPを感じるかと思っていたが、全くそんなことはなかった。
今の時代にも通じる処世術であり、父子の関係が丹念に描かれていて、非常に楽しむことができた。
最初と最後の対比が、ゴッドファーザーにも通じる描かれ方になっており、最後まで楽しむ事が出来る作品です。次は白い巨塔です。
Posted by ブクログ
今までトライしては挫折してきたけど、満を持して再トライして読破。時代設定は多少古いけど、今にも通じる権謀術数が描かれていて、一般人でも処世術の参考になると思い、楽しみながら読めました。最初と最後の対比が、ゴッドファーザーにも通じる描かれ方をしていて、本当におススメです。
Posted by ブクログ
長編なので、避けていたけど、山崎先生の作品に挑戦することにした。やはり綿密で読みごたえがある。人の心の機微に、そして政界、家の格式、財産、歴史、どろどろとして、でも引き込まれてしまう。家長の大介、長男鉄平、次男銀平、愛人との確執、三人の娘、どのように展開するか、楽しみ。
Posted by ブクログ
久しぶりに山崎豊子さんの小説に手を出してみた
一冊600ページ以上、3巻あるため
読むのにはそれなりに気合いがいるけど
あっとゆうまに一冊読破。
続き早く読みたい
Posted by ブクログ
金融界、官僚、政治家などを巻き込んだ万俵一族の物語。筆者もインタビューで答えているが、執筆当時の金融界は新聞も書けなかった聖域だったとか。 主人公、万俵大介は様々な策を練り自身の野望を果たすために周囲の人々を利用してゆく。家族も然り。頭取である銀行の合併がどうなるかは次巻に続く。
Posted by ブクログ
山崎豊子らしい徹底的な取材に裏づけされた、生々しすぎる政財界、産業界の人間模様。
妻妾同居の生活を平然と続ける父大介に対して、その子達はそれぞれ複雑な胸中を抱えながらもこの華麗なる一族万俵家に生まれたことの運命を受け入れている。行動力に富む鉄平と慎重に事を進めていく大介の対立構造が浮き彫りになったところ上巻は終わるが個人的には次男銀平のニヒルな雰囲気に惹きつけられた。
Posted by ブクログ
読み終えるのに2週間くらいかかった。阪神銀行をより太く大きくするために閨閥を利用していく万俵家の物語。上流社会ではこのようなことが実際行われているのだろうか。今はもう廃れた文化なのだろうか。知る由もないが、知らないのも幸せ?
Posted by ブクログ
こんな世界があるのか。。。
あるのか?? 空想なのか??
と妄想・想像しながら読みました。
産まれた瞬間から将来が決まっている環境で育つ不自由さ、だけど、財力・社会的地位・人脈などは圧倒的に確立されている家族。
貧乏だけど自由。はたまた、金持ちだけど不自由。
一体、私達にとって「幸せ」とはなんなのか?考えさせられる作品。お金に縛られない生き方が1番の理想だよなー。と再度自分が置かれている環境に感謝の意が芽生えた
Posted by ブクログ
阪神銀行のオーナー頭取にして万俵財閥の総帥である万俵大介を中心とした万俵家をめぐる物語。長男が実質的に経営する特殊鋼会社を犠牲にしての「小が大を食う」銀行合併、妻妾同衾の乱れた私生活、次々と不幸を招く閨閥結婚など、「華麗なる一族」の裏のドロドロとしつつも深い人間ドラマが描かれている。
全3巻とボリュームは結構あるが、一人一人の登場人物のキャラクターが立っていて、その濃い人間模様の描写に惹き込まれた。正直、「華麗なる一族」に生まれなくてよかったと感じた。
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万俵家。財力と伝統を背景に、仕事においては大介ざ銀行再編の動きで暗躍し、鉄鋼会社では鉄平が高炉作成に向けて尽力する。家庭においては、愛妾相子に妻の座で波乱を含み、官僚財政との閨閥を作り上げ、父と子の確執が起きる。
いくつにも分かれた話のどれもが緻密で、骨太で、すごいなぁと思う。
Posted by ブクログ
初めての山崎豊子。これまで敬遠してきたが、意外とあっという間に読めるので驚く。
執筆当時の日本の姿がよく浮かんでくる。
また、富裕層の浮世離れした暮らしが絢爛豪華に描写され新鮮で楽しい。読み味としてはとても濃厚であくが強い。くどく感じそうになるが、展開が早いのでたるまずに読める。
まだ物語はいかにも序盤という感じで、各登場人物の生い立ちや立場や性格、その手腕が分かり始めたばかりだ。これから物語が一気に展開していくのだろうと思うと楽しみになってしまう。
Posted by ブクログ
とても読み応えのある一冊。
女性が書いたとは思えないほど、各界の描写が細かく描かれており
一方で女性だからこそ、細部に渡る絢爛な様子が多様な言葉で形容されている。
さて、まだ中、下と残りの章も残っているが、どのような話が繰り広げられるのか楽しみである。
Posted by ブクログ
山崎豊子さんのドラマ化もされている作品。
銀行頭取の万俵大介の財閥一族、奇怪な夫婦関係、親子間の確執、政略結婚に翻弄させる兄弟と企む女執事…。
ザドロドロの財閥一族の運命やいかに。
独特の山崎節で上巻楽しませて頂きました!
Posted by ブクログ
WOWOWドラマに長年応援しているアイドルが出演するということで気になっていた作品です。
母親が昔から好きらしく、たまたま家にありました。
ドラマをみてから読んだのでストーリーはスムーズにはいってきましたが、登場人物が多く、知らなかったら混乱したかもと思います。
知らない世界なのであぁ、ありそう…
とおもってしまいます。
苦手なキャラ、好きなキャラできてきました。
はやく続きを読みたいです
Posted by ブクログ
ドラマでは大介と鉄平の確執を中心に他の兄妹についてはあまり触れてなかったが、原作は弟の銀平や妹のニ子などの輪郭がはっきりして面白い。政財界の大物から末端の銀行員まで粒さに描かれているので、頭が混乱しそうだけどスケールの大きさは感じた。
Posted by ブクログ
毎度のことだが、山崎豊子の凄まじいリサーチ力に、只々驚嘆するばかり。ストーリーに関しては、面白い、面白いのだが、不毛地帯を読んだ時のような引き込まれる感覚は乏しかったように感じる。まだ上巻なので、作品としての評価を下すには早いが、万俵家に立ち込める暗雲の気配がとても面白そうな雲行きなので、下巻に期待。
Posted by ブクログ
ドラマ放送時も原作を読んでからと思い、長年読んでみたいと思っていた作品でした。
大企業が中小企業を飲み込む描写に山崎さんの反骨精神を感じ、同時に万俵家のホームドラマとしても楽しめました。
父・大介と長男の鉄平との確執を読むうち、悲しいですが良い人ほど損をするものなのかもしれないと痛感させられます。
没落華族出身の母・寧子が万俵家で受ける仕打ちも悲しいし、大介の妾である相子も、キャリアウーマンと言えば聞こえはいいですが
結局万俵家の子供達を政略結婚させることでしか出世の道を見出せない女性に思え、時代が女性を認めてくれないことも悲しかったです。
どの登場人物の人生も悲しくて切なかったのですが、中巻以降はもっと辛くなるみたいですね…(´・_・`)
確かな筆致でとても読みやすく、わかりにくいところは例えが書いてあったりと
山崎さんの力量はひしひしと感じられました。
ただ、読みたい新作が多すぎるので
あとは2007年版のドラマを借りようと思います。