あらすじ
業界ランク第10位の阪神銀行頭取、万俵大介は、都市銀行再編の動きを前にして、上位銀行への吸収合併を阻止するため必死である。長女一子の夫である大蔵省主計局次長を通じ、上位銀行の経営内容を極秘裏に入手、小が大を喰う企みを画策するが、その裏で、阪神特殊鋼の専務である長男鉄平からの融資依頼をなぜか冷たく拒否する。不気味で巨大な権力機構〈銀行〉を徹底的に取材した力作。
...続きを読む感情タグBEST3
このページにはネタバレを含むレビューが表示されています
Posted by ブクログ
上中下3巻の約1,800ページにも及ぶ長編小説。銀行の頭取であり一族の長である万俵大介が、阪神銀行とそのグループの繁栄のために野心に燃え、親族や政界にあらゆる手段を尽くして推進していく。長男で阪神特殊鋼の専務である万俵鉄平が、祖父の実子なのではないかと大介は疑い、嫉妬から嫌がらせによって阪神特殊鋼を破産に追い込む。その後鉄平は自殺してしまうが、実は祖父の子ではなく自分自身の実子であったことが判明する。阪神銀行は小が大を飲む買収を実現するが、そのすぐ将来には合併される側に回ってしまうという非情な結末を迎える。家族・政治・経済のドロドロな面をリアルに描き、人間の産み出す非情さを見事に描いた山崎豊子らしい小説。リアリティのある面白い内容の小説だったが、やや長過ぎる印象があり、不必要な場面も多く含まれているように感じる。