山崎豊子のレビュー一覧

  • 不毛地帯 第一巻

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     戦争が終わり多くの兵士が祖国へ戻った。シベリアの収容所に囚われた者たちは帰国の望みを胸に極寒の地で耐え続けた。主人公・壹岐正もその一人だった。旧日本軍の中佐として戦い敗戦と抑留の苦しみを味わった彼は十三年の歳月を経てようやく帰国することとなった。
     祖国は旧軍人への風当たりは強く戦争の記憶を背負う者たちの居場所はなかった。そんな中壹岐は大商社に身を投じることにする。そこでは戦闘機納入、弱小自動車会社への投資買収、石油開発をめぐり、企業間、同僚間で熾烈な駆け引き、戦いが繰り広げられる。親友の自殺、妻の事故死という悲劇にも耐え精一杯の任務、役割に信念を持ち務める。ワンマン経営のトップにも翻弄され

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    2025年02月22日
  • 白い巨塔(五)

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    ある意味どんでん返しのない堂々たる展開なので、結末およびそこへの助走がそれまでと比べて少々こじんまりした感じがしなくもなく。
    それでも日本の大衆小説を代表する一作という評価は間違いないかと。
    しかしやっぱり三船敏郎を想起してしまうなぁ、財前には。何ででしょ?

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    2025年02月17日
  • 白い巨塔(四)

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    この作家、前から思ってましたが、男性キャラの描き方が上手い。
    ここに出てくる数多の「おっさん」の、それこそ目に見えるようなくどいまでの濃さ、里見含めた全員が脂分満載ではないか(笑)。
    それに比べると女性の描き方が可愛いんですよね。当方の記憶では、他の作品も基本男性中心の設定が多くて、女性中心の作品では権力を巡る怨念があんまり感じられなかった気がする(気のせいかもしれませんが)。
    ともかくこの最終巻に進みましょう。

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    2025年02月12日
  • 白い巨塔(四)

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    佐々木庸平で起こった医療過誤の第一審は財前側の勝利となる。その後鵜飼教授の思惑もあり財前は学術会議選挙へと出馬することとり、佐々木側が控訴したこともあり選挙と裁判の両方を渡り歩くこととなる。
    裁判は財前有利かと思われていたが、最後の最後で看護婦長の亀山が佐々木側の証人として出ることとなるから次の巻ではどんでん返しが起こるのだろう。
    財前有利の証言をしなかった里見助教授は浪速大学を追いやられるも新しい職場の癌センターで研究を続けており、相変わらず患者思いだが患者がお金ないからって自分のお金を出すのはどうなのだろうか。それやったら他の人に対してはどうするのか、あくまで医師として診断治療を行うべきか

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    2025年02月05日
  • 白い巨塔(三)

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    財前が手術した患者がドイツの学会に参加している間に術後死亡し遺族側が医療過誤だと裁判を起こす。患者の肺転移を見逃し、なおかつ十分な術後治療を行わなかったと遺族が憤慨しているがまあ気持ちはわからなくもないがどこか財前にも同情してしまう。当時の技術じゃ癌転移か結核跡かは調べてもわからなかっただろうし、手術は上手くやってるしね。財前がしっかりと患者側とコミュニケーションとっていれば訴訟までならなかっただろうに。封建制度が色濃く残っていた昔の医学部で教授に楯突いたら左遷させられるのはしんどい。里見助教授はもっと上手く世渡りすればと少し思わなくもないがこれが本来あるべき医師の姿か。
    財前がドイツに行きユ

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    2025年02月02日
  • 白い巨塔(四)

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    オーディブルにて。
    新たな学術会員選挙と控訴審の2本立てで展開。前回無念の敗退を喫した里見先生のその後に注目しながら読んだ。

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    2025年02月02日
  • 白い巨塔(二)

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    鵜飼教授や同窓会、医師会などの援助もあり接戦で教授となった財前だが教授となってからの立ち振る舞いが典型的な権力者だな。権力を持つと人はどうしても横柄になってしまうのかもしれない。読んでて気になったのは手術の後手首や首に血がついてそれを落とすために風呂に入るシーンがあるけど昔ってそんなに感染対策がザルだったのかと驚愕している。今じゃ患者の血液に直接触れることなんてないのに。あと早期の噴門癌でも胃切除していたんだなと、今だったら内視鏡的治療とかで温存できるのに。今後の展開に期待。

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    2025年02月01日
  • 沈まぬ太陽(四) -会長室篇・上-

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    2001年(発出1999年) 512ページ

    読んでいて本当に胸糞悪くなるような人物が次々と登場する第4巻です。性根の腐った人間がこれでもかというくらい出てきます。バブル時代の象徴のように、巨額な金が右から左へと動きます。もちろん、小説としての脚色もあるとは思いますが、金の亡者ばかりで反吐が出そうになる。不正ばかりのそのやり方は、腐敗という言葉がまさにピッタリ当てはまります。とにかく読んでいてムカムカします。今の政治家もまったく同じです。国民航空は、上層部が私腹を肥やし、末端の社員は蔑ろ。政治家や官公庁役人は、自分たちが甘い汁を吸うためには、国民の生活をまったく顧みない。

    そんな中で新たに国

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    2025年01月30日
  • 白い巨塔(一)

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    浪速大学医学部第一外科教授の椅子を狙う財前五郎、現教授で今後も影響を持ちたい東教授らの対決が生々しい。医療小説というより政治小説みたいだな。書かれたのが少し古いせいか途中で出てくる内容も古めかしい。胃潰瘍で手術なんてよっぽどだし、CTとかもなかったのかな。そう考えると今の医療はだいぶ進歩してるな。

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    2025年01月30日
  • 約束の海

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    面白かったです。第一部のみとなっているのがすごく残念でしたが、楽しく読み進めることができました。世間への問題提起の思いも込めた山崎豊子さんの他作品も読みたいです。

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    2025年01月26日
  • 白い巨塔(四)

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    浪速大学の教授選挙戦の次は4巻でら学術会議選挙が医事裁判のもう一つの舞台となる。選挙戦の攻防はやや辟易するが裁判の方は控訴審になり、かなり白熱していて読み応えがある。正義と野望、もちろん正義に勝ってほしいが名誉、金などに執着する欲にまみれた人間の恐ろしさには身震いする。

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    2025年01月19日
  • 白い巨塔(三)

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    財前五郎が国際会議出席のため、渡航している間に噴門ガンの患者が死亡する。遺族は財前の渡航前の不誠実な対応を誤診として訴える。肺への転移を疑い再三検査を主張した内科医の里見助教授は真実を語り大学を去り、大学の名誉を守るという美名のもとに誤診を否定した財前教授が大学に残る、不条理な結末に愕然とする。

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    2025年01月16日
  • 白い巨塔(一)

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    6章終わりの方でこの期に及んで移入教授について相談もされてないなんてあんた東さんにナメられてんのとちゃう?って方向で鵜飼を煽る岩田うまいな〜
    そんで東くんとか眼中にないねとか言っちゃう鵜飼
    いやー内心では相手のこと蔑んでたりいやらしいわ〜でも小説だから他人事として面白い

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    2025年01月27日
  • 二つの祖国(一)

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    第二次対戦下での日系二世に対する隔離政策、日本の降伏の動きを知りながら原爆投下したアメリカ、広島に医療団を送り込みながらも人体に対する原爆の影響を調査するのみで医療行為を一切しなかったアメリカ、戦争犯罪を裁く国際法理論が無いにも拘わらず日本の戦争責任者を厳しく断罪したアメリカ。
    大東亜共栄圏という身勝手な国策を掲げ、東南アジアの民族に数々の残虐な行為をした日本、特攻隊や生きて虜囚の辱しめを受けずと人命を蔑ろにした日本その日本に民主主義を持ち込み、その後の日本の発展を導いた平等と自由の国アメリカに対する日本人が長年持ち続けていた憧れの感情が如何に滑稽なことであると今更ながらに感じました。
    戦時中

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    2025年01月14日
  • 沈まぬ太陽(五) -会長室篇・下-

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    読みながらしんどかったが、読み終えてもなおしんどかった。4巻までは限りなく星5でしたが、なかなか救いがないというか、少し溜飲の下がる展開があったと思ったら架空の人物のフィクション部分だった。
    ただ、いくらフィクションといえど御巣鷹の事故を起こした会社の航空機に無邪気に乗っていた自分が恐ろしく感じられるほど衝撃的な事故だと知った。
    自分も大企業に勤める身としては、上層部がこんなに腐っていたらこの体質が容易に変わるとは思えなかった。もうホラーやん。

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    2025年01月06日
  • 白い巨塔(三)

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    白い巨塔の世界は現在も脈々と受け継がれている
    昨今の宝塚歌劇の劇団員の自死とその後の劇団の対応など、まさに内実はこの世界そのものではないのか??
    人間の闇をこれでもかと残酷に読者に突きつける山崎ワールドに圧巻

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    2025年01月02日
  • 運命の人(三)

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    弓成の落ちぶれ方も実話なのだろうか。
    しかし、新聞記者としては頑張っていたかもしれないが、人間としてはひどい男だな、という感想。

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    2024年12月27日
  • 運命の人(二)

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    不倫関係ではない、という描かれかたをされていた弓成と三木が不倫関係にあったことがまず衝撃的だった。
    実話と知らずに読んでいたので、今の国民民主との玉木氏のことが頭に浮かんだり、山崎さんはなんでそんなことを思いついたのだろうか、と思ったりしたが、実際不倫をしていて、「ひそかに情を通じ、これを利用して」という文言も実際に使用された文言だった。

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    2024年12月27日
  • 運命の人(一)

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    最初登場人物がたくさん出てきて、政治家か新聞記者かどちらが主人公かよくわからなかった。
    途中から新聞記者、弓成が主人公だということがわかり、ジャーナリストの正義の話かな、と読み進めていったがそこでどんでん返し。
    しかし、今調べてみたら「西山事件」という実話をもとにしたフィクションだったことがわかった。
    知らずに読んでいた。

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    2024年12月27日
  • 不毛地帯 第四巻

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    ☆4.2
    壹岐は戦い続けてる。
    しかし、女に溺れる人間らしいところも見えて、決して不毛なだけの人生ではないのかとも思える反面、この弱さは、私個人は見たくなかった。
    二人の関係がこのまま、何もなく終わってしまうのか次巻が気になる。
    石油開発もまさかの失敗とか、あるのかもしれず彼の人生最期の仕事がどう結末を迎えるのかも、実に興味津々である。
    これは紙の本を手に入れて、正解だった。
    書物はやめられない。

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    2024年12月23日