山崎豊子のレビュー一覧

  • 女の勲章(下)
    昭和36年の作品と思えないくらい生々しく男女のドロドロした感情や煩悶がリアルに描かれている。山崎豊子作品は仕事のできる真人間の男性が主人公の作品ばかり読んできたが、この女の勲章は女性が主人公で男女のドロドロした騙し合い裏切り合いが描かれ全く違う凄みがあった。
    個人的に意外な結末も含めて読み応えのある...続きを読む
  • 沈まぬ太陽(二) -アフリカ篇・下-
    人を想い筋を通す。それ故に心が弱る。僻地盥回しの不当な人事などで時折り人の醜さを感じるが、それでも筋は曲げず人を想い続ける恩地元という素晴らしい人間性に惹きつけられた。
  • 大地の子(三)
    陸一心はようやく妹との再会を果たすが精神的にも身体的にもやつれ果てたあつ子の姿は読んでいてつらいものがある。日本人でありながら、中国語でしか通じ合えない兄弟。なかなか父子であることに気づかない二人。あつ子は父と巡り合うことができるのか。最終章に続く。
  • 不毛地帯 第五巻
    不毛地帯最終章。
    長かった主人公の商社マンとしての第二の人生が終わりを告げる。

    社運をかけた中東のオイルビジネスはどうなることかとハラハラさせられたが、結果的に物凄い量のオイルが見つかり、会社に多大な利益をもたらすことになった。
    主人公は社内で更に評価を上げる。

    他方で、大門社長は相場で莫大な損...続きを読む
  • 不毛地帯 第一巻
    山崎豊子先生の超大作にして代表作。
    一巻は主に、主人公のシベリア勾留から商社に入社するまでの話。
    日本敗戦濃厚と見るや、条約を破って満州に進出し、戦後のどさくさに紛れて捕虜を強制労働に従事させたロシアは本当に卑劣である。
    この問題こそ、戦後何十年経った今でも賠償請求をして許されるのではないかと思える...続きを読む
  • ぼんち
    1ページ目から映像が浮かびます。
    映画を丁寧に読んでいる感じ。
    しかし、どの国のいつの時代や!と言いたいくらい異次元。
  • 二つの祖国(三)
    東京裁判のモニターとして、法廷に臨む賢治。

    裁判長、連合国側の検察官、日本人の被告、日本人の被告を弁護する弁護士。
    太平洋戦争への様々な思惑がみえてくる。

    アメリカ国籍を持ちながら、日系二世でもある自らの存在をもとに、限りなく公平にモニターとしての職務に徹しようとする賢治。

    それが賢治を悩やま...続きを読む
  • 不毛地帯 第二巻
    二巻は航空機の結末から新章に向けたさわりが記載。
    商社の泥臭く、対応範囲の広い行動に驚かされる。国際情勢、政治、利権等々が渦巻いていた。
    三巻以降は中東情勢がメインとなるようで、一旦休憩。
  • 二つの祖国(二)
    米軍の語学将校となった賢治。
    アメリカへの忠誠を示し、米軍に志願し、欧州に向かった勇。
    日本で、帝国陸軍兵士として、出征した忠。

    戦争は3人の兄弟を、家族を巻き込んでいく…

    ドイツ軍からテキサス大隊の救出にあたっていた勇は…

    戦闘の激しさがます、フィリピンで賢治と忠は…
    賢治の恐れていたことが...続きを読む
  • 白い巨塔(四)
    傲慢と過信に加速がかかった財前教授。
    それと対比させられるようなヨシエ一家の転落が寂しし、無情。

    時代的にしょうがないのだけど、
    東さえこって何してるのかしら。

    仕事もせず家事手伝いで、凛としてるようにかからてるけと婦長の家に綺麗なかっこで訪れて、
    教授の娘だからといって年上に対する態度ではない...続きを読む
  • 白い巨塔(五)
    一気読み。

    財前の孤独が際立った最終章。
    権力にら執着して、結局残ったものは何なのだろうか。

    遺書が少しだけ救いというか、
    医者としての尊厳みたいなものを感じられた。

    根っこの部分は癌の究明だったろうにどこからこうなつてしまったのか。

    作者のものすごいエネルギーを感じた。
  • 二つの祖国(一)
    アメリカで生まれ、アメリカ人として育てられた日系二世。

    日本による真珠湾攻撃により、太平洋戦争が勃発。
    アメリカに残る日本人、日系人には過酷な試練が待っていた。

    日系二世たちはアメリカ人として生きるか?
    日本人として生きるか?問われる…

    天羽賢治も日系二世として、厳しい選択に迫られる…

    どち...続きを読む
  • 運命の人(二)
    第一巻では新聞記者が沖縄返還に関する外交上の機密情報を漏洩した罪で逮捕され、この第二巻では、この裁判が行われる。
    どうやって機密情報を入手したかがミソ。
    やっぱり、この主人公は好きになれない。
    感情移入できないです。

    けど、実際にあった事件を、ここまでドラマチックに書く山崎豊子は流石。
    三巻、四巻...続きを読む
  • 運命の人(一)
    第一巻では新聞記者が沖縄返還に関する外交上の機密情報を漏洩した罪で逮捕され、この第二巻では、この裁判が行われる。
    どうやって機密情報を入手したかがミソ。
    やっぱり、この主人公は好きになれない。
    感情移入できないです。

    けど、実際にあった事件を、ここまでドラマチックに書く山崎豊子は流石。
    三巻、四巻...続きを読む
  • 大地の子(二)
    陸一心は日中共同プロジェクトの宝華製鉄建設で実父と出会うがお互い実の親子とは全く気付かず、それぞれが国の威信をかけて競り合う。よき理解者である月梅を妻に迎え中国人として生きていこうとする一心であったが、日本人であった頃の「家族」に再会できるか。続きを読まなくては。
  • 大地の子(一)
    第二次世界大戦直後に中国で家族と生き別れになった日本人孤児の壮絶な人生。背景には日本人が中国で行ってきた悪行があることは明確であるが、あまりにもひどい仕打ちに読んでいて辛くなる。果たして生き別れた妹との再会は叶うのか。
  • 大地の子(一)
    何十年に渡る1人の男の人生を描いているから、いろいろなことが次々と起こり、シーンも次々と変わり、小説としての面白さがある。
    これだけ中国人として生きてきても、生まれた国の日本に惹かれていく主人公や中国残留孤児の方々の描写が興味深かったなぁ。
    無心になって読み進めた一冊。
  • 運命の人(四)
    4巻が1番面白かった。
    沖縄返還のため400百万ドルを秘密裏に日本が支払ったことはやむを得ないと思う。
    それを国民が知る必要が必ずしもあるとは思わない。
    沖縄を平和的に返還してもらうことに意味がある。
    沖縄が犠牲になっていることは全国民が知るべきだ。
    沖縄の過去と現在を知ることができる本。
  • 女系家族(下)
    全員が誰のことも信用していなくて、少しでも自分が有利になるように画策している。言ってることと思っていることが違うし計算高い。
    最後誰が得するかなと予想しながら読み進めたけど概ね予想通りだった。
  • 運命の人(四)
    最高裁への上告を棄却され、家業も失った、失意の弓成は、死地を求めて、沖縄にたどり着く…

    第二次大戦、日本で唯一、地上戦が行われた地・沖縄で、戦争体験者たちから、当時の壮絶で悲惨な話を聞くうちに、立ち直っていく、弓成。

    そして、米軍海兵隊員による少女暴行事件、米軍ヘリ墜落事故…

    現代の基地問題へ...続きを読む