山崎豊子のレビュー一覧
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『華麗なる一族 下』
阪神銀行・頭取・万俵大介は、大同銀行・専務・綿貫と両行の合併に向けて、影で動きだす。
長男・鉄平が専務である阪神特殊鋼を倒産に追いやってでも、『小が大を喰う』合併を成し遂げようと…
父の計略に嵌り、大同銀行・三雲頭取を辞任に追い込んでしまった、鉄平は…
自らの目的を達するために、実の息子をも使い、騙すとは。まるで戦国時代のようで。
が、戦国時代ほど勇ましさ、潔さが感じられない…モヤモヤ感が残る…
『天下ヲ得ルニハ 一不義ヲ成サズ 一無辜ヲ殺サズ』
三雲が大介に言ったように。
永田のように大介を超える悪党がいるわけで。
大介の寂しい老後が、万俵財閥の落日が、目に浮か -
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浪花女のど根性、商売の才覚と事業欲に溢れる多加の嫁いでから生を終える迄の物語り。
心根は優しいが生活力がなく、まして事業の才能もない夫吉三郎が外に作った若い女の家で腹上死し、その葬儀に二夫にまみえぬを誓う白い喪服を纏った多加。
寄席の上客であるどこか夫に似た伊藤に思いを持つも事業を優先する多加。
一粒種の久男にも母親らしい子育てより事業を優先する多加。
だが、大阪の大空襲で殆どを失ったが、芸人の借金を片っ端から棒引きし、寄席芸で儲けたからそれで損してもええとうそぶく多加。
また、思いを寄せた伊藤の自殺の写真をあり得ない高額で記者から買い取った行動に多加の思いが溢れ、多加の人物像に深みを感じまし -
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山崎豊子『華麗なる一族』。
残っていた山崎豊子作品。ほぼ最後。
都銀10位の阪神銀行・頭取・万俵大介。
都市銀行再編の動きがある中で、上位行からの吸収合併を逃れるべく、娘婿・美馬を通じ、他行の状況を探る。
『小が大を喰う』合併を模索する…
万俵財閥をさらに強固なものとするため、次男・銀平、次女・二子の閨閥結婚も進めていく…
一方、グループ会社・阪神特殊鋼・専務・長男・鉄平は高炉建設を計画、融資を阪神銀行に依頼するが、父・大介は…
昭和40年代前半、高度経済成長期の神戸の街。
万俵一族をさらに強固なものに動く、大介と妾・相子。
父・大介と長男・鉄平の関係が…
鉄平と祖父・敬介…
万俵一 -
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日本航空をモデルとした労使間の争い。企業に都合の悪い組合活動をするものへの懲罰・見せしめ的人事、大企業が一個人に対して倫理観を無視しここまで牙をむくのかと戦慄する。詳細は異なるとされるが実際に内規をこえ10年の海外赴任を強制された社員がモデルとなる。パキスタンのカラチ、イランのテヘラン、ケニアのナイロビ。アラブの商人は「砂漠の人」一期一会で仕事をするため誠意は皆無。
正義感が強く芯の通った主人公 恩地がひどい仕打ちを受けていくのは見ていて辛いものがあるが、へこたれずに前を向いて突き進む姿は半沢直樹を見ているようである。
御巣鷹山の事故を機に物語は新章に入る。社外から招いた会長職に会社の再建を託 -
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山崎豊子作品、未完の遺作。
いつものことながら、膨大な取材と勉強の爪痕を感じられる骨太の作品です。
本作は、海上自衛隊の潜水艦と遊漁船の衝突事故と海難審判を中心に物語が進みますが、山崎先生が最も描きたかったのは、次作で描くはずだった主人公の父親の話。真珠湾攻撃の緒戦で捕虜第一号となり波乱の人生を送ったモデルが、主人公の父親でした。
続きを読みたかった。
多くの艦船が沈められ、多くの犠牲者が眠る太平洋の地を、二度と戦争の場にしてはいけない、という信念をもつ父と息子の100年物語。未完のは残念ですが、本作及び、山崎先生の後書や新潮社プロジェクト、秘書の方の解説は是非読んでいただきたいと思う内容 -
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なんて悲しく、そして気高い生涯なんでしょう‥。美貌と、才能と、大地主の長女としてのあふれるほどの富を持ちながら、突如 早逝されたと記され、歌壇から消息を絶った歌人・小室みやじ。しかし彼女は生きていたのです。その謎をゆっくりと紐解くように、彼女に54年間付き添った老婢のよしが語り始めます。
大正時代の美しい 尊敬語、謙譲語で語られる文章は、現代の私たちには 読みづらいと感じるかもしれませんが、それこそがミステリアスで残酷な運命をたどった 小室みやじをよく表現していると思います。
このお話にはモデルがいると噂され、ネットでもこの人では?と名指されていて、あとがきでは作者はきっぱりと否定していま