山崎豊子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレこの巻でもっとも心に残るのは、やはり天羽家三兄弟のあまりにも酷過ぎる運命ではないでしょうか?? 日系2世というまさに本書のタイトルどおり、「二つの祖国」を持つ三兄弟が、たまたま太平洋戦争突入時に何歳でどんな教育を受けどこにいたのか?という偶然性も手伝って、1人は米軍兵士として、もう1人は帝国陸軍兵士として、そして長兄として常に二つの祖国を強く意識し続けた最後の1人が米軍の語学将校として戦争に巻き込まれていく・・・・・。 その非情さには言葉もありません。
家族だからと言って誰もが同じ哲学、同じ思想というわけにはいかないのは、どんな時代であれ、そしてどんな境遇であれ、必ずしも珍しいことではないと思うけれど、彼らの場合はあまりにも残酷です。 まして、末弟の勇君はヨーロッパ戦線だからまだしも、長男 & 次男は同じ戦線に赴き、戦場で顔を合わせることになるな~んていうのは、平和ボケ時代の KiKi には想像さえできなかった出来事でした。 初読の時にはどちらかというと「小説特有の悲劇性強調型プロット」として読んでしまったこの境遇が今回の読書では「実際にそういうことがあったかどうかということ以上に、残酷な人間性の黙殺の象徴」として胸に迫ってきました。
三兄弟のお父さんの描写があまりにも痛々しい・・・・。 彼は「自分のためにも家族のためにも良かれ」と考えて移住を決意し、移住後も苦労を重ね続けて、善良に、そして真剣に生きてきただけの人だったのに、人生の後半で第二の祖国からは人種差別で受け入れられず、祖国に帰ることもできず、収容所内の同じ日系1世の人々の姿にも違和感を覚え、収容所内の遺体処理係として時を重ねていきます。 その姿には、ファッションではない「ニヒリズムの極致の姿」が表れていると感じました。 そしてそんな父親の姿を見守るしかない賢治の苦悩も心に響きます。
そうであるだけに、その後の賢治の選択には常に彼の抱える「矛盾」が溢れていて、読んでいて辛いものがありました。 ある意味では弟二人のように自分の「帰属」を宣言できる若さがまぶしく感じられてしまったぐらい・・・・・。 もちろんそんな彼らも己の存在をかけて戦っているわけで、何とな~く生きているようなところのある現代の私たちには想像できないような困難と日々向き合っているわけではあるんですけどね。
そして原爆投下。 8月になるとTVでは毎年のように放映されるあの「きのこ雲」。 アメリカで当時、どれくらいの人たちがあの悲劇の実態を知っていたのかは甚だ疑問だと思うし、二つの祖国の間で身も心も引裂かれた1世、2世の人たちがそれを知っていたのかも、不勉強な KiKi はよく知らないんだけど、祖国日本と父の死後日本に帰国した母・妹を捨てて身も心もアメリカ人たろうと努力してきたチャーリーであってさえも受けた衝撃の大きさが胸を抉ります。
さて、第3巻は東京裁判です。
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Posted by ブクログ
ネタバレ現在であってさえも、コレを巡って世界のあっちこっちで利権やら紛争やら何やらと大騒ぎの「石油」にお話が移行しました。 KiKi は外資系の会社でのお仕事が長かった関係で、米国とか西欧諸国、そしてアジア諸国(除く共産圏)とのビジネスっていうのはそこそこ関与する機会があったんですけど、さすがに中近東っていうのは相手にしたことがないので、オイルビジネスの描写はかなり興味深く読むことができました。
ただ、第3巻でもちょっと感じてはいたんですけど、この第4巻に至って、ものすご~く違和感があったのが、壱岐さんにしろ里井さんにしろ、大手商社のナンバー2 or 3の割にはやっていることがプレイング・マネージャー的だなぁ・・・・・ということです。 これは時代の違い・・・なのかもしれないんだけど、何て言うか、組織で仕事をしているっていう感じがあんまりなくて、個人技で仕事をしている・・・・そんな印象なんですよね。
まあ、根回し的な、交渉的なことっていうのは最後は組織の上の方の人たちの顔やら繋がりやら何やらかにやらで動く部分が多いのは事実そうなんだけど、かたや副社長、かたや専務という肩書を引っ提げている割には KiKi なんかがイメージするマネージメントっぽさがない・・・・・とでも言いましょうか??
これが兵頭さんクラスの人たちだったり、壱岐さんにしても、いくら社長のお声掛かりと言えども嘱託職員に過ぎなかった頃であればまあ、こういう動き方・働き方もさもありなんと思えるんだけど、これが財閥系商社を向こうに回して台頭してきた日本でも指折りの大商社という設定の中で、しかもいわゆる「経営陣」というポジションにいながらにしてこの動き方っていうのはアリなんだろうか??とちょっと疑問符がついちゃうところがあるように感じました。
そしてもう一つ。 あの時代に石油を確保するということは国益にかなうことであったということ自体を否定する気はないんだけど、何となく壱岐さんが「国益のために・・・・・」というモチベーションで動いているっていうのはちょっと綺麗ごとに過ぎるんじゃないかなぁ・・・・・と。 まあ、この物語で性格づけられた壱岐正というちょっと理想的に過ぎるきらいのある人物設定だとこうならざるを得ないのはわかるんだけど、天邪鬼の KiKi としてはどうしても胡散臭さを感じちゃうんですよね~。
まして、この物語の中でも描かれているように、本来ならその「国益」をもっとも追及していて欲しい政治家の皆さんにとって石油というものは「利権」「覇権」の対象ではあっても必ずしも「国益」なんていう高尚なレベルのものとは言い切れなかったわけですし・・・・・。 KiKi はねぇ、「国益」という言葉にはもともと懐疑的なスタンスをとりがちなんですよね。 これっていわゆる「目くらましワード」の筆頭だよなぁとさえ思っているぐらいで・・・・・(苦笑)
さらに、さらに・・・・です。 兵頭 & 壱岐陣営がいわゆる国策プロジェクト(公社とか商社数社による共同プロジェクト)から離れ、インディペンデントの米企業と組んで油田開発に応札するという流れにしても、政治家を丸め込む(言葉は悪いけど ^^;)ための方便として、「国策プロジェクトがとれなかった時のためのセイフティ・ネットが必要です。」的なことを言っているわけだけど、それが最初にあったわけじゃなくて、その国策プロジェクトでのポジショニングに納得できないというところから、そこから離脱して外資と組むという選択をしているわけで、そこで見え隠れするのは「国益第一!」というような哲学では決してなくて、「わが社の利益追及」「財閥系商社にとってかわりたいという欲」以外のナニモノでもないわけです。
KiKi はそこのこと自体はビジネスである以上、必ずしも悪いとは思わないし、あの方便自体も間違っているとは思わないんですよ。 それに近畿商事がある意味で軽視されたいきさつを見れば「ナニクソ! 今に見ておれ!」と思ったというのもよ~く理解できます。 でも壱岐さんがここで敢えて「国益のために・・・・・」なんていう綺麗ごと発言をするあたりに、このキャラクターの矛盾と言うか、必要以上にこのキャラを美化しようとしている限界みたいなものを感じてしまいました。 まあ、KiKi はこの物語が描く時代の元軍人さんに対する世間の目の厳しさ・・・・・みたいなことが必ずしも理解できているとは思わないので、現代人感覚での評価に過ぎないことは百も承知なんですけどね。
・・・・・とは言うものの、やっぱりこの物語は面白い!!(笑) 残すは最終巻です。
(全文はブログにて) -
Posted by ブクログ
(一巻から四巻まで合わせたレビューです。)
大好きな山崎さんの(もしかすると最後になるかもしれない)長編小説。
沖縄返還時の機密文書漏洩事件(西山事件)をテーマに、
相変わらずの取材力&構成力で読者をぐいぐい引っ張っていきます。
この分野は完全に無知でしたが、小説を通じて、
昔の自民党の政治のやり方を目にすることができました。
主人公の機密文書を入手した手段は、
倫理的によい方法だとは言えませんが、
それ以上に、臭いものに蓋をする昔の自民党の政治家や官僚にも、
沖縄の人たちだけでなく、日本人全員が
もっと憤りを感じるべきなんでしょう。
現在も普天間基地移設問題で民主党が揺れていますが、
少しばかり当事者意識を持って
この問題を受け止めれるようになった気がします。
山崎さん、もう一冊書いて欲しいなぁ。。 -
Posted by ブクログ
ネタバレやばいやばいやばい。
おもしろいおもしろいおもしろい。
山崎豊子さんの本は、「白い巨塔」「女系家族」「華麗なる一族」などを読んで来ましたが、なんとなく文章(特に会話の部分)に古さを感じて、おもしろいんだけど読むのに疲れる…という感じでした。
しかし、しかし! (一人盛り上がる)これは、比較的最近に書かれた物だからなのか、その古臭さがまるでなく、もう夢中で読みました。
恩地元のやってることは正しい、まっすぐで正しくて、こうあるべきなんだろうけど、やっぱり私は妻と子供の母親としての目線で見てしまうので、「私たちのためを思うなら、もうちょっと妥協しても…」と感じてしまう。
でもそれじゃあダメなんだよなぁ…。
困ったなぁ。これ、5巻まであるのに、うちにはこの1巻しかなく、しかも読み終わってしまった。
今日、急いで4冊まとめて買ってこなければ!!!
これは映画化、「不毛地帯」はドラマ化されてますね。
不毛地帯も読んだことないから、こちらも買いかしら…。