山崎豊子のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
千代田自動車とアメリカ・フォーク社との資本提携は、フォークからのたった1枚のビジネス・レターで交渉の打ち切りが決定された。
そこにはライバルである東京商事・鮫島の暗躍があった。
新規合弁会社の設立を強引に押し進めようとする里井副社長と、あくまでも千代田の利益を損なわないよう交渉を行う壹岐。
商社のことが何もわからない僕が読んでも、2人の力量の差は歴然としていると思った。
里井副社長には心臓病の不安があるため、この時点で専務である壹岐が実質的に近畿商事のナンバー・2になった。
そして、壹岐は資源に乏しい日本の将来を見据え、石油確保の手段を模索しはじめた。
イランのサルベスタン鉱区に入札するこ -
Posted by ブクログ
近畿商事を重工業化路線へ転向したい壹岐と、繊維部門の地位を保持したい里井副社長。
2人の溝はますます深まるばかり。
そんな中、近畿商事の取引先である千代田自動車に提携の話が持ち上がった。
相手はアメリカビッグ・スリーの1つであるフォーク(フォード?)。
アメリカの自動車が上陸すれば日本のメーカーは1たまりもなく食いつぶされてしまう可能性があり、交渉は容易に進まない。
当時(1970年代)、自動車産業の資本自由化について自動車メーカー、商社、ならびに通産省がいかに頭を悩ませていたかというのがよくわかった。
この巻では、壹岐の妻・佳子が交通事故のため亡くなってしまう。
しかもそれは、壹岐が秋津 -
Posted by ブクログ
ネタバレ山崎豊子さんの作品は悲劇的なものが多いなぁ・・・・・。 「白い巨塔」しかり、「華麗なる一族」しかり、そしてこの「二つの祖国」しかり・・・・・。 なまじこれらの作品の主人公たちが途中までは強靭な精神力の持ち主として描かれているだけに、最後が・・・・。
個人的にはこの作品に於いて、賢治と梛子さんの恋愛エピソードは不要なものに感じました。 もちろんあの時代にアメリカの日系人迫害を逃れたアメリカ国籍を有する日系2世の人が広島で被爆したというエピソードと彼女が最期に漏らす「私はアメリカの敵だったのでしょうか?」という問いかけはとても重要だと感じるし、この物語の中で別の形でなら出てきて然るべき -
Posted by ブクログ
ネタバレ20年以上前、この本を初めて読んだ時の衝撃はこの「東京裁判」のシーンでした。 戦後教育の中でこの東京裁判に関しては学校でほとんど学んだことがなく、端的に言ってしまえば「大戦後、アメリカの占領下の日本で戦犯を裁く『東京裁判』が行われ、A級戦犯とされた28名のうち7名が絞首刑に処せられた」ということぐらいしか知らなかった KiKi にとって、この物語で描かれた東京裁判のシーンは初めてその裁判がどんなものだったのかを考えるきっかけとなったものでした。
そして当時の KiKi は戦勝国が敗戦国を裁くということに潜むある種の「不公平感」を強く感じ、同時に「原発投下を人類がどう評価すべきか?という極め -
Posted by ブクログ
ネタバレこの巻でもっとも心に残るのは、やはり天羽家三兄弟のあまりにも酷過ぎる運命ではないでしょうか?? 日系2世というまさに本書のタイトルどおり、「二つの祖国」を持つ三兄弟が、たまたま太平洋戦争突入時に何歳でどんな教育を受けどこにいたのか?という偶然性も手伝って、1人は米軍兵士として、もう1人は帝国陸軍兵士として、そして長兄として常に二つの祖国を強く意識し続けた最後の1人が米軍の語学将校として戦争に巻き込まれていく・・・・・。 その非情さには言葉もありません。
家族だからと言って誰もが同じ哲学、同じ思想というわけにはいかないのは、どんな時代であれ、そしてどんな境遇であれ、必ずしも珍しいことではな -
Posted by ブクログ
ネタバレ現在であってさえも、コレを巡って世界のあっちこっちで利権やら紛争やら何やらと大騒ぎの「石油」にお話が移行しました。 KiKi は外資系の会社でのお仕事が長かった関係で、米国とか西欧諸国、そしてアジア諸国(除く共産圏)とのビジネスっていうのはそこそこ関与する機会があったんですけど、さすがに中近東っていうのは相手にしたことがないので、オイルビジネスの描写はかなり興味深く読むことができました。
ただ、第3巻でもちょっと感じてはいたんですけど、この第4巻に至って、ものすご~く違和感があったのが、壱岐さんにしろ里井さんにしろ、大手商社のナンバー2 or 3の割にはやっていることがプレイング・マネージ -
Posted by ブクログ
(一巻から四巻まで合わせたレビューです。)
大好きな山崎さんの(もしかすると最後になるかもしれない)長編小説。
沖縄返還時の機密文書漏洩事件(西山事件)をテーマに、
相変わらずの取材力&構成力で読者をぐいぐい引っ張っていきます。
この分野は完全に無知でしたが、小説を通じて、
昔の自民党の政治のやり方を目にすることができました。
主人公の機密文書を入手した手段は、
倫理的によい方法だとは言えませんが、
それ以上に、臭いものに蓋をする昔の自民党の政治家や官僚にも、
沖縄の人たちだけでなく、日本人全員が
もっと憤りを感じるべきなんでしょう。
現在も普天間基地移設問題で民主