山崎豊子のレビュー一覧

  • 運命の人(一)

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    初めて読む、山崎豊子さんの作品。

    文体に良い意味で女性らしさがなく、作品の内容に合っています。
    沖縄返還協定を巡る政治家の交渉、それに纏わる疑惑を追う新聞記者・弓成を主人公に現代に通じる政治の裏側、巧みながらも誉められるべきではない政治家の手法が描かれています。

    1巻は、外務省から漏れた機密文書の存在が明るみに出たところで終了。
    続きが楽しみです。

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    2022年10月17日
  • 運命の人(二)

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    2巻では、いよいよ裁判へ。

    政府の徹底した秘密主義ととぼけっぷりは、現代と変わらない印象です。
    一方で、主人公・弓成の家庭の状況にも触れており、
    特に妻の心理描写についてはさすが同じ女性、リアルで共感できる内容でした。

    1巻では読者にも伏せられていた事実が明らかになったり、2巻の最後に初登場の人物が現れたりと作者の凄さに感嘆します。

    ますます続きが楽しみです。

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    2022年10月17日
  • 運命の人(三)

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    3巻は、一冊を通して裁判の経過が描かれています。

    地裁から始まり、高裁、最高裁まで、登場人物のみならず読み手の私も驚く判決でした。
    女性事務次官の手記には、同じ女性として辟易しましたが、そういった人物像を作り上げた作者が凄いと思いました。

    いよいよ次で最後。
    どんな結末を迎えるのでしょうか。

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    2022年10月17日
  • 大地の子(三)

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    日本人の戦争孤児・松本勝男こと陸一心。
    日本人という出自故に、過酷な運命を辿ってきた。

    日中プロジェクト『宝華製鉄』のメンバーとして、日本の地を踏む。

    しなのふじ…
    長野…
    少しずつ記憶が…

    政争に巻き込まれ、『宝華製鉄』建設プロジェクトは中止に…

    夏国峰にババをひかせたという、鄧平化、恐るべし。その後、あっさり再開とは…

    松本耕次は、『宝華製鉄』建設プロジェクトの上海事務所長として、多忙な日々を送りながら、残留孤児となった勝男とあつ子の行方を探していた。

    巡回医療を続ける妻・江月梅から張玉花というあつ子に年齢が近い、残留孤児がいることを知り、張玉花に会いに行く陸一心…

    そこには

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    2022年10月17日
  • 大地の子(二)

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    日本人の戦争孤児・松本勝男こと陸一心。
    その出自故に、冤罪により、労働改造所に囚われ、想像を絶する過酷な日々を送っていた。

    養父・陸徳志や親友・袁力本の支援により、冤罪が認められ、ようやく釈放される。

    釈放後も日本人が故の差別を受けながらも、日中共同プロジェクト『宝華製鉄』建設チームメンバーに選ばれた。また、同時に共産党員への推薦も受けることになった。

    一方、かつて満洲開拓団として、満洲に渡った松本耕次は、敗戦により家族と生き別れになっていた。

    開拓団として、多くの犠牲者を出したことに贖罪の日々を送っていた松本耕次。
    『宝華製鉄』建設プロジェクトの上海事務所長の辞令が下りる。

    同じ頃

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    2022年10月16日
  • 大地の子(一)

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    日本人・松本勝男。幼少期に満州の日本開拓村へ家族とともに移住する。

    1945年8月9日、ソ連軍の満洲への進軍により、祖父と母を失い、妹・あつ子とは生き別れとなり、戦争孤児となる。

    さまよっていた勝男を救ったのが、小学校教師・陸徳志。勝男は徳志と妻の淑琴の子、陸一心として育てられる。

    文化大革命時に、北京鋼鉄公司で技術者として働いていた一心は、自己の出自の故に、造反派の労働者から糾弾され、冤罪の上、労働改造所に収容される。

    小日本鬼子という出自。
    中国人として、懸命に生きようとする一心に過酷な運命を与える…

    学校での暴力、文化大革命のリンチ、労働改造所での強制労働…

    過酷すぎる…

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    2022年10月15日
  • 二つの祖国(二)

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    賢治が迷っている様子がわかる。▼第二次世界大戦において私は在米の日系人の立場における戦争の視点を欠いていた。
    折りに触れて、日系人のWWⅡについても考えていきたい。このことは今起こっている戦争についても、そのような立場の人々がいるという視点をもって考慮しなければならないと思った。▼

    祖父の国の日本、日系2世アメリカ人としての立場、アメリカ市民として米軍人として求められるもの、日本軍で戦う忠、米軍に入隊しヨーロッパ戦線で戦死した勇、何を選択すれば最善かわからない中で前線へ志願する。
    ▼日本降伏後、広島に入り賢治は日本のために何か成すべきだと決意する。▼極東国際軍事裁判の通訳モニターを使命と考え

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    2022年09月02日
  • 約束の海

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    特殊潜航艇の搭乗員で、太平洋戦争時、日本人初の捕虜となった酒巻和男氏、氏をモデルにして書かれた小説ということで読んでみた。
    しかし、読めども氏であろう人物が一向に登場しない。
    実は、山崎豊子最後の小説で、それは完成されることなく未完だった。
    取材もだいぶ終わっていたようで、完成した作品を読むことが出来ずとても残念だ。
    けれども、本書の主人公花巻朔太郎(モデルの息子という設定の人物)を通して、自衛隊とは何かという問題を改めて考えることができた。
    ただ、それを考えると続きが読めないことがより一層悔やまれる。

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    2022年08月26日
  • 不毛地帯 第一巻

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    実在の商社マンをモデルとした本書。

    戦時中参謀長として何十万もの兵士を動かしていた主人公が、敗戦後11年間もシベリアに抑留され、拷問や労働など過酷な生活を強いられたことが第一巻で細かく描写されていた。

    この過酷な抑留生活に耐えて、日本に帰国したあと、彼の第二の人生が始まる。どんな商社マンになっていくのか、次巻が楽しみ。

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    2022年08月03日
  • 暖簾

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    戦後の動乱期、ビジネスモデルが激変する中で創意工夫する商人の姿は、時代は違えど、現代に通じるものがあると感じた。
    現代は戦後と同じくらい、激変期にあるのではないか。
    船場商人→戦争→統制経済→闇市→百貨店の台頭→ネットの台頭→百貨店の衰退→現時点

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    2022年06月26日
  • 華麗なる一族(上)

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    初めての山崎豊子作品として、本作を選び、あっという間に読破する。時代設定は昭和中期頃であり、読み始める前には、現代とのGAPを感じるかと思っていたが、全くそんなことはなかった。
    今の時代にも通じる処世術であり、父子の関係が丹念に描かれていて、非常に楽しむことができた。
    最初と最後の対比が、ゴッドファーザーにも通じる描かれ方になっており、最後まで楽しむ事が出来る作品です。次は白い巨塔です。

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    2022年06月19日
  • 白い巨塔(五)

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    圧倒的な筆力。
    4、5巻が続編であったと解説にあったが、以前読んだときには見落としていた。続編なしにはここまでの満足感はないように思う。

    財前の手術シーンの見事な表現、絶望的な状況が頭の中に映像として浮かび上がる。さすがとしか言いようがない。

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    2022年07月10日
  • 白い巨塔(四)

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    ネタバレ

    裁判の描写が面白い。
    周りで静観する医師たちの態度-持論とそれを裁判で述べることはしない(できない)姿勢は、あまりにリアル。

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    2022年07月10日
  • 白い巨塔(三)

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    財前が時折見せる人間らしい感情と欲にまみれた姿が絶妙なバランスで描かれている。
    社会人を20年もやっていると、財前側の気持ちも分かる。理想と現実のせめぎあい、何を正とするか。難しいね。答えは死ぬときに分かるのだろうか。

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    2022年07月10日
  • 白い巨塔(二)

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    ネタバレ

    再読。

    教授選後半から裁判の原告の手術まで。

    財前の嫌な性格は腹立たしいけど、母親を思う気持ちと苦学生だったころの描写が、財前の人間らしさを表現している。

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    2022年07月10日
  • 白い巨塔(一)

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    再読。

    時代の流れを感じさせない筆力。
    「文化アパート」があったり、携帯電話の描写がないことから昭和であることは分かるけれど、古い時代の物語という印象はない。

    1巻は教授選前半まで。

    唐沢・江口ドラマからももう20年くらい経つかな。観たいけれど今のところDVD購入しか方法がない。

    ※唐沢・江口ドラマは2003年、15年前でした。

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    2022年07月10日
  • 華麗なる一族(上)

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    今までトライしては挫折してきたけど、満を持して再トライして読破。時代設定は多少古いけど、今にも通じる権謀術数が描かれていて、一般人でも処世術の参考になると思い、楽しみながら読めました。最初と最後の対比が、ゴッドファーザーにも通じる描かれ方をしていて、本当におススメです。

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    2022年06月14日
  • 女系家族(下)

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    面白くて夜更かしして読んじゃいました。
    相続の権利を強くする人って、相続について詳しくないことが多い気がします。

    しかし嘉蔵お父さん遺言書でしか意見が通らないって、どんだけ弱い立場なんでしょうか。
    三人のお嬢さんは、本当に嘉蔵さんの娘さんなんでしょうかね。
    なんか違うドラマを想像してしまいました。

    とはいえ、このお話は特に下巻の主人公は嘉蔵さんだなと思いました。
    亡くなっているので登場してくるわけではないのですが、商家に婿入りし大番頭の言いなりとはいえ、みているところはきちっと見極めていて、どのように采配すれば万事治まるのかまで段取りしていったのは、なかなかの商才だと思われます。

    今夜は

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    2022年06月14日
  • 女系家族(上)

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    何度目かのテレビドラマ化を前に読んでます。
    遺産相続の嫌なところが思いっきり描かれており、読んでいて萎えました。
    実は身内でも骨肉の争いってヤツを繰り広げている者がおり、「ホンマに嫌になりますわ~」と思っているところで読んでしまったのがいけなかった…。

    長女が婿をとり家業をやっていく家でありながら、藤代はお嫁に出ていったのに(しかも出戻り、更に次女が婿とって後を継いでいる)、自分は総領娘だから!と強引に取り分を主張するあたりが理解し難い。
    しかもその理由が「自分は長女なのに、他の姉妹より取り分が少なかったり損することは、絶対に許せない」っていうのが、もうね…。
    けれども権利を主張してる人って

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    2022年06月14日
  • 約束の海

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    数日で一気読み。
    未完の遺作であるが、最後まで読めないのが本当に残念。
    山崎先生の作品は瑞々しくて、文章から時代が判断できないことがある。本作も同様で序盤はまったく分からなかった。
    自衛隊とは、国防とは。
    山崎先生の自衛隊観、戦争観をもっと読みたかった。

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    2022年07月09日