山崎豊子のレビュー一覧

  • 沈まぬ太陽(三) -御巣鷹山篇-

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    これは小説というよりルポですね。日航機墜落事故の詳細を知るための資料です。あの事故は企業の利益優先主義が招いた人災だったのですね。

    「償う」の正しい姿とは何か。「誠心誠意」とはどの程度をいうのか。被害者側の求めるもの、加害者側の応えられる度量に開きがあるから分かり合えず、いがみ合い、訴訟に発展する。

    「鎮魂」の本来の意味は?裁判を起こして人間同士が争う事は死者の魂を慰めることになるのか。「このような大事故を今後起こさないため」「空の安全のため」はただの建前になってないか。 保証金の額を釣り上げようとすることは、「鎮魂」なのか?

    ああ、ごめんなさい。主人公が加害者側にいる物語だから、どうし

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    2023年11月17日
  • 不毛地帯 第五巻

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    最終巻が一番おもしろかった。先が全然読めなかった。
    それでいて、この巻が一番、読む前の期待に近いものが描かれていた。

    でもやっぱり取材は大変だったんだな、とあとがきを読んで思った。こんな大舞台の小説、どうやって取材して書いたんだろうとずっと思っていたけど。
    取材先は女の旅は不可能な国ばかりだった、みたいなことを書かれておられたが、そういう意味ではハンデ背負っての取材だったんだなぁ。

    簡単にジェンダーでくくるのは物事を単純化するようでよろしくないけど、でも、この作品を大正生まれの女性が書いた、というのはやっぱり私には偉業としか思えないな。女なんて何も知らなくていいんだ、と言われて脇においやら

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    2023年10月26日
  • 沈まぬ太陽(五) -会長室篇・下-

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    こんなに感情が相当揺さぶられた小説はありませんでした。腐敗に対する怒りと報われない主人公への同情。いい意味で疲れ果てました。
    願わくば、もう少し復讐劇が欲しかったです。あまりにも苦労が長すぎませんか?最後の最後まで…。

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    2023年10月11日
  • 白い巨塔(五)

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    実際には、40年ほど前の新潮文庫、白い巨塔(上・下)、続白い巨塔を本棚から取り出して再読。

    映画やドラマで何度も公開されて好評だった名作だが、原作は大阪の国立浪速大学医学部を舞台にした医事紛争裁判を深く抉った社会派小説。
    大学医学部の医局内での派閥争いや医学界におけるドロドロとした内情などの中で翻弄される患者の運命。
    医療技術の進歩により、原作当時(昭和37年前後)の医療知識や治療法とは隔世の感があるのは否めないが、癌というものに対して初見時には深い感情を抱かなかったが、癌というものを身近に感じる年齢になった今、ちりょおうや手術、解剖の場面などは身につまされる思い。

    主人公の財前五郎をはじ

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    2023年09月29日
  • 白い巨塔(五)

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    シリーズ全体を通して思ったことは、特に4巻以降は裁判の話が多くて正直なところ冗長に感じてしまった。その疲れによって読み進めるペースが落ちたのは事実。しかし、解説によれば当初は3巻までの想定で作られたもので、読者からの批判を勘案して4.5巻を追加したようだ。確かに分量としては3巻までがちょうど良いと感じたし、それ以降の展開が5巻まで想定して作ったにしては何か違和感があると感じた。著者の言う植林小説ということになるだろう。そこから昭和40年代の小説に対する一般人の熱量を感じ取ることができたし、小説といえども作ったら終わりではなく、常にフィードバックを受けて変化する生き物のようなものと思える。そのス

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    2023年09月21日
  • 運命の人(四)

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    ネタバレ

    いわゆる『外務省機密漏洩事件』、『西山事件』を題材にする本作。

    ・・・
    これまでの三巻で、元特ダネ記者弓成の光と影、頂点と凋落が描かれました。
    第四巻は、言わば弓成の回復が主題です。

    最高裁への控訴が棄却され、自らが信念をもって行っていたことが法の最高法律機関からも否定される。仕事も放って、失意の中沖縄へ流れ着いた弓長。

    悲惨な沖縄戦の歴史、自らがすっぱ抜いた返還の際の密約、そしていまだ絶えない米兵の強姦事件。これらの舞台となった当の場所に住まう人々の生の声を聞き、それでも優しさを失わない様子に触れる中で、弓長の心は徐々にほぐれてゆきます。

    そんなさなか、沖縄出身の学者によって米国で沖

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    2023年08月18日
  • 大地の子(四)

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    昔、ドイツ人の学生が、ナチスのホロコーストについて「私たち世代には責任はない。ただ同じ事を繰り返さない責任がある」とインタビューで話していた。

    “日本人というのはそれほどまでに怨みを受ける存在なのか”“残留孤児は戦争責任を一身に背負わされる存在だ”
    文中このような言葉がでてくるが、一方で「大地の子」を読むと、後の時代の担う責任、贖罪というものをいやがうえにも考えさせられる。

    大河映画のエンドロールのように表題が語られる最終頁を読み終えたのは終戦記念日の翌日でした。

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    2023年08月17日
  • 白い巨塔(三)

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    財前が手術をした佐々木庸平が、財前の欧州出張中に死亡。死因に疑問を持った遺族から訴えられる。

    そして、財前の対応に疑問を持った第1内科・里見は、自身にとって、不利益になることを顧みず、原告側証人として、証人台に立つ。

    判決は…

    確かに財前の医者としての対応はひどいものであった。
    ただ財前の誤診が佐々木庸平を死に至らしめた、という医学的根拠はないだろう。
    遺族の財前への怒り、庸平を失った悲しみはわかるが、勝てる裁判であったとは思えない…
    控訴するというが…

    里見も医師として、正しいことをしたと言うが、その前にできることはなかったのだろうか…
    『学会の報告の作成で…』

    正しいことをしたた

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    2023年08月16日
  • 運命の人(三)

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    ネタバレ

    いわゆる『外務省漏洩事件』、『西山事件』を題材にする本作。

    ・・・
    第一巻・第二巻で、特ダネ記者弓成の、過剰気味の自信を実績で証明するかの仕事ぶり、外交官や政治家への食い込み、外務省事務官との情事、情報漏洩による逮捕、警察への尋問、そして起訴までの様子でした。

    第三巻は、概ね裁判の様子にあてられます。そして主人公弓成の境遇が右肩下がりに落ちてゆきます。

    結果的に一審は勝訴(無罪)ながら、三木は有罪とされ、情報源の秘匿をできないという記者としての誇りをもズタズタにされた弓成。会社でも疎まれはじめたことを察し、職を辞する。そして家庭に顔向けできないと実家の九州へ単身戻り、実父の会社へ入社。最

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    2023年08月16日
  • 白い巨塔(二)

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    浪速大学医学部第1外科教授選。
    助教授・財前に対し、教授・東は対抗馬として、自身と同じ東都大出身の金沢大・菊川をぶつける…

    凄まじい多数派工作の末に、財前は…

    権力争いとなった教授選。
    結局は、東がしっかりとしていなかったことが発端なんであろう。
    財前がどうこうと言う前に、自らの教室をしっかり教育、指導できていなかったんだろう。
    普通に行けば、すんなり財前教授だったものを。
    つまらぬ遺恨を残したわけだから。
    東の自業自得、というところか…

    財前にも問題はあるのだが…

    これがあの時代の大学医学部を中心とした、医学界の実体なんだろう。
    学閥が絶対、教授が絶対、というところが…

    昔は、患者

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    2023年08月15日
  • 白い巨塔(一)

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    国立浪速大学医学部第1外科助教授・財前五郎。
    食道癌の専門家として、マスコミからも脚光を浴び、次期第1外科教授として、自他ともに認めていた…

    現教授・東は財前を嫌い、自身の出身大学・東都大出身者を自身の後継者として、推薦するのだった。

    何としても、教授選に勝ち抜こうとする財前は、義父・財前又一の財力により、OBのバックアップ、医局のバックアップを得ることに成功し、あらゆる手を使っていく…

    財前の何としても教授になろうとする権利欲。
    貧しく、苦労をしてきたからこそだろう。
    実力もあるのだから、何の問題もないと思うのだが…
    東もそこまでしなくてもと思う。

    東からすると、退官後もそれなりに影

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    2023年08月14日
  • 運命の人(二)

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    ネタバレ

    いわゆる『外務省漏洩事件』、『西山事件』を題材にする本作。

    ・・・
    第一巻では、特ダネ記者としてぶいぶい言わせる弓成が、外交官や政治家に食い込み、情報を取ってくる様子をビビッドに描写しています。

    第二巻では、外務省からの情報漏洩につき、三木に続き弓成も逮捕され、彼らへの取り調べや尋問、弁護士とのやり取り、会社の弓成へのサポート、そして起訴・裁判の様子が描かれます。

    ・・・
    もっとも印象的なのはやはり弓成と通じていた三木の独白でしょうか。
    弓成と肉体関係を結び、そのことを病身の夫にバラすとゆすらされた末の情報漏洩とする三木の独白。これは第一巻での三木と弓成との仲睦まじさとは正反対のトーンで

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    2023年08月13日
  • 運命の人(四)

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    沖縄密約事件を通して伝えたかったのは、戦争の無惨さと沖縄の不平等な現状だと思いました。
    日本人としてもっと沖縄に対する理解を深めたいと感じました。

    弓成さんが絶望の淵から這い上がっていく姿にも勇気をもらいました!

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    2023年08月13日
  • 運命の人(一)

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    ネタバレ

    膨大な資料や取材から濃密な作品を作り上げる山崎さんの作品、本作は、いわゆる『外務省漏洩事件』『西山事件』が題材です。

    文庫本は四巻分あり、全般は記者弓成の三十余年に渡る紆余曲折を描きます。

    ・・・
    第一巻では特ダネ記者としてぶいぶい言わせる弓成が、外交官や政治家に食い込み、情報を取ってくる様子をビビッドに描写しています。

    空気はひとことで言えば『昭和』。仕事は朝から晩まで。取材先には夜討ち朝駆け、酒とたばこは必需品。そして奥様の定位置は家庭。
    そうした雰囲気のなかグレーな取材攻勢で外務省の女性事務員三木から情報を取った弓成ですが、政府の動きに対し義憤を感じたことから別ルートで当該情報をリ

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    2023年08月06日
  • 女の勲章(下)

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    昭和36年の作品と思えないくらい生々しく男女のドロドロした感情や煩悶がリアルに描かれている。山崎豊子作品は仕事のできる真人間の男性が主人公の作品ばかり読んできたが、この女の勲章は女性が主人公で男女のドロドロした騙し合い裏切り合いが描かれ全く違う凄みがあった。
    個人的に意外な結末も含めて読み応えのある作品でした。

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    2023年06月23日
  • 沈まぬ太陽(二) -アフリカ篇・下-

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    人を想い筋を通す。それ故に心が弱る。僻地盥回しの不当な人事などで時折り人の醜さを感じるが、それでも筋は曲げず人を想い続ける恩地元という素晴らしい人間性に惹きつけられた。

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    2023年06月21日
  • 大地の子(三)

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    ネタバレ

    陸一心はようやく妹との再会を果たすが精神的にも身体的にもやつれ果てたあつ子の姿は読んでいてつらいものがある。日本人でありながら、中国語でしか通じ合えない兄弟。なかなか父子であることに気づかない二人。あつ子は父と巡り合うことができるのか。最終章に続く。

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    2023年06月09日
  • 不毛地帯 第五巻

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    ネタバレ

    不毛地帯最終章。
    長かった主人公の商社マンとしての第二の人生が終わりを告げる。

    社運をかけた中東のオイルビジネスはどうなることかとハラハラさせられたが、結果的に物凄い量のオイルが見つかり、会社に多大な利益をもたらすことになった。
    主人公は社内で更に評価を上げる。

    他方で、大門社長は相場で莫大な損失を出す。
    年のせいで判断能力は衰えているのに、本人は現役のままでいるつもりだから、周囲の意見に全く耳を貸さない。これぞ老害。

    社長の存在は会社にとって、もはや邪魔であると判断した主人公は社長に辞任を迫る。
    最初は納得しなかった社長も徐々に諦め、主人公と一緒に会社を去る。

    オイルビジネスが成功し

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    2023年06月08日
  • 不毛地帯 第一巻

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    山崎豊子先生の超大作にして代表作。
    一巻は主に、主人公のシベリア勾留から商社に入社するまでの話。
    日本敗戦濃厚と見るや、条約を破って満州に進出し、戦後のどさくさに紛れて捕虜を強制労働に従事させたロシアは本当に卑劣である。
    この問題こそ、戦後何十年経った今でも賠償請求をして許されるのではないかと思えるほどに理不尽。

    主人公のモデルになった人物が、ここまで清廉潔白な人物だったとは思わないが、シベリア勾留、日本の戦後復興について非常に勉強になる。

    内容は難しいはずなのに小説だから読みやすい。そして、引き込まれるストーリー構成は、さすが山崎豊子先生。

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    2023年05月25日
  • ぼんち

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    1ページ目から映像が浮かびます。
    映画を丁寧に読んでいる感じ。
    しかし、どの国のいつの時代や!と言いたいくらい異次元。

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    2023年05月23日