山崎豊子のレビュー一覧

  • 二つの祖国(三)

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    ネタバレ

    戦争が終わり、戦争犯罪人たちを裁いた東京裁判が始まる。
    東京裁判のモニター役を任された賢治は、その重圧と家庭や弟との不和から、次第に追い詰められていく。

    今までは賢治たち二世の境遇がメインだったが、この巻からは東京裁判の描写にかなりの比重を置かれている。
    漠然と「戦犯が国際法で裁かれたものだ」と記憶していたのだが、そんな簡単なものでは無いことを思い知った。

    印象に残ったのは、日本側の被告を弁護するアメリカの弁護士である。
    アメリカ人でありながら、日本の弁護に全力を尽くし、ともすれば祖国アメリカの正義にも臆せず疑問を呈す姿に感銘を受けた。

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    2018年06月13日
  • ぼんち

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    市川昆監督の映画ぼんちを観たあとに原作を読んでみた。映画のぼんちよりも、もっとお家はん、御りょうはんの家付き娘の恐ろしさが感じられてよかった。山崎さんは映画ぼんちをみて「主人公はあんな男性ではない」と言ったそうだけど、確かに原作のぼんちは気骨のあるボンボンだった。
    大正から昭和初期にかけての大阪船場の大商家に伝わる、しきたりの数々も圧巻だった。そして、現在の浮気不倫と、当時の商家の旦那として妾をもつことの大きな違いは、女性とそういった関係になるということは、その女性の生涯の面倒を最後まで見るという腹をすえたうえでの関係だということ。それぞれに個性的な五人の女性との関係をまっとうしようとするぼんちは、本当に旦那甲斐性のある男だと思った。

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    2017年11月07日
  • 大地の子(三)

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    やっと妹と会えた。。。
    次から次へと色々なドラマが巻き起こり過ぎて、ハラハラドキドキ。

    4巻へ、、、

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    2017年10月22日
  • 華麗なる一族(中)

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    阪神銀行のオーナー頭取にして万俵財閥の総帥である万俵大介を中心とした万俵家をめぐる物語。長男が実質的に経営する特殊鋼会社を犠牲にしての「小が大を食う」銀行合併、妻妾同衾の乱れた私生活、次々と不幸を招く閨閥結婚など、「華麗なる一族」の裏のドロドロとしつつも深い人間ドラマが描かれている。
    全3巻とボリュームは結構あるが、一人一人の登場人物のキャラクターが立っていて、その濃い人間模様の描写に惹き込まれた。正直、「華麗なる一族」に生まれなくてよかったと感じた。

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    2017年10月03日
  • 二つの祖国(四)

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    ネタバレ

    仕方ないとはいえ、東京裁判の引用のくだりは冗長だと思う。
    また、山崎豊子の作品に共通することだが、あまりにも主人公が生真面目すぎ不器用で、少し現実離れしているかなとも思う。
    まあ主人公の中に葛藤があるから作品が面白くなるので、凡人のようにその場の雰囲気に流されるままならば作品にはならないのだろう。

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    2017年09月18日
  • 仮装集団

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    1966年1月から翌年2月まで週刊朝日に連載された作品。
    大阪勤音(勤労者音楽同盟)に所属し、すぐれた企画力で音楽会を成功させている流郷正之は、組織内部の不穏な動きに気づき始めた。労働者のための音楽鑑賞団体に音楽以外のものが持ちこまれている。

    労働者と経営者の対立、労働者内部での政治的・思想的対立。50年前はこういう時代だったのかと。
    ドラマ化も映画化もされておらず、著者自身も取材が大変だったという作品。
    中途半端に終わったエピソードもあるが、とても面白かった。

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    2017年06月05日
  • 大地の子(三)

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    外から見た情報だけでの国単位の抽象化は、無意味な闘争を生む。
    詳細を経て、抽象化をし、初めて正しい議論が可能となる。

    (以下抜粋)
    ○われわれ中国を侵略した侵略主義者と、
     日本人民を分けて考えています、
     日本人民は侵略戦争の犠牲者であり、
     残量虎児はさらにおおきな偽善者であります(P.82)

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    2017年05月04日
  • ぼんち

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    もはやストーリーがどうこうより、当時の大阪船場の風俗の勉強にすごくなった。ほかにも船場の話はたくさんあるがこの話が一番濃厚。
    山崎豊子長編作品はこれで全部制覇したのかな。お疲れ様でした。

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    2017年04月30日
  • 不毛地帯 第三巻

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    ドラマではフォークのプラット氏とのやりとりが短くなっていたが、原作では壱岐が理路整然と話し交渉していたことがわかる。官僚や千代田自動車との対談など、千代田自動車編は読みごたえあり。

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    2017年04月17日
  • 二つの祖国(一)

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    太平洋戦争に巻き込まれていく在米日系アメリカ人の話。
    日本側の太平洋戦争での悪行だとか、アメリカ人捕虜の扱いだとかはいつも大々的に話題になるけど、そういえば戦争中の在米日系人、日本人については全然知らなかったなと気付いた。

    恥ずかしながら、大統領令での強制収容が行われたことすらこの本を読むまで知らなかった。
    もう少しアメリカ側から見た太平洋戦争についても勉強しよう。

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    2017年02月04日
  • 不毛地帯 第二巻

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    時期戦闘機FXバトルに勝利するも、防衛庁の元同期が自殺したり色々悲しい感じからの、8年経って取締役常務へ大出世。社内から嫉妬されたり疎まれつつも、頭脳集団を作り上げ中東戦争をぴたりと当てて大儲け、くらいで終了。いちいちドラマチックかつほろ苦くて、確かにこれは面白い。さてこの先どうなる。

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    2017年01月30日
  • ぼんち

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    船場のボンボンの話で妾がつぎつぎとでてくるけれど、ストーリーより大阪船場の商家や世俗がよくわかりとても興味深かった。
    鰻谷や道頓堀の様子もわかり、今の大阪と色々思い比べて楽しむことができた。

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    2017年01月22日
  • 女系家族(下)

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    矢島嘉蔵の遺言書が発表された後で妾が妊娠していることがわかる。
    三人娘はそれぞれが自分の取り分を多くしたいと考え、大番頭も私服を肥やそうとする。
    登場人物それぞれが、それぞれの欲を持つ。
    果たして矢島家の遺産相続はどうなるのか。

    老舗の後継者であれば、一般的には大きな顔で暮らしていけるものを、女系家族であるために妻や娘よりも低い立場に甘んじていなければならない男。
    後継者であっても自分の裁量で行えることは殆どなく、長く勤めてきた大番頭にも軽く扱われる。
    だから愛人を作っても良いとは言わないが、心安らぐ場が欲しかっただろうことは想像出来る。

    遺産の相続分を多くしたいがために特に長女藤代は手段を選ばずといったところで、大番頭も腹が読めず、登場人物の誰にも余り肩入れも出来ない。
    お金持ちは大変だなあ、などと軽く思っていたら、遺産相続で揉めるのはお金持ちよりも少ない遺産を取り合うことが多いらしく、ドキリとしたり。
    揉めたときに、他人よりも血の繋がった仲のほうが拗れるということは経験済みなので納得がいく。

    最後は、ひとの見せないでいる屈折した気持ちは恐ろしいなと思う。

    遺産相続の争いなんてお金持ちの話だから関係ない。
    うちは遺産なんて無いから。
    うちは子供たちは仲がいいから大丈夫。
    なんて笑っているひとも多いと思う。しかし、少ない遺産で子供同士が争って、二度と修復出来ないくらいに関係が拗れてしまわないように、きちんと意思を遺しておくことが亡くなる者の家族への最後の努め、最後の愛情表現なのかもしれない。

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    2017年01月12日
  • 女系家族(上)

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    久しぶりに山崎豊子さん。
    社会派で重厚な作品の多い山崎さんだが、この作品はちょっと違う角度かもしれない。

    大阪の老舗矢島家は、代々跡継ぎに婿養子を迎える女系家族。
    その四代目である嘉蔵が亡くなり、莫大な遺産を巡る三人の美しい娘たちと大番頭、嘉蔵の妾、娘たちを取り巻く人々の愛憎劇。

    簡単に書くとこんな感じで、遺産を巡る諍いが繰り広げられる。
    美しい娘や大阪の富裕な家庭という一見「細雪」みたいな華やかで美しい物語の設定ではあるけれど、繰り広げられるのは遺産を巡る争いなので、華やかではあるが美しくはない。生々しくいやらしい。
    また、莫大な遺産を巡る争いではあるが、「犬神家の一族」のような血で血を洗うような惨劇も起きない。
    物語の展開としては金融業界と親子の隔絶を描いた「華麗なる一族」のような、しっかりした社会派なものだ。

    ところで、この作品は「にょけいかぞく」と読むし、わたしも女系と書いてにょけいと読んできたのだが、どうやら違うようだ。天皇陛下の退位(退位もおかしいとは思うが)に関してや後継問題などの報道の際、大抵のニュースで女系天皇(じょけいてんのう)と言っている。
    女系って、じょけいって読むんだ、知らなかった、とかなり衝撃を受けた。
    わたしが使うiPadでも、にょけいでは変換出来ない。
    知らなかった。
    いつからそうなったの。
    昔からなの。
    わたしと山崎豊子さんが間違っていたの。

    と、思ったわけだ。

    そんなこんなで下巻へ。

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    2017年01月12日
  • しぶちん

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    長編作家、山崎豊子氏による短編集。長編はずっしりと重いテーマの作品が多いが、短編はどんな小説になるか、興味深かった。収録されている5編はどれも昭和33年ごろに書かれ、文藝春秋などに掲載されたもの。
    短編はすべて大阪が舞台となっている。関西出身でないと書けないであろうという、かなりディープな大阪弁で語られている。『船場狂い』では、船場という戦前栄えた商家が並ぶ地域の慣わしなど、面白かった。また、『遺留品』には、二十年後に彼女が手掛けることになる大作『沈まぬ太陽』を予想させる箇所があり、驚いた。読後、ほのぼのと感じる人もいるだろうが、私は強烈に胸が痛んだ。
    どの作品も、読み始めると先が気になって本を置けなくなる。

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    2016年09月14日
  • 二つの祖国(三)

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    4巻まで読み終えて、アメリカがしたことの酷さ。これをどうして歴史で伝えないのだろうか。人種差別。ナチスよりも酷い行為。無差別殺人が、原子爆弾投下ではなかったのか。日本人の両親から生まれて、アメリカで育ち、アメリカの考え方を受けた2世。両方が祖国。複雑な思い。どちらも大切な国なのに。

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    2016年08月21日
  • 約束の海

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    いつの年も夏休みは終戦記念日と重なり、たまにはこうしてその時期に合わせ戦争や国防ということについて考えるものだと、山崎豊子さんの未完の遺作となったこの本を手に取る。
    1989年を舞台にしているが、主人公が大学を出たのは1980年ということで、私とはほぼ同年代という設定になる。
    私の高校の同級生でパイロットを目指して防大を受験した者もいたが、頭脳明晰に加え体力頑健でなければ通らない難関であったと記憶する。
    そこを出て潜水艦乗りのエリートとなった花巻朔太郎二尉の今と過去を追いながら、1988年実際に起こった「なだしお事件」を思わす衝撃的な民間船との衝突事故とその海難審判を中心に描かれる。
    尊敬する上官・先輩や同僚との強い絆がある一方、事件に絡めば海千山千の弁護士やいけ好かない同輩が跋扈し、秘めやかなロマンスも塗した物語は、王道とも言える展開を見せる
    国民には理解され辛い自衛隊の存在意義、事故が起こればここぞとばかりに叩くマスコミ、事故に対する自責の念も含め揺れ動く主人公の心。
    戦没者追悼式での安倍首相の言葉に違和感を抱き、憲法9条を貴重な条文と思いながら、最近の尖閣諸島を巡る中国の行動にも何も出来ない現状を見ると、作者が“執筆にあたって”と記した文章に深く首肯する。
    曰く『戦争は絶対に反対ですが、だからと言って、守るだけの力も持ってはいけない、という考え方には同調できません。いろいろ勉強していくうちに、「戦争をしないための軍隊」、という存在を追究してみたくなりました尖閣列島の話にせよ、すぐにこうだ、と一刀両断に出来る問題ではありません。自衛隊は反対だ、とかイエスかノーかで単純にわりきれなくなった時代です。そこを読者の皆さんと一緒に考えていきたいのです。今はその意義を再び考え直すタイミングなのかもしれません』
    真珠湾攻撃時に米軍の捕虜第1号となった花巻の父の物語が詳らかになり、紛争の火種となりかねない東シナ海を先の戦争の犠牲者が今もって眠っている鎮魂の海として静かに守ることが出来るかを模索する筈だった第2部以降を読めないことを、とても残念に思う。

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    2026年03月13日
  • 二つの祖国(一)

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    なぜか、アメリカが、第二次世界大戦中に日本人に対して行った差別について取り上げることは少ないのだが、日本人だけ差別をされて強制収容所に入れられて、白人ではないということの扱いを受けた。この事実をしっかりととらえて、行くことは大切だと思う。アメリカに生まれて育った人の考え方、日本との距離、どうして遠い国に渡ったのか、明治の時代の移民政策、もっと日本の歴史でも取り上げてもらいたいと思う。
    話の展開としては、おもしろい。

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    2016年07月10日
  • 女系家族(下)

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    芳三郎と藤代が山行き後の夜、「騙しとるのはそっちや」とか言いながら1人は三味線、1人は扇子で踊り出して、出来上がるシーン最高。金でドロドロだけど三姉妹が互いに気持ち良いくらい強欲で、船場名家の設定も独特で楽しい。しきたり、言葉遣い、生活っぷり満喫。ラストシーンより全体が楽しかった。
    文乃みたいに悪気なく強欲なやつ一番嫌だね。妾だかなんだか知らないけど、明治、大正じゃあるまいし単なる不倫じゃん。こっちが法に訴えたいわ。

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    2016年04月16日
  • 華麗なる一族(中)

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    あらららー。
    鉄平やばいねー。窮地に陥ったねぇー。
    でも、何か自業自得な気もしないでもないけど。。。

    どこの銀行からどれだけ融資してもらうかも分からないのに、高炉建設始めちゃったり、大口の取り引きがキャンセルになるようなマズイ事態をも考慮せず、あまりの情熱に突っ走り、資金調達も出来ず、銀行が建設一時中止した方が良いと言っても聞かず、突貫工事に踏み切っちゃう。
    ちょーっと勝手すぎな感じがするのは私だけ?

    こーんなどん底にはまりこんでしまって、下巻では巻き返せるのかなぁ。
    私としては、阪神銀行が他の銀行に乗っ取られ大介が落ちぶれ、鉄平に頑張ってもらいたい。

    二子にも幸せになってもらいたいし、相子が万俵家から追い出したいし、鉄平の出生の真実も知りたーい。

    下巻が楽しみだ!

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    2016年04月12日