あらすじ
長女藤代は踊りの師匠の梅村を相談相手にして、遺産相続を自分に有利にしようと画策する。それまでの慎ましやかだった性格からは想像できないきつい態度にでる次女の千寿。そこに番頭の思惑と、妾文乃が妊娠していた事実がからまって泥沼の様相を深めてゆく。だが、嘉蔵が生前周到に準備していた「胎児の事前認知」という驚天動地の方法によって金の亡者たちの野望に断が下される。
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Posted by ブクログ
上巻の終わり方から、最後に妾のほうから逆襲があるとは思っていたが、こんなにも鮮やかなどんでん返しになるとは、、遺産相続を舞台に、相続される側の骨肉の争いの中で、自分だけは損したくないという醜さとともに、相続する側の積年の恨みの深さ、関係者もすべて自分の利得のために動き続ける醜さを、これほどまでに生々しく、ありありと描かれていて、山崎豊子の真骨頂だと感じた
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(上下巻合わせてのレビューです。)
久しぶりの山崎豊子。やっぱりテッパンです。
姉妹3人の遺産相続にからみ、その周囲も巻き込んだドロドロ劇に
読み手である自分もあっという間に飲み込まれていきます。
山崎豊子のやり口が分かっているだけに、何となく先の展開が読めてしまいますが、
それでも面白い小説であることには変わりありません。
眠い目をこすって、あっという間に読んでしまいました。
残念なのは、著者がもう亡くなってしまっていて、
こんなにも素晴らしい小説にも作品数が限られているということ。
もっともっとたくさんの小説を生み出して欲しかった。。
全ての作品を読み切るのがあまりにもったいないので、
チビチビ読み進めることとします。
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いつ、どうギャフンとなるのかなと楽しみだったが、最後の最後でそうきたか。生前認知なんてできるんだ。宇一さんはまあひどいな。もっとも、そういう環境に置かれていれば自然と考え方も感化されていくのだろう。
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今となってはかなり古い時代背景になってしまうが、
かなり面白い。さすがは山崎豊子。
最初は長女が主役の話かなーと思い、
途中は番頭さんが主役かなーと思い、
最後は愛人が主役の話だなーと思い、
本当の最後では父親が主役だなーと思った。
Posted by ブクログ
おもしろかったー
大地の子から豊子の本にはまり、今回も沈まぬ太陽等みたいに固い内容かなと思って読んだけどこれは違った。女+大番頭のどろどろの物語。
関西弁が心地よく、リズミカルに読み進められた。一人一人のキャラクターが濃くて、いやらしくて、でも何だかんだ憎めないのはこの文体の効果かな?豊子の関西を舞台にした本をもっと読んでみたい。
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誰もが相手を騙していたと思ったら、最後に待っていたのは。
1億円も相続できるのであれば、それ以上の欲はかかないと思うが……
自分には想像もつかない世界。
まさに、化け物たちの化かしあい。
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父が死んだことで残された莫大な遺産をめぐって繰り広げられる、血で血を洗うような相続争い。あーこうはなりたくない。ホンマに。にしても時が止まったような、戦後の船場の老舗問屋。「腐っても鯛」とはこのことか。ほんと、こうはならないようにしよう。そしてなにげに初・山崎豊子。
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女系家族による遺産相続。欲望に突き動かされた者に罰が下る。婿養子となった先代は外に女を作り、子供を死前に認知し、のれんを継がせるほど憎んでいた。
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最後、これは痛快と言えるのかどうか…このような家族形態が通用してしまうこの時代背景にとてつもなく居心地の悪さを感じた
しかし、読み物としては大変面白く興味深く読み終えた
Posted by ブクログ
上巻を読んでいた時、登場人物がことごとく金の亡者で、自分だけは得をしようともがく姿が見苦しく、興が乗らないなあと思ったけれど、少し時間を空けて頭が冷えたのか、面白くぐいぐい読めた。
まず、金の亡者とはいえ、みんな小粒。
結局世間知らずのプライドが高いお嬢様たちなので、泥をかぶってでも金が欲しい、ということにはならない。
プライドよりも世間知を優先したら、弁護士なり中立な不動産業者に相談して、簡単に大番頭である宇市の横領は発覚したはず。
登場人物の中で一番の悪党と思われた宇吉にしても、この程度の綱渡りな悪行なのよ。
相手が世間知らずのお嬢さんたちだから、そして頭は良くても気が弱い養子婿だから強気に出ることができただけ。
だって番頭から養子婿になった良吉は、下手すると宇市の下で働いていたんじゃないかしら。
女系家族であろうと、男系家族であろうと、それが問題なのではない。
お家のために個々が消費されていくシステムが醜悪なのだ。
出戻りの長女も家業を繋ぐために養子婿をとった次女も、まだ独身の三女も、それぞれに一部屋ないし二部屋をあてがわれて、外出しないかぎりはその部屋で日がな一日を過ごすことになる。
結婚するまではお稽古事以外の外出は認められない三女の雛子はもちろん、結婚しても家のことは女中たちがやってくれて、稼業は夫がやってくれている次女の千寿は、毎日何を思って過ごしているのだろう。
遺産に執着した人たちは全員思惑が外れたわけだけど、一番ショックを受けたのは、長女の藤代だろう。
長子であるというだけで何もせず遺産の大半をもらって当たり前というのは、昭和34年が舞台だとしても既に時代遅れの思想なのだ。
それすらも知らず、井の中でしか通じない世界でトップにいたつもりになっていた藤代が哀れだ。
財産より自由を求めた雛子がいちばん傷は浅いと思うけれど、結婚して幸せになれるかどうかは今後の自分次第。
自由というのはそういうことだ。
さて、嘉蔵はどういうつもりでかような遺言を残したのか。
女系家族に対する恨みつらみは当然あるとしても、自分に対して酷薄だった娘たちのことをも憎んでいたのかしら。
それとも、自分の力で生きていくよう促した父の愛情なのかしら。
生きているうちに腹を割って話せなかった親子関係が、なんにしても残念でならない。
Posted by ブクログ
全員が誰のことも信用していなくて、少しでも自分が有利になるように画策している。言ってることと思っていることが違うし計算高い。
最後誰が得するかなと予想しながら読み進めたけど概ね予想通りだった。
Posted by ブクログ
面白くて夜更かしして読んじゃいました。
相続の権利を強くする人って、相続について詳しくないことが多い気がします。
しかし嘉蔵お父さん遺言書でしか意見が通らないって、どんだけ弱い立場なんでしょうか。
三人のお嬢さんは、本当に嘉蔵さんの娘さんなんでしょうかね。
なんか違うドラマを想像してしまいました。
とはいえ、このお話は特に下巻の主人公は嘉蔵さんだなと思いました。
亡くなっているので登場してくるわけではないのですが、商家に婿入りし大番頭の言いなりとはいえ、みているところはきちっと見極めていて、どのように采配すれば万事治まるのかまで段取りしていったのは、なかなかの商才だと思われます。
今夜はテレビドラマの放送です。
準備万端で楽しくみようと思います。
Posted by ブクログ
矢島嘉蔵の遺言書が発表された後で妾が妊娠していることがわかる。
三人娘はそれぞれが自分の取り分を多くしたいと考え、大番頭も私服を肥やそうとする。
登場人物それぞれが、それぞれの欲を持つ。
果たして矢島家の遺産相続はどうなるのか。
老舗の後継者であれば、一般的には大きな顔で暮らしていけるものを、女系家族であるために妻や娘よりも低い立場に甘んじていなければならない男。
後継者であっても自分の裁量で行えることは殆どなく、長く勤めてきた大番頭にも軽く扱われる。
だから愛人を作っても良いとは言わないが、心安らぐ場が欲しかっただろうことは想像出来る。
遺産の相続分を多くしたいがために特に長女藤代は手段を選ばずといったところで、大番頭も腹が読めず、登場人物の誰にも余り肩入れも出来ない。
お金持ちは大変だなあ、などと軽く思っていたら、遺産相続で揉めるのはお金持ちよりも少ない遺産を取り合うことが多いらしく、ドキリとしたり。
揉めたときに、他人よりも血の繋がった仲のほうが拗れるということは経験済みなので納得がいく。
最後は、ひとの見せないでいる屈折した気持ちは恐ろしいなと思う。
遺産相続の争いなんてお金持ちの話だから関係ない。
うちは遺産なんて無いから。
うちは子供たちは仲がいいから大丈夫。
なんて笑っているひとも多いと思う。しかし、少ない遺産で子供同士が争って、二度と修復出来ないくらいに関係が拗れてしまわないように、きちんと意思を遺しておくことが亡くなる者の家族への最後の努め、最後の愛情表現なのかもしれない。
Posted by ブクログ
芳三郎と藤代が山行き後の夜、「騙しとるのはそっちや」とか言いながら1人は三味線、1人は扇子で踊り出して、出来上がるシーン最高。金でドロドロだけど三姉妹が互いに気持ち良いくらい強欲で、船場名家の設定も独特で楽しい。しきたり、言葉遣い、生活っぷり満喫。ラストシーンより全体が楽しかった。
文乃みたいに悪気なく強欲なやつ一番嫌だね。妾だかなんだか知らないけど、明治、大正じゃあるまいし単なる不倫じゃん。こっちが法に訴えたいわ。
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なんにも情報を入れずに読むとワクワク読めるのだが、
最後のオチをあらすじで書いてしまったりしているのが残念。。。
そんな私はウィキの実写化出演順で感づいてしまいましたが笑
話はやはり重厚な山崎豊子。
大阪シリーズは社会派シリーズとまた違って面白い。
Posted by ブクログ
再読。
やった!この気持ちのいいい終わり方。代々続いた女系家族が音を立てて崩れるこの瞬間。すっきりー。
人の欲望ってのは怖いもんだ。そして欲を出しすぎると痛い目に合う。やっぱり山崎豊子は面白いなー。
Posted by ブクログ
巧みな駆け引きで登場人物たちが遺産相続で自分が損をしないように交渉を進めていきますが、最後はどんでん返しになります。
ラストに向かって大きくなる高揚感を裏切らない痛快な結末でした。
時代劇じみた語り口調とお金の怖さが印象的な作品です。
Posted by ブクログ
ドラマを見ていたので結末は知っていましたが、最後のどんでん返しが見事で痛快な気分になりました。
遺産を取り上げるだけでなく、女系に終止符を打たせるところに嘉蔵の怨念の深さを感じました。
文乃や、生まれてくる子供への愛のための行動ではなく、ある意味彼女らをも利用して矢島家に復讐を遂げた嘉蔵はさぞかし爽快な気分でしょう。。
番頭やお師匠などある意味実は男たちの駆け引きで話が進む様は、気が強いとはいえやっぱり3姉妹は愛すべきお嬢様よね、とちょっとお気の毒でした☆
Posted by ブクログ
出てくる人間すべて物欲の塊。ひとりとして善良な人物がいないところが、かえってリアル。
最終局面で、矢島屋三姉妹が亡き父・嘉蔵を、陰険だ、計算高い、卑怯だと罵るが、そっくりそのまま自分たちの行状に当てはまることに、全く気づかないところが哀れ。
TVドラマのキャストは、原作を読んでみて結構ぴったりだったことに驚く。
藤代:高島礼子、雛子:香椎由宇、おば:浅田美代子、宇一:橋爪功、その女:伊佐山ひろ子、嘉蔵:森本レオ、文乃:米倉涼子、
二女の千尋:瀬戸朝香だけは?だけど…。
特に、橋爪の宇一は欲深ないやらしさが最高。浅田美代子もよかった。
Posted by ブクログ
遺産相続を巡り対立する姉妹とその裏で巧みに糸をひく大番頭。
そこにあらたな遺言が…愛人を交え壮絶な遺産争いにようやく幕が降りる。
異様とも言える女系家族の執拗さに目が離せない。
Posted by ブクログ
長女、次女、三女、そして、それぞれに加担する人間達が財産を少しでも多く得ようといろいろな策を弄する。そのときに、妾は父の子を妊娠しており物語が複雑化し、面白くなっていく。
嫉妬や欲についてよく描写されており、いつの時代でもそういった感情は変わらないと再認識した一冊。
Posted by ブクログ
下巻になって勢い落ちました。山林とかどうでもいいんだが、、最後は予想つく展開です。死んだお父さんが、藤代の別居とか、三女の結婚にも口出してたけどそんなの聞く必要ないのではと気にはなりました。
Posted by ブクログ
「策士策に溺れる」とはこの小説のためにあるような言葉である。策略に巧みな者は策を弄しすぎて、かえって失敗するものであるという例え。遺産相続をめぐり欲の皮が突っ張った三姉妹と大番頭が右往左往し、まるでサーカスのピエロの様相。最後にはオチもしっかりついたところで、気分も晴れやかにハッピーエンドとなる。豊子はやっぱり面白い。
Posted by ブクログ
父の遺産争いは激しさを増すばかりで
遺産執行人の遺産のネコババも見え隠れする
しかし、父の妾には最新の遺言書が託されており
そこに遺産相続の詳細について理路整然と書かれていた。
最初から最新の遺言書を出せば良かったのに・・・。
女特有の嫉妬深さ、欲深さを垣間見ることができた。
Posted by ブクログ
最後で、「ざまあみろ!」って思っちゃったかな(笑)
男でも、女でも、特定の人をないがしろにしたりしちゃいけないよって感じかしら。
でも宇市は少々かわいそう。
ずーっと仕えてきたのに、な〜んにも仕分けをしてもらえず仕舞いなんて。
ならばといろいろ画策してしまうのもわからないではない。
あと気になったのは次女の千寿。
長女と三女がお稽古事なんかで家を出て遊びまわっているのに、千寿だけ家にずーっと閉じこもっているらしい。
楽しいの??
まあ、私もインドア派なので家にいるの大好きだけど、それだって本を読んだり編み物したり刺繍したりと、家の中でやりたいことがあるから。
だけど千寿は、どうやら部屋で庭とか見ながらボーっとしているみたいだ。
それじゃあ陰気になるのもわかるなぁ。