山崎豊子のレビュー一覧

  • 女系家族(下)

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    矢島嘉蔵の遺言書が発表された後で妾が妊娠していることがわかる。
    三人娘はそれぞれが自分の取り分を多くしたいと考え、大番頭も私服を肥やそうとする。
    登場人物それぞれが、それぞれの欲を持つ。
    果たして矢島家の遺産相続はどうなるのか。

    老舗の後継者であれば、一般的には大きな顔で暮らしていけるものを、女系家族であるために妻や娘よりも低い立場に甘んじていなければならない男。
    後継者であっても自分の裁量で行えることは殆どなく、長く勤めてきた大番頭にも軽く扱われる。
    だから愛人を作っても良いとは言わないが、心安らぐ場が欲しかっただろうことは想像出来る。

    遺産の相続分を多くしたいがために特に長女藤代は手段

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    2017年01月12日
  • 女系家族(上)

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    久しぶりに山崎豊子さん。
    社会派で重厚な作品の多い山崎さんだが、この作品はちょっと違う角度かもしれない。

    大阪の老舗矢島家は、代々跡継ぎに婿養子を迎える女系家族。
    その四代目である嘉蔵が亡くなり、莫大な遺産を巡る三人の美しい娘たちと大番頭、嘉蔵の妾、娘たちを取り巻く人々の愛憎劇。

    簡単に書くとこんな感じで、遺産を巡る諍いが繰り広げられる。
    美しい娘や大阪の富裕な家庭という一見「細雪」みたいな華やかで美しい物語の設定ではあるけれど、繰り広げられるのは遺産を巡る争いなので、華やかではあるが美しくはない。生々しくいやらしい。
    また、莫大な遺産を巡る争いではあるが、「犬神家の一族」のような血で血を

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    2017年01月12日
  • 沈まぬ太陽(四) -会長室篇・上-

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    国見会長と恩地の会社の立て直しは前途多難。あれだけの悲劇を起こしながら、想像を絶するほどの私服を肥やす魑魅魍魎たち。どう対抗していくのか。

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    2016年09月25日
  • しぶちん

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    長編作家、山崎豊子氏による短編集。長編はずっしりと重いテーマの作品が多いが、短編はどんな小説になるか、興味深かった。収録されている5編はどれも昭和33年ごろに書かれ、文藝春秋などに掲載されたもの。
    短編はすべて大阪が舞台となっている。関西出身でないと書けないであろうという、かなりディープな大阪弁で語られている。『船場狂い』では、船場という戦前栄えた商家が並ぶ地域の慣わしなど、面白かった。また、『遺留品』には、二十年後に彼女が手掛けることになる大作『沈まぬ太陽』を予想させる箇所があり、驚いた。読後、ほのぼのと感じる人もいるだろうが、私は強烈に胸が痛んだ。
    どの作品も、読み始めると先が気になって本

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    2016年09月14日
  • 二つの祖国(三)

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    4巻まで読み終えて、アメリカがしたことの酷さ。これをどうして歴史で伝えないのだろうか。人種差別。ナチスよりも酷い行為。無差別殺人が、原子爆弾投下ではなかったのか。日本人の両親から生まれて、アメリカで育ち、アメリカの考え方を受けた2世。両方が祖国。複雑な思い。どちらも大切な国なのに。

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    2016年08月21日
  • 二つの祖国(一)

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    なぜか、アメリカが、第二次世界大戦中に日本人に対して行った差別について取り上げることは少ないのだが、日本人だけ差別をされて強制収容所に入れられて、白人ではないということの扱いを受けた。この事実をしっかりととらえて、行くことは大切だと思う。アメリカに生まれて育った人の考え方、日本との距離、どうして遠い国に渡ったのか、明治の時代の移民政策、もっと日本の歴史でも取り上げてもらいたいと思う。
    話の展開としては、おもしろい。

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    2016年07月10日
  • 沈まぬ太陽(四) -会長室篇・上-

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    ますますイラつく4作目。ほんとうに酷い会社・・・ 最後ももやもやが残るんだろうなあ、実際のあの会社の話だし。ああ、やだやだ。

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    2016年04月17日
  • 女系家族(下)

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    芳三郎と藤代が山行き後の夜、「騙しとるのはそっちや」とか言いながら1人は三味線、1人は扇子で踊り出して、出来上がるシーン最高。金でドロドロだけど三姉妹が互いに気持ち良いくらい強欲で、船場名家の設定も独特で楽しい。しきたり、言葉遣い、生活っぷり満喫。ラストシーンより全体が楽しかった。
    文乃みたいに悪気なく強欲なやつ一番嫌だね。妾だかなんだか知らないけど、明治、大正じゃあるまいし単なる不倫じゃん。こっちが法に訴えたいわ。

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    2016年04月16日
  • 華麗なる一族(中)

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    あらららー。
    鉄平やばいねー。窮地に陥ったねぇー。
    でも、何か自業自得な気もしないでもないけど。。。

    どこの銀行からどれだけ融資してもらうかも分からないのに、高炉建設始めちゃったり、大口の取り引きがキャンセルになるようなマズイ事態をも考慮せず、あまりの情熱に突っ走り、資金調達も出来ず、銀行が建設一時中止した方が良いと言っても聞かず、突貫工事に踏み切っちゃう。
    ちょーっと勝手すぎな感じがするのは私だけ?

    こーんなどん底にはまりこんでしまって、下巻では巻き返せるのかなぁ。
    私としては、阪神銀行が他の銀行に乗っ取られ大介が落ちぶれ、鉄平に頑張ってもらいたい。

    二子にも幸せになってもらいたいし、

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    2016年04月12日
  • 運命の人(三)

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    一冊まるまる裁判描写。
    とにかく濃い。
    情報量が多く思惑策略が飛び交い、弁論の巧みさについていけず読み終わった時には疲れました。
    だけどその分読み応えがあって面白かった。
    出てくる人物が誰のことが推測できて、顔がすぐ浮かぶほどの大物揃い。
    この本が事実に基づいたフィクションであることが怖くなる。
    四巻へ。

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    2016年03月26日
  • 運命の人(二)

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    逮捕からの裁判。
    とにかくハラハラして一気読みでした。
    明かされていく事実と弓成記者の現状。
    騒ぎ立てるマスコミ。そして彼の妻の苦悩。
    重苦しく辛いのに次々読んでしまいました。
    沖縄返還密約、弓成記者と事務官の関係、報道(知る権利)vs国家権力。
    様々な要素が絡み合って法廷描写が濃い。
    三巻が楽しみです。

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    2016年03月26日
  • 運命の人(一)

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    長編四巻の第1冊目。
    凄腕新聞記者である弓成の仕事っぷりと、新聞記者と政治家との関係に驚きながらもこういう世界なのか…と読み進めていました。
    そして弓成が掴んだ「沖縄返還にまつわる密約」と失敗。
    そこからは怒涛の展開でした。
    大きな権力って怖い。
    何てことだ…というところで二巻へ続く。

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    2016年03月26日
  • 仮装集団

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    流郷の書斎とロシアのバイオリニスト招致の仕事ぶり、あとがきが印象に残った。音楽に情熱を傾けて、組織力を存分に活かす努力で仕事を成功させる。菊村姉弟が静かに流郷や斉子を尊敬してる思いが美しい。流郷が斉子と菊村姉のふたりを可哀想に思う気持ちがリアル。カップルができるわけでもなく誰の仕事もハッピーエンドでない不思議な物語。比較的リベラルと思った作者が労音や共産党、赤旗にこんな違和感を持っていた。党員たちのアジりっぷりが、短絡思考が、適切に描写されていると思う。自分で一生懸命党の意向を解釈しようとして党に従う愚かしさ。もう一人くらい政党色に辟易するごく普通の職員もしくは会員がいたらさらに感情移入出来た

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    2016年03月08日
  • 女の勲章(上)

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    女の野心が渦巻くファッション業界を、駆け上がる式子の闘いと言うよりは、私利私欲と金儲けと色欲にまみれた銀四郎に翻弄される女達といったところ。段々と銀四郎の意のままに踊らされる式子達の反撃を待ちつつ読み進めるがどっぷりとその企みにハマったまま本巻は終了。下巻での展開が、しかしながら後味が悪いと評されており、読む気力を失いつつあります。

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    2016年02月05日
  • 運命の人(三)

    ネタバレ 購入済み

    引き込まれます

    仔細な裁判の経緯描写と巻末のスピード感溢れる馬場の表現に引き込まれます

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    2016年01月17日
  • ムッシュ・クラタ

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    山崎豊子の短編を初めて読んだが、秀逸。表題作もいいし、へんねしもいい。最後のブ男は自分の器量を見定めろとの教訓を感じた。

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    2016年01月14日
  • 運命の人(三)

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    あくまでも三木昭子を庇い続ける弓成に対し、自分の汚名挽回か弓形への復讐で弓形を貶め続ける三木昭子の行動、それに乗じる政府の画策で追い詰められていく弓形。せめて嫁には真実を語り詫びるのが筋と思うが…そこにどんな矜持があるのか。
    作者の描く主人公はやり手でありながら、一貫して筋を通す潔癖な傾向があり、作者の理想の男性像なんだろうなと考える。
    文面については、裁判の場面であるが故、表現がとてもまどろっこしい。
    最高裁での上告棄却はどのような経緯だったのか、おそらく政府の画策があったはずだか多く語られず…、4巻で出てくるのかな。もしそうなら三権分立のげんそくが覆る大事件なのだけど。4巻を引き続き読みま

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    2015年12月20日
  • 運命の人(一)

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    今まで辺野古の話題は他人事だった。他に選択肢がないので辺野古移転はやむなしと思っていた。長い間耐え抜いてきて未だ続いている沖縄の苦痛を分かっていなかった。報道は何故正確な情報を伝えないのか。その事実を盾にアメリカ返還の交渉しないのか。
    運命の人の圧巻は第4巻に集約されている。第1巻の単調ぶりに山崎登代子の衰えを感じたが、最後には取材の鬼の姿を見せつけられた。

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    2015年12月11日
  • 運命の人(一)

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    沖縄返還の際、日米の首脳の間に不透明な約束があった。外交機密文書を手にした敏腕記者の弓成が野党の国会議員に手渡したことで、揺れ動く人々の様を描く さもありなんと思う

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    2015年12月05日
  • 花紋

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    粘着質で濃厚な世界観がたまらないです。
    情念の描かれ方が良いです。

    現代からは想像もつかない、戦争と旧態依然として家に殺される女流作家。

    想像がつかないだけに重く、知らない価値観に蹂躙されます。

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    2015年11月11日