山崎豊子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
全4巻通してのレビュー
毎朝新聞政治記者、弓成亮太。
政治家・官僚に食い込む力は天下一品、自他共に認める特ダネ記者だ。昭和46年春、大詰めを迎えた沖縄返還交渉の取材中、弓成はある密約が結ばれようとしていることに気づいた。
熾烈なスクープ合戦の中、確証を求める弓成に、蠱惑的な女性の影が……。
読み進めていくうちに、久しぶりに胃がキリキリした。
裁判に向けた準備や法廷でのシーンは特に圧巻。
国家権力のあり方、外務省の伏魔殿ぶり、個人のあり方…どれもこれも、いつの世も変わらないものである。
最も本質的なことが隠し立てされ、最も多くの被害を被った方々がいつまでも救われない世の中。
山崎豊子氏の作品は重厚感と臨場感が深く、読み応えがある。
「この作品は事実を取材し、小説的に構築したフィクションである」と冒頭にあるが、事実は限りなく小説に近いのではないだろうか。 -
Posted by ブクログ
【感想】
入社10ヶ月で次長になり、戦闘機の受注抗争に身を粉にし、7年後には業務本部の常務へと異例の昇進を遂げる主人公・壱岐。
1巻では浦島太郎のような商社マン1年生だったのが懐かしく思えるくらいの成長っぷりですね。
部下の兵頭、海部、東京商事の鮫島など、1巻から出てきた魅力的な登場人物も活躍し、ますます面白くなってきました。
戦闘機の受注を巡って友人を失い、また最愛の妻をも亡くした壱岐に、これからどのような運命が待ち受けるのか、楽しみ!
【あらすじ】
商社マンとして生き抜くことを宿命と感じるようになった壹岐は、防衛庁の次期戦闘機選定に伴う商社、メーカーの熾烈な受注合戦に巻き込まれる。
国防のため、真に優れた機を採用させようと奔走するが、背後には次期総裁選をめぐる暗闘が横たわっていた。
壹岐は政界や防衛庁内の利害が複雑に絡み合う「黒い商戦」で水際立った手腕を発揮する。
しかし、その代償もまた大きかった。 -
Posted by ブクログ
御巣鷹山航空機事故を受けて、後任人事として全く業種の異なる会社に会長職を要請した。世間の風当たりが強い会社の会長職に就くというのは、爆弾飛び交う戦場に突如派遣されるようなもので、受けた人間の覚悟も相当なものに感じる。抜本的な社内改革のために政府主導で依頼されたものではあるが、当然旧体制化で甘い汁を吸ってきた輩からはきつい反発があり、事故から1年経っても改革は進まない。
自分の身を案じること(地位など)に一番の人間、そのためには他者のことなどお構いなしという風潮は今の世の中でも変わることなく、特に組織の中でいい地位にいる人たちに多く存在し続けているように思う。それを変えようとすると異端とも捉えられかねない。会社再建の道のりは果てしなく遠い。 -
Posted by ブクログ
山崎豊子氏の直木賞受賞作品。裏表紙を見たら、昭和33年発行となっていて驚いた。著者は大阪人であり、この作品は大阪出身の人にしか書けないと思う。山崎氏の他の大作とちがい、1冊で完結の読みやすい本である。
大正時代に、呉服屋に嫁入りした多加が、商売がうまくいかず、遊び人の夫に悩まされ、一人になった後落語の寄席を開いて奮闘する話。行動力がある多加のバイタリティに感心する。歴史小説ではないが、どうやら小説のモデルとなる女性がいたようだ。大阪のお笑い、今でいうと吉本興業のような、特有の文化が発達していく過程が楽しめる。読んでいると、主人公の女性を応援したくなってくる。今も昔も、女性がビジネスで成功するには、男性以上の努力と犠牲が必要なのだなとつくづく思った。
大阪が舞台なので、会話がすべてコテコテの大阪弁である。それも風情があってよい。