山崎豊子のレビュー一覧
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山崎豊子氏の直木賞受賞作品。裏表紙を見たら、昭和33年発行となっていて驚いた。著者は大阪人であり、この作品は大阪出身の人にしか書けないと思う。山崎氏の他の大作とちがい、1冊で完結の読みやすい本である。
大正時代に、呉服屋に嫁入りした多加が、商売がうまくいかず、遊び人の夫に悩まされ、一人になった後落語の寄席を開いて奮闘する話。行動力がある多加のバイタリティに感心する。歴史小説ではないが、どうやら小説のモデルとなる女性がいたようだ。大阪のお笑い、今でいうと吉本興業のような、特有の文化が発達していく過程が楽しめる。読んでいると、主人公の女性を応援したくなってくる。今も昔も、女性がビジネスで成功するに -
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物語の中核、都市銀行としては小さな阪神銀行が、自分より上位の大同銀行を呑み込む策動が動き出す辺りから物語は俄然面白くなる。
阪神銀行頭取の万俵大介が権謀術数で家族を不幸に巻き込みながらも己の欲望を満たして行く様に嫌悪感を抱きながらもストーリーに引き込まれて行く。
「自らの欲望を遂げるためには、冷然と金の力で自分に都合のよい正義を作り変えることの出来る男」
万俵大介を表す的確な言葉だろう。
物語のいたるところに出てくる馴染みある土地。
神戸を舞台にしたストーリー展開も嬉しい。
阪神銀行があるのは元町栄町通であるし、南京町、北野坂、六甲山など地名もさることながらドンクやオリエンタルホテルなど固有 -
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朝ドラ、小説
2017年下半期に放送された連続テレビ小説「わろてんか」は、吉本興業創立者の吉本せいがモデルでした。
かなりのやり手な女性だったそうですが、朝ドラでは見事なふんわりヒロインになっていました。朝ドラのアレンジ力は大したものだと思いました。
しかし、朝ドラよりも60年近く前に吉本せいがモデルとなった小説が出版されていました。
『花のれん』(山崎豊子/新潮文庫)です。実は、「わろてんか」放送中に本書を購入してたのですがずーっと積読で、この2日間ほどで一気に読みました。
明治〜昭和初期の大阪
吉本せいは1889(明治22)年生まれ、没年は1950(昭和25)年なので『花のれん』の作中 -
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ネタバレ収録作品
*ムッシュ・クラタ/晴れ着/へんねし/醜男
表題作『ムッシュ・クラタ』は著者の実際の出来事を元に紡がれたお話かな?という印象を受ける。
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“私”は以前職場で要職についていた倉田玲氏の訃報を新聞の紙面にて知る。
フランス料理店でフランスの詩について、歴史、文化、雑学-日本人である彼がたっぷり語ったこと、ダーク・スーツに帽子と手袋を装着して出勤し、仕事中はパイプをいつもくゆらせていたこと…そんな彼の姿が頭にあったが、通夜で訪れた彼の住まいはいつもの彼のイメージとは程遠い、こじんまりとした慎ましい家屋であった。
この差異から倉田氏という人物そのものにひかれる“私”。
10年