山崎豊子のレビュー一覧
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友達に勧められ手に取る。
白い巨塔、不毛地帯はテレビドラマで見たものの、山崎豊子作品を本で読むのは初。
文化大革命そのものを知らなかったため衝撃。
現代に生きていると、思想の自由を保障することの重要性というのはあまり感じない。しかし、本書を読んで国家が思想の自由を侵害することの恐ろしさを理解した。
壮絶な時代における少年の壮絶な人生という観点では、ケインのアベルの上巻と重なる部分があった。ケインのアベルの下巻では金融界での2人の争いが延々続いて退屈になったが(笑)、本書はこの後どうなるか。
ここから少しネタバレ
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・生き別れた妹とどう再会するのか、
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Posted by ブクログ
10年、いや20年近くぶりに読み直したが、ディテールどころか結末までまったく記憶になかった。勧善懲悪ではなく、こういう中途半端な終わり方だったのか。
多分以前に読んだ時は、普通の民間企業でも利権絡みの不正は多かれ少なかれあるので誇張ではあってもまったくない話ではないという印象であったが、時代の流れか今ならもうほとんどあり得ない話なんだろうと思う。それだけ民間のコンプライアンスが浸透したと言えるのかも知れない。しかし、政官の方はあまり変わっていないというか、更に巧妙に悪事が続いているのかもとか考えさせられた。
あ、これはフィクションだったな。
モデルになっている航空会社に稲盛さんが会長として乗 -
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【感想】
入社10ヶ月で次長になり、戦闘機の受注抗争に身を粉にし、7年後には業務本部の常務へと異例の昇進を遂げる主人公・壱岐。
1巻では浦島太郎のような商社マン1年生だったのが懐かしく思えるくらいの成長っぷりですね。
部下の兵頭、海部、東京商事の鮫島など、1巻から出てきた魅力的な登場人物も活躍し、ますます面白くなってきました。
戦闘機の受注を巡って友人を失い、また最愛の妻をも亡くした壱岐に、これからどのような運命が待ち受けるのか、楽しみ!
【あらすじ】
商社マンとして生き抜くことを宿命と感じるようになった壹岐は、防衛庁の次期戦闘機選定に伴う商社、メーカーの熾烈な受注合戦に巻き込まれる。
国 -
Posted by ブクログ
ネタバレ久々に長編を読んだが、次々とページを進めたくなる展開だった。しかしながら、手を止め難いハラハラとしたこの内容が、事実に基づいたものだという事は、複雑な気持ちになる。
日本の戦後も知らない私には、日本の開拓団の政策、それを国が棄てた、という事も相当衝撃だが、中国という国の恐ろしさもまざまざと感じた。
完全な私見だが、コロナ禍の現在、コロナ発生初期の報道などから、現代においても、中国の体質はどこか、この作品の中の時代を引きずっているように感じてしまった。
陸一心の乗り越えてきた数々の苦難、一心と別々になってしまった妹の生涯については、現実に中国残留孤児(※)と言われる人々に降りかかった事ばかりな -
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組織の膿をを出し切るのは、かくも難しいものであることを痛感させられる。不正が不正と言えない会社体質、自身の保身と出世しか考えない役員の姿勢には呆れてものも言えない。
自分の意見は認められず、会社に振り回され続ける主人公の精神力はどこから来るのだろうか。会社からコケにされても会社のために尽くそうとする。確かに辞めてしまえば会社の思惑通りだろうが、ここまでされても勤め続ける意志にはある種の恐ろしささえ感じる。こうした意志は現代では通用しないのかもしれないが、こういう気骨のある人がいるから会社として存在し続けていられるのだろうとも思う。そうでなければ、会社は潰れてしまいかねない。この作品のタイト -
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御巣鷹山航空機事故を受けて、後任人事として全く業種の異なる会社に会長職を要請した。世間の風当たりが強い会社の会長職に就くというのは、爆弾飛び交う戦場に突如派遣されるようなもので、受けた人間の覚悟も相当なものに感じる。抜本的な社内改革のために政府主導で依頼されたものではあるが、当然旧体制化で甘い汁を吸ってきた輩からはきつい反発があり、事故から1年経っても改革は進まない。
自分の身を案じること(地位など)に一番の人間、そのためには他者のことなどお構いなしという風潮は今の世の中でも変わることなく、特に組織の中でいい地位にいる人たちに多く存在し続けているように思う。それを変えようとすると異端とも捉え -
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世界最悪・最大とまで言われ、520名の死者を出した御巣鷹山航空機事故を取り上げる本巻。航空機の安全神話は崩れ、企業の緩慢体質も明らかになった。
責任の所在を明らかにせず、自らも責任を取ろうとしない経営陣(表面上は辞職したが、ほとぼりが冷めた後は別のポストにつこうと画策している)の姿勢は今でもいろいろなところで罷り通っているように思うが、やはり情けない。権力は人を狂わせてしまうものなのかと改めて思ってしまう。
そんな企業の中にあっても遺族の世話係となった社員たちの懸命な姿(中にはそういった熱意がない者もいるが)には胸打たれるものがある。遺体回収・収容の現場、その後の補償交渉と休まる暇がない -
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大企業vs一社員の闘いを描いた全5冊の2巻目。
本巻は企業の労働組合への報復人事でアフリカに行くことになるまでの流転の経緯とアフリカでの生活、日本帰国までを描く。
航空業界大手の大企業の内規をも無視した人事には正直驚くが、それに屈して辞めたりすると組合の仲間を裏切ることになるという責任感のもと、全てを受けようとする社員の精神に感服する。その分、家族には計り知れない負担をかけることになり、家族バラバラ(物理的にも精神的にも)の憂き目にも遭いかねない。家族であっても言いたいことが全て言えるわけではなく、相手のことを考え、言いたいことでも言えないもどかしさのようなものも伺える。
また、利益追 -
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【感想】
戦後11年間のシベリア拘留を経て、近畿商事という総合商社に入社した元日本陸軍中佐の物語。
シベリア拘留のエピソードが生々しくて、読んでいてかなり衝撃を受けました。
戦後、異国であんな風に虐げられ苦しんだ人がたくさんいたんですね。。
「終戦」とは名ばかりで、戦争が終わっても、戦争中かもしくはそれ以上の苦しみを味わっている人がいる。
安易な一言ですけど、、、やっぱり平和が1番ですね。
あと、先物取引関係が難しすぎてまったく理解できず…
ただ商社の多忙さやバイタリティーの描写は見ているだけでわくわくしたなぁ。
商社マンのエリートっぷりは本当にカッコイイ!!
600ページ強のボリューム -
Posted by ブクログ
登場する会社名は国民航空となっているが、話の展開から恐らく日本航空を描いた作品であることは察しがつく。大会社の内情とそれに翻弄されながらも自らの信念を貫く一社員の格闘を描いた全5冊の巨編小説。本書はその1冊目。
アフリカ篇となっているが、本書は主人公が何故にアフリカに派遣されたのかをそこに至る経緯を中心に描かれている。アフリカ在中を現在として、過去を振り返る形をとっている。
労働組合と大会社の対立、それに対する非情なまでの報復人事。その一方で、それを利用してうまく立ち回る人々もいるのも事実。報復人事をまともに喰らった主人公はいかにするのか。そこまでして会社に居残る理由は?働くことの意味合 -
Posted by ブクログ
ネタバレ連載小説ですよね。たくさん出てきた登場人物は活かされず触れられなくなることもしばしば。主人公は鉄平だなぁ。壮絶だな。でも裏表紙のあらすじのネタバレは許しません。何を考えていらっしゃるのでしょう。妹には絶対にあらすじを読まないよう厳命して手渡ました。笑
大介はたぶん悪役だけど、憎み切れないのだ。というか一番悪いのは万俵敬介では? その他登場人物たちについていろいろ書いてしまうと、
⚫︎銀平は作中でもっと逆襲すると思ったわ。
⚫︎真樹子とうまくいって欲しかったな。
⚫︎相子とそんなにあっさり別れられるものか。
⚫︎二子はアメリカでやっていけるのかしら。
⚫︎三子は自分で結婚相手を見つけられるのか