山崎豊子のレビュー一覧
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山崎豊子の中短篇作品集『ムッシュ・クラタ』を読みました。
山崎豊子の作品読むのは初めてですね。
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一般に長編作家ときめてかかられている私であるが、実は短編や中編を書くのが好きで、その中でも『ムッシュ・クラタ』は、私自身、非常に愛着を持っている作品である。――山崎豊子
戦前・戦後、新聞社のパリ特派員を勤め、フランス文化をこよなく愛して「ムッシュ・クラタ」と呼ばれた男。
日本人の常識から逸脱した行動をとり、鼻持ちならないキザな奴と見られていた彼が、記者として赴いたフィリピンの戦場でしめしたダンディな強靱さを、鮮やかに描いた表題作。
ほかに夫婦の絆の裏表を鋭い人間観察で切り取った「晴着」「へんねし」「醜男」をおさめる中・短編集。
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1959年(昭和34年)から1966年(昭和41年)に発表された作品を収録して1993年(平成5年)に刊行された作品です。
■ムッシュ・クラタ
■晴着
■へんねし
■醜男
■解説 権田萬治
大河小説とは違った味わい……豊饒の中・短編集。
読む前に予想していたより佳い作品集でしたね、、、
いつもフランス紳士としての盛装をして、静かにパイプをくゆらせていた倉田氏は、皮肉交じりに社内ではムッシュ・クラタと呼ばれていた……そういう表面的な倉田だけでは、うかがい知れない毅然としたダンディな倉田の本質を多角的な手法で鮮やかに浮き彫りにする『ムッシュ・クラタ』、
夫の弟と愛し合い、駆け落ちするきっかけを作った自分の晴着姿を、病床の、今は夫になった男に見せようとする志津という女性の愛と哀しみを浮かび上がらせたしみじみとした味わいのある佳篇『晴着』、
妻のほかに愛人を囲うことが、男の甲斐性として、半ば公然と認められている大阪商人の世界に生きる妻の心の奥底に秘められた知られざる怨念をさりげなく描く『へんねし』、
容姿に恵まれない男が妻や子から受けるひどい仕打ちを描いた異色作『醜男』、
読みながら、作品の世界にどんどん引きずり込まれました……どの作品も、人間の性や人生の機微、夫婦の絆の裏表といったテーマを鋭い人間観察で描き出しており、味わい深い余韻を残す作品集でしたね。
機会があれば、山崎豊子の長篇小説も読んでみたいですね。 -
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中国の脅威的な経済発展の礎となるのが日本の経済援助と技術指導なのであるが、中国との取引には多くの煮湯を飲まされている日本企業の姿がよく描けている。たぶん中国人にしてみれば、これだけ祖国を侵略した悪人日本人に対してはどんなことをやっても当然なのだという意識があるのだろうと思う。そして、もともと中華思想に凝り固まった国なので、日本人を利用することは屁とも思わない国民性もあるのだと思う。現在では、鉄鋼どころか電化製品も情報機器も多くの分野で日本は中国に及びもつかない状況に追い込まれているのだ。
国際競争というのは、生き馬の目を抜くような競争なのだという現実を知らなければならないのだが、いつかこんなことではなく、親切にされたことを忘れないような世界になるといいですね。 -
Posted by ブクログ
中国を侵略した日本は満洲国を建設するにあたり日本から開拓団を募集して100万人以上の移民を派遣したのだが、終戦時には多くの移民を取り残して関東軍は無責任にも帰国してしまうのだ。その撤収にあたり関東軍は敗戦の2ヶ月も前から司令部を日本に近い朝鮮半島付近に移し、橋を爆破して破壊したというのだから驚きだ。
しかも数十万人の規模で残された戦争孤児たちを救出する動きは日中国交回復するまでは全く起こっていないのだから呆れてしまう。ドイツ人は東ドイツに残された棄民を5年以内に全て救出したというのだから、日本人はどうなんだろうと思ってしまう。考えてみれば、インパール作戦や太平洋の離島で飢餓死した多くの日本兵の遺骨さえほとんど収拾していないのは周知の事実だ。モンゴルやシベリアにも多くの日本人の遺骨が散逸したままになっている。
この作品は山崎豊子の著作の中でも日本人として必読の書であると思った。 -
Posted by ブクログ
日航機墜落事件を基にしたフィクションだけど、もはやドキュメンタリールポなのではないかと思えてしまう。
他のアフリカ編、会長室編は上下の二冊に分かれているけど、御巣鷹山編は一冊。でも読み応えがすごい。
今巻も恩地が主人公ではあるものの、存在感はあまり感じず、事故そのものや遺族たちが主役といったかんじでした。
事故の悲惨さ、遺族の苦しみ、事故原因究明にあたる調査委員会の人たちの努力などに圧倒される。
そして一会社員だった人たちが遺族や世間に非難され攻撃される様に心が痛む。
辛い任務にあてられるのは組織の末端なんだよね。
それに比べて、堂本社長の自己本位な考えやボーイング社の責任回避の態度には怒りが。
会長室編にどう繋がっていくのか。
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『不毛地帯』に続く山崎せんせの大作にチャレンジ!『不毛地帯』でのシベリア抑留シーンもえぐかったのですが、今回舞台の中国ではあの産業革命に次ぐ、画期的な大改革と謳われる文化大うんこ革命真っ只中、そして噂の収容所シーンもやっぱりえぐかったですね。私なら耐えられずに〇〇してます。
主人公である中国残留孤児のルー・イーシンくん、モデルとなる方がいらっしゃるとの事ですが、当時現地での日本人への扱い方は地獄であったようで、あらためて戦争は憎しみしか生まないと、戦後80年の今、熟読するべき小説ではないでしょうか。
そう言えば昨日家族で盛り上がった例のユーチューバー『バッパー翔太』氏。新疆ウイグル自治区取材後音信不通となり、2ヶ月後無事帰国しましたと動画をアップするも、どうみても中国なんですがね・・・・^^;右目の青タンの後もうっすら確認され、そして目も死んでおりました。いかがお過ごしでしょうか。
翔太くんもまずこの作品を熟読していたらそこに行かなかったのではと、中国の怖さもあらためて感じる秋の夕暮れでございます。早く日本に帰られるといいね。 -
Posted by ブクログ
前作の事故から会社の在り方から建て直すために、恩地をはじめ、総理から指名され、戦時中の仲間を守れなかった思いがあり、第二の出兵として引き受ける国見
もう無理なのではないかと思うくらいに、どす黒く淀んだ社内の組織に辛くなります。
次の最終巻のクライマックスに向けての前段という感じで、面白いというよりは、そこにいる恩地、会長、恩地のかつての友である行天が置かれている状況に、どこの立場であっても大変なことに変わりないと思ってしまいました。
犠牲者の遺族や、組合など寄り添うことの難しさにフィクションには出せない底のない沼を感じる一作です。
10年間海外でたらい回しにされ、組合長を経験している恩地でなければ、こなせないであろう役職を全うして欲しいと願うばかりです。