山崎豊子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
財前が病気になるところは、ドラマの印象が強くて、本の方の筋は忘れていた。
それもあって、なんだか新鮮な気持ちで読めた。
本人に癌であることを隠して延命治療をしたとして、どういうメリットがある?
死に対する準備も何もできないではないか。
ちゃんと伝えられて、その事実を苦しみながらも受け止めたのちにしか、自分の人生や死に対する整理ができないではないか。
昔の、病気を本人に隠すというおかしな思いやりは、やはりまちがっていると感じた。
最後はややきれいにし過ぎな感がある。
加奈子爆弾がさく裂しなかったことについては、実に残念だった。
2004.3.8
ドラマと並行して読んだので、多少入り乱 -
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『華麗なる一族 下』
阪神銀行・頭取・万俵大介は、大同銀行・専務・綿貫と両行の合併に向けて、影で動きだす。
長男・鉄平が専務である阪神特殊鋼を倒産に追いやってでも、『小が大を喰う』合併を成し遂げようと…
父の計略に嵌り、大同銀行・三雲頭取を辞任に追い込んでしまった、鉄平は…
自らの目的を達するために、実の息子をも使い、騙すとは。まるで戦国時代のようで。
が、戦国時代ほど勇ましさ、潔さが感じられない…モヤモヤ感が残る…
『天下ヲ得ルニハ 一不義ヲ成サズ 一無辜ヲ殺サズ』
三雲が大介に言ったように。
永田のように大介を超える悪党がいるわけで。
大介の寂しい老後が、万俵財閥の落日が、目に浮か -
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浪花女のど根性、商売の才覚と事業欲に溢れる多加の嫁いでから生を終える迄の物語り。
心根は優しいが生活力がなく、まして事業の才能もない夫吉三郎が外に作った若い女の家で腹上死し、その葬儀に二夫にまみえぬを誓う白い喪服を纏った多加。
寄席の上客であるどこか夫に似た伊藤に思いを持つも事業を優先する多加。
一粒種の久男にも母親らしい子育てより事業を優先する多加。
だが、大阪の大空襲で殆どを失ったが、芸人の借金を片っ端から棒引きし、寄席芸で儲けたからそれで損してもええとうそぶく多加。
また、思いを寄せた伊藤の自殺の写真をあり得ない高額で記者から買い取った行動に多加の思いが溢れ、多加の人物像に深みを感じまし -
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山崎豊子『華麗なる一族』。
残っていた山崎豊子作品。ほぼ最後。
都銀10位の阪神銀行・頭取・万俵大介。
都市銀行再編の動きがある中で、上位行からの吸収合併を逃れるべく、娘婿・美馬を通じ、他行の状況を探る。
『小が大を喰う』合併を模索する…
万俵財閥をさらに強固なものとするため、次男・銀平、次女・二子の閨閥結婚も進めていく…
一方、グループ会社・阪神特殊鋼・専務・長男・鉄平は高炉建設を計画、融資を阪神銀行に依頼するが、父・大介は…
昭和40年代前半、高度経済成長期の神戸の街。
万俵一族をさらに強固なものに動く、大介と妾・相子。
父・大介と長男・鉄平の関係が…
鉄平と祖父・敬介…
万俵一