山崎豊子のレビュー一覧

  • 沈まぬ太陽(三) -御巣鷹山篇-
    これまでの物語からは一転して、日本航空123便墜落事故をめぐる話題となる。『沈まぬ太陽』全体で考えた場合には起承転結の承に当たる。この巻に至るまでのアフリカ編上・下を読んでいなくても理解できる構成となっているため、123便墜落事故について当時の様子を知りたい場合にこの巻だけ単体で読むのもあり。
  • 不毛地帯 第五巻
    再読完了。

    舞台が総合商社であるだけに、スケールの大きさを感じる。サルベスタン鉱区で油を掘り当てた時の描写は感動的である。

    物語上、どうしても主人公の壹岐の周囲にいる人物は、いわば“敵役”である。しかし、それぞれの人物の視点で見ていくと、彼らもまた正義のために戦っているのである。鮫島氏は言うに及...続きを読む
  • 不毛地帯 第二巻
    舞台が商社であるだけに、日本国内に留まらず世界レベルで話が展開される。それゆえスケールの大きさを感じる。特に、第三次中東戦争を巡る商社同士の戦いは展開もスピーディで面白い。

    東京商事の鮫島は、主人公の壹岐の視点で見れば悪役だが、鮫島の方から見れば壹岐はこれまで長年苦労して築き上げてきたものを一気に...続きを読む
  • 沈まぬ太陽(三) -御巣鷹山篇-
    当時のことは知りませんが、緊迫感と悲しさが伝わってきました。
    当事者意識がないお偉方が蔓延るのは仕方ないんですかね。そういう人しか偉くなれないのかな。なーんて
  • 華麗なる一族(中)
    200505.上巻に引き続き。
    案の定苦境に立たされる鉄平。苦境への道筋がうまい。
    多方面に気を配っているつもりでも、さらに大きなコングロマリットや、事故といった災害など、力及ばない角度から突いてくる。
    大介側も、いろいろと苦慮しつつも状況を踏まえた上での一手を打ってきた感じが、ちゃんと物語をして積...続きを読む
  • 白い巨塔(四)
    一審の判決後から学術会議選の序盤、控訴審の始まりまで。

    一件すると一審に勝った財前はいまだ絶頂期にあるようだが、徐々に綻びが出てきているさまが描かれている。
  • 白い巨塔(三)
    話のメインは一審。

    権謀術数を巡らせる時の財前は冷酷非情そのものだが、時おり出てくる母親への想いには、冷酷とは対極の人間味を感じさせる。

    そのギャップが面白い。
  • 華麗なる一族(上)
    200501.面白い。文書がうまい。引き込まれる。
    ボリュームはかなりあるが、読まされる内容。
    描写に言葉遣いに、多種多様な格式に対してもよくここまで表現できるなーと。
    登場人物は多いが、一族の名前が分かりやすいのも良い。鉄平に銀平、女性の扱いは軽いのか、一二三。このまま王道路線で行くなら、銀平の嫁...続きを読む
  • 白い巨塔(二)
    おそらくこの第二巻が、財前の絶頂期だろう。

    教授選の勝利、国際外科学会への招聘、一方でこれから財前に降りかかることも匂わせている。

    それにしても、山崎豊子は人間模様の描写が絶妙だと思う。
  • 約束の海
    絶筆だから読みたいと思いつつも、未完だからと躊躇する気持ちもあり、これまで横目で見ながら手に取らなかった作品。

    加齢によって体力は低下し、その反面自分の立ち位置と存在意義を確認したいという欲求にも駆られ、自分のやりたいこと、やるべきこと、そして出来ることの線引きがぼやけ、なんとも心許ない毎日を過ご...続きを読む
  • 約束の海

    物語が完結しなかったのが残念

    読み手を惹きつける話の展開で、最後まであっという間に読みました。第一部で絶筆になってしまったのが残念です。この後、主人公を含めた登場人物がどのように生きていくのか、とても気になるところでした。一方で、自衛隊の存在意義をあらためて考えてみる機会になりましたし、自衛隊について、国防について知らない事が実...続きを読む
  • 大地の子(一)
    山崎豊子大先生、巨匠
    まず「大地の子」に取り憑かれ
    大ファンです。
    白い巨塔、次から次に大作を
    社会悪を暴き、問題を投げかけ
    それぞれの作品が
    取材、構成
    気が遠くなるくらいかかってたどりつくのだろう。
    読む側も姿勢を正して
    読まなくてはとおもう。

    大地の子のレビューなぞ、力量ない自分には書けない...続きを読む
  • 女系家族(上)
    (上下巻合わせてのレビューです。)

    久しぶりの山崎豊子。やっぱりテッパンです。

    姉妹3人の遺産相続にからみ、その周囲も巻き込んだドロドロ劇に
    読み手である自分もあっという間に飲み込まれていきます。
    山崎豊子のやり口が分かっているだけに、何となく先の展開が読めてしまいますが、
    それでも面白い小説で...続きを読む
  • 約束の海
    山崎豊子さん、最後の未完作品。
    二つの点で興味惹かれる小説である。

    * 高齢と病身である山崎さんの渾身の力はいかなるものなのか
    * 作者テーマである「戦争と平和」を描くとしても、自衛隊から掘り起こすとは

    上記は当時(2013年)文芸関係で話題になった。

    氏の秘書野上孝子さんも解説で
    「ま...続きを読む
  • 沈まぬ太陽(五) -会長室篇・下-
    ・信念を持って仕事をすることのかっこよさと難しさ
    ・相手の欲しているものを常に考えながら行動することの大切さ
    ・(本当であるなら)権力とお金の結びつきの強さと人間の恐ろしさ
    を感じた。


    ・常に課題と問題意識を持って仕事をする
    ・人によってお辞儀の角度を変えない
  • 不毛地帯 第五巻
    壱岐副社長の男っぷりに泣かされるサラリーマンは多いのでは。大企業から中小零細まで老害はびこる企業が多い日本社会。サラリーマンのカタルシス小説です。
  • 白い巨塔(一)
    偉い人は出世どころか退職するのも大変なんだな。(じゃ偉くならなくていいや)

    山崎豊子さんによる、大学の医学部の生々しい出世争いを描いたドクター小説の金字塔です(白い巨塔だけに)。

    TVドラマなんかでは若手外科助教授の財前先生が主役を張りますが、小説版である本書で一番存在感があるのはその上司たる東...続きを読む
  • 運命の人(四)
    時だけが許容するものがある。
    時が過ぎても許容できないものもある。
    それを伝える人がいる。

    (以下抜粋)
    ○娘が「アメリカーがやってくるよ、早く殺して」と何度も言い募る、お母はその通りにしてやったよ、ザーッと血しぶきの雨だった、ガマ一面に飛び散った血は、おしくら饅頭のようになっていた人の上に降り注...続きを読む
  • 白い巨塔(一)
    派閥を経験したことがないので、内部に対してこれだけの力量を使う事が無駄に感じてしまうのが、率直な感想です。その分外部に使えば、どれだけ世の中に貢献できるのかと考えられるのは、今が恵まれた環境で働いているからかもしれませんが。
    しかし、こういったドロドロ感満載のテーマを緻密な取材をされた上で筆を取られ...続きを読む
  • 白い巨塔(三)
    派閥を経験したことがないので、内部に対してこれだけの力量を使う事が無駄に感じてしまうのが、率直な感想です。その分外部に使えば、どれだけ世の中に貢献できるのかと考えられるのは、今が恵まれた環境で働いているからかもしれませんが。
    しかし、こういったドロドロ感満載のテーマを緻密な取材をされた上で筆を取られ...続きを読む