山崎豊子のレビュー一覧

  • ぼんち

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    「ぼんち」(山崎豊子)を読んだ。
    
これは凄いな。
船場ってのはもう独自の世界だったんだろうな。
非大阪人には理解し得ない大阪人だけの独特の響きを持った場所なのか。
『封建的な一種の特権階級』(本文より)というわけだ。
    
もし私が同じ立場に生を受けたとして、いやぁとってもこんな甲斐性は無いだろうと思う。
気が小さいんで絶対に「ぼんち」には成れんわ。
    
《大阪船場、かつてそこには独自の生態を頑なに守り続けた驚愕の種族が存在していた》
    
なーんてね。
    
終わり方も見事でした。
    
あー面白かった!

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    2024年05月24日
  • 大地の子(四)

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    胸が張り裂けそうになりながらも、読破。

    主人公、陸一心の人生は苦難の連続で、その度に自身の努力や周囲からの助けで這い上がってきた。これから自分の人生にどんなに辛いことがあっても、陸一心ほどのことではないだろう。

    戦争が市井の人にもたらした影響の大きさや、家族の絆について考えさせられた。

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    2024年05月19日
  • 沈まぬ太陽(五) -会長室篇・下-

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    ネタバレ

    背帯の文言
    「この国を覆う、おそるべき良心の不在。恩地元最後の闘い」
     今回も読んでいて、腹がたった。
    国民航空、関連会社「国航開発」の政・官・財界との癒着、私腹を肥やす利権等、魑魅魍魎が蔓延するデタラメぶりがあまりにひどい。
     この物語が単なるフィクションであるなら、腹も立たないだろうが、登場人物の氏名は実在の人物の名前をもじったもので、実在する人物だからだ。
     ここで登場する自由党の竹丸副総理など、政界のドンとして君臨し、汚職事件で逮捕されたあの人だ。
    現在も政治家の金権体質は、あいも変わらず変わらない。
     本書で、架空の人物である、常務にまで成った行天四郎の行動がひどい。
     客室乗務員と社内不倫をするわ、運輸省航空局の官僚に、その愛人とのマンションを提供するわ、そのなりふり構わない行動は人間としてどうかとおもう。
     『行天四郎』は国民航空に於いて、利権に群がる魑魅魍魎を具現化した人物なのだろう。
    本巻では、地検から呼び出しを喰らう所で終わっている。
     国航開発の社長である岩合は、「岩合天皇」と呼ばれていた。その放漫経営により、私腹を肥やしていたが、ついに解任された。ここだけはスッとした。
     最後に会長の国見は解任。
     恩地は再び、ナイロビ支店長赴任を命ぜられ、本意ではないが、ナイロビへと向かう、残念な結果となっている。

     最後に作者の『あとがき』で、山崎豊子が述べている。
    「今回は非常に勇気と忍耐のいる仕事であったが、その許されざる不条理に立ち向かい、それを書き遺すことは、現在を生きる作家の使命だと思った」
     偉大な作家の、この『あとがき』は重い。

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    2024年04月22日
  • 沈まぬ太陽(五) -会長室篇・下-

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    全巻読み終えました。
    当初、先入観無しに読み進めましたが、筆者の長きに渡る取材からの小説との事。
    圧倒されました。
    これが小説と言う設定なら、最後のくだりが無情すぎます。
    しかし、忠実に再現した内容なら人の残酷さがよく分かります。
    通勤時に読んでましたが、何度も泣きそうになりました。
    おすすめの作品です。

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    2024年04月18日
  • 大地の子(一)

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    読書会の課題本

    否応なしに引き込まれる。第一巻は、「もうそんなにまでして一心をいじめないで…」と祈りながら読み続けた…

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    2024年04月17日
  • 沈まぬ太陽(五) -会長室篇・下-

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    渡辺謙主演の映画、沈まぬ太陽を観て感動したため原作を読んでみた。
    山崎豊子さんは十年に1作書かれるということで
    すごく時間をかけられたのが、よくわかります。
    印象に残ったこと葉
    ニューヨークの動物園の鏡の間の鉄格子に埋め込まれた鏡があり、人間の上半身が映る仕掛けになっていて、その鏡の上には
    世界で最も危険な動物
    と記されていた。
    そしてもう一つは最後に
    何一つ遮るもののないサバンナの地平線へ黄金の矢を放つアフリカの大きな夕陽は荘厳な光にみちている。
    それは不毛な日々にあった人間の心を慈しみ、明日を約束する、沈まぬ太陽であった。
    なお、この小説に出てくる行天は白い巨塔の財前五郎の弟分として四郎としたそうです。

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    2024年04月08日
  • 沈まぬ太陽(四) -会長室篇・上-

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    ネタバレ

    本の背帯の文言
    もう一度闘う決意をした恩地。企業を蝕む「闇の構図」を暴くことはできるのか

     利根川総理のたっての願いで、新会長に関西紡績の国見正之会長が国民航空の会長を兼務することになった。
    恩地は国見会長に説得され、会長室の部長に抜擢される。

     新生国民航空の会長である国見が以下の新役人事を発表した。
     社長に、前の運輸事務次官で顧問の海野昇、副社長に、もと常務の三成道夫を指名した。
     はじめは国見の意見に同調していた社長、副社長も、やがて、厳格な国見から離れていく。

     今回も読んでいて非常に、むかむか来た。
     国民航空の関連会社である国航開発のワンマン社長の岩合宗助は、ゴルフ、夜のクラブ遊びに飽き、クルーザーを購入し、会社の接待や自分に必要な「客」だけを乗せ、オーナー気分を楽しんでいた。
     国民航空本社の秋月専務、甘粕秘書部長、新生労組が出資している旅行会社の専務の轟などをクルーザーに載せ、そこで密談をしていた。
     新生労組の幹部は、組合員が毎月払う会費(一ヶ月五千円、年間七億二千万)を使い、高級ホテルのスイートルームで酒を飲みながら定例会を行う。
     甘粕は国民航空の優待券・割引券を轟に横流しする。
     轟は裏地にドラゴンの地紋が入った派手なスーツを着、ブランド靴を履いている。新生労働組合の副委員長だった轟は、組合員時代に潤沢な組合費を使い高級レストランやバーで飲み食いし、女遊びをした。
     国民航空から吸った甘い汁で永田町の政治家に献金する、これら悪徳幹部達。

     魑魅魍魎が跋扈する国民航空の描写を読んでいると、こんな嘘のような事実が、現実にあったのだろうと思うと、むかむか来た。

     最後は御巣鷹山事故の一周忌の描写で終わるが、一周忌に参加した遺族の慟哭の様子を読んでいて涙が出るおもいだ。
    以下、恩地の決意で終わる。
    「今なお、航空会社の使命を忘れ、贖罪の意識の欠片もない社内の魑魅魍魎の輩を、はびこらせてはならない。
    会長室に対する反駁は、さらに強まるだろうが、屈してはならないと、恩地は心に誓った」
     次巻「会長室篇・下」も楽しみだ。

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    2024年03月30日
  • 白い巨塔(五)

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    最後泣けた
    呆気なかった
    財前が権力へなびきながらも、時折不安になったりするところが細かく描かれていて、里見派か決め難かったな

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    2024年03月25日
  • 沈まぬ太陽(二) -アフリカ篇・下-

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    ネタバレ

     恩地が去ってからの本社には、会社の御用組合である第二労働組合ができる。
     第二労働組合は第一労働組合から人員を引き抜いた為、第一組合へ残る組合員はわずかな人員となった。
     恩地が後を託した第一組合の委員長の沢泉からの郵便メールで、現在の第一組合の実情を知らされる。
     かつての労働組合の幹部は劣悪な環境の売却資材倉庫や資料管理室へ追いやられた。第二組合に移籍しない、第一組合員は、第二組合の人間の監視のもと、支店に日がな一日椅子に座らせられて、無為に過ごすことを強制されていた。
     話を聞かされた恩地は憤り、本社への不当人事に対抗する憤りを募らせた。

     パキスタンからイラン、そしてケニアへと、僻地をたらい回しにされた恩地は次第に心が荒んでいく。
     恩地は週末のみのサラリーハンターとして、アフリカの地で、獣を狩る日々に、なんとか心のバランスを保っていた。
     そんななか、沢泉からの連絡で、僅か五ヶ月の間に三度もの事故を起こす国民航空の現状を知らされる。
     128人の乗客の命を失う連続事故を起こしたにもかかわらず、本社の運行管理者は横滑りの人事交代のみで、その無責任体制は続いていた。
     事故をきっかけに国会で、衆議院交通安全対策委員会が開かれた。
     これにより、国民航空の労働規約違反が白日のもとにさらされ、恩地はようやく日本への帰還ができることと成った。

     恩地を、しぶしぶ日本へ戻すことに同意した労務部長の八馬忠次、副社長の堂本信介は、帰ってくる恩地に対する処遇を巡らした。

     日本へ帰れることに成った恩地の荒んだ心は晴れ、家族のもとへ帰れるという希望を持った。

     沢泉委員長が国会で、不当人事の状況を説明し、恩地への報復人事を証言する場面は、読んでいて心がスッとした。
     三度もの連続航空機事故を起こしながら、変わらない本社役員の体質に憤りを感じつつ、あの稀に見る、御巣鷹山への航空機墜落事故の大惨事へと繋がっていく。
    次巻へとつづく。

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    2024年03月17日
  • 白い巨塔(五)

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    今も何度もテレビで再放送されており、以前買ってあった原作を読みたくなり手にとった。
    やっと5巻まで全て読み終えた。
    財前が主人公だが、里見のどんな困難があっても
    自分の信念を曲げない生き方が好きです。
    特に4巻からは夢中になって読みました。
    なお4巻5巻は読者の声によりできた続編だそうです。
    題名の白い巨塔とは患者の死の経緯について正しい証言をしたものが大学病院を追われ、患者の診察に誤りを犯したものが、大学病院の名誉と権威を守るという美名のもとに、大学のあらゆる力を結集して誤診を否定し、大学にとどまる不条理とのこと。3巻より。

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    2024年03月12日
  • 大地の子(四)

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    ネタバレ

    ようやく再会した妹だったが、重い病に臥せっており間もなく亡くなってしまう。
    そして、妹臨終の場で実の父と再会する主人公。
    お互いに、仕事の立場の違いからすぐに打ち解けることはできない。

    出張で日本に行った際、主人公は父の自宅を訪れ、母や妹達の仏壇に手を合わせることで父と打ち解けることができた。
    しかし、このことが原因でライバルに足を引っ張られ、主人公は左遷されてしまう。

    1年あまりを経て主人公の冤罪は晴れるが、その窮地を救ったのが元カノというのが意外だった。

    悲願であった日中共同の製鉄所もようやく稼働することができ、終始仲の悪かった日中間も和解する。

    そして、物語の終盤、主人公と日本の父は2人で中国大陸の旅に出る。
    日本に戻ってきてほしいと訴える父に主人公は「私は大地の子だから」と応える。
    広大な中国大陸、大地の子。この物語の題名の意味を知り、とても感動した。

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    2024年03月08日
  • 大地の子(四)

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    ひたすら心に重く、戦争への怒りでいっぱいで、読むのがつらかったです
    これが今からそう遠くない昔のこととは。

    運命の過酷さを受け入れられない、納得できないと思いながら読み続け、最後の最後でもう全身に衝撃なほどの納得と涙が
    この世から戦争がなくならない限り、今もどこかの紛争地で同じような人たちがいるかと思うと、本当につらいです。

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    2024年02月25日
  • 白い巨塔(五)

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    五巻に及ぶ長い小説が遂に完結。
    胸が締め付けられる。なんとも言えない辛い気持ち。
    気づいたのですが、財前教授に感情移入し過ぎて、もっと活躍して欲しい。もっともっと困難に打ち勝って自信に満ちた物語を見せて欲しい。そう願いながらこの小説を読んでいたようです。
    最期まで誇り高い態度で人生を駆け抜けた財前五郎に本当に感動した。
    ありがとうございました。

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    2024年02月21日
  • 沈まぬ太陽(三) -御巣鷹山篇-

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    年始の羽田空港での事故をきっかけに読んでみようと思った作品。御巣鷹山の123便墜落事故が起こったことは知っていましたが、詳細は知りませんでした。

    123便がレーダーから消え、墜落、炎上するところから、事故地点の確認、ボイスレコーダーやフライトレコーダーの捜索、機体の残骸の回収、原因究明。一方で、生存者の有無や救出、遺体の検視、遺体確認、遺族の方のお世話、お通夜や葬儀の手配、補償まで細かく描かれいます。

    直接的な原因は整備不良ですが、その背景にある企業体質も大きな問題だと感じました(責任を感じていないようなJALの態度に苛々)

    520名の命を一瞬にして奪うだけではなく、遺族の人生も狂わせる。病気になったり自殺したり会社が倒産したり、想像できない辛さを思うと心が痛いです。

    もう生きかえることはない520名の命を無駄にしないためにもこのような最悪な事故を起こさないこと。JALだけでなく全ての航空会社が安全を守り続けることが、償いになるのだと感じました。

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    2024年02月18日
  • 不毛地帯 第五巻

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    『不毛地帯』第5巻。

    近畿商事・副社長となった壱岐正。
    商社マン最後の仕事として、イランでの油田採掘に奔走する。

    先手を打つも、政界、競合からの巻き返しにより、独立系石油メーカー・オリオンオイルとの共同で入札に挑むことに…

    なんとか、採掘権を得たものの、第4井まで石油の出る兆しはなく、窮地に…

    一方、社長・大門は綿花相場で莫大な焦付きを抱えていた…

    壱岐の見事な商社マンとしての生き様だった。
    異例の昇進に対する周りからの嫉妬にも臆せずに自分を貫き通した、壱岐の強さ。

    『国家のために』を判断基準とし、最初は大本営参謀として、第2の人生では、近畿商事の企業参謀として、常に戦いの中に身を晒してきた。
    自らの人生も、家族との生活も犠牲にして…
    最後まで、壱岐の心の内は誰もわからなかったのではないだろうか…
    口下手なところも災いして…

    大門に社長辞任を迫り、自らも副社長を辞任、近畿商事を退職。見事な自らの身の処し方であった。

    第3の人生で、ようやく安らぎの時を迎えられるのか…

    千里との人生が始まるのだろうか…

    長かった…が、面白かった。
    山崎豊子作品でNo.1だった。
    まだ『華麗なる一族』は読んでいないが…

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    2024年02月11日
  • 女系家族(下)

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    上巻の終わり方から、最後に妾のほうから逆襲があるとは思っていたが、こんなにも鮮やかなどんでん返しになるとは、、遺産相続を舞台に、相続される側の骨肉の争いの中で、自分だけは損したくないという醜さとともに、相続する側の積年の恨みの深さ、関係者もすべて自分の利得のために動き続ける醜さを、これほどまでに生々しく、ありありと描かれていて、山崎豊子の真骨頂だと感じた

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    2024年02月07日
  • 白い巨塔(三)

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    前半に描かれている、ドイツの風光明媚な自然、城、街並み、レストランと財前教授の感性にはうっとりとさせられた。羨ましいほど絶頂期を迎えた男の姿が活き活きと描かれていた。
    変わって、後半はドロドロの裁判戦。流石にもうダメか、と思われるところまで追い詰められ、ドキドキがとまらないまま一気に読み切ってしまいました。
    読み応えのある第3巻でした。

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    2024年02月06日
  • 白い巨塔(二)

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    教授になり益々政治力を身につけた財前が魅力的。著者は他の作品でもそうですが、権力に魅せられ翻弄される人物を本当に活き活きと描かれる。
    面白い一冊。

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    2024年02月01日
  • 不毛地帯 第五巻

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    ネタバレ

    田淵幹事長…一体誰がモデルなんだ…(笑)
    5巻はずっとイランのサルベスタン石油の話、千代田自動車が後味悪かった(最終的にはめでたしになるんだけど)のに対してこちらは小気味よく進んでいく。裏のえげつない部分もFXと比べたら露骨でない(と言うか露骨に見せていない?)ので読みやすい。
    でもせっかく苦労して掘り当てた石油も数年後にはイラン革命で全部おじゃんになっちゃうんだよね。山崎豊子がこれ書いていた時期もギリギリイラン革命前だしなんとも複雑な感情を抱く。

    最終的に大門社長の引退と同時に壹岐も会社を去り、シベリアで物語は終わる。千里とはおそらく結婚したんだろうけど、安易なハッピーエンドにせずあそこで切るのが山崎豊子といった感じ。それでも華麗なる一族や沈まぬ太陽に比べたらずっと後味はいい。

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    2024年01月14日
  • 二つの祖国(四)

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    ネタバレ

    第4巻目は東京裁判の後半部分が展開される。
    天羽賢治は東京裁判の言語調整官として、日々の裁判に臨んでいた。
    裁判が進むにつれて、勝者が敗者を裁く様相が明確に成っていった。
    最初は公正な裁判を望んで、その一助になればと思い、臨んだ賢治であったが、
    裁判が進むにつれて、その実相は裁判という体裁を整えただけの、勝者が敗者を裁く不正な内容だった。
    賢治は裁判が進むにつれて、煩悶する日々が続いた。
    日本に来ている賢治の妻エミーとも夫婦喧嘩が絶えなかった。
    かつての同僚の椰子との付き合いにだけ、心が癒される賢治だった。
    椰子は広島での被ばくが元で白血病になる。
    日々衰えていく椰子を、裁判が忙しく見舞いにも行けない賢治は、ますます苦悩の日々が濃くなっていく。
    椰子が重体の知らせを聞いた賢治は、すぐにでも駆け付けたかったが、裁判中に、それは許されなかった。上司になんとか許しを得て、極秘に広島に向かったが、間に合わなかった。
    死ぬ直前まで、「ケーン、ケーン」と言っていたと椰子の妹の広子から聞き、その遺体を見て賢治は慟哭した。
    傷心の賢治は東京に戻った。
    やがて、判決の時が来た。
    戦争犯罪人となり、7人が絞首刑の判決を受けた。その中の一人は文官であり、どう見ても死刑の判決はおかしいと賢治は思ったが、モニターである賢治は判決に一切の口出しはできなかった。
    裁判中に審議された、アメリカの原爆投下についても文書からは削除され、何も問題にされなかった。
    日々疲れていく賢治は自分のしていることは何なのかと煩悶の日々は続く。
    そんな中、賢治にCICからアメリカについての忠誠の嫌疑がかかり、査問される。
    自分はアメリカに懸命につくしているのに、どこまで行っても人種差別され、嫌気がさして軍隊を辞めてしまった。
    一方、かつて椰子の夫であった、チャーリー宮原は、軍隊を辞め、華族と結婚し、結婚式が済むとアメリカへ行ってしまった。
    賢治の弟、忠は生前の椰子の言葉によって、賢治とのわだかまりが解消していった。
    忠は日本に残った。
    裁判が終わり、妻のエミーと二人の子供は先にアメリカへ帰した。
    チャーリーの結婚式を中座した賢治は宿舎へ戻り、軍隊の制服とピストルを返却する用意をした。
    弟の忠から連絡があり向かったはずが、どういう訳か、誰もいない裁判所に着いてしまった。
    裁判では、「被告を絞首刑に処す」と言わされた。
    賢治は虚無感に襲われ、ピストル自殺をする。
    死ぬ瞬間の賢治の脳裏には、星条旗と日章旗がはためいて、砂漠の砂塵が濛々と容赦なく吹き付け、果てしなく続く鉄条網が焼き付いた。

    悲しい結末で終わってしまった。
    この物語はフィクションであるが、巻末にある作者が取材した協力者の氏名と膨大な参考文献から、史実を忠実に再現した物語だ。
    この物語を読んで、戦中戦後の日系人の苦悩が初めて分かった。
    テレビでもNHKの特集番組か、なにかで東京裁判の様子を流していたが、そんなものかと興味が無かった。
    戦犯として、極悪人に仕立てあげられた東条を含む死刑囚7人は普通の良識人であったようだ。
    本物語で、その様子が理解できた。
    偉大な作家のご冥福をお祈りします。

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    2024年01月04日