山崎豊子のレビュー一覧

  • 白い巨塔(五)

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    ネタバレ

    白い巨塔1ー5巻を読んで。
    最後のシーンは泣けた。無念すぎて泣けた。もしかしたら、財前は患者を疎かにした、その報いを受けた。みたいな感じで捉える捉え方もあるかもしれないけど、正直それでも日本の医学会が失った人材の大きさ、これから財前が成し遂げられたはずのこと、財前の親のことを考えると無念で仕方がなかった。
    やり方に問題はあっても、財前の実力を認める人はたくさんいたし、結局人の死はどんな形であれ悲しい
    いろいろと感情がごっちゃになって泣いてしまったけれど、どうして泣いたのか要素分解できてないからまた反芻しようと思う作品だった。

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    2020年08月27日
  • 沈まぬ太陽(三) -御巣鷹山篇-

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    これまでの物語からは一転して、日本航空123便墜落事故をめぐる話題となる。『沈まぬ太陽』全体で考えた場合には起承転結の承に当たる。この巻に至るまでのアフリカ編上・下を読んでいなくても理解できる構成となっているため、123便墜落事故について当時の様子を知りたい場合にこの巻だけ単体で読むのもあり。

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    2020年08月02日
  • 不毛地帯 第五巻

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    再読完了。

    舞台が総合商社であるだけに、スケールの大きさを感じる。サルベスタン鉱区で油を掘り当てた時の描写は感動的である。

    物語上、どうしても主人公の壹岐の周囲にいる人物は、いわば“敵役”である。しかし、それぞれの人物の視点で見ていくと、彼らもまた正義のために戦っているのである。鮫島氏は言うに及ばず、里井副社長は、社長の椅子を狙い自分を脅かす壹岐を追い落とそうと画策したものの(結局それが自身の首を絞めることとなってしまったのだが)、それは会社を盛り上げるためであり、壹岐とはベクトルが違うに過ぎない。

    スケールの中にも人間というものを見事に表現した傑作だと思う。

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    2020年07月12日
  • 不毛地帯 第二巻

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    舞台が商社であるだけに、日本国内に留まらず世界レベルで話が展開される。それゆえスケールの大きさを感じる。特に、第三次中東戦争を巡る商社同士の戦いは展開もスピーディで面白い。

    東京商事の鮫島は、主人公の壹岐の視点で見れば悪役だが、鮫島の方から見れば壹岐はこれまで長年苦労して築き上げてきたものを一気に掻っ攫いかねない存在で、だからこそ壹岐をライバル視し必死で戦っているのである。

    そういう意味では、鮫島もまた正義なのだ。

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    2020年06月11日
  • 沈まぬ太陽(三) -御巣鷹山篇-

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    当時のことは知りませんが、緊迫感と悲しさが伝わってきました。
    当事者意識がないお偉方が蔓延るのは仕方ないんですかね。そういう人しか偉くなれないのかな。なーんて

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    2020年05月10日
  • 華麗なる一族(中)

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    200505.上巻に引き続き。
    案の定苦境に立たされる鉄平。苦境への道筋がうまい。
    多方面に気を配っているつもりでも、さらに大きなコングロマリットや、事故といった災害など、力及ばない角度から突いてくる。
    大介側も、いろいろと苦慮しつつも状況を踏まえた上での一手を打ってきた感じが、ちゃんと物語をして積んできているなーという感じ。
    次が最終。どんなどんでん返しの結末になるのか楽しみ。

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    2020年05月06日
  • 白い巨塔(四)

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    一審の判決後から学術会議選の序盤、控訴審の始まりまで。

    一件すると一審に勝った財前はいまだ絶頂期にあるようだが、徐々に綻びが出てきているさまが描かれている。

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    2020年05月05日
  • 白い巨塔(三)

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    話のメインは一審。

    権謀術数を巡らせる時の財前は冷酷非情そのものだが、時おり出てくる母親への想いには、冷酷とは対極の人間味を感じさせる。

    そのギャップが面白い。

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    2020年05月03日
  • 華麗なる一族(上)

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    200501.面白い。文書がうまい。引き込まれる。
    ボリュームはかなりあるが、読まされる内容。
    描写に言葉遣いに、多種多様な格式に対してもよくここまで表現できるなーと。
    登場人物は多いが、一族の名前が分かりやすいのも良い。鉄平に銀平、女性の扱いは軽いのか、一二三。このまま王道路線で行くなら、銀平の嫁なり、美馬なりからのスキャンダル漏れから、大介銀行は三雲さんに取り込まれの、鉄平は二転三転苦行を超えながらの成功。祖父と母の関係発覚からの葛藤なんたら。二子は幸せ結婚。銀平は円満離婚か円満エンド。
    どうまとめるのか、どんでん返しはあるのか?

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    2020年05月02日
  • 白い巨塔(二)

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    おそらくこの第二巻が、財前の絶頂期だろう。

    教授選の勝利、国際外科学会への招聘、一方でこれから財前に降りかかることも匂わせている。

    それにしても、山崎豊子は人間模様の描写が絶妙だと思う。

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    2020年04月29日
  • 約束の海

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    絶筆だから読みたいと思いつつも、未完だからと躊躇する気持ちもあり、これまで横目で見ながら手に取らなかった作品。

    加齢によって体力は低下し、その反面自分の立ち位置と存在意義を確認したいという欲求にも駆られ、自分のやりたいこと、やるべきこと、そして出来ることの線引きがぼやけ、なんとも心許ない毎日を過ごしてきた中で、またこの本と対面した。

    爽やかで正義感が強く、いかにもヒーロー然としていながらも、迷いや弱さを抱えて時には間違うことも、誰かを傷つけることもある、著者が描く人物像に触れたくなり、とうとう頁をめくることにした。

    著者の構想の半分にも満たない作品からは、迷いの中でどう進んでいくかのヒン

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    2020年04月02日
  • 約束の海

    ネタバレ 購入済み

    物語が完結しなかったのが残念

    読み手を惹きつける話の展開で、最後まであっという間に読みました。第一部で絶筆になってしまったのが残念です。この後、主人公を含めた登場人物がどのように生きていくのか、とても気になるところでした。一方で、自衛隊の存在意義をあらためて考えてみる機会になりましたし、自衛隊について、国防について知らない事が実はたくさんあるということに気がつき、不安にもなりますが、自分の知らないところで、平和の維持のために頑張っている人がいるということを、時々感じることも必要だということを感じさせる本でした。

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    2020年03月26日
  • 大地の子(一)

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    山崎豊子大先生、巨匠
    まず「大地の子」に取り憑かれ
    大ファンです。
    白い巨塔、次から次に大作を
    社会悪を暴き、問題を投げかけ
    それぞれの作品が
    取材、構成
    気が遠くなるくらいかかってたどりつくのだろう。
    読む側も姿勢を正して
    読まなくてはとおもう。

    大地の子のレビューなぞ、力量ない自分には書けない。
    泣いて、泣いてー
    考えた。

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    2020年03月14日
  • 女系家族(上)

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    (上下巻合わせてのレビューです。)

    久しぶりの山崎豊子。やっぱりテッパンです。

    姉妹3人の遺産相続にからみ、その周囲も巻き込んだドロドロ劇に
    読み手である自分もあっという間に飲み込まれていきます。
    山崎豊子のやり口が分かっているだけに、何となく先の展開が読めてしまいますが、
    それでも面白い小説であることには変わりありません。
    眠い目をこすって、あっという間に読んでしまいました。

    残念なのは、著者がもう亡くなってしまっていて、
    こんなにも素晴らしい小説にも作品数が限られているということ。
    もっともっとたくさんの小説を生み出して欲しかった。。
    全ての作品を読み切るのがあまりにもったいないので

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    2020年03月05日
  • 約束の海

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    山崎豊子さん、最後の未完作品。
    二つの点で興味惹かれる小説である。

    * 高齢と病身である山崎さんの渾身の力はいかなるものなのか
    * 作者テーマである「戦争と平和」を描くとしても、自衛隊から掘り起こすとは

    上記は当時(2013年)文芸関係で話題になった。

    氏の秘書野上孝子さんも解説で
    「まさか先生、自衛隊を書くのではないでしょうねと、飛び上がった」
    と書いていらっしゃる。
    「先生には『不毛地帯』『二つの祖国』『大地の子』という戦争三部作がある。
    その作者がどういう視点で自衛隊を書くのだろう。」

    山崎氏全作品読破のわたし、文庫になるのを満を持ししていたので、さっそく。

    さすがで

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    2020年02月14日
  • 沈まぬ太陽(五) -会長室篇・下-

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    ・信念を持って仕事をすることのかっこよさと難しさ
    ・相手の欲しているものを常に考えながら行動することの大切さ
    ・(本当であるなら)権力とお金の結びつきの強さと人間の恐ろしさ
    を感じた。


    ・常に課題と問題意識を持って仕事をする
    ・人によってお辞儀の角度を変えない

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    2020年01月29日
  • 不毛地帯 第五巻

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    壱岐副社長の男っぷりに泣かされるサラリーマンは多いのでは。大企業から中小零細まで老害はびこる企業が多い日本社会。サラリーマンのカタルシス小説です。

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    2020年01月26日
  • 白い巨塔(一)

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    偉い人は出世どころか退職するのも大変なんだな。(じゃ偉くならなくていいや)

    山崎豊子さんによる、大学の医学部の生々しい出世争いを描いたドクター小説の金字塔です(白い巨塔だけに)。

    TVドラマなんかでは若手外科助教授の財前先生が主役を張りますが、小説版である本書で一番存在感があるのはその上司たる東教授です。
    名門国立大学の第一外科部長である東先生、誰もが羨む出世コースの頂点のはずなのに、なんだか不遇感が半端ない。
    部下の財前教授がメディアでも話題になるなど人気急上昇中。
    自らの定年退職と同時に乗っ取られることを阻止せんと、別の後継者候補を立てようとするも、前途多難。
    おまけに教授夫人からは尻

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    2020年01月25日
  • 運命の人(四)

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    時だけが許容するものがある。
    時が過ぎても許容できないものもある。
    それを伝える人がいる。

    (以下抜粋)
    ○娘が「アメリカーがやってくるよ、早く殺して」と何度も言い募る、お母はその通りにしてやったよ、ザーッと血しぶきの雨だった、ガマ一面に飛び散った血は、おしくら饅頭のようになっていた人の上に降り注いで‥‥(P.52)
    ○リサーチしたい文書にすぐ辿り着けるとは限らない。何度も文書の請求を繰り返し、勘を養うことが大切だった。

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    2020年01月01日
  • 白い巨塔(一)

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    派閥を経験したことがないので、内部に対してこれだけの力量を使う事が無駄に感じてしまうのが、率直な感想です。その分外部に使えば、どれだけ世の中に貢献できるのかと考えられるのは、今が恵まれた環境で働いているからかもしれませんが。
    しかし、こういったドロドロ感満載のテーマを緻密な取材をされた上で筆を取られているのか、まったくもって飽きません。

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    2019年11月26日