山崎豊子のレビュー一覧
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山崎豊子さんの最後の小説。
執筆途中で亡くなってしまったので、物語は終わっていないが、それでも読む価値ある1冊。
山崎豊子さんは人間の心象描写がすごくわかりやすく、自分もその場にいるような感覚になります。
この小説は戦艦乗り、海上自衛隊が舞台。
日本で自衛隊というと陸上の方が目立っているが、地政学的にシーパワーである日本において海上自衛隊の重要さを改めて実感。
戦争と正義がテーマになっているが、その正義は何か、手探りで自分の正義とは何か向き合いながら生きていく主人公。
自身の正義も何か非常に考えさせられる。
山崎さんの作品は今後も読み続けたいと思いつつ、最後まで読んでみたかったと、、今でも思います。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ背帯の文言
「この国を覆う、おそるべき良心の不在。恩地元最後の闘い」
今回も読んでいて、腹がたった。
国民航空、関連会社「国航開発」の政・官・財界との癒着、私腹を肥やす利権等、魑魅魍魎が蔓延するデタラメぶりがあまりにひどい。
この物語が単なるフィクションであるなら、腹も立たないだろうが、登場人物の氏名は実在の人物の名前をもじったもので、実在する人物だからだ。
ここで登場する自由党の竹丸副総理など、政界のドンとして君臨し、汚職事件で逮捕されたあの人だ。
現在も政治家の金権体質は、あいも変わらず変わらない。
本書で、架空の人物である、常務にまで成った行天四郎の行動がひどい。
客室乗務員と社内不倫をするわ、運輸省航空局の官僚に、その愛人とのマンションを提供するわ、そのなりふり構わない行動は人間としてどうかとおもう。
『行天四郎』は国民航空に於いて、利権に群がる魑魅魍魎を具現化した人物なのだろう。
本巻では、地検から呼び出しを喰らう所で終わっている。
国航開発の社長である岩合は、「岩合天皇」と呼ばれていた。その放漫経営により、私腹を肥やしていたが、ついに解任された。ここだけはスッとした。
最後に会長の国見は解任。
恩地は再び、ナイロビ支店長赴任を命ぜられ、本意ではないが、ナイロビへと向かう、残念な結果となっている。
最後に作者の『あとがき』で、山崎豊子が述べている。
「今回は非常に勇気と忍耐のいる仕事であったが、その許されざる不条理に立ち向かい、それを書き遺すことは、現在を生きる作家の使命だと思った」
偉大な作家の、この『あとがき』は重い。 -
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渡辺謙主演の映画、沈まぬ太陽を観て感動したため原作を読んでみた。
山崎豊子さんは十年に1作書かれるということで
すごく時間をかけられたのが、よくわかります。
印象に残ったこと葉
ニューヨークの動物園の鏡の間の鉄格子に埋め込まれた鏡があり、人間の上半身が映る仕掛けになっていて、その鏡の上には
世界で最も危険な動物
と記されていた。
そしてもう一つは最後に
何一つ遮るもののないサバンナの地平線へ黄金の矢を放つアフリカの大きな夕陽は荘厳な光にみちている。
それは不毛な日々にあった人間の心を慈しみ、明日を約束する、沈まぬ太陽であった。
なお、この小説に出てくる行天は白い巨塔の財前五郎の弟分として四郎としたそうです。 -
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ネタバレ本の背帯の文言
もう一度闘う決意をした恩地。企業を蝕む「闇の構図」を暴くことはできるのか
利根川総理のたっての願いで、新会長に関西紡績の国見正之会長が国民航空の会長を兼務することになった。
恩地は国見会長に説得され、会長室の部長に抜擢される。
新生国民航空の会長である国見が以下の新役人事を発表した。
社長に、前の運輸事務次官で顧問の海野昇、副社長に、もと常務の三成道夫を指名した。
はじめは国見の意見に同調していた社長、副社長も、やがて、厳格な国見から離れていく。
今回も読んでいて非常に、むかむか来た。
国民航空の関連会社である国航開発のワンマン社長の岩合宗助は、ゴルフ、夜のクラブ遊びに飽き、クルーザーを購入し、会社の接待や自分に必要な「客」だけを乗せ、オーナー気分を楽しんでいた。
国民航空本社の秋月専務、甘粕秘書部長、新生労組が出資している旅行会社の専務の轟などをクルーザーに載せ、そこで密談をしていた。
新生労組の幹部は、組合員が毎月払う会費(一ヶ月五千円、年間七億二千万)を使い、高級ホテルのスイートルームで酒を飲みながら定例会を行う。
甘粕は国民航空の優待券・割引券を轟に横流しする。
轟は裏地にドラゴンの地紋が入った派手なスーツを着、ブランド靴を履いている。新生労働組合の副委員長だった轟は、組合員時代に潤沢な組合費を使い高級レストランやバーで飲み食いし、女遊びをした。
国民航空から吸った甘い汁で永田町の政治家に献金する、これら悪徳幹部達。
魑魅魍魎が跋扈する国民航空の描写を読んでいると、こんな嘘のような事実が、現実にあったのだろうと思うと、むかむか来た。
最後は御巣鷹山事故の一周忌の描写で終わるが、一周忌に参加した遺族の慟哭の様子を読んでいて涙が出るおもいだ。
以下、恩地の決意で終わる。
「今なお、航空会社の使命を忘れ、贖罪の意識の欠片もない社内の魑魅魍魎の輩を、はびこらせてはならない。
会長室に対する反駁は、さらに強まるだろうが、屈してはならないと、恩地は心に誓った」
次巻「会長室篇・下」も楽しみだ。 -
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ネタバレ恩地が去ってからの本社には、会社の御用組合である第二労働組合ができる。
第二労働組合は第一労働組合から人員を引き抜いた為、第一組合へ残る組合員はわずかな人員となった。
恩地が後を託した第一組合の委員長の沢泉からの郵便メールで、現在の第一組合の実情を知らされる。
かつての労働組合の幹部は劣悪な環境の売却資材倉庫や資料管理室へ追いやられた。第二組合に移籍しない、第一組合員は、第二組合の人間の監視のもと、支店に日がな一日椅子に座らせられて、無為に過ごすことを強制されていた。
話を聞かされた恩地は憤り、本社への不当人事に対抗する憤りを募らせた。
パキスタンからイラン、そしてケニアへと、僻地をたらい回しにされた恩地は次第に心が荒んでいく。
恩地は週末のみのサラリーハンターとして、アフリカの地で、獣を狩る日々に、なんとか心のバランスを保っていた。
そんななか、沢泉からの連絡で、僅か五ヶ月の間に三度もの事故を起こす国民航空の現状を知らされる。
128人の乗客の命を失う連続事故を起こしたにもかかわらず、本社の運行管理者は横滑りの人事交代のみで、その無責任体制は続いていた。
事故をきっかけに国会で、衆議院交通安全対策委員会が開かれた。
これにより、国民航空の労働規約違反が白日のもとにさらされ、恩地はようやく日本への帰還ができることと成った。
恩地を、しぶしぶ日本へ戻すことに同意した労務部長の八馬忠次、副社長の堂本信介は、帰ってくる恩地に対する処遇を巡らした。
日本へ帰れることに成った恩地の荒んだ心は晴れ、家族のもとへ帰れるという希望を持った。
沢泉委員長が国会で、不当人事の状況を説明し、恩地への報復人事を証言する場面は、読んでいて心がスッとした。
三度もの連続航空機事故を起こしながら、変わらない本社役員の体質に憤りを感じつつ、あの稀に見る、御巣鷹山への航空機墜落事故の大惨事へと繋がっていく。
次巻へとつづく。 -
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ネタバレようやく再会した妹だったが、重い病に臥せっており間もなく亡くなってしまう。
そして、妹臨終の場で実の父と再会する主人公。
お互いに、仕事の立場の違いからすぐに打ち解けることはできない。
出張で日本に行った際、主人公は父の自宅を訪れ、母や妹達の仏壇に手を合わせることで父と打ち解けることができた。
しかし、このことが原因でライバルに足を引っ張られ、主人公は左遷されてしまう。
1年あまりを経て主人公の冤罪は晴れるが、その窮地を救ったのが元カノというのが意外だった。
悲願であった日中共同の製鉄所もようやく稼働することができ、終始仲の悪かった日中間も和解する。
そして、物語の終盤、主人公と日本の父は2人で中国大陸の旅に出る。
日本に戻ってきてほしいと訴える父に主人公は「私は大地の子だから」と応える。
広大な中国大陸、大地の子。この物語の題名の意味を知り、とても感動した。
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年始の羽田空港での事故をきっかけに読んでみようと思った作品。御巣鷹山の123便墜落事故が起こったことは知っていましたが、詳細は知りませんでした。
123便がレーダーから消え、墜落、炎上するところから、事故地点の確認、ボイスレコーダーやフライトレコーダーの捜索、機体の残骸の回収、原因究明。一方で、生存者の有無や救出、遺体の検視、遺体確認、遺族の方のお世話、お通夜や葬儀の手配、補償まで細かく描かれいます。
直接的な原因は整備不良ですが、その背景にある企業体質も大きな問題だと感じました(責任を感じていないようなJALの態度に苛々)
520名の命を一瞬にして奪うだけではなく、遺族の人生も狂わせる。病気になったり自殺したり会社が倒産したり、想像できない辛さを思うと心が痛いです。
もう生きかえることはない520名の命を無駄にしないためにもこのような最悪な事故を起こさないこと。JALだけでなく全ての航空会社が安全を守り続けることが、償いになるのだと感じました。 -
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『不毛地帯』第5巻。
近畿商事・副社長となった壱岐正。
商社マン最後の仕事として、イランでの油田採掘に奔走する。
先手を打つも、政界、競合からの巻き返しにより、独立系石油メーカー・オリオンオイルとの共同で入札に挑むことに…
なんとか、採掘権を得たものの、第4井まで石油の出る兆しはなく、窮地に…
一方、社長・大門は綿花相場で莫大な焦付きを抱えていた…
壱岐の見事な商社マンとしての生き様だった。
異例の昇進に対する周りからの嫉妬にも臆せずに自分を貫き通した、壱岐の強さ。
『国家のために』を判断基準とし、最初は大本営参謀として、第2の人生では、近畿商事の企業参謀として、常に戦いの中に身を晒してきた。
自らの人生も、家族との生活も犠牲にして…
最後まで、壱岐の心の内は誰もわからなかったのではないだろうか…
口下手なところも災いして…
大門に社長辞任を迫り、自らも副社長を辞任、近畿商事を退職。見事な自らの身の処し方であった。
第3の人生で、ようやく安らぎの時を迎えられるのか…
千里との人生が始まるのだろうか…
長かった…が、面白かった。
山崎豊子作品でNo.1だった。
まだ『華麗なる一族』は読んでいないが…