山崎豊子のレビュー一覧
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舞台が中東になって、話がどんどんデカくなり、かつ、これまで以上に利権も複雑で厄介になり、信念やモラルに野心と政治とお金と個人的感情とがグデグデに絡み合っている中をなんとかして出し抜こうとするお話。まあ言ってみればオスの縄張り争いの延長なんだけど、とにかくタイヘン。各方面の意見調整の様子は、渋いタヌキじじい的工作とアクロバティックな離れ業とのミックスで、しびれます。
こんな仕事してたら、ワークライフバランスとか、男女平等とか子育てがどーとか絶対言ってられないね~。ハハ。(←完全に他人事)
商社の人たちって、1泊3日でヨーロッパ出張とか行って、朝日本に戻ってきてその足で出社とかのハードスケジュールも全くないわけじゃないとか聞くけど、そもそも体力の劣る女子にはハードル高い仕事ですね。
エネルギーがどんなに大事か、そして日本にとってその確保がどんなに大変か、ということを読んでいてひしひしと感じて、胸が苦しくなった。
そういうことを普段まったく考えずに当たり前に電気やガスを使って暮らしている人が(私もそうだけど)多すぎるだけに、無理解が招く問題も多そう。さらにお金が招く嫌な人間関係もとっても多そう。
大変な仕事です。
前巻で、朔風会元ソ連抑留者の会で献身的に働く谷川大佐が「今のように物資は豊かでも、精神的な不毛の中に生きる方が、生き辛いと話し合っていたんだ」と言うシーンがあったが、「不毛地帯」というタイトル、実に含みがあって、商社マンの生きざまを描いたこの小説には非常にふさわしいと思う。
読む前は、単純に砂漠の中の油田のことを指しているのかと思っていたけど。
いやしかし、よくこんな話書けるなあ。戦闘機から自動車産業の再編からオイルマネーまで、それぞれに別々に膨大な取材が必要じゃないかと思う。彼らのおかれた状況や背景のいちいちが私にとっては未知のことだらけで、非常に興味深いです。
あ、そうそう、前巻でとかく目障りだった陶芸家の女だが、やっと手に入れた壹岐という男は、はっきり言って付き合って楽しい男では全然ないということが分かってきて、しかも日陰の女扱いをされるのが不満で(当たり前だ)、なにかとイラついていて、ちょっと意外な展開で笑ってしまった。
かわいそうと言えばかわいそうだけど、勝手に横恋慕しておきながら、奥さんとニアミスした時にものすごく嫌な態度をとっていた器の小さい女なので、まあしばらくは苦しめばよかろう!笑
どうでもいいが、「おしゃれ」の代名詞的に出てくる「パンタロン」が完全に死語で、パンツの一種なのはなんとなく分かるが、正確にはどういう服なのか知らなくて調べてしまった。ベルボトムのことだったとは・・・・ -
Posted by ブクログ
個人的な必要に迫られて読んでいるので、いまひとつノレないのだけど、1巻よりはおもしろかった。
2巻はロッキード事件をベースにした話なのかと思っていたけど、読み終わってから確認してみたら、ロッキード事件とつながっている別の事件、ダグラス・グラマン事件なるものが元ネタと知った。
こんな複雑な話をよく小説にできるなぁ、と超人を見るような気持ちで読んだ。すごい筆力。
国や、国の歴史を作っていくのは政治家だけじゃなく、商社もけっこうな役割を果たすんだな、などと子供の感想のようなことを思う。
ちなみに、小学校の頃、何かで聞きかじり、母に「ろっきーどじけん、って何?」と聞いたら「ピーナッツをな、一粒1万円くらいで政治家に売るねん」みたいなことを言っていて、「えっ、そんなん誰も買わへんやろ? なんでそれが事件なん?」と重ねて聞いたが、母はうわごとのようにピーナッツが、ピーナッツが、と繰り返すばかりで、結局私には何のことか分からないままとなった。おかげでロッキード事件と言われるとピーナッツ、と反射的に思い浮かびます。いまだにどんな事件かよく知らないけど。
しかし、今なら分かることが一つあります。
母よ、あなたもロッキード事件がどういう事件か、よく分かっていなかったのですね。
なぜ分からないなら分からないと正直に言わないのですか・・・。
ちなみに、同じく小学生の頃、トーベ・ヤンソンの『楽しいムーミン一家』を読んでいて、誰かの入れ歯だか何だかが、飛行鬼(ひこうおに)の帽子の中で何か恐ろしいものに変化したのだが、それが何だったかは明記されておらず、「何に変わったかはあなたのお母さんに聞いてください。きっと知っていますよ」と書いてあったので、そのまま素直に母に質問したら、
「そんなもん、知るわけないわ!!!」
とめっちゃくちゃキレられました。
そのあたりから、母に何か質問するのをやめた気がする。
閑話休題。
さて、政府による大型海外発注案件に群がる総合商社と、政治権力闘争のために資金集めに奔走する政治家との癒着、男の世界だなぁ、としみじみ思う。
・・・というと、女性の能力を軽視しすぎる発想かなぁ。
でも、私にはそんな世界を泳ぎ渡るのはとても無理と思ってしまった。
壹岐が妻に何も言わない気持ち、ちょっと理解できる、などとも思う。妻側の立場からすると、もっと信頼してほしいって感じなんだけれど。
後半、「戦後」という時代が終わって、私的にはここから本番、という感じで気分がちょっと盛り上がってきた。次号、さらに期待です。 -
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山崎豊子文学忌 1942.1.2〜2013.9.29 豊子忌
直木賞受賞作
大阪商人の気迫と根性で大阪一の興行師となった女性の一代記。
主人公の多加は、吉本興行の創業者・吉本せい。
愛人の上で死んだ夫の借金を背負うマイナスからのスタート。そこから、創意と工夫と根回し。そして、気配り、心付け。使うところには、惜しまず使い、興行でしっかり稼ぐ。
次々と繰り出される興行は、安来節の芸能化、真打落語家への采配、漫才への変革と、大阪の芸能の歴史の一端を担っていた様。
東京空襲の後、大阪から人を雇い毛布や食料を運び、落語家への見舞いに回るなど、思いたったら、行動しないと気がすまない。
最後は戦争により、多くのものを奪われたけれど、やり切った人と読みました。
素晴らしい女性だけれど、読んでて息苦しくなる程の仕事への情熱。ろくでなしの夫を白装束で送る意味はあったのか。ロマンスになりかけた男性に未練はなかったのか。一人息子とも気持ちは離れたまま。
痛快で、清々しくて、少し物悲しいさが残る女傑物語。 -
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極めて個人的な理由があって、今更ですが読むことに。実は初山崎豊子。
まず、1巻はシベリア抑留の話、という背表紙の解説を読んで、いきなり読む気をそがれてのスタート。
というのも、シベリア抑留から帰還、と聞いただけで、過酷な環境で理不尽に耐え続ける重苦しい話だと想像できてしまうから。できればこの巻は飛ばしたい気分なんだけどな、などと思いつつ読み始めた。単純に、辛い話に対する耐性が年を取るにつれどんどん弱くなっているからなんだけど。
右翼っぽいナレーションにややゲンナリ。
この時代の話を日本人が描くと、どうしてこうなっちゃうのかしらん。
将校クラスが捕虜となった時の待遇が一兵卒より優遇されて当然、的な考え方は、別に山崎豊子さん個人の考えではなく、国際法的にも常識的にもそうなのかもしれないけど、個人的にはなんだか納得いかない。
一歩兵だろうと高官だろうと人権は同等じゃないの~?と叫びたい。
終盤で、やっとシベリア抑留の話が終わってホッ。
ここからが読みたかった部分なので。
後半の相場の話はちんぷんかんぷんだったけど、でも意味もなく虐待される話はもう十分だったので、そこから私のテンションはやや上向きになった。
ソ連が終戦直前で日本との条約をアッサリ破って参戦したのは、ほんと、なんつーか、いつ聞いても、国として、国際社会では必要な「ずるさ」かもね~などと思ってしまいまふ。
平和な時代の一個人としては必要ない能力ですけどね。
ということで、今のところ読む前に想像したとおりの流れで特におもしろくないです。今後に期待。
壱岐氏が近畿商事に雇われた理由はおもしろいと思う。
実に商社っぽいとも思う。 -
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浪速大学医学部第1外科教授・財前を医療ミスで訴えた裁判は、被告側の勝訴に終わった。
医師として、財前に不利となる証言をした里見は浪速大学を追われることとなる。
原告側は控訴することを決める。
同時に、学術会議選挙に出馬することとなった財前。
裁判で再度勝ち、選挙にも勝てるのか…
そこまでしなくても…
里見の医師として、正義を貫く姿勢には頭が下がるが…
すべての患者にそこまでできるのか⁇と思ってしまう…
自分はいいとして、自分の家族のことは考えないのだろうか…三知代や好彦のことを。
佐枝子もなぜそこまでするのか…
確かに財前の診療には問題があったかもしれない。
財前だけの誤診とはいいきれないだろう。
里見にもやれることはあったはずだ。
亡くなった佐々木庸平の遺族のやりきれない気持ちもわからなくないでもない。
ただ、佐々木商店が倒産しかかっていることは別問題だろう。
感情論に訴えるのには、何か違和感が残る…
財前が窮地に追い込まれていく…
加奈子は何者なのか…
柳原も証言を覆すのか…
4巻以降は、すこしくどさを感じる…
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ネタバレ主人公が異例の出世を果たし、役員として活躍し始める。しかし、その待遇を良しと思わない副社長と何かとぶつかり合う。
そして、内助の功として献身的に主人公を支えてきてくれた妻が不慮の事故で亡くなる。しかも、主人公と喧嘩をしたあと、主人公の目の前で。
悲しみに暮れる主人公に対して社長は、心機一転も兼ねて、アメリカ支社長になる辞令を出す。
アメリカに渡ってからは、日本の自動車メーカー(いすゞがモデル)と外資自動車の資本提携に向けて奔走するが、またもや副社長と方針の違いでぶつかり合う。
そして、ずっと秘めてきた、かつての上司の娘と結ばれる。
それにしても、この時代は当たり前だったのかもしれないが、副社長の命より仕事を大切にする姿勢は見ていてイライラさせられる。
自分は無理をして仕事をしているつもりかもしれないが、振り回される周りはたまったものではない。
自己管理も仕事のうちというが、病を伏せて無理を重ねるのは非常に迷惑である。
それほどまでに社長の座が欲しいのか。
何のため、誰のための仕事なのか。
本筋とは関係ないが、こんな時代に生まれなくて本当に良かったと改めて感じた。