山崎豊子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
残念な結末ですね、後味が悪いです。主人公、式子を取り巻く銀四郎と白石先生の組み合わせで不幸が完成しています。
特に白石先生の学問優先、恋愛に対して潔癖過ぎ、それ故他を突き放す姿勢が際立ちます。その姿勢で一度目の過ち、元妻の自殺から学習せず二人目の犠牲者を出すことに。
二人の男とも、自らの欲を最優先させることで周りの人たちが不幸になる構図です。
倫子も同様に自分の欲を優先してしまうが、まだ躊躇いがあり、終始一貫している男二人とは違いますね。
女の勲章という表題とは裏腹に男の我儘に翻弄される女達という印象の物語です。結末を知りたいという思いだけで最後まで読みました。 -
Posted by ブクログ
ネタバレつらい。この救いのなさ、後味の悪さ。
船場の嬢はん出身の主人公大庭式子は、洋裁学校を立ち上げ、デザイナーとして脚光を浴びていく。式子を中心に、打算と野心にまみれた敏腕マネージャー銀四郎、優秀で抜け目ない3人の助手、そして式子の精神的支えになっていく白石教授によって複雑に人間関係が絡まっていく。
式子が銀四郎のお膳立ての上、意のままに操られていけばいくほどに式子の不安定さが増し、読者は目を離せなくなる。自分=商品である芸能の世界の人たちなどにとって、自分のコントロールできない渦ができていく様子は他人事とは思えないのでは。
倫子、かつ美の富と名声を求める野心、虚栄心も浅ましく、唯一銀四郎 -
Posted by ブクログ
ネタバレ沖縄返還のさいにアメリカと結ばれた密約の内容とは、1971年当時、ベトナム戦争で火の車だったアメリカに対して本来アメリカが負担するべき沖縄の原状回復費用6億8500ドルを日本が肩代わりするというもの。これがいわゆる今もアメリカに支払われ続けている「おもいやり予算」のはじまりだとされる。この、まったく対等ではないとおもわれる密約を敏腕新聞記者、弓成亮太が外務省の女性事務官、三木昭子から入手する。ニュースソースを守るためそれをはっきりと記事にできない彼は、正義感から野党議員に機密文書を渡して国会で追及させようとするのだけれど、そこから逆にニュースソースが割れてしまい、弓成記者と三木昭子は逮捕される