重松清のレビュー一覧
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シュンのガンが段々と体を蝕んでいく。
幼馴染み4人、そして4人に引き寄せられた、『ゆるされたい人』『ゆるしたい人』たち…
息子の哲生に自分がガンであることを打ち明ける場面
シュンの誕生日プレゼントを皆が渡す場面では、涙がじわっと出てきた。
『ひるまは星はみえない
でもあさもひるも雨の日もそこに星はある
おとうさんも、会えないけどいるから。
あかあさんとてつおのことをずっとみているから』
上巻は序章だったのだと思わされるほど濃い一冊だった。
幼馴染み、心の奥でずっと生き続けている思い出。
大人になると一番遠い関係になる、そのリアルな関係の描かれ方が心にぐさっと来た。
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Posted by ブクログ
16年前に書かれた本の単行本化。
なぜここまで寝かしていたのか、
時代の流れと共に話も賞味が過ぎてしまうかのよう。
ただ、そこは重松清。普遍的なテーマも勿論織り込まれている。
イノベーションルームという左遷部屋に追い出された主人公。
そこにいたのはかつてのエースと言われた同期、
自ら志願してそこにやってきた若手社員。
そして感情の全てを捨てたかのような上司。
一筋縄ではいかない人間が押し込まれた部屋で、
突如として送られてきた謎のメール。
登場人物たちをオズの魔法使いに例えるその内容。
触りからはワクワクさせる展開でしかないのだが、
もう一捻り欲しかったというのが正直な感想か。
それでも、 -
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重松清『希望の地図2018』幻冬舎文庫。
平成は自然災害の時代だった。1991年に雲仙・普賢岳で発生した火砕流による大被害、1993年の北海道南西沖地震で奥尻島を襲った大津波、1995年の阪神・淡路大震災、2004年の新潟県中越地震、2011年の東日本大震災、2014年の御嶽山噴火、2016年の熊本地震、2018年の西日本豪雨被害。全国の被災地を巡り、被災地の素顔を伝えるルポルタージュ。
少しずつ復興を遂げる被災地であるが、まだまだ道半ばであり、福島第一原発事故の被災地に至っては故郷を諦めて捨てざるを得ない。そんな中で、東京オリンピックなどと浮かれる政府の考えが全く解らない。何が『お・も・ -
購入済み
シビアで暗いが引き込まれる・・
暗く重くて深く。真面目に会社勤めをして、妻と他愛ない会話を交わし、汗だくで帰宅した息子と風呂に入る。平凡な日常だが愛しい日々。40歳前にガンを発病し、余命幾ばくかを告げられた俊介の残された人生。遺される家族のこれから。忘却の果てに残していた『カシオペアの丘』の想い。振り切った過去が人生の終末で優しく甦る。残りわずかな未来だからこそ、さまざまな感情が愛まみえる。さすが重松ワールド。素晴らしい。
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出来はさほど良いとは思わないのですが。。。
一徹な老人、真っ直ぐで賢くて活発な少女、いじめられる少年、いじめる少年、高慢ちきだがどこか寂しげな少女、ちょっと頼りないお父さん、明るくパワフルなおばさん。老朽化が進み、高度成長期に溢れてた明るい未来など影もなくなったノスタルジックな団地。重松さんがお得意のパターンがずらりと並びます。ですから途中までは初読にもかかわらず既視感など感じながら読んでました。
最後でぶっ飛びましたね〜。満艦飾のフェスティバルみたいなハッピーエンド
最初から『流星ワゴン』的なファンタジー要素はあったのですが、それにしても少々矛盾があろうが無理筋だろうがとにかく突っ走る。重松 -
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定年後のおじさんの、定年仲間、奥さんや子供、とのたわいもない日常、時にはちょっとした事件、を描いた作品。
人の心の機微や弱さを丁寧に表現しているので、共感しきり、また、将来への教訓と受け止めることしきり、だった。
率直に言えば、盛り上がりのない話だったので、読む速度は上がらず、ちょっと読み進めるのは大変だった。
が、終わってみればオチらしいオチはなかったのだか、人生について何か深い問いをもらったような、フランス映画のような不思議な味わい深さを感じた作品だった。
仕事に熱中している若者というより、仕事の意味、生きがい、家族について考え始めたような、そんなおっさんが読むといいと思う。まさに私、
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