坂口安吾のレビュー一覧

  • 恋愛論(乙女の本棚)

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    2025/11/30
    p.24
     A君とB子が恋をした。二人は各々ねむられぬ。別れたあとでは死ぬほど苦しい。手紙を書く、泣きぬれる。そこまでは、二人の親もそのまた先祖も、孫も子孫も変わりがないから、文句はいらぬ。しかし、これほど恋しあう御両人も、二三年後には御多分にもれず、つかみあいの喧嘩もやるし、別の面影を胸に宿したりするのである。何かよい方法はないものかと考える。
     しかし、大概そこまでは考えない。そしてA君とB子は結婚する。はたして、例外なく倦怠し、仇心も起きてくる。そこで、どうすべきかと考える。
     その解答を私にだせといっても、無理だ。私は知らない。私自身が、私自身だけの解答を探しつづ

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    2025年11月30日
  • 桜の森の満開の下(乙女の本棚)

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    ネタバレ

    はじめは男が女に執着しているようでそのために女を甘やかしていたが時が経つにつれ女の方が男に依存しているようで面白かったです。

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    2025年11月26日
  • 肝臓先生

    購入済み

    恥ずかしがりながらも

    作者坂口安吾に限らず太宰治にも見られるように、皮肉っぽく斜めに構えた物言い 表現が洒落ている と思われていた時代である。にも関わらずこの作品は恥ずかしがりながらも、臨床医という職業に殉じた「肝臓先生」を手放しで褒め称えている。この作者の作品としては珍しく感涙ものであった。

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    2025年11月25日
  • 夜長姫と耳男(乙女の本棚)

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    2025/10/30
    p.23
     その雑念を抑えるために、タクミの心になりきろうとオレは思った。親方が教えてくれたタクミの心構えの用いどころはこの時だと思った。
     そこでオレはエナコを見つめた。大蛇が足にかみついてもこの目を放しはしないぞと我とわが胸に云いきかせながら。
     オレの目はエナコの顔から放れなかったが、一心不乱ではなかった。なぜなら、オレは驚愕と怒りを抑えた代りに、嘲りが宿ってしまったのを、いかんともすることができなかったから。
     その嘲りをエナコに向けるのは不当であると気がついていたが、オレの目をエナコに向けてそこから放すことができなければ、目に宿る嘲りもエナコの顔に向けるほかにど

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    2025年10月30日
  • タナトスの蒐集匣 -耽美幻想作品集-(新潮文庫nex)

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    豪華すぎやろがい。この一冊でいろんな文豪の文章に触れられて楽しかった〜!百年ぶりに読んだ谷崎潤一郎が良すぎて大興奮。そしてはじめて読んだ泉鏡花が激ムズすぎてひっくり返った。文章が独特でわけわからんくなりながら、描写がきれいなことだけは伝わってくるのが不思議でなおさらわけわからんくなっていたような。いや、でも、でも、やっぱり江戸川乱歩すきですァ〜!しかも「芋虫」って。何回読んでもウワァ…ってなる。たまらない。

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    2025年08月12日
  • 夜長姫と耳男(乙女の本棚)

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    大好きなんですよ、坂口安吾の「夜長姫と耳男」
    けれどもレビューは書いてない、と言うか書けなかったですね。
    もう「雰囲気があるんですよ」とか「世界観が」とか陳腐な言葉しか出てこない、何故好きなのかもよく分からないし。
    この作品に関しては、作者の意図とか教科書的な答え合わせなんかどうでも良いと考えていました。

    ところが「乙女の本棚」シリーズに収録されているらしい。ということで、夜汽車さんのイラストを眺めながら人生何度目かの再チャレンジ。

    うーん、ファム・ファタルですね。

    ファムファタルが何か分かっているのか?と問い詰められると、「だって夜長姫が好きなんじゃー」と開き直るしかなくなるのですが、

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    2025年07月13日
  • 堕落論

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    表題作の「堕落論」他、「続堕落論」と二つの間に挟まれていた「天皇小論」を読んだ。かなり好きな思想で、個人的には、「続堕落論」よりも「堕落」することについて妥協のない無印の「堕落論」の方が好き。

    全体の趣旨は結構単純で、基本的には、戦前の国家主義的なイデオロギー批判だと読んでいいのだと思って読んだ。人間の本質は、倫理的でないこと、堕落した生活や生き方をすることにあって、放っておく限り人は堕落する。だから、世界の歴史は、人間を堕落させないための「カラクリ」を生み出してきたのだという。それは、天皇制であったり、武士道であったり、形は違っているが、その本質は同じで、理想的な生き方、倫理観を示すことに

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    2025年07月11日
  • 堕落論 アニメカバー版

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    面白かった。この時代の文豪の語り口、好き。
    俗悪なようでひねくれているようで、素直。率直でいようとがんばってる感じも。
    日本人が、天皇を言い訳にして終戦を迎えたくだりはなるほどと。言い訳がなければただお上に従う国民性は健在かもなー。

    「舞台は僕が想像し、僕がつくれば、それでいい。」

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    2025年07月03日
  • 恋愛論(乙女の本棚)

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    「ほんとうのことというものは、ほんとうすぎるから、私はきらいだ」。渇いた心にすとんと落ちた一文だった。ひとは恋愛によってみたされることはない。「苦しみ、悲しみ、切なさによって、いささか、みたされる時はあるだろう」、この一文を読んだときに、心の柔らかい部分が布団でくるまれるような感じがした。想いが伝わるかなんて確証もない、自分の方が心変わりするかもしれない、それでも自分の一生を、今を精一杯生きたい。永遠などないと知ってなお、私は恋をする。愛する人に手紙を書く。猫がニャンと鳴くように。

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    2025年05月04日
  • 桜の森の満開の下(乙女の本棚)

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    有名なタイトルだけど、読んだことなかったから読んだ。タイトルの美しさと、それに負けない不気味さが良い作品だった。絵も上手く雰囲気が合っていた。
    文字だけで、桜吹雪の中に立っている気持ちになれる。
    顔は美しいかもしれないけど、首でままごと遊びする女はやばすぎるだろ。
    山育ちが都で感じる寂しさはわかるなあ。

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    2024年11月14日
  • 堕落論【語注付】

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    ネタバレ

    感想会での選択本。戦後直ぐに出版された本。敗戦によって180度思想が変わった日本。戦前は武士道を基本として、天皇陛下のために奉仕をしてきた。が、戦後、男は闇市、女性は亡くなった夫から区切りをつけ新しい恋愛を夢見る。これぞ著者の言う堕落。堕落とは自分のため、欲求のためにしたいことをすること。ある意味人間らしく生きること。しかし、堕落(人間らしく生きること)は「孤独」が付きまとう。人間そんなに鉄のハートを持っていない。なので堕落は辛いこと。でも、これこそが人間の本質だ。とことん堕ちよう。自分のために。⑤

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    2024年10月05日
  • タナトスの蒐集匣 -耽美幻想作品集-(新潮文庫nex)

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    とても良い!!!!!!!
    読んだことあるやつもあったけど、乱歩の芋虫、坂口安吾の桜の森の満開の下、太宰治の駆込み訴え、辺りが気になっていたので読めてよかった。

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    2024年10月01日
  • 恋愛論(乙女の本棚)

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    恋愛論。と言い切るだけの内容がここにある。
    そうだそうだ、難しいことはない。ただそれを明確に一つずつ定義していくその中身が真っ当すぎて、このどストレートなタイトルがより光る。

    坂口安吾すげぇな。
    メガネの理系男のイメージしかなかったよ
    (某作品の影響ですね)

    2024.9.14
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    2024年09月14日
  • 不連続殺人事件

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    坂口安吾が書いた懸賞付き推理小説。一癖も二癖もある登場人物たちが絡み合い、混沌としたなか、一人また一人と殺人が行われていく。かなり多くの人物が登場しますが、ある意味類型的でそれなりに区別はつきます。

    ですがまともに読んでいては、全てを把握するのは難しいでしょうから、人物相関図的なものは必要でしょう。

    アガサ・クリスティーの某作品と同じという話もあります。確かに素材は同じです。ですが、その味付けは全く別物です。肉じゃがとカレーのようなものです。犯人当てという点では、この不連続殺人事件の方がテクニカルで、動機や殺人の流れも理屈に合っているようにも思います。

    犯人当てに傾いた分、途中の物語とし

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    2024年08月31日
  • 恋愛論(乙女の本棚)

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    なかなか難しいが今まで読んだなかでは理解しやすかった。恋愛論。
    恋愛によっても満たされることはないが恋無しに人生は成り立たない。
    そして恋愛は人間永遠の問題だ。ただしき恋などというもの断じうるはずもない。
    確かに現代においても永遠のテーマといえる。
    愚かでもある。

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    2024年08月12日
  • 桜の森の満開の下(乙女の本棚)

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    『今昔奈良物語』の『桜の森の満開の下』のパロディー短編を読んだときにわからない部分があったので、今回読んでみました。挿絵とレイアウトのおかげでとても読みやすくなって、文豪作品の敷居がぐっと低くなりました。

    鈴鹿峠にある桜の森の花の下では花の季節になると、旅人は気が変になってしまう。この山に住む山賊は情容赦なく着物をはぎ人の命を絶つが、やはりこの花の下に来ると怖くなってしまうのだ。山賊がいつものように街道で男の着物と一緒に妻をさらう。山賊にはすでに7人の妻がおり、その女は他の妻たちを次々と殺すよう山賊に言う…

    現代では絶対に出版できない内容。とても残酷なのですが、この山賊がそうであるように、

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    2024年03月15日
  • 堕落論 アニメカバー版

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    ネタバレ

    くらっちゃうよね。思想の力強さも、文章の無駄のなさも虜になってしまう。

    永遠はありえない、歴史に必然性はなく、人は人格を有する。そういったことを突き詰めて、実行したのが彼の生き方だったのだろう。

    名作と呼ばれる本ばかり読んでいても、浅い人間になりそうだけど、この作品に出会えて素直に感動している。

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    2024年03月07日
  • 桜の森の満開の下(乙女の本棚)

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    ネタバレ

    山賊は盗みに入った家の女房の美しさに一目惚れし連れて帰るが、わがままな性格。山賊は女の言いなりで、盗みや人殺しを繰り返す。やがて山賊とその女、ビッコの女は都に移住する。さらに女はエスカレーとし、櫛や着物だけではなく、人間の生首を欲しがるようになる。山賊は女の欲望に辟易し山に帰るが、女も付いてくる。道中、満開の桜の中を通った時に女が老婆の鬼に変わり、女の首を絞めて殺してしまう。そこには鬼ではなく美し女であり、女の顔におちた花びらを払おうとすると女の姿は消え、山賊も消え去った。桜の花は怖い!感想会楽しみ!⑤

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    2024年03月10日
  • 恋愛論(乙女の本棚)

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    ネタバレ

    「恋愛は人間永遠の問題だ。人間ある限り、その人生の恐らく最も主要なるものが恋愛なのだろうと私は思う」 恋愛という謎は面白い。脳科学的にもどのようなメカニズムで人を好きになるのか?ドパミン、セロトニン等の神経伝達物質が放出されるのですが、恋する理由は無数あり、それらを特定するのは難しいらしい。人は恋愛をして裏切られ、また恋をするという繰り返し。人間はバカなので繰り返す。バカは死んでも治らない。でもこのエネルギーこそ生きている証拠。この本を読んだ理由、決してモテようと思った訳ではないが、バカはとても美しい。⑤

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    2024年03月01日
  • 恋愛論(乙女の本棚)

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    坂口安吾は、残酷でセンセーショナルな作品を書くイメージがあったが、この恋愛論は真面目な論説文でそのギャップに驚いた。
    物語でない論説文にイラストが入ると、物語を読んでいるような気分になり不思議な感じがした。普段とっつきにくい論説文もこのようにコラボして、イメージが広がる形でどんどん読めたらいいのに、と思った。
    恋と愛のニュアンスの違い、日本語の多様な同義語が雰囲気的過ぎるという話には、納得感があった。万葉集や古今集の恋歌が、動物の本能の叫びに過ぎないと切り捨てるのも、なんとも清々しい。人生とは、その本能の世界から抜けてめいめいが世界を建設するもの、常識という規則で満たされなくなった心が、良俗に

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    2024年02月28日