坂口安吾のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
小林秀雄を痛烈に批判した「教祖の文学」に賛同したので、坂口安吾自身の本を手に取ったが、これまたまっすぐで、解説にあるように「自由な風」が通っている文章だった。
本作に収録されているのは以下:
・堕落論
・続堕落論
・日本文化私観
・恋愛論
・不良少年とキリスト
・FARCEについて
・文学のふるさと
・風博士
・桜の森の満開の下
読んでいて、特に評論に関しては、なんて素直な人なのだろうと驚嘆していた。ここまで実直な心を文章に落としているところに、私も素直に好感を持った。以下いくつかの感想
「堕落論」
・私自身も、数年前に私と極めて親しかった姪の一人が二十一の年に自殺したとき、美し -
Posted by ブクログ
「坂口安吾」のエッセイ『堕落論』を読みました。
古本屋でペラペラとページを捲っていて『天皇小論』や『特攻隊に捧ぐ』、『戦争論』、『ヨーロッパ的性格、ニッポン的性格』等が気になり、読んでみる気になりました。
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単に、人生を描くためなら、地球に表紙をかぶせるのが一番正しい―誰もが無頼派と呼んで怪しまぬ「坂口安吾」は、誰よりも冷徹に時代をねめつけ、誰よりも自由に歴史を嗤い、そして誰よりも言葉について文学について疑い続けた作家だった。
どうしても書かねばならぬことを、ただその必要にのみ応じて書きつくすという強靱な意志の軌跡を、新たな視点と詳細な年譜によ -
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ネタバレ思っていたよりアツい人でした。
安吾作品で最初に触れたのは桜の森の満開の下で、ちょっと怖くて儚い小説に思ったので、もっとセンサイな人かと。文学に対する姿勢が本気で真摯で、生き生きとしている。
当時の人にしては働き方に対する意識がだいぶ令和寄りなところがスゴい。使えるものは使って、労働時間削減しろとか。
「罰当たりが血を吐きながら作る作品」に、生きている人間の文学の凄みを熱弁している。もがきながら生み出すモノが愛しいのかなと思う。(教祖の文学)
歯が痛いという生活の中から、太宰の急逝に触れていて、悲しみがじわじわと伝わってきた。死ぬのはいつでも出来る、いつでも出来るんだからそんな事はするな、生き -
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『堕落論』『続堕落論』を含む9つのエッセイや小説からなる本。
坂口安吾を読んだのは初めてだが、著者についての感想は「戦前・戦中・戦後を生きたビート(北野)武」。
皮肉・批判・ユーモア・耽美など、作品ごとに異なる多彩な才能を感じた。
本への掲載順は時系列ではないので、以下では時系列で記載する。
1.風博士
1931年、25歳で発表した短編小説(?)。ミステリ調でありつつ、ユーモラスな文体。
2.FARSEについて
1932年発表。文学や芸術の在り方を論じたエッセイ。
3.文学のふるさと
1941年に発表したエッセイ。
4.日本文化私観
1942年発表。「高尚な文化」のみを文化と捉えず -
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ネタバレエッセイが読みたくなったので。終戦後、立ち直ろうとしている日本の気運に乗った作品だからか、「既成概念に反抗していくぞ!」感を強く感じた。確かに何にでも歯向かいたい当時の若者にはウケるだろうなぁという感じ。
各エッセイで表現が重複するところが多いように感じたが、筆者の意見が一貫しているところに好感を持てた。
有名なだけあって「青春論」と「堕落論」、「恋愛論」が面白かった
『私たちの小説が、ギリシャの昔から性懲りもなく恋愛を堂々めぐりしているのも、個性が個性自身の解決をする以外に手がないからで、何か、万人に適した規則が有って恋愛を割り切ることができるなら、小説などは書く要もなく、また、小説の存す