坂口安吾のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
語れば語るほど自分の言葉になるような。然し、表面だけの偽善的な言葉のようにも思える。
もっと、思考に対する時間的密度が必要なのか。
そして、時間を経てものになった言葉たちは果たして真実のものなのか。
前を向き後ろを向き、右、左、さてここは何処か。私は何処へ向かっているのか。
考えれば考えるほど暗い。
ただ然し、暗いこと、思い悩むこと、分からなくイライラすること、そんな類のものは何か次に進むための兆候があるのだろうと考え、希望は捨てず考え耽る。
ある時、顧みると人間に近づいているのかなという自分。
そしてまた考える。
坂口安吾、自己との全面対決。
その決意が読み進めると伝染し、 -
Posted by ブクログ
ー 私は思うに、巨勢博士の推理と全く同じように一々の細部にピタリと推理された方が四人もあったということは、私がむしろ誇ってよいことではないかと思う。つまり、ピタリと当るように出来ているのだ。探偵小説の従来の公式などは問題じゃない。探偵小説は合理的でなければならぬ。
人間性を不当に不合理に歪めて、有りうべからざる行動を実在させそれを、合理的に解けと云ったって無理である。私は日本のみならず、全世界の探偵小説の99パーセント、否、99.99パーセントぐらいが不合理なものだと思っている。 ー
あの坂口安吾の探偵小説。しかも、探偵小説のための探偵小説。当然、読者への挑戦状付き。
探偵小説のための探 -
Posted by ブクログ
ネタバレ安吾節炸裂!
登場人物が騒がしく戯れている、丁々発止を読んでるだけで満足感が味わえる上に、女性陣は妖艶で淑女のようでもありいわゆるファムファタール的要素が多分に溢れているので、この異次元世界の参加者(もしくは傍観者)で交ざりたい!って想いです。
ミステリーということで、いやはやこちらもしっかり練られていて読者挑戦物だったのも頷ける見事な仕上がり。
世界観に騙されていたのだなぁと、確かに犯人特定のヒントは作中にしっかり表現されてるんだなぁと感心の極み。
坂口安吾の意外な一面が盛りだくさん。時代背景が古いので多少取っつきにくいけどバリおすすめ。 -
Posted by ブクログ
焦土、と言っていいだろう。家は焼け落ち、田畑は荒れて、路傍には浮浪者がうずくまる。人々は闇市に行列を作り、娼婦と孤児が夜の街を徘徊する…。どこか遠い国の話でも、マンガやラノベの話でもない。たかだか70年と少し前、他ならぬ私たちの国で、普通にみられた日常風景である。
太平洋戦争後の混乱の中で、坂口安吾の『堕落論』は書かれた。わずか十数ページの小論文だが、そこに込められた熱量は凄まじい。「建設のために、まず破壊を」と説く過激さは狂ったテロリストのようでもあり、人間を見つめる静謐な眼差しは有徳の僧のようでもある。野蛮さと格調高さが奇跡的に融合した名文だ。
かつては国の為に命を投げだした若者 -
Posted by ブクログ
『不良少年とキリスト』で坂口安吾を初めて読んでひきこまれ、胸にくるものがあったので他のも読んでみたいと思って堕落論などの〇〇論を読んだけどどうにもとっつきにくく…。
こういった小説だったらどうだろうと思いこの本を読んでみたら、こっちはどの話も好きだったしとても読みやすかった。
戦争と男女関係の話が多いので結構辛い場面もあるけど、なんだか綺麗に感じる。
出てくる女の人たちはみんな違った魅力があって好き。
彼女たちは残酷になればなるほど澄んだ美しさがある気がする。
『桜の森の満開の下』と『夜長姫と耳男』に出てくる二人の女性は特に残酷だけど、無邪気で気高い美しさもあってすごく惹かれるものがある -
Posted by ブクログ
様々な「女」をめぐる物語。
「恋をしに行く」は、純粋ながら人間らしい、この話自体に恋をしてしまうようだった。
「続戦争と一人の女」は、女の孤独と愛情に共感さえ覚えてしまうほど、胸が苦しく愛を感じた。
「傲慢な眼」は、不器用さと甘酸っぱさがとても愛くるしい。
「アンゴウ」は、どんでん返しの結末に、胸が熱くならずにはいられなかった。
私はこの4つの物語に特に惹かれたが、きっと女性のタイプと同じように、好みは分かれるであろう。
「女とは?」という問いかけにも似た、多面性を見せる「女」たち。
皆それぞれ魅力があり、とても引き込まれる短編小説集でした。