坂口安吾のレビュー一覧
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「私はあなたから、人の子の罪の切なさを知りました。罪の持つ清純なものを教わりました。」――『ジロリの女』
私が安吾の文章を読んで、たまらなく悲しく、どうしようもなく切なく、そして苦しいほど何かに向かって声の限りに叫びたくなるのは、たぶん、安吾が優しくて潔癖で、強靭で狂人だからだろう。
「私はいつも神様の国へ行こうとしながら地獄の門を潜ってしまう人間だ。ともかく私は始めから地獄の門を目指して出かける時でも、神様の国へ行こうということを忘れたことのない甘ったるい人間だった。」――『私は海をだきしめていたい』
安吾は自分の弱さを認めている。自分の無知さも認めている。そして彼は、自分の恥も認めて -
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坂口安吾は、104年前の1906年10月20日に新潟市で生まれた小説家。
『不連続殺人事件』『桜の森の満開の下』『白痴』『安吾捕物帖』『堕落論』『安吾巷談』などなど、小説をはじめ翻訳までほとんどの作品を読んで来て、やはり彼の真骨頂は、小説家としてより評論というか文明批評や社会批評の面で大いに発揮されているように思います。
そして、家は先祖代々の旧家で地主で大富豪、衆議院議員の父の13人兄弟の12番目の子として生まれた出自は、その後の彼の人生にどういう影響を及ぼしたのか、想像に難くないのは私だけでしょうか。
それから、敗戦後に『堕落論』で一世を風靡し≪無頼派≫で鳴らしたことからも、かなり長