坂口安吾のレビュー一覧

  • 桜の森の満開の下

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    深い群青色の闇夜に淡くぼうっと浮かぶ桜の花。
    春夜の冷気が頬を撫でる。一瞬で散っていく花びらに、孤独さと空虚さと。風が生暖かく変わり季節が移ろいでいく様子に、かすかな期待と終わりが無いという絶望を感じる。
    眼前に広がる圧倒的な虚無。この空虚な世界を生きていかなければならないという救いようの無い恐怖。そんな孤独の中に存在する美。孤独とは美そのものなのだ。
    たぶんそんな感じのお話。

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    2020年02月13日
  • スラよみ!現代語訳名作シリーズ 堕落論

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    戦中戦後の描写のくだりは、とても生々しく訴えかける物があった。
    「勤労のよろこびだのとほざくのは、まったくバカげた話だ」
    この時代で、こういう価値観を持てているのはとても先駆的だ。
    「必要を求める精神を、日本では怠け者の精神などと腐し、貧しさに耐えている事を素晴らしい道徳だと褒め称える。」
    令和になった今の時代でも、こういう価値観の人がたくさんいる。

    どんな時代でも、人間は大きく変わらないんだなと痛感させてくれた

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    2019年12月28日
  • 不良少年とキリスト(新潮文庫)

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    とても面白く読みました。時代は古いですが今でも通用するところやしないところなど。昔に堕落論を読んで坂口安吾を忘れていましたが十何年ぶりに著者の作品を読んで
    落語好きの私としては今は亡き談志師匠とだぶる所がありとても面白かったです。

    最後の荻野アンナさんの解説も愛があってよかったです。

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    2019年09月20日
  • 風と光と二十の私と・いずこへ 他16篇

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    ‪語れば語るほど自分の言葉になるような。然し、表面だけの偽善的な言葉のようにも思える。‬
    ‪もっと、思考に対する時間的密度が必要なのか。‬
    ‪そして、時間を経てものになった言葉たちは果たして真実のものなのか。‬
    ‪前を向き後ろを向き、右、左、さてここは何処か。私は何処へ向かっているのか。‬
    考えれば考えるほど暗い。
    ただ然し、暗いこと、思い悩むこと、分からなくイライラすること、そんな類のものは何か次に進むための兆候があるのだろうと考え、希望は捨てず考え耽る。
    ある時、顧みると人間に近づいているのかなという自分。
    そしてまた考える。

    坂口安吾、自己との全面対決。
    その決意が読み進めると伝染し、

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    2019年09月15日
  • 不連続殺人事件(新潮文庫)

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    ー 私は思うに、巨勢博士の推理と全く同じように一々の細部にピタリと推理された方が四人もあったということは、私がむしろ誇ってよいことではないかと思う。つまり、ピタリと当るように出来ているのだ。探偵小説の従来の公式などは問題じゃない。探偵小説は合理的でなければならぬ。

    人間性を不当に不合理に歪めて、有りうべからざる行動を実在させそれを、合理的に解けと云ったって無理である。私は日本のみならず、全世界の探偵小説の99パーセント、否、99.99パーセントぐらいが不合理なものだと思っている。 ー

    あの坂口安吾の探偵小説。しかも、探偵小説のための探偵小説。当然、読者への挑戦状付き。

    探偵小説のための探

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    2019年07月30日
  • 不連続殺人事件

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    ネタバレ

    安吾節炸裂!
    登場人物が騒がしく戯れている、丁々発止を読んでるだけで満足感が味わえる上に、女性陣は妖艶で淑女のようでもありいわゆるファムファタール的要素が多分に溢れているので、この異次元世界の参加者(もしくは傍観者)で交ざりたい!って想いです。
    ミステリーということで、いやはやこちらもしっかり練られていて読者挑戦物だったのも頷ける見事な仕上がり。
    世界観に騙されていたのだなぁと、確かに犯人特定のヒントは作中にしっかり表現されてるんだなぁと感心の極み。

    坂口安吾の意外な一面が盛りだくさん。時代背景が古いので多少取っつきにくいけどバリおすすめ。

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    2019年07月25日
  • 堕落論【語注付】

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    堕ちるところまで堕ちたら、あとは上がるしかないっていう。でも堕ちきるにも覚悟が必要だと。
    中途半端な堕落がいちばんダメです。

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    2019年07月07日
  • 堕落論 アニメカバー版

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    実を言えば何度も読む愛読書なので、今更という感じがあるけども、記録としてあげることにした。初めて読んだのは40年くらい前の高校生の頃だった、衝撃だった。敗戦のあとの日本人としてこんな考えがあるとは思わなかった。もはや戦争が風化していた。それが突然現実味をおびた。これからも戦争を儀式としてうわつっらだけ、伝えることはあるだろう。しかしこの本(正確にはこの本をよんだのではなく、別のほんなのだが)が残る以上、戦争の醜さとそれの上で生きている現代は批判され続ける。そしてそのことが希望になっている。何回も読んで、自分を戒めている。

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    2019年03月21日
  • 桜の森の満開の下・白痴 他12篇

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    坂口安吾は初めてちゃんと読んだ。
    どの作品もそれぞれ心に小さな石のようなものや、温かいものや、鮮烈で繊細なものを残していった。
    今まで縁がなかったので読んでこなかったが、じわじわと好きになりそうだ。

    「桜の森」の最後は美しい。

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    2018年11月07日
  • 桜の森の満開の下

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    [桜の森…]桜は本来は畏怖の対象だったというグッとくる書き出し。美しさの中にグロテスクが内包された幻想的な怪奇小説。亭主を殺された美女は、殺した山賊を尻に敷き山賊の女を殺させる。都へ移り山に戻り桜の森で鬼となり桜となる。なんとも身勝手な女と欲のままに生きた山賊。なのにどうして儚い物語になるのか。ただ或る桜の森に対して得体の知れない恐怖と耽美を感じる不朽の名作。
    [夜長姫…]「好きな物は呪うか殺すか争うかしなければならないのよ。… いま私を殺したように立派な仕事をして・・・」この一文が全て。恐ろしい小説。

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    2018年06月04日
  • 堕落論 アニメカバー版

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     焦土、と言っていいだろう。家は焼け落ち、田畑は荒れて、路傍には浮浪者がうずくまる。人々は闇市に行列を作り、娼婦と孤児が夜の街を徘徊する…。どこか遠い国の話でも、マンガやラノベの話でもない。たかだか70年と少し前、他ならぬ私たちの国で、普通にみられた日常風景である。

     太平洋戦争後の混乱の中で、坂口安吾の『堕落論』は書かれた。わずか十数ページの小論文だが、そこに込められた熱量は凄まじい。「建設のために、まず破壊を」と説く過激さは狂ったテロリストのようでもあり、人間を見つめる静謐な眼差しは有徳の僧のようでもある。野蛮さと格調高さが奇跡的に融合した名文だ。

     かつては国の為に命を投げだした若者

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    2018年02月27日
  • 堕落論・日本文化私観 他22篇

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    甘ったるい偽善的な装飾を嫌い、徹底してものごとの奥底に光る「ホンモノ」を見つけ出そうとした文豪:坂口安吾。その格闘の軌跡。

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    2018年01月08日
  • 桜の森の満開の下・白痴 他12篇

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    『不良少年とキリスト』で坂口安吾を初めて読んでひきこまれ、胸にくるものがあったので他のも読んでみたいと思って堕落論などの〇〇論を読んだけどどうにもとっつきにくく…。

    こういった小説だったらどうだろうと思いこの本を読んでみたら、こっちはどの話も好きだったしとても読みやすかった。

    戦争と男女関係の話が多いので結構辛い場面もあるけど、なんだか綺麗に感じる。
    出てくる女の人たちはみんな違った魅力があって好き。
    彼女たちは残酷になればなるほど澄んだ美しさがある気がする。

    『桜の森の満開の下』と『夜長姫と耳男』に出てくる二人の女性は特に残酷だけど、無邪気で気高い美しさもあってすごく惹かれるものがある

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    2017年12月11日
  • 桜の森の満開の下

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    何度も読み返す数少ない作品。
    昔話のような物語なのだが、
    表現がとても美しい。
    題名は日本文学史に残る傑作。

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    2017年05月01日
  • 堕落論 アニメカバー版

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    ネタバレ

    最初の一ページ目で時代背景的なところで挫折し積んでから読み終わるまでかなり時間かかってしまった。
    青春論のはずなのになぜか宮本武蔵の剣法の話が出てきたり(ここがとても面白くてまたバガボンド読みたくなった)、主題と関係なさそうな話から自分の言いたいことへ収束していく感じが面白かった。今パッと出てこないのだけど、この言葉は自分に留めておきたいとか、もっと早く出会っていれば楽だったと思えるような考え方がいろいろ詰まっていた。
    とても稚拙なレビューでお恥ずかしい限りです。

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    2017年04月26日
  • 桜の森の満開の下

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    この世でいちばん好きな本です。
    (今のところ…)
    満開の桜や、花吹雪の中女を背負って歩いていく男が目に浮かんできます。
    桜の頃になると読みたくなって、読み終えるとなんとなく寂しくなって、しばらくボーっとしてしまいます。

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    2017年02月26日
  • 安吾史譚 七つの人生について

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    本好きな先輩から頂いた本。
    いやー実に面白い短編集
    坂口安吾の切り口がなかなか新鮮というか
    短編の最後の一言の締めが笑えるというか
    あぁ全くだな、と思える。
    やはりここは個人的に思い入れ(と言っていいのかどうなのか)のある
    勝海舟、直江兼続、天草四郎時貞あたり。
    あと小西行長、源頼朝もそうだ。
    疎かったけどはぁなるほどと思った
    物部氏や公明皇后もまたなんとも笑える
    まぁ過去に日本武尊とか天照大神とか調べてたら
    神話通り越してあまりにショッキング過ぎて泣けたけど。(個人的に)
    まぁそれはどうあれ、余計に好きになったよ坂口安吾。

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    2016年12月30日
  • 堕落論 アニメカバー版

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    堕ちること、生きること、過ごすこと。色褪せない観点。
    人間は可憐であり脆弱であり、それゆえ愚かなものであるが、堕ちぬくためには弱すぎる。

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    2016年03月06日
  • 桜の森の満開の下

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    満開の桜を見ると、何故かいつも胸がざわつきます。
    音もなく静かに散り、静かに地面を埋めてゆく優しい淡いピンク色には「綺麗」なだけではない、正体不明の怖さがあります。
    不安定な気持ちになるのに惹かれてしまう。そんな魅力を桜に感じるのは、この本に書かれている出来事が、かつて本当にあったからではないだろうか、と思ってしまいます。
    美しく、怖い、なのに目をそらすことが出来ない。そんなお話です。

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    2016年01月31日
  • 桜の森の満開の下・白痴 他12篇

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    様々な「女」をめぐる物語。

    「恋をしに行く」は、純粋ながら人間らしい、この話自体に恋をしてしまうようだった。
    「続戦争と一人の女」は、女の孤独と愛情に共感さえ覚えてしまうほど、胸が苦しく愛を感じた。
    「傲慢な眼」は、不器用さと甘酸っぱさがとても愛くるしい。
    「アンゴウ」は、どんでん返しの結末に、胸が熱くならずにはいられなかった。

    私はこの4つの物語に特に惹かれたが、きっと女性のタイプと同じように、好みは分かれるであろう。

    「女とは?」という問いかけにも似た、多面性を見せる「女」たち。
    皆それぞれ魅力があり、とても引き込まれる短編小説集でした。

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    2015年12月27日