坂口安吾のレビュー一覧
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ネタバレ戦後まもなくに出版された日本の推理小説の傑作。坂口安吾作。
犯人のトリックや動機は、アガサ・クリスティーの「ナイルに死す」をかなり参考にしている。ただし、事件の背後を取り囲む登場人物は、焼け野原になった日本の戦後の退廃的な雰囲気、投げやりな雰囲気を反映していて、アガサ・クリスティーの小説に出てくる人物像とはかなり異なる。
この本で最も印象的な点は、戦後まもなくという世相も反映してか、人が死んだときに他の人物が受けるショックの薄さである。
(それがあるから8人も人が死んでしまうのであろう。1人1人の死にその都度衝撃を受けていたら8人の死までは、なかなか到達しない。)
素晴らしい名作だが、もう -
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小林よしのりの「堕落論」に触発されて読みました。筆者は「日本は敗戦後、道義が退廃したと言われるが、そうではない。変わったのは世相の上皮であり、人間は変わっていない。むしろ、人間は堕落するものだ。堕落することでしか人間を救う道はない」と主張している。「戦前の人間は立派だった」「戦後日本人はだめになった」といろいろな場面で言われてきたことを考えると、新鮮な主張に感じた。また、東京大空襲についての「猛火をくぐって逃げのびてきた人達は燃えかけている家のそばに群がって寒さの暖をとっており」という記述は、別の本で読んだ「東京大空襲の焼夷弾はうつくしかった」と通じるところがある。今読めば不謹慎に感じるところ
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いわゆる堕落と、坂口安吾の説く「堕落」は種類が違う。
坂口安吾の説く「堕落」とは、習慣や制度から逃れ堕ちること。例えば、所謂日本人然とした、苦労を厭わず、倹約に地道に努力することから逃れ、楽をしようとすること。家庭を持ち清廉潔白に暮らすのではなく、情欲を受け入れ過ごすことである。それは決してネガティブな行いではなく、それが人間の実質であり、それで人間が発展する。「堕落」は制度の母体なのである。
なぜ坂口安吾が「堕落」という言葉を使ったのか。それは、習慣に囚われた人々が、坂口らに対して向けた、「お前達は堕落している」といったレッテルに対して、「堕落こそ結構。それこそ人間の本質であり、中身の -
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語れば語るほど自分の言葉になるような。然し、表面だけの偽善的な言葉のようにも思える。
もっと、思考に対する時間的密度が必要なのか。
そして、時間を経てものになった言葉たちは果たして真実のものなのか。
前を向き後ろを向き、右、左、さてここは何処か。私は何処へ向かっているのか。
考えれば考えるほど暗い。
ただ然し、暗いこと、思い悩むこと、分からなくイライラすること、そんな類のものは何か次に進むための兆候があるのだろうと考え、希望は捨てず考え耽る。
ある時、顧みると人間に近づいているのかなという自分。
そしてまた考える。
坂口安吾、自己との全面対決。
その決意が読み進めると伝染し、 -
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ネタバレ安吾節炸裂!
登場人物が騒がしく戯れている、丁々発止を読んでるだけで満足感が味わえる上に、女性陣は妖艶で淑女のようでもありいわゆるファムファタール的要素が多分に溢れているので、この異次元世界の参加者(もしくは傍観者)で交ざりたい!って想いです。
ミステリーということで、いやはやこちらもしっかり練られていて読者挑戦物だったのも頷ける見事な仕上がり。
世界観に騙されていたのだなぁと、確かに犯人特定のヒントは作中にしっかり表現されてるんだなぁと感心の極み。
坂口安吾の意外な一面が盛りだくさん。時代背景が古いので多少取っつきにくいけどバリおすすめ。