坂口安吾のレビュー一覧

  • 堕落論

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    戦時中と戦後の日本を鋭い目で見た坂口安吾に敬意を評す。ほんとうの人間性や政治、社会のあり方まであらゆることを『堕落せよ』と説く。堕落とは人間に還ることである。個人的には本書の中で美を愛でる坂口安吾、好きだ。

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    2019年08月03日
  • 不連続殺人事件

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    ネタバレ

    安吾節炸裂!
    登場人物が騒がしく戯れている、丁々発止を読んでるだけで満足感が味わえる上に、女性陣は妖艶で淑女のようでもありいわゆるファムファタール的要素が多分に溢れているので、この異次元世界の参加者(もしくは傍観者)で交ざりたい!って想いです。
    ミステリーということで、いやはやこちらもしっかり練られていて読者挑戦物だったのも頷ける見事な仕上がり。
    世界観に騙されていたのだなぁと、確かに犯人特定のヒントは作中にしっかり表現されてるんだなぁと感心の極み。

    坂口安吾の意外な一面が盛りだくさん。時代背景が古いので多少取っつきにくいけどバリおすすめ。

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    2019年07月25日
  • 堕落論【語注付】

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    堕ちるところまで堕ちたら、あとは上がるしかないっていう。でも堕ちきるにも覚悟が必要だと。
    中途半端な堕落がいちばんダメです。

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    2019年07月07日
  • 堕落論 アニメカバー版

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    実を言えば何度も読む愛読書なので、今更という感じがあるけども、記録としてあげることにした。初めて読んだのは40年くらい前の高校生の頃だった、衝撃だった。敗戦のあとの日本人としてこんな考えがあるとは思わなかった。もはや戦争が風化していた。それが突然現実味をおびた。これからも戦争を儀式としてうわつっらだけ、伝えることはあるだろう。しかしこの本(正確にはこの本をよんだのではなく、別のほんなのだが)が残る以上、戦争の醜さとそれの上で生きている現代は批判され続ける。そしてそのことが希望になっている。何回も読んで、自分を戒めている。

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    2019年03月21日
  • 桜の森の満開の下

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    [桜の森…]桜は本来は畏怖の対象だったというグッとくる書き出し。美しさの中にグロテスクが内包された幻想的な怪奇小説。亭主を殺された美女は、殺した山賊を尻に敷き山賊の女を殺させる。都へ移り山に戻り桜の森で鬼となり桜となる。なんとも身勝手な女と欲のままに生きた山賊。なのにどうして儚い物語になるのか。ただ或る桜の森に対して得体の知れない恐怖と耽美を感じる不朽の名作。
    [夜長姫…]「好きな物は呪うか殺すか争うかしなければならないのよ。… いま私を殺したように立派な仕事をして・・・」この一文が全て。恐ろしい小説。

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    2018年06月04日
  • 堕落論 アニメカバー版

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     焦土、と言っていいだろう。家は焼け落ち、田畑は荒れて、路傍には浮浪者がうずくまる。人々は闇市に行列を作り、娼婦と孤児が夜の街を徘徊する…。どこか遠い国の話でも、マンガやラノベの話でもない。たかだか70年と少し前、他ならぬ私たちの国で、普通にみられた日常風景である。

     太平洋戦争後の混乱の中で、坂口安吾の『堕落論』は書かれた。わずか十数ページの小論文だが、そこに込められた熱量は凄まじい。「建設のために、まず破壊を」と説く過激さは狂ったテロリストのようでもあり、人間を見つめる静謐な眼差しは有徳の僧のようでもある。野蛮さと格調高さが奇跡的に融合した名文だ。

     かつては国の為に命を投げだした若者

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    2018年02月25日
  • 堕落論

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    文豪:坂口安吾とは、人間の精神がどこまでも自由であることを求め、そこに宿る真実の美しさを愛した男であったのだな

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    2018年01月08日
  • 桜の森の満開の下

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    何度も読み返す数少ない作品。
    昔話のような物語なのだが、
    表現がとても美しい。
    題名は日本文学史に残る傑作。

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    2017年05月01日
  • 堕落論 アニメカバー版

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    ネタバレ

    最初の一ページ目で時代背景的なところで挫折し積んでから読み終わるまでかなり時間かかってしまった。
    青春論のはずなのになぜか宮本武蔵の剣法の話が出てきたり(ここがとても面白くてまたバガボンド読みたくなった)、主題と関係なさそうな話から自分の言いたいことへ収束していく感じが面白かった。今パッと出てこないのだけど、この言葉は自分に留めておきたいとか、もっと早く出会っていれば楽だったと思えるような考え方がいろいろ詰まっていた。
    とても稚拙なレビューでお恥ずかしい限りです。

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    2017年04月26日
  • 桜の森の満開の下

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    この世でいちばん好きな本です。
    (今のところ…)
    満開の桜や、花吹雪の中女を背負って歩いていく男が目に浮かんできます。
    桜の頃になると読みたくなって、読み終えるとなんとなく寂しくなって、しばらくボーっとしてしまいます。

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    2017年02月26日
  • 安吾史譚 七つの人生について

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    本好きな先輩から頂いた本。
    いやー実に面白い短編集
    坂口安吾の切り口がなかなか新鮮というか
    短編の最後の一言の締めが笑えるというか
    あぁ全くだな、と思える。
    やはりここは個人的に思い入れ(と言っていいのかどうなのか)のある
    勝海舟、直江兼続、天草四郎時貞あたり。
    あと小西行長、源頼朝もそうだ。
    疎かったけどはぁなるほどと思った
    物部氏や公明皇后もまたなんとも笑える
    まぁ過去に日本武尊とか天照大神とか調べてたら
    神話通り越してあまりにショッキング過ぎて泣けたけど。(個人的に)
    まぁそれはどうあれ、余計に好きになったよ坂口安吾。

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    2016年12月30日
  • 堕落論 アニメカバー版

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    堕ちること、生きること、過ごすこと。色褪せない観点。
    人間は可憐であり脆弱であり、それゆえ愚かなものであるが、堕ちぬくためには弱すぎる。

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    2016年03月06日
  • 桜の森の満開の下

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    満開の桜を見ると、何故かいつも胸がざわつきます。
    音もなく静かに散り、静かに地面を埋めてゆく優しい淡いピンク色には「綺麗」なだけではない、正体不明の怖さがあります。
    不安定な気持ちになるのに惹かれてしまう。そんな魅力を桜に感じるのは、この本に書かれている出来事が、かつて本当にあったからではないだろうか、と思ってしまいます。
    美しく、怖い、なのに目をそらすことが出来ない。そんなお話です。

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    2016年01月31日
  • 堕落論【語注付】

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    久保帯人先生作画版の表紙のを購入。
    小説…?かと思いきや、タイトルのとおり、随筆でしたね。
    現代文学って、文章がかたくて読みにくいイメージだったのですが、安吾の文章はとても読みやすくて、現代文学に対するイメージを払拭される思いでした。
    堕落論は、すごく共感する思考で、自分の中にあるものに言葉を与えてくれる本だなあと思いました。

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    2015年10月05日
  • 堕落論

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     坂口安吾が言おうとしていることを理解できている自信はないが、面白かった。これからも自分の思うように生きていこうと思った。世の中、なるようにしかならないのだ。

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    2015年09月23日
  • 堕落論 アニメカバー版

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    「人間は生き、人間は堕ちる。そのこと以外の中に人間を救う便利な近道はない。」

    すごい。面白い。
    この作者のすごいところは身の回りや歴史上の人物・事件をバサバサと自分の想いで論じときには切り捨てながらも、どうしようもなく愚かで狡猾で「アンポンタンな」人間への愛情に溢れているところだ。不完全で小狡い人間を、それゆえに真っ当になりたいと思う人間を愛し、称賛しているからだ。
    だからこの方の文章は温かい。いうなれば世俗にまみれた温かさだ。坂口安吾という人物に会ってみたかった。そう思わずにはいられない。

    「暑い」とか、「歯が痛い」とかで本気で癇癪を起こし、それを原稿に書いてしまうのに思わず笑ってしまっ

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    2015年08月31日
  • 白痴

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    戦中・戦後の退廃した世の中をすこぶる美しく描いている。モノクロの映画のように、淡々と。ゆったりと。堕落した生活から、何をみるのか。何を感ずるのか。

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    2015年06月09日
  • 堕落論 アニメカバー版

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    当時、こんなことを書いても大丈夫だったんだろうか…と思ってしまったような、ことも書かれており、驚きだった。

    とても興味深くて面白かった。

    『不良少年とキリスト』では、太宰さんのことが書かれていて、当時の様子を垣間見れたのは嬉しかった。

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    2014年09月15日
  • 堕落論 アニメカバー版

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    人間のどうしようもない孤独、その他もろもろ負の性質を直視した上で、それを受け入れ生きていくしかない、ということ?「人間だけが地獄を見る。然し地獄なんか見やしない。花を見るだけだ。」

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    2014年09月01日
  • 桜の森の満開の下

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    『櫻子さんの足下には死体が埋まっている』という近頃流行りのタイトルを見て、梶井基次郎の『桜の樹の下には』と、この『桜の森の満開の下』がベースになっているのではないかと思い読んでみた。とてもよかった。安吾も『堕落論』だけじゃないんだな。満開の桜の木の下では皆おかしくなってしまう、というか、花も盛りの一瞬には生命を燃やし狂ったようになるというような、生き物のSaGaを感じた。『櫻子さんの…』は多分読まない。このタイトルを書いてみたかっただけだろうから。

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    2014年06月23日